茶業研究報告
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2015 巻, 119 号
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報文
  • 小澤 朗人, 内山 徹, 小杉 由紀夫, 芳賀 一
    2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_1-119_6
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    2012年12月~2013年3月に静岡県内の茶園121カ所からチャトゲコナジラミの寄生葉を採取し,天敵寄生蜂のシルベストリコバチの寄生率を調べた。寄生蜂の寄生率は0%~92.3%と大きくばらついていたが,10~20%の割合が30/121カ所と最も高く,0%の圃場は16/121カ所,平均値は29.1%であった。寄生率を主な茶産地別に比較すると,いずれの地域でもばらつきは大きかったが,チャトゲコナジラミの侵入時期の早かった牧之原地域が中部地域よりも寄生率が有意に高かった。寄主密度と寄生蜂の寄生率との関係では,負の相関関係が認められ,寄主密度に寄生率が影響していることが示唆された。
  • 伊地 知仁, 德田 明彦
    2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_7-119_11
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    荒茶の外観色沢は個体や系統選抜を行うに当たり,煎茶として評価を行う場合に重要視される形質の一つである。生葉の色は荒茶色沢と関連があるとされているが,製造後の外観色沢とは必ずしも一致しないこともしばしば観察される。そこで,系統選抜段階の色沢評価と測色値,色素類含有量,pHとの関連性について検討した。
    生葉と荒茶の色の関係について,測色値のh*でみると,一番茶では正の相関が認められたが,二番茶では関連性が認められなかった。色沢評点は,生葉のh*とは一番茶,二番茶ともに明確な関連性が認められなかったのに対し,荒茶のh*とは一番茶,二番茶ともに強い正の相関が認められ,h*の大きい緑色の強い品種・系統で高い傾向であった。さらに,phy変化率と外観色沢評価は強い負の相関があり,加えてphy変化率に関与するpHも外観色沢評価と正の相関が認められた。したがって,品種・系統の荒茶色沢に関する特性は,Phy変化率や,それに関与するpHで推定できることが示唆された。
  • 水上 裕造
    2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_13-119_20
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    火入れにより変化する香気寄与成分を特定した。AEDAから,火入れにより20成分のFDfが増加し,2成分のFDfが減少した。中でも,4-mercapto-4-methyl-2-pentanone,2-ethyl-3,5-diemthylpyrazine,furaneolの3成分は火入れにより増加し,高いFDfで検出され,火入れで形成される重要な香気寄与成分であった。一方,(Z)-3-hexenalと(E,E)-2,4-heptadienalは火入れにより減少し,FDfも低く検出された。原料の違いや用いる火入れ機によって煎茶の芳香は異なるが,特徴を捕らえるためにもデータの蓄積が必要である。
  • 水上 裕造, 崎原 敏博, 飛松 諒, 内村 浩二
    2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_21-119_28
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    生葉の低温保管により不快な夏茶臭が改善される。本研究では,AEDAおよび香気寄与成分の分析と添加試験を通して,生葉の低温保管による夏茶臭の改善効果を明らかにした。結果,夏茶臭の原因物質と考えられるmethoxypyrazineは生葉の低温保管により変化しなかった。一方,低温保管により多くの香気寄与成分が増加し,高いFDfで検出された。生葉の低温保管により高いFDfで検出された成分をそれぞれの閾値とFDfを参考に混合し,夏茶臭が認められた煎茶に添加して官能検査したところ,夏茶臭は認められず,フローラルな香調が強調された。以上から,生葉の低温保管により香気寄与成分が増加し,夏茶臭をマスキングすることがわかった。
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