化学生物総合管理
Online ISSN : 1349-9041
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1 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
報文
  • 倉田 毅
    2005 年 1 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    感染症はヒトが生きている限り、果てしなく続く。そしてわが日本では、ヒトが車の事故で毎年1万人死亡し、数万人が傷を負っていることには寛大であるが、ある感染症ではひとりも亡くならなくても絶対の安全を求める。実に不思議である、日本人のものの考え方は!
    また、日本人は“新しい”、“突然”が好きである。SARSで大騒ぎしたが、多数の感染者が出ているマラリア、激増するHIV感染、結核については、新聞に記事が登場することは少ない。
    そして、厚労省は全ての面での絶対安全を求められている。お金もほとんどかけずに。ヒトは年を取れば、おのずと易感染性となる。これは、いかんともしがたい事実である。今回は、現在の話題の感染症の問題点について触れてみた。
  • 福島 昭治, 鰐渕 英機, 森村 圭一朗, 魏 民
    2005 年 1 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    遺伝毒性発がん物質には閾値がないという考え方が定説となっている。このことが正しいかどうかを解決することを意図し、新しい手法による発がん実験を行った。ヘテロサイクリックアミンおよびN-ニトロソ化合物のラット肝あるいは大腸発がんを前がん病変およびがん関連マーカーを指標として検討すると、いずれも発がん物質に反応しない量のあることが判明した。このことから、遺伝毒性発がん物質の発がん性には閾値、少なくとも実際的な閾値が存在すると結論される。
  • 山崎 隆生, 増田 優, 宮地 繁樹, 篠田 和男
    2005 年 1 巻 1 号 p. 18-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    2006年までに予定される日本におけるGHS (Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals) の実施に関して社会的基盤の整備が急務である。筆者らは、いくつかの化学物質を用いて実際に「健康および環境に対する有害性」の分類を実施した。その分類結果を解析した結果、「健康および環境に対する有害性」の分類に関して幾つかの課題が見いだされた。見いだされた課題の要因を解析するとともに、課題に対する対応案を提案する。
  • 佐渡友 秀夫, 飛松 潤, 横山 泰一
    2005 年 1 巻 1 号 p. 36-45
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    化学物質の初期リスク評価の根幹をなす暴露評価において、その高度化のためPRTRデータを活用した河川水中濃度の全国最大値を推定する方法の確立が急務である。筆者らは、利用可能な2つの河川モデル (IRM1とPRTR対象物質簡易評価システム) を使い分けて、精度を確保しつつ全国の河川に適用できる最大濃度の推定方法を開発した。推定最大濃度と環境モニタリングデータとの関係を仔細に検討し、本方法が初期リスク評価に利用可能な推定方法であることを確認するとともに、リスク評価に用いる濃度採用値の決定に関して有用な知見を得た。
  • 第14回OECD高生産量化学物質初期評価会議(2002年パリ)
    高橋 美加, 平田 睦子, 松本 真理子, 広瀬 明彦, 鎌田 栄一, 長谷川 隆一, 江馬 眞
    2005 年 1 巻 1 号 p. 46-55
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    第14回のOECD高生産量化学物質初期評価会議が2002年3月にパリで開催された。日本が提出した8物質の初期評価文書については全ての評価結果の合意が得られた。本稿では、本会議で合意の得られた8物質の初期評価報告書の健康影響部分について、その要旨を紹介する。
前書き
報文
  • 竹村 誠洋
    2005 年 1 巻 1 号 p. 57-73
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    ナノ材料の人体・環境影響、倫理的・社会的側面など、ナノテクノロジーの社会的影響に関して、米国では国家ナノテクノロジー戦略のもと、各省庁が分担・連携してプログラムを実行している。一方、欧州においてもNANOSAFEなどのEUのプログラムおよび各国の調査がある。ナノ材料のリスク評価・管理に関してはまだ顕在化したリスクの指摘はなく、体系的な知見やデータの量が不十分である一方、国際的議論は活発に行われており、専門用語の定義など、リスク評価の基本事項に関する合意が徐々に得られ、積み上げられている。
  • 市川 芳明
    2005 年 1 巻 1 号 p. 74-82
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    欧州のRoHS指令,カリフォルニアのSB20など,いわゆる製品環境規制が製造業のビジネスに大きな影響を及ぼしている。これら製品環境規制のもとをたどると,IPP (Integrated Product Policy) の基本概念が浮かび上がってくる。この欧州発のIPPがさらにOECDの場で化学物質管理と融合したものがCPP (Chemical Product Policy) という考え方である。本稿ではCPPの現状と今後の動向について論じ,さらに企業として取るべき対応戦略を論じる。
  • 評価指標の基本体系と適用事例
    大久保 明子, 増田 優
    2005 年 1 巻 1 号 p. 83-98
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    社会的責任の議論が高まる中で、化学物質総合管理もその一つとしての位置を占め始めた今日、社会のあらゆる主体者の自主的な取り組みが重要性を増している。我々は、社会全体において化学物質総合管理の向上を促進する目的で、「化学物質総合管理のための評価指標」を開発し、評価指標の基本体系としてScience軸、Capacity軸、Performance軸を提示した。この評価軸を用いて企業行動とその背景について評価と分析を試みた結果、社会的に取り組むべき課題が明らかとなったとともに、評価軸の妥当性が確認された。また、本評価指標の開発は化学物質総合管理の今後のあるべき姿についても示唆を与えるものである。
短報
  • 専門職業人による「社学連携」と「互学互教」が創りだす「知の市場」
    増田 優
    2005 年 1 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    化学物質や生物によるリスクの評価・管理、そして技術革新及びその社会・生活との係りなどについて、自己研鑽をつむ機会を提供することを目的にして「化学・生物総合管理の再教育講座」を開始した。専門機関・学会、NGO・NPO、マスメディア、企業、行政などの連携機関から100人近くの講師陣を迎え15科目を開講して、社会人を中心に5,000人近い人々の受講を得た。平成17年度は、さらに消費者団体や地方自治体なども連携の輪に加え、51科目を開講予定である。
    産業も経済もその国の教養の水準を超えることはできない。現代社会を支える産業・企業の活動や科学・技術の動きに関する教養は、21世紀の真の教養として必須である。そして、この教養の水準を高めるためには、専門職業人 (プロ) がお互いに教えお互いに学ぶ「互学互教」が不可欠であり、「産学連携」を超えた「社学連携」が重要である。この公開講座は、「互学互教」と「社学連携」を旗印に21世紀の真の教養を涵養する場として、「知の市場」を形成しようとする挑戦である。
前書き
総合報文
  • 蛭川 舞, 星野 歳三, 美濃部 安史, Ulrich Maurer, Marcel Ceresiat, 望月 次郎, 村田 収
    2005 年 1 巻 1 号 p. 105-117
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    OECDのHPV/SIDS点検プログラムは、高生産量 (OECD加盟国の少なくとも1カ国またはEU地域での生産・輸入量が1,000トン/年以上のもの) の既存化学物質を対象にOECD加盟各国が協力して物質を分担し、その有害性の初期評価を実施することを目的としたもので、1991年に理事会決定がなされ1992年から開始された。スポンサー国が中心となり有害性の初期評価に必要な設定項目についてデータ収集および信頼性判断を行い、必要に応じて追加試験を実施して初期評価文書を作成する。スポンサー国内で承認を受けた評価文書はOECD加盟国による初期評価会合 SIAM (SIDS Initial Assessment Meeting) で討議され、修正過程を経たのちOECDの合意文書として承認され、最終的にはUNEPから出版される。本プログラムは1998年から産業界 (国際化学工業協会協議会) が参画することにより点検作業の加速化がなされている。
    著者らは1-chloro-2-(chloromethyl)benzene (o-chlorobenzyl chloride; OCBC) について、イハラケミカル工業株式会社をリード企業としてClariant GmbH (ドイツ) およびTessenderlo Chemie NV/SA (ベルギー) と国際コンソーシアムを組み、本プログラムに参加した。OCBCの用途は農薬中間体で、最近のOECD加盟国における生産量は年間数百トンまで減少しているが、特に環境中の生物に低濃度で影響を与える可能性を示すデータが得られている。また、水中で比較的速やかに加水分解するため分解生成物の毒性についても考慮して評価する必要があり、さらには、暴露実態の把握も必要不可欠であった。OCBCのSIDS文書作成にあたっては、これらの問題点を客観的かつ正確に記述し、有害性のプロフィルを明確にするとともに、現実的な暴露によるリスクは決して大きなものではないことを合理的な展開により考察するよう注意を払った。OECDに提出したOCBCのSIDS文書に基づき、SIAP和訳版、SIAP、SIARおよびSIDS Dossierを掲載した。
  • 2005 年 1 巻 1 号 p. 118-143
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 1 巻 1 号 p. 144-224
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
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