茶業研究報告
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1993 巻, 77 号
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  • 中野 敬之, 大石 准
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 1-4
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    秋整枝から翌春一番茶萌芽期前にかけて'おおいわ・せ,さやまかおり,やまかい,やぶきた,かなやみどり,おくひかり'における冬芽の芽長と幼葉数の推移を調査した。
    全ての品種において,芽長と幼葉数は秋整枝直後から増加したが,12月上旬頃には停止した。幼葉数の増加停止期は,芽長の停止期よりも早い傾向であった。
    翌年2月下旬以降の増加については,品種間差が認められた。即ち,芽長が増加したのは,'おおいわせ,やまかい,やぶきた'で,幼葉数が増加したのは,`やぶきた,かなやみどり,おくひかり'の中~晩生品種であった。また,この時期の芽長や幼葉数の増加量は,前年秋整枝直後から12月上旬までの増加量よりも少なかった。
  • 岡野 邦夫, 酒井 慎介
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 5-11
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    台切り更新による新芽品質向上機構には根の機能変化が関係していると考え,根の活性の指標となる木部樹液中のアミノ酸濃度を調べた。木部樹液は真空吸引法で採取した。台切り処理により,一番茶新芽の遊離アミノ酸含量は約20%増加し,タンニン含量はやや低下した。アミノ酸組成の変化は少なかった。
    木部樹液の採取量は茶樹,採取日,季節によって大きく変動したが,台切り処理の影響は認められなかった。樹液中にはグルタミソとテアニンが多く,この2種で全アミノ酸の70%を占めた。樹液中にタンニンは検出されなかった。樹液中のアミノ酸濃度は,台切り処理により19-34%上昇したが,アミノ酸組成の変化は少なかった。
    以上の結果から,台切り更新による新芽のアミノ酸含量の増加の一因は,根の窒素吸収能力やアミノ酸合成能力の高まりにあることが示唆された。
  • 池田 奈実子, 向井 俊博, 堀江 秀樹, 後藤 哲久
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 13-21
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    チャ各36品種・系統(煎茶用19品種,玉露・てん茶用7品種,玉緑茶用4品種,紅茶用6品種)の一番茶及び秋芽の全窒素,全遊離アミノ酸,カフェイン,タンニンの分析を行い,各品種・系統の化学成分含量の差異や,茶種ごとの特徴を明らかにした。
    全窒素含量は一番茶で4.59~6.12%,秋芽で3.05~4.83%,全遊離アミノ酸含量は一番茶で1.47~5.07%,秋芽で0.76~2.86%,タソニン含量は,一番茶で12.1~23.1%,秋芽で13.7~21.1%,カフェイン含量は,一番茶で2.60~4.88%,秋芽で2.07~3.56%であった。秋芽は一番茶と比べて,全窒素,全遊離アミノ酸,カフェイン含量は少なく,タンニン含量が多かった。
    'やぶきた,おくゆたか'など品質優良な煎茶用品種や玉露・てん茶用品種の一番茶は,全窒素,全遊離アミノ酸含量が多く,タンニン含量は少なかった。一方,'めいりよく'はさわやかで清涼感のある品質が特徴であるが,煎茶用品種の中では全遊離アミノ酸含量は'ゆたかみどり'に次いで少なかった。玉緑茶用品種と紅茶用品種は全窒素やアミノ酸の含量は少なく,タンニン含量は多かった。紅茶用品種と'いずみ,印雑131'のアッサム雑種はカフェイン含量が多かった。
    秋芽の品種,茶種ごとの化学成分含量は,一番茶に比べて変異が小さくなった。
    主成分分析の結果,品種により,季節による化学成分の変動に特徴が認められた。
  • 堀江 秀樹, 向井 俊博, 後藤 哲久
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 23-28
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1991年全国茶品評会入賞茶(普通煎茶,深むし煎茶,むし製玉緑茶,かまいり製玉緑茶)の主要成分を化学分析した。普通煎茶の各化学成分含量の平均は全窒素6.7%,遊離アミノ酸5.2%,カフェイン3.6%,タンニン14.2%,アスコルビン酸0.40%であった。深むし煎茶の各化学成分含量の平均は全窒素6.7%,遊離アミノ酸4,9%,カフェイン3.6%,タンニン15.0%,アスコルビン酸0.45%であった。むし製玉緑茶の各化学成分含量の平均は全窒素6.6%,遊離アミノ酸4.4%,カフェイン3.8%,タンニン13.6%,アスコルビン酸0.33%であった。かまいり製玉緑茶の各化学成分含量の平均は全窒素6.3%,遊離アミノ酸4.2%,カフェイン3.8%,タンニン13.8%,アスコルビン酸0.36%であった。
  • 後藤 哲久, 堀江 秀樹, 向井 俊博
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 29-33
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    緑茶中の主要な7種のアミノ酸にGABAを加えた8種のアミノ酸を,OPAによる誘導体化と,ODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより,25分以内に定量性良く分析する方法を開発した。内部標準物質としてグリシルグリシンを用い,移動相は,クエソ酸緩衝液と,アセトニトリルの混合液の多段リニアグラジエントを用いた。この方法での絶対保持時間のCV値は0.5%程度で,定量値の平均のCV値は1.1%程度であった。
  • 佐田 康稔, 小柳津 勤, 松浦 健雄, 後藤 正, 中村 順行, 岸本 浩志, 坪井 邦利
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 35-38
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    近赤外法による茶葉成分の測定において,前処理の簡易化を目的に粉砕工程の省略を検討した。
    (1)マイクロ波乾燥後の無粉砕試料を用いて,近赤外法により含水率,全窒素,中性デタージェント繊維の検量線を作成した。含水率,全窒素,中性デタージェント繊維について作成した検量線の重相関係数Rは,それぞれ0.934, 0.961, 0.865と高かった。
    (2)無粉砕茶葉を用いることにより,近赤外法による茶葉成分分析の際の前処理が簡易化され,従来の処理に比べ,1サンプル当たりの作業時間がおよそ2~3分短縮された。
  • (1)MS培地の基本成分の希釈度ならびにWP培地との比較
    柴田 真里子, 倉貫 幸一
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 39-45
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1チャの試験管内挿木における基本培地としてのMS培地の多量無機成分,微量無機成分と有機成分の希釈度ならびにWP培地との比較検討を行なった。
    2MS培地の多量無機成分,微量無機成分,有機成分の濃度をそれぞれ変えたところ,多量無機成分濃度が生育に最も大きな影響を与えた。
    3培養チャ芽の生育にはMS培地の基本組成が適していた。
    4MS培地とWP培地を比較したところ,MS培地での生育が優れた。
  • (2)植物生長調節物質の最適条件の検討
    倉貫 幸一, 柴田 真里子
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 47-55
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1試験管内挿木を行う培養培地の検討を行い,生育が良好である培地の植物生長調節物質の濃度が明らかになった。
    2IBA,BAとGA3の組合せ試験の結果,IBA0.01mg/l,BA1.0mg/lとGA35.0mg/lが生育が最も良好であった。
    3培養体基部に形成されるカルスの大きさはBA濃度が高くなるにともない大きくなった。
    41AA,カイネチンとGA3の組合せ試験の結果,IAA1.0mg/l,カイネチン1.0mg/lとGA35.0mg/lが生育が良好であった。
    5GA3の濃度についてさらに試験した結果,.生育はGA350mg/lが最も良かったが,20,50mg/lでは葉が細くなる異常な生育を示し,葉数がやや減少することから,10mg/1が最も適した濃度であることが明かとなった。
    6チャの試験管内挿木による大量増殖のためには,IBA0.01mg/l,BA1.0mg/lとGA310mg/lを加えると培養7週間後に6葉以上で43mmの生育が期待できる。
  • 後藤 正, 小林 和郎, 松田 浩明
    1993 年 1993 巻 77 号 p. 57-62
    発行日: 1993/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    平成4年度の第34回静岡県茶品評会における出品茶(煎茶,深蒸し煎茶,玉露)について,茶の測色値及び全窒素,中性デタージェント繊維の測定を行い,分析値と官能審査による評点との関係を検討した。
    1)各茶種ともa/b値と外観評点との間には,比較的高い有意な相関関係が認められた。また,外観評価の基準は,茶種により異なることが明らかとなった。
    2)3茶種ともに全窒素含有率は6~7%と高率であった。平均値には有意な差が認められ,玉露,煎茶,深蒸し煎茶の順に高かった。一方,中性デタージェント繊維有率は10~20%の範囲にあり,玉露が最も高かった。
    3)各茶種とも窒素・繊維比と審査合計点には有意な正の相関関係が認められた。
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