化学生物総合管理
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巻頭言
特集
  • 原稿種別: 前書き
    2010 年 6 巻 1 号 p. 5-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
  • 秋場 哲哉, 尾畑 浩魅, 林 志直, 森 功次, 野口 やよい, 永野 美由紀, 仲真 晶子, 甲斐 明美, 矢野 一好
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    ウイルス性食中毒事件関連の検査において、推定原因食品からのノロウイルス検出が困難である要因の一つに、検査対象食品に含まれている食品由来の物質が、目的遺伝子の抽出あるいはPCR反応に対する妨害作用を及ぼしている可能性が考えられる。我々はこのような妨害物質の除去方法として細菌の生物活性を利用した前処理法を検討した。その結果、カキ乳剤に添加したノロウイルスの回収には、Proteus vulgarisを用いてカキ乳剤を処理した場合に最も高いウイルス回収率が得られた。厚生労働省通知による手法で得られた回収率の平均は、添加したノロウイルス GI/8、 GII/4とも0.2%であったのに対し、P. vulgarisを用いて処理を行った場合にはそれぞれ45.9%、21.3%に向上した。
  • 田端 節子, 飯田 憲司, 千葉 隆司, 和宇慶 朝昭, 岩崎 由美子, 水取 敦子, 薩垂 真二, 田崎 達明, 服部 大, 井部 明広
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    強い発ガン性を有するカビ毒であるアフラトキシン (AF) が輸入食品からしばしば検出される。そのほとんどは原産国で汚染が起きていると考えられているが、原産国から日本への輸送中に汚染される可能性も否定出来ない。そこで、これらの輸入食品の輸送に多用されているドライコンテナを用いた船での輸送中に汚染が起きる可能性があるかについて検討を行った。世界各地から日本へ12のルートで輸送された食品を搭載したドライコンテナ中の温度と湿度を測定し、その温度条件をモデル化した。滅菌した食品に水を加えて3段階の水分活性の食品を調製した。これらにAF産生菌を接種しモデル化した輸送温度条件下で保存して、AF産生が起きるかについて検討した。その結果、水分活性0.83まではAFは産生されなかったが、水濡れ事故に相当する水分活性0.99では高濃度のAFの産生が認められた。
  • 松本 ひろ子, 平田 恵子, 坂牧 成恵, 萩野 賀世, 牛山 博文
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    8種人工甘味料、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム、サイクラミン酸 (CY)、ズルチン (DU)、アリテームの透析-HPLCによる系統的分析法の一部改良を行った。この中でCY、DUの各HPLC分析の前処理として、透析外液の精製にいずれも逆相系固相抽出カートリッジを用いるよう改良した。9種の食品にCY、DUを各0.2g/kg添加した場合の平均回収率は96%以上で、定量限界はいずれも試料当たり0.005g/kgであった。また、CY、DUのLC/MS/MSによる確認法を作成した。
  • 萩野 賀世, 松本 ひろ子, 牛山 博文, 高野 伊知郎
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    平成17年度および平成18年度に小麦表示のない市販の加工食品について、特定原材料(小麦)の検査を実施した。ELISA法によるスクリーニング検査では、国産品、輸入品あわせて73検体のうち、菓子等8検体から小麦タンパク質を10μg/g以上検出した。PCR法による確認検査では、揚げ菓子、発酵食品中のDNAは熱、圧力、発酵等により大部分が損傷を受けており小麦DNAを確認できなかった。そこで、DNAの抽出法およびPCR法の改良について検討した。本法を適用したところ、高度に加工された食品中の小麦DNAを確認することができた。
  • 鈴木 仁, 高橋 美佐子, 長嶋 真知子, 瀬戸 隆子, 森 謙一郎, 荻野 周三
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    無承認無許可医薬品中の抱水クロラールの分析法を開発した。定性試験では、抱水クロラールをジクロロメタンで抽出し、質量分析計付ガスクロマトグラフィー及び薄層クロマトグラフィーにより分析した。薄層クロマトグラフィーの発色試薬として2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを使用することにより良好な結果が得られた。定量試験では、ジイソプロピルエーテルで抽出し、1,2,3-トリクロロプロパンを内標準物質とした質量分析計付ガスクロマトグラフィーにより分析した。原材料の表示にスパニッシュフライ使用と記載されている液体製剤から、抱水クロラールを5.7w/w%検出した。
  • 宮本 道子, 寺島 潔, 中村 義昭, 伊藤 弘一, 鈴木 淳子, 横山 敏郎, 森 謙一郎, 浜野 朋子, 荻野 周三
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    平成16~19年度に当センターに搬入された化粧品 (891検体) に含有される紫外線吸収剤の検査結果を化粧品の種類別、成分別に集計した。紫外線吸収剤は合計133検体から検出し、最も多く検出した成分はパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル (EMC) で89検体、ついで2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン (オキシベンゾン3、HMB) および4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン (BMB) がそれぞれ26検体であった。検出頻度の高かった化粧品は「日焼け止め」で50検体中36検体 (72.0%) から検出し、主な成分はEMCでその含有量はほとんどが1~10%だった。その他に検出頻度が高かったのは「香水・オーデコロン」で、18検体中13検体 (72.2%) からBMBの他種々の成分を検出したが、含有量は1%以下であった。複数の成分を検出した検体も多く見られた。
  • 福森 信隆, 安藤 弘, 久保 喜一, 湯澤 勝廣, 長澤 明道, 高橋 博, 矢野 範男, 不破 達, 大橋 則雄, 小縣 昭夫
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 58-65
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    東京都によるいわゆる脱法ドラッグ条例の制定と国による追随の結果、未規制薬物市場においては化学系違法ドラッグが減少する代わりに、植物系ドラッグが増加している。今回、リゼルグ酸アルカロイドの含有が疑われる市販品のハワイアンウッドローズ種子からの抽出液をマウスに経口投与して、行動及び神経症状に対する影響について我々が開発したスクリーニング試験法を用いて調べた。高用量群で、首振り運動や鎮静作用、音に対する外界反応の亢進、痛反応及び払いのけ反射の増強等がみられた。これらの変化には、脳内セロトニンの消長が関与するものと示唆された。
  • 冨士栄 聡子, 高橋 保雄, 保坂 三継, 矢口 久美子
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    老朽化した水道水配管の更生法としてエポキシ樹脂塗料が使用されるが、この塗料の硬化剤として芳香族アミン化合物の1つ4,4'-メチレンジアニリン(MDA)が使用されてきた。MDA はIARC(国際癌研究機構)の分類でグループ2Bとして位置づけられ、更正養生時間が短く乾燥不十分である場合、MDAが水道水中に溶出する可能性がある。このため、MDA及びMDAと同様に硬化剤として用いられる芳香族アミン化合物である4,4'-エチレンジアニリン(EDA)について、残留塩素との反応による反応生成物の同定確認を行い、水道水中における溶出の確認方法を検討した。
    その結果、MDA、EDAは反応する有効塩素濃度の違いにより様々な反応生成物が認められた。有効塩素とMDAまたはEDA濃度のモル比3~1000において同定できた化合物は、p-ベンゾキノン、2,4-ジクロロアニリン及び2,4,6-トリクロロアニリン、推定できた化合物はモル比5において最大ピークであるp-アミノベンジルクロライドであった。これらより、MDA、EDAの他、これらの化合物を測定することにより、MDA、EDAの水道水中への溶出を推測できる1つの指標とすることができると考えられた。
  • 佐々木 由紀子, 橋本 秀樹, 三栗谷 久敏, 大石 向江
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 74-88
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    2008年1月、 食品製造業の自主検査および品質管理の現状と問題点を把握する目的で、都内の食品製造業232事業所に自記式アンケート調査を実施した。回収率は62.5%で、実施している検査は微生物検査が圧倒的に多く96%の事業所が実施し、理化学検査は53%が実施していた。項目別にみると一般細菌数検査と大腸菌群検査については94%の事業所が、黄色ブドウ球菌検査は77%が実施していた。微生物検査を簡易検査のみで実施している事業所は4ヶ所であった。品質に関わる事項については、検査のマニュアルを65.2%の事業所が整備、26.1%が部分的整備と回答しており、検査マニュアルの整備状況はほぼ良好であった。一方、検査の精度管理 (QC) の実施状況をみると、内部精度管理 (IQC) を実施している事業所は29%、外部精度管理 (EQC) を実施している事業所は22%であった。精度管理の実施率が少ない要因として、45%の事業所が食品検査分野の適正管理基準 (GLP) について知らないと回答していることから、検査精度を保証するシステムの認知度が低いことが一因と考えられた。
  • 橋本 秀樹, 大石 向江, 三栗谷 久敏, 佐々木 由紀子, 中川 順一, 鎌田 国広, 阿部 則雄
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 89-96
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    食品衛生検査施設における業務管理、いわゆるGLPに基づき、東京都食品衛生検査施設に対して内部点検を実施した。合計43施設を対象に内部点検を実施し、6施設に対し改善要請を行った。その内容は検査結果通知書の誤記や誤転記,検査実施標準作業書の未整備などに対するものであった。これら施設に対しては改善措置報告を受けた後、確認点検を実施し、その改善状況を確認した。あわせて、精度管理の実施状況についても点検を実施し、各施設の精度管理の状況について確認し、助言等を行った。
  • 池田 一夫, 灘岡 陽子, 神谷 信行
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 97-107
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    疾病動向予測システムを用いて、人口構造が自殺に与える影響について分析した。日本においては、近傍世代と比較して出生数が多い1880年代世代、昭和一桁世代、団塊世代及び団塊ジュニア世代で自殺死亡率が高いことが明らかとなった。この出生数の多い世代で自殺死亡率が高くなるという傾向は、程度の差はあれフィンランドやアメリカなどの先進各国でも観測された。相対的に出生数の多い世代の自殺死亡率が近傍世代よりも高くなることから、その世代が当該国の自殺好発年齢に達した時は、自殺者数はより大幅に増加するものと予測される。したがって、今後は、人口構造を十分考慮して自殺対策を構築していくことが重要である。
報文
  • 2008年調査結果の概要
    窪田 清宏, 神園 麻子, 結城 命夫, 増田 優
    原稿種別: 報文
    2010 年 6 巻 1 号 p. 108-124
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル フリー
    日本企業における化学物質総合管理の現状を把握するために、開発した評価指標を用いて調査を行った。調査は2003年から毎年実施している。評価指標は、Science軸 (科学的基盤に関する軸)、Capacity軸 (人材・組織の能力に関する軸)、Performance軸 (活動の実績及び取引関係者との連携や社会への情報公開の実施状況に関する軸) の3つの評価軸を縦軸に、ハザード評価、暴露評価、リスク評価そしてリスク管理の4つの評価要素を横軸としたマトリックスとなっている。このマトリックスのそれぞれの交点に設定された具体的な設問と選択肢を用いてアンケート調査を行った。2008年調査においては244社から有効な回答が得られた。全体的な傾向はこれまでと大きく変わるものではなかった。しかし、代表的業種であるゴム・化学、電気・電子及び機械系は、いずれも5年前に比べて化学物質管理に関する予算と人員が増加した企業が半数を超えており、化学物質管理を各企業が推進していることが明らかとなった。
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