‘なごみゆたか’は,1988年に宮崎県総合農業試験場茶業支場において,‘埼玉16号’を種子親,福岡県の在来種の‘福8’を花粉親として交配した中から選抜し,2010年に品種登録出願し,2012年に品種登録された中生の釜炒り茶及び煎茶用品種である。
2001年から2009年まで‘宮崎27号’の系統名で14場所で系適試験及び県単試験,2場所で特性検定試験(もち病,裂傷型凍害)が実施された。
その結果,‘なごみゆたか’は釜炒り茶,煎茶のいずれにおいても品質が優れ,輪斑病に抵抗性を有し,耐寒性も優れ,収量も‘やぶきた’より多いことから普及に移し得ると判断され,2010年8月に種苗法に基づく品種登録出願を行い,2012年11月に品種登録された。また,2012年3月には茶農林57号に農林認定された。
‘なごみゆたか’の特性の概要は次のとおりである。
1)一番茶の萌芽期は,‘やぶきた’より3日程度,摘採期は1日程度遅い中生品種である。
2)樹姿はやや直立型,樹勢はやや強,株張りは‘やぶきた’より大きい。
3)耐病性は,輪斑病にはやや強,炭疽病,もち病にはやや弱である。
4)クワシロカイガラムシに対する抵抗性はやや弱である。
5)耐寒性は,裂傷型凍害には中からやや強で‘やぶきた’より優れ,赤枯れや青枯れは‘やぶきた’並である。
6)収量は‘やぶきた’より多い。
7)釜炒り茶,煎茶品質ともに,‘やぶきた’より優れ,特に香気,水色,滋味が優れる。
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