CHEMOTHERAPY
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27 巻, 4 号
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  • その発見の歴史と遺伝学的意義
    三橋 進
    1979 年 27 巻 4 号 p. 567-580
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    One of the most important discoveries in bacteriology since the introduction of antibiotic substances for treating bacterial infections has been the occurrence and spread of the resistance (R) factors. The R factors were discovered from the epidemiological studies of multiple resistance in Shigella strains in Japan, where the incidence of Shigella infections had not decreased remarkably by the mid- 1960 s with the situation remaining much the same as it is in developing countries in the tropics.
    The nonconjugative resistance (r) plasmids were also discovered from the epidemiological studies of multiple resistance in Staphylococcus aureus. The R and r plasmids have been found to be the most important factors responsible for the spread of multiple resistance in bacteria.
    The histological background of R plasmid discovery, genetics and molecular biology of R plasmids are described in this review. Biochemical mechanisms of plasmid- mediated resistance are also included. The discovery of transposon resulting from the R plasmid research is the intriguing findings in genetics and will be one of the most important fields for gene evolution.
  • 塩田 憲三他
    1979 年 27 巻 4 号 p. 581-651
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症に対するCefmetazole (CS-1170) とCefazolin (以下CEZと略す) の治療効果と副作用を比較検討することを目的として, 全国38施設において, 慢性呼吸器感染症あるいは呼吸器疾患に合併した急性呼吸器感染症患者にCS-1170あるいはCEZそれぞれ1回2g宛, 1日2回, 14日間点滴静注を行ない, 治療効果, 副作用, 有用性の両薬剤群間での比較を二重盲検法により実施した結果, 以下の結論を得た。
    1. 呼吸器感染症に対するCS-11701日4gの治療効果は, CEZ1日4gの治療効果よりすぐれ, 両薬剤群間に有意差が認められる。
    2.肺炎・肺化膿症では治療開始3日後の体温と14日後の喀痰量の改善度がCEZ投与群よりCS-1170投与群においてすぐれ, また肺炎・肺化膿症以外の呼吸器感染症では治療開始3日後の咳漱の改善度がCEZ投与群よりCS-1170投与群ですぐれ, それぞれ有意差が認められる。
    3. 副作用の出現頻度には, 両薬剤群間で有意差が認められない。
    4. CS-1170の有用性はCEZの有用性よりすぐれ, 両薬剤群間に有意差が認められる。
  • 生方 公子, 高橋 洋子, 沢井 稔, 斎藤 洪太, 紺野 昌俊
    1979 年 27 巻 4 号 p. 652-668
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cephamycin系の新規抗生物質であるCefmetazoleについて, Cefazolin (CEZ) を比較対照薬剤として, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescene, Proteus vulgaris, Proteus morganiiおよびProteus iuconstansに対する殺菌効果を, 接種菌量によるMICの相違, 薬剤処理時の生菌数の変動ならびに菌の形態変化の上から観察し, 次の結果を得た.
    上記の細菌に対するCefmetazoleの薬剤感受性は優れており, ことにCEZに耐性を示す菌種にも優れた感受性を示し, いずれの菌種においても10 8cells/ml接種時と106cells/ml接種時のMICの変動は少なかった。
    薬剤処理時における菌の形態変化を観察すると, 菌は106cells/ml接種時のMIc付近の濃度からfilamentを形成し, 108cells|ml接種時のMIC付近の濃度でspheroplastを形成するが, 菌種にょっては速やかに溶菌するものや, spheroplastのまま残存するものがみられた。 また, Serratia marcescensProteus inconstansでは, 薬剤濃度によってはfilamentが形成された後, その先端から再分裂する像もみられたことから, Cefmetazoleはそれらの菌種から産生されるβ-lactamaseに必ずしも極めて強い安定性を示すとは思えない面もあった。
    Serratia marcescensProteus inconstansの上記の現象は, 生菌数の経時的変動の成績からも推察され, 生菌の発育を完全に阻止するためには, 106cells/ml接種時のMICの8倍の濃度を必要とした. しかしながら, Cefmetazoleの殺菌作用はCEZと比較してそれほど遜色のあるものではなく, ことにCEZに耐性の菌にも優れた殺菌効果を示すことが明らかにされた。
  • 西浦 常雄, 土井 達朗, 河田 幸道
    1979 年 27 巻 4 号 p. 669-674
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. well controlled studyにより急性単純性膀胱炎にAmpicillinを投与量をかえて3日間投与し, 抗菌剤の臨床効果と薬剤感受性との関係を検討した. 2g/日, 1g/日, 0.5g/日, 0.2g/日の各投与群の細菌消失率はそれぞれ97%, 80%, 83%, 68%であった. 2g/日投与群の細菌消失率は他の投与群に比して有意差を認めた.
    2. 検出菌の薬剤感受性分布から100μg/ml以下のMICの細菌を感性菌, 200μg/ml以上を耐性菌とした. 各投与群において感性株群では投与量による消失率の差は認められなかったが, 耐性株群では投与量に応じた消失率の低下が認められた.
    3. 各群の尿路感染菌株の薬剤感受性累積百分率の細菌消失率に相当する点の阻止濃度を臨床有効濃度 (CEL) とすると, CELは, 2g/日, 1g/日, 0.5g/日, 0.2g/日の各投与群でそれぞれ1, 160μg/ml, 210μg/ml, 240μg/ml, 50μg/mlであった.
    4. 自然治癒傾向が高く, 一般に抗菌剤の投与で原因菌の薬剤感受性に関係なく臨床効果がえられると思われている急性単純性膀胱炎でもやはり抗菌活性に比例して臨床効果がえられることを示した.
    5.われわれが提唱した臨床有効濃度clinical effective level;CELの概念を紹介し, このものがin vitroの抗菌活性に対して薬剤の体内動態とhost側のすべての因子を含めたin vivoの抗菌活性ともいうべきものでその薬剤を, そのような対象疾患の患者へ, その投与量, 投与方法で投与した場合に, 感染菌が消失するか否か, すなわち臨床的な感性と耐性の限界値を表したもので, 実地診療上に有用なものであることと同時に, 抗菌剤の臨床効果を比較検討する上で有用であることを述べた.
  • 山田 真一, 北出 文男, 岡田 勝彦, 革島 康雄, 加藤 佳典, 岡島 邦雄, 藤本 守
    1979 年 27 巻 4 号 p. 675-680
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    二連型K+微小電極は, 同時に細胞膜電位と細胞内K+濃度を測定することが可能であり, これらの値は, 細胞生理学的見地から, 細胞内エネルギー代謝の1評価となる. 抗癌剤投与時にRat肝細胞膜電位と細胞内K+濃度は, その投与量, 投与濃度に比例して低下し, 投与中止により1~2週間で, 正常レベルに回復する. 本論文では, 抗癌剤投与により生じる細胞内エネルギー代謝障害に対し, 抗癌剤投与時に, 代謝賦活剤であるCoenzyme Q10を併用投与し, 細胞内エネルギー代謝に及ぼす影響につき検討した. 抗癌剤としてはMitomycin Cを用い, 溶媒だけのPlaceboを併用投与した群を対照として比較検討すると, Coenzyme Q10を併用した群の, ラット肝細胞膜電位と肝細胞内K+濃度値は有意に低下が抑制されており, Coenzyme Q10を併用投与することにより, 抗癌剤投与により生じる肝細胞内エネルギー代謝の低下が抑制されると考えられた. さらに, Sarcoma 180 solid type tumorを用い, 抗癌剤にCoenzyme Q10を併用投与することによる抗癌剤の制癌効果への影響を検討し, 制癌効果を抑制することはなく, Coenzyme Q10の併用は有意義と考えられた.
  • 栗山 一夫, 馬場 廣太郎, 奥沢 裕二, 古内 一郎
    1979 年 27 巻 4 号 p. 681-688
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1976年12月から1977年11月までの1カ年間独協医科大学耳鼻咽喉科外来において検出し得た細菌のうち, 緑膿菌を除くブドウ糖非発酵グムラ陰性桿菌の占める比率と抗微生物薬感受性について検討した。
    その結果, 1) 非発酵菌の検出率は, 咽頭 (21.7%), 耳漏 (13.1%) であった。
    2) 検出菌種は咽頭, 中耳ともにAcinetobacter sp.が最も多く, 次いでPseudomonas sp., Flovobocterium sp., Alcaligenes sp.(耳漏からは検出せず) の順であった。
    3) 薬剤感受性はいずれの菌種においても, TC系のminocycline (MINO), doxycycline (DOXY) に高い感受性を示し, aminoglycosides group, erythromycin (EM) がこれに次いだ。
    PC系, cephalexin (CEX) についてはほとんど感受性が認められなかった。
  • 中村 徹, 笹田 昌孝, 田嶌 政郎, 内田 三千彦, 山本 孝吉, 沢田 博義, 内野 治人, 樋口 富彦
    1979 年 27 巻 4 号 p. 689-695
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Apalcillin (PC-904) はグラム陰性桿菌を始めとする各種微生物, とくに緑膿菌に対し強い抗菌活性を有する新規の広範囲抗生物質であり, 白血病患者 (単球性白血病2例, 赤血白血病1例, 急性リンパ性白血病1例, 慢性単球性白血病1例, 急性単球性白血病1例) 6例における7回の感染エピソードに本剤を1日3~109点滴静注により3~18日間投与し, その効果を観察した。
    起炎菌は6例中3例から分離され, クレブジェラおよびシュードモナス属のものであった。
    総合臨床効果は著効2, 有効2, 無効1, 効果不明2 (有効率57%) であった。副作用として投与中に下痢が1例と下痢・無尿を来たした者が1例みられたが, 前者は投与中止により, 後者は投与中止後人工透析により消失した以外とくに問題はなかった。
    本剤は白血病患者に合併する弱毒性グラム陰性菌感染症の治療に有用であると思われる。
    近年, グラム陰性菌, とくにPseudomoms aeruginosaを対象とする種々のPenicillin系薬剤 が開発されつつあるが, 最近, 住友化学工業株式会社研究所で開発された半合成Penicillin製剤の Apalcillin (PC-904) は, Ampicillinのamino基に4-hydroxy-3-carboxy 1-1, 5-naphthyridineを導入した化合物で, Pseudomomasをはじめとする多くのグラム陰性菌に対して, Gentamicinに匹敵する強い抗菌力を持つと共に, グラム陽性菌に対してもCarbenicillinと同程度, あるいはそれ以上の抗菌力を示すことが認められている。本剤はその広い抗菌スペクトラムと, 強い抗菌力によって各科領域の感染症に対する有用性が確立されつつある。
    内科領域における感染症として重要な位置を占めるものに急性白血病がある。本症においては白血病細胞の侵襲による顆粒球の減少や顆粒球の機能異常が認められ, とくに化学療法後にみられる高度の顆粒球減少時にしばしぼ難治性重症感染症の合併が認められ, Pseudomoms, Klebsiella, E.coliなどを起炎菌とする場合が多いことが知られている。
    我々は, 各種抗生物質の大量併用療法ににより, 白血病患者の難治性重症感染症の治療を試みてきたが, 今回PC-904を6例の白血病患者に7クール使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 横田 好子, 村川 武雄, 西田 実
    1979 年 27 巻 4 号 p. 696-703
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    CEZとGMの併用効果について, グラム陽性球菌およびグラム陰性桿菌に対するin vitroおよびin vivoにおける相乗効果を検討した。
    1. 感受性分布から評価した場合, 相乗効果を明確に表示することはできなかった。しかし, FIC indexで評価すると, CEZとGMの併用比が1:1あるいは4:1において相乗効果の出現率が比較的高率にみられた菌種は, S. aureus, S. faecalis, E. coliおよびE. aerogenesで, ついでK. pneumoniae, Pmirabilis, Prettgeri, C. freundii, S. maroescensで, ほとんど相乗効果を示さない菌種は, P. vulgarisおよびP. inconstans Bであった。
    2. FIC indexにおいて相乗効果の認められたE. coliの菌株 (No.75, No.621) は, 殺菌作用においても著明な相乗効果が認められた。またFIC indexで相乗効果を示さなかった菌株 (FIC index:≧1) でも, 多くの菌株で殺菌効果は相乗的に増強された。
    3. E. coliの試験菌株に対する両薬剤のin vitroにおける併用効果とマウスの感染防御効果とは, 必ずしも対応せず, FIC indexとは無関係に両薬剤による治療において相乗効果が認められる例があった。
  • 根橋 敏行, 原田 祐輔, 辻 明良, 金子 康子, 五島 瑳智子
    1979 年 27 巻 4 号 p. 704-711
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin剤投与後にP. aeruginosaによる菌交代がおこることは, すでに知られている。本研究は尿路感染症の患者にCeftezoleまたはCefazolin 1gを1日2回, 4日間連続投与した症例について投与前, 投与後の菌を分離し, 細菌学的効果をしらべるとともに, 菌交代現象例とS. marcescens, P. aeruginosaを分離した症例における患者因子について解析した。
    分離菌のMIC値と細菌学的効果とが一致しない症例, すなわち, MIC 1, 600μg/ml以上の耐性を示しているのに菌が消失した症例の分離菌種は, とくにS. marcesoensが多く, 次にEnterobacter sp. であった。
    両薬剤による菌交代現象は148例中, 28例 (18.9%) で, 主な交代菌はP. aeruginosa 12例, S. marcescens 4例であった。
    S. marcesoensおよびP. aeruginosa分離症例の基礎疾患は腫瘍癌が多く, また留置カテーテル, 手術歴のある症例が多かった。これらの症例のほとんどは慢性疾患であるが, 菌交代現象例は急性複雑性疾患に多い傾向が認められた。
  • 大川 光央, 岡所 明, 平野 章治, 田谷 正, 黒田 恭一
    1979 年 27 巻 4 号 p. 712-719
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    cefotiam (CTM) は, 新しい合成セファロスポリン系抗生剤であるが, 本剤500mgを種々の程度の腎機能を有する11例に筋注した際の血中および尿中濃度を測定し, 薬動力学的解析はonecompartment open modelに従った。なお腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニンクリアランスを用いた。その結果, 以下の結論を得た。1) 血中濃度は腎機能の低下に伴い上昇した。2) 腎機能正常者の血中濃度半減期は平均1.0時間と計算され, 腎機能の低下に伴い延長した。3) 腎機能正常者の筋注後6時間までの累積尿中回収率は平均44.8%で, 腎機能の低下に伴い減少した。4) 腎機能と分布容積との間には有意の相関関係が認められた。5) 腎機能と血清クリアランスとの間には有意の相関関係が認められた。
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