茶業研究報告
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2019 巻, 128 号
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総説
  • 谷口 郁也
    2019 年 2019 巻 128 号 p. 1-8
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    わが国は,明治以降,茶業の発展を目指した育種を戦略的に進めるために国内外の遺伝資源を積極的に収集・保存してきた。農研機構果樹茶業部門は14ヶ国・地域から収集された世界最大規模のチャ遺伝資源を保有しており,これまでも多くの品種の育成に活用されてきた。育種をはじめとして様々な研究に遺伝資源を利用するためにはその特性を的確に把握することが重要であり,近年ではDNAマーカーを利用した遺伝的多様性の評価が盛んに行われてきている。農研機構のチャ遺伝資源の多様性について,SSRマーカーを用いて解析した結果,国内由来の系統と海外由来の系統には大きな遺伝的な分化が見られた。遺伝資源全体の遺伝的多様性からすると,国内由来の系統の遺伝的多様性は限られいる。海外由来の系統の方が多様性の程度はかなり高いため,チャ育種の遺伝的多様性拡大にとっては海外から導入した遺伝資源の活用が重要と考えられる。SSRマーカーによる遺伝子型データを指標として農研機構チャ遺伝資源のコアコレクションが選定されている。このコアコレクションは,チャの持つ遺伝的多様性をふまえた研究を行う上で非常に有用なセットであり,今後は,コアコレクションと日々進歩しつつあるゲノム情報技術を活用して,新たな素材の開発,新規有用遺伝子座の同定及び新たな育種手法の開発が進展することが期待される。

報文
  • 中村 典義, 野村 幸代, 平野 剛史, 山口 史子, 荒木 慎介, 亀井 政嗣, 野中 一弥, 高木 智成, 釘本 和仁, 德重 憲治, ...
    2019 年 2019 巻 128 号 p. 9-21
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    山間部の茶園地帯の道路の多くは,軽トラックしか通行できないほど狭い。そのため乗用型管理機を茶園に搬入して利用することができない。そこで,軽トラックで運べ,傾斜地茶園でも安全に一人で作業ができる軽量茶園管理機を開発した。開発機は,うね幅1,600~1,800 mm,傾斜角度15°以下,横うねの茶園で作業ができる。開発機を使用するための茶園には,1) 機械移動側に2m幅の通路,2) 刃反転側に0.5 mの通路,3) 軽トラックの荷台側面に縦2m×横3mの昇降場所が必要である。対照機と比較して,開発機は,1) 作業人員の削減,2) 延べ作業時間の短縮,3) 作業負荷の軽減,4) 平坦地茶園における作業精度の向上,5) 労働費の削減ができる。開発機と対照機の差は,収量では判然とせず,荒茶品質はほぼ同等であった。

  • 水上 裕造
    2019 年 2019 巻 128 号 p. 23-29
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    抹茶の香りを解明する過程において,diethyl etherで抽出した香気エキスを濃縮すると,抹茶とは異なる香りとなった。従って,抹茶の香りには低沸点成分が重要であることが考えられた。そこで本研究では抹茶の低沸点成分をGC-OとGC-MSを用いて特定することにした。その結果,抹茶の重要な低沸点成分として,methanethiol,dimethyl sulfide,2-methyl propanal,3-methyl butanal,2-methyl butanalの5成分を特定した。

    次に安定同位体希釈分析法によりmethanethiolを除く4成分を定量した (飲用抹茶34点,食品加工用抹茶12点)。抹茶に含まれるdimethyl sulfideは2.92 mgkg-1から17.5 mgkg-1であった。また2-methyl propanalは0.06 mgkg-1から11.1 mgkg-1,3-methyl butanalは0.44 mgkg-1から5.26 mgkg-1,2-methyl butanalは0.97 mgkg-1から7.08 mgkg-1であった。これら低沸点成分は製造時における加熱の影響を強く受けることが考えられた。

資料
  • 沢村 信一
    2019 年 2019 巻 128 号 p. 31-35
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,同じレベルの碾茶を茶臼・ボールミル・ジェットミルなどの粉砕機によって粉砕した抹茶を用いて,レーザー解析式粒度分布測定装置で中位径を測定した。また,それぞれの抹茶の官能評価を実施し,抹茶の粒度の違いからくる食感によるおいしさに関して考察した。

    茶の湯で使用される抹茶は,碾茶を茶臼で粉砕するため粒度に大きな違いがないが,食品加工用の抹茶は種々の粉砕機によって粉砕される。茶臼で粉砕した抹茶は広い粒度域を持ち,中位径は10~20μmである。食品加工用として一般的に使用されるボールミル抹茶の中位径は,茶臼で粉砕したものとほぼ同じである。ジェットミル抹茶や気流式分級機で分級した微粉抹茶は,中位径3〜5μmと微細であった。

    茶臼抹茶と,ボールミル抹茶では,中位径はほぼ同じであるが,その粒度分布様式が異なり,ボールミル抹茶にざらつきを感じる場合がある。また,分級によって得られた微粉抹茶は,さらっとしており質感を感じない。

    古くから使われてきた茶臼で粉砕した抹茶は,結果として質感となめらかさを合わせ持っており,飲んだときに食感としておいしさを感じることができる。

  • 2019 年 2019 巻 128 号 p. 37-42
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー
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