茶株の群落光合成能力を高い状態に維持する整枝法の開発のためには,葉の成熟にともなう光合成活性の推移を明らかにする必要がある。そこで品種'やぶきた'一番茶葉の発育にともなう葉の形態及び光合成活性の変化を経時的に追跡した。
葉面積拡大は開葉後約35日で完了し,同時に暗呼吸速度も一定値となったが,光合成活性はそれより10日程遅れて開葉後約45日で最大値に達した。葉重増加も同時に停止したが,葉の厚さはそれ以後も増加を続け,開葉から2ヶ月経過した後に一定値に達した。
一番茶枝条の生長につれて,越冬葉や新梢下位葉の光合成活性は急激に低下した。新芽摘採により株面の光環境を改善したところ,急激な活性低下は抑制されたことから,チャ葉の光合成活性の低下には光条件が関与していると考えられた。
乾物当たり全窒素含有率は新葉の発育にともなって急速に低下し,葉面積拡大停止期に一定値となったが,葉中の全窒素量は開葉後2ヶ月までは一貫して増加を続けた。従って,新葉の発育にともなう全窒素含有率の急速な低下は,窒素の絶対量が減少するためではなく,窒素の蓄積速度を乾物増加速度が上回るためであることが確認された。
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