かまいり茶の製造で,茶品質を最も大きく左右するいり葉機の加熱かまを改良するため,セラミックスについてかま素材としての適用性を検討した。
1.かま素材として使用したセラミックスについて,遠外線特性を調べた。いり葉機の標準的な処理温度である330℃における素材別の分光放射率と放射強度は,グレイアルミナが最も高く,次いでアルミナ・チタニア,コージライト,鋼材の順であった。
2.セラミックスのみで作成した素地かまは衝撃に弱く,また,製作費も高額で実用性はなかった。セラミックスを鋼材表面に溶射したかまが強度もあり,安価で実用性は高かった。
3.いり葉機(2円筒1固定かま)の第1回転かまに,グレイアルミナを溶射した実用型機を試作開発した。
4.溶射皮膜の表面が粗いことで,かまへの茶葉付着が防止された。
5,セラミックスかまでいり葉した茶は,色沢が鮮緑色となり,内質もまろやかな芳香味があり,優れることが認められた。
今回の試験にあたり,試作機の製作や調査に協力いただいた(有)モリ製茶機,(株)ラサ工業,(株)岩尾磁器,(株)陶通の関係各位,並びに佐賀県茶業試験場の谷口俊郎技術員に対し深謝する。
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