CHEMOTHERAPY
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27 巻, Supplement7 号
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  • 五島 瑳智子, 小川 正俊, 辻 明良, 金子 康子, 吉田 勇, 桑原 章吾
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 1-13
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口用Cephalosporinとして開発された新しい誘導体Cefaclorのin vitro, in vivo抗菌作用について実験を行ない, 基礎的評価を行なった。
    CefaclorはCEXと同様広域スペクトルヲ示し, とくにE. coli, P. mirabilisに対し, CEXよりすぐれた抗菌力を示した。
    E. coliに対するin vitro抗菌作用は, CCLの方ガCEXより強いことが認められた。
    菌の産生する不活化酵素に対しては, CEXとほほ同様の態度を示しがPenicillinase型の酵素に対してはその安定性ガCEXヨリヤヤ劣リ, Cephalosporinase型の酵素ではCEXと同様, 不活化された。
    In vivoにおけるマウス実験感染では, 耐性菌以外の菌で攻撃した場合CCLのED50はCEXより小さく治療効果はすぐれていた。
  • 小酒井 望, 岡田 淳, 小栗 豊子, 吉村 千秋
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 14-28
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    私どもは順天堂医院中央臨床検査室で, 主として1976~1978年に, 臨床材料から分離された各種の好気性グラム陽性球菌, 好気性グラム陰性桿菌, 嫌気性菌の1,471株を用いて, CCLの抗菌力をCEX, CFTのそれと比較検討した。また髄膜炎患者から分離した大腸菌1株を用いて, 液体培地中でのCCLの殺菌力をCEXのそれと比較した。
    (1) 菌の種類によって差はあるが, CCLの抗菌力はCEXよりも優れ, CFTとほぼ同程度か, 僅かに劣る程度であった。
    (2) CCLはA, B, G群溶血レンサ球菌, 肺炎球菌に最も強い抗菌力を示し。ついでSalmonella, 表皮ブドウ球菌, 黄色ブドウ球菌, インフルエンザ菌, Citrobacter diversus, Klebsiella, Proteus mirabilis, Peptococcus, Peptostreptococcus, Veillmella, Propionibacteriumに, 続いて大腸菌, 腸炎ビブリオに強い抗菌力を示した。しかしインフルエンザ菌, Citrobacter diversus, Klebsiella, Proteus vulgaris, Peptococcus, Propionibacterium, 大腸菌には耐性と考えられる株が認められた。Proteus属の他の4菌種, Serratia, Bacteroides, Fusobacterium, 腸球菌には抗菌力は弱かった。
    (3) CCL, CFT, CEX3剤間にはほぼ交差耐性が認められた。
    (4) CCLの殺菌力はCEXと同程度で, それほど強いとは思われなかった。
  • 甲畑 俊郎, 村田 加寿美, 江崎 孝行, 今村 博務, 渡辺 邦友, 二宮 敬宇, 上野 一恵, 鈴木 祥一郎
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 29-37
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口剤Cephalosporin系抗生物質Cefaclorについて嫌気性菌に対するin vitro及びin vivoでの抗菌作用を検討した。
    Cefaclorは嫌気性球菌, グラム陽性桿菌及びClostridiaに強い抗菌力を示したが, 一部の菌株で耐性を示すものがあった。グラム陰性桿菌はCefaclorに対し耐性であった。
    CefaclorはCEXよりもBocteroides属に対して若干劣った抗菌力であった。しかし, 他の菌種ではほぼ同等の成績を示した。
    Cefaclorの抗菌力は酸性側で, 又, 接種菌量が少なくなると強く現われた。
    Cefaclorの殺菌作用を検討したが, 24時間後ではMICの8倍濃度含有培地でも菌数の立上がりがみられ, 殺菌作川は認められなかった。
    Cefaclorの水溶液中の各保存温度における抗菌力の変動を経時的に検討した。保存温度よりも保存時間 (保存3時間頃) により抗菌力の低下がみられた。
    Fusobacterium necrophorum感染マウスに対する治療効果を検討した。その結果, F. necrophontm感染マウスに対し治療効果が認められた。
  • 西野 武志, 久保田 満寿代
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 38-58
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セファロスポリン系抗生物質Cefaclor (CCL) についてCephalexin (CEX) を比較薬として細菌学的評価を行ない, 以下の成績を得た。
    CCLはCEXと同様, グラム陽性菌群, 陰性菌群に幅広い抗菌スペクトラムを有し, その抗菌力はCEXに比べ約2~8倍優れていた。臨床分離のStaphylococcus aureus, Escherdehia coli, Klebsiella pneecmoniae, Proteus mirabilisの感受性分布では, 106cells/mlの菌量を接種した場合, CCLはCEXの2~8倍優れた抗菌力を示した。しかし108cells/ml接種時には, ある一部の菌種において菌量の影響が見られ, CEXと同様の感受性を示すものが認められた。抗菌力に及ぼす培地pH, 馬血清添加, 接種菌量の影響では, 馬血清添加でCCLのみがやや影響を受けたが, 他はCEXとほぼ同様の傾向を示した。
    増殖曲線に及ぼす影響では, CCLはCEXより優れた殺菌及び溶菌作用を示し, 特にE. coliにおいては菌量の高い場合にも, MIC付近の濃度で, 速やかに強い殺菌及び溶菌作用を示した。
    マウス実験的感染症に対し, CCLはCEXより優れた治療効果を示し, 特にE. coli, K. Pneumoniae感染症においては, 接種菌量の高い場合にも優れたED50値を示した。
  • 14. 大腸菌ならびに肺炎桿菌に対するCefaclorの効果
    三和 秀明, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 59-70
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セファロスポリン系抗生物質Cefaclor (CCL) の投与法に関して, 大腸菌及び肺炎桿菌マウス腹腔内感染症を対象に, Cephalexin (CEX) を対照薬として実験的解析を行ない, 以下の成績を得た。
    In vitroにおける殺菌作用に関しては, 使用した菌株Escherdehia coli KC-14, Klebstella PneumoniaeKC-1において, CCLはCEXより強い殺菌作用を示し, また再増殖実験で高濃度を作用させた場合, CCLはCEXに比べ長い菌数増加抑制時間が認められた。
    E. coli KC-14, K. pneumoniae KC-1に対して, CCLはCEXより優れた治療効果を示した。
    接種菌量の影響として, E. coli KC-14ではCCLはCEXに比べ菌量の増加に伴って治療効果の低下は小さかったが, K. pneumoniae KC-1ではCEXと同様に治療効果が低下した。
    頻回投与の効果について検討したところ, E. coli KC-14, K. pneumoniae KC-1両菌種に対して, CCL及びCEXは共に1回投与と頻回投与で治療効果に差が認められなかった。
    CCL, CEXの治療効果を左右する因子は, 有効濃度以上の薬物濃度の高さでなく, 有効濃度の維持時間であると考えられた。
  • 吉田 正, 亀田 康雄, 元川 清司, 村上 和久
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 71-97
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) はCephalexin (CEX) の3位のMethyl基をChlor基で置換した化学構造をもつ新しい経口用合成セファロスポリン誘導体である。
    CCLの抗菌スペクトルは基本的にはCEXと類似しているが, S. faecalisを除くグラム陽性菌およびE. coli, Klebsiella sp., P. mirabilis, H. influenzae等のグラム陰性菌に強い抗菌力を示した。
    臨床分離株675株のうち, これらの菌種に属する大部分の株に対してCCLのMICは3.13μg/ml以下に分布し, その抗菌力はCEXよりも2~8倍強かった。CCLの抗菌力は, 酸性培地で強く, 血清添加の影響をうけ, β-lactamase産生菌において接種菌量により弱められた。
    グラム陰性菌の産生するβ-lactamaseに対しては, CEXよりもPenicillinase型による分解をうけやすかったが, Cephalosporinase型には安定であった。
    殺菌作用は, MICよりも低い濃度で速やかに発現し, 殺菌率もCEXより高く, これが本剤の大きな特徴であった。このことはPenicillinase産生菌についても同様に認められた。作用菌の形態観察から, CEXにくらべて著しい溶菌効果が認められ, CCLの強い殺菌力に反映した。CCL作用菌の再増殖は, 培地中の作用濃度が殺菌濃度以下に低下したときに起り, 本剤に対する耐性化によるものでないことを確かめた。
  • 松浦 真三, 三和 秀明, 東山 伊佐夫, 島岡 登
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 98-104
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン系抗生物質Cefaclor (CCL) の実験的マウス腹腔内感染に対する治療効果, その効果におよぼす諸因子の影響, ならびに, 実験的マウス尿路感染症に対する治療効果についてCephalexin (CEX) を対照薬剤として比較検討を行ない, 以下の成績を得た。
    1) CCLは各種のグラム陽性および陰性菌による腹腔内感染に対して広く有効であり, その活性の強さは, Staphylococcus aureusを除く試験したすべての感染系に対してCEXよりも優れており, とくに, Klebsiella pmeumoniae, Escherichia coli EC-14, Haemophilus influenzae, Proteus mirabilisおよびEnterobacter aerogenesの感染系ではその差が著明であった。
    2) 腹腔内感染の治療効果におよぼす諸因子の影響として, 接種菌量, 薬剤の投与時期ならびに投与回数による影響を検討した結果, CCLとCEXは活性の強さに違いはあるがin vivo作用上の特徴としてはかなりの類似性を示した。
    3) E. coliおよび. P mirabilisを用いた実験的マウス尿路感染症に対するCCLの治療効果は腹腔内感染と同様, CEXに比べて明らかに優れていた。
  • 吉田 正, 木村 靖雄, 中清水 弘, 土肥 正善, 栩野 義博, 大坪 龍
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 105-115
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セファロスポリン抗生物質Cefaclor (CCL) をマウス, ラット, イヌに12, 5~100mg/kg経口投与して, その吸収・排泄・代謝をしらべCephalexin (CEX) と比較した。
    CCLは経口投与後, CEXと同様に腸管より速やかに吸収されて投与量に比例した血中濃度を与えた。Peak値は両剤とも同等であったが, CCLはCEXよりも早くPeakに達し, 濃度の減衰も速やかであった。AUCから求めた吸収率はマウスで89%, ラットで86%, イヌで77%となり極あて優れた吸収効率を示した。
    腸管から吸収されたCCLは主として腎を介して排泄され, マウス47%, ラット43%, イヌ34%の尿中回収率を示した。ラットでは胆汁中に9.2%が回収されたが, 腸管から再吸収後腎より排泄された。イヌでは胆汁中にほとんど排泄されなかった。
    尿, 血中の活性は未変化のCCLと同定されたが, ラット, イヌの尿中にCCLよりも極性の低い活性代謝物が検出される例があった。この代謝物は活性として尿中濃度の0.1%を越えることはなかった。
    イヌにおける22日間連続投与で, CCLの血中濃度, 尿中回収率をしらべたが, 蓄積傾向を認めなかった。
  • 第1報ラットにおける吸収・分布・排泄
    栩野 義博, 菅野 浩一, 堤内 正美
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 116-130
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    14C標識Cefaclorをラットに25, 50mg/kg経口および25mg/kg静脈内投与し, 吸収, 分布, 排泄について検討した。
    1. 経口投与時の血中濃度は, 25, 50mg/kgともに1時間で最高放射活性を示し, 50mg/kg投与の最高値は25mg/kgのそれの約2倍でdoseresponseが認あられた。両者ともほぽ同様の減衰パターンを示し, 8時間後には1時間値の約10%程度となった。25mg/kg静脈内投与では2時間値が5分値の10%程度と低下した。
    2. 尿, 糞への排泄はいずれの投与群でも48時間でほぼ終了し, 尿中排泄が糞のそれよりも大であった。また経口投与群と静脈内投与群の尿中への総放射活性の排泄はほぼ等しく, 経口投与でもきわめて良く吸収されることがうかがえた。
    3. 胆汁へは, 12時間までに約20%が排泄され48時間まで観測したが数%増加するにとどまった。
    4. 雄ラットの組織内放射活性の分布は, ほぼ1時間後に最高となり, 消化管, 腎, 肝, 大動脈に高く脳は低かった。24時間後は甲状腺, 副腎, 大腸で1時間後の20~40%程度であったが, 他の組織ではほぼ数%ときわめて低かった。
    5. 妊娠ラットの母体組織へは0.5~1時間に最高放射活性の分布が観測され, 腎, 肝, 血漿, 子宮, 血液, 肺, 卵巣, 胎盤の順であった。24時間後, 羊水以外の組織の値は5%以下となった。ホモジネートした全胎仔では投与後4時間が最高値を示した。
    6. 全身オートラジオグラフィーで検討した雄ラットの放射活性の分布は4) の成績と同様で24時間後は消化管内容物に比較的高い活性を見るのみであった。妊娠ラットは胎盤に放射活性を認めたが, 胎仔のそれはきわめて低く, 本剤の胎仔移行は極めて低いことが示された。
  • 第2報サルおよびイヌにおける吸収・排泄
    栩野 義博, 菅野 浩一
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 131-136
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    14C標識Cefaclorをサルおよびイヌに50mg/kg経口投与し, その吸収, 排泄について検討を行ない以下の結果を得た。
    1. 血中濃度はサルでは経口投与後30分, イヌでは1時間後にそれぞれ最高放射能濃度を示した。
    2. 抗菌活性測定による血漿中未変化体濃度はサルでは30分に最高値を示したのち, 4時間まで半減期0.8hr.で消失し, 8時間以降は検出されなかった。イヌでは1時間に最高値に達したのち, 12時間まで半減期1.6hr.で消失した。
    3. 総放射活性の尿, 糞中への排泄はサルおよびイヌとも48時間までにほぼ終了し, 尿中に多く, 糞中に少なかった。サルでは48時間までに尿中に55%, 糞中に25%排泄され, イヌでは同時間までに尿中に54%, 糞中に39%排泄された。
    4. 尿中への未変化体の排泄は24時間までにサルでは16~21%, イヌでは7~17%であった。
  • 第3報 各種動物における代謝
    菅野 浩一, 溝尻 顕爾, 川原 政一
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 137-149
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    14C標識Cefaclorをラット. マウス, ウサギ, イヌおよびサルに50mg/kg経口投与し, その吸収, 排泄および代謝について検討を行ない次の結果を得た。
    1. ラット, マウスおよびウサギにおける尿糞中総排泄率
    50mg/kg経口投与後の24時間尿中には, ラット: 63%, マウス: 73%, ウサギ (48時間): 65%の放射能が排泄されていた。24時間糞中排泄率はラット: 28%, マウス: 17%, ウサギ (48時間): 4%であった。
    2. ラット, マウス, ウサギおよびサル, イヌの尿中代謝物
    ラット. マウス, ウサギでは未変化体の排泄が多く, その8時間までの累積排泄率はいずれも約40%であった。これら動物の尿中には数個の代謝物の存在が認められたが, その排泄率はいずれも小さく5%以下であった。サル, イヌでの未変化体の排泄は比較的小さかった。
    3. ラットにおける胆汁排泄および代謝物
    50mg/kg経口投与後24時間までには, 胆汁中に33%, 尿中に52%, 糞中に7%の放射能が排泄されていた。胆汁中には未変化体より低Rf部位に主代謝物の存在が認められた。8時間の累積排泄率は, 未変化体: 8%, 主代謝・分解物: 17%であった。
  • 加藤 博, 西村 欣也, 永井 修吾, 桑原 佑一, 中村 光男, 大西 一也
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 150-157
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) およびCephalexin (CEX) の殺菌作用について, 1回250mg内服時のヒト血中濃度推移にsimulateしたin vitroの実験系を用いて比較検討した。Staphylococcus aureus FDA 209P, Escherichia coli NIHJ JC-2, Klebsiella pneumoniae ATCC 10031の3菌種につき, Antibiotic Medium No.3 Broth (ABM3) 中, 初菌量105cells/mlを接種し, CCLは8時間ごとに1日3回接触, CEXは6時間ごとに1日4回接触として, 臨床上の1日投与回数にあわせた繰り返し接触を行ない, 24時間経時的に残存菌数を計測した。なお, これらの被検菌に対するCCL, CEX両剤のMIC値 (ABM3, 105cells/ml) は, S. aureusではそれぞれ6.25, 3.13μg/ml, E. coliでは共に12.5μg/ml, K. pneumoniaeでは共に6.25μg/mlであった。
    S. aureusでの接触実験では, 両剤の初回接触で著しい生菌数減少を認めたが, 培地中CCL濃度が0μg/mlになる時期とCEX濃度の谷間にあたる時期にregrowthが認められ, 以後この傾向を繰返しながら全般的には両剤は同程度の増殖抑制効果を示した。
    E. coliK. pneumoniaeの接触実験では両剤の増殖抑制パターンに差異が認められた。すなわち, CEXの場合, 初回接触後生菌数は著しく減少したものの, CEX濃度の谷間にあたる時期にregrowthが認められ, 以後6時間ごとの繰返し接触にもかかわらず生菌数は漸増し, 24時間後には初菌量を上回るレベルまで増加した。これに対しCCLの場合には, 初回接種後生菌数は著減し, つづいてCCL濃度が0μg/mlになるとregrowthが認められたものの, 第2回目の接触により再び生菌数の著減が認められ, 第2回接触開始2~3時間以後残存生菌は認められなかった。E. coliK. pneumoniaeに対するCCL, CEXのMIC値 (ABM3, 105cells/ml) はそれぞれ同値であり, かつCCLの接触間隔はCEXより長い間隔であることから, CCLの殺菌効果はMIC値から示唆される抗菌力よりもかなり強いことが明らかであった。
    以上の成績から, CCLは1回250mg1日3回 (8時間毎) の投与でCEX1回250mg1日4回 (6時間毎) 投与に優るとも劣らないことが基礎的に裏付けられたものと考える。
  • 神木 照雄, 山田 秀雄, 尾熊 隆嘉
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 158-174
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健常成人男子21名を対象に, cefaclor (CCL) の臨床第一相試験を行ない, ヒトでの安全性と吸収・排泄動態を検討した。単回投与群14名ではCCL250mg, 500mgおよび対照のcephalexin (CEX) 250mgを空腹時あるいは食後30分に投与し, 連続投与群7名ではCCL1回500mgを6時間間隔で1週間, 合計29回反復投与した。試験期間中, 自他覚的所見の精査, 各種臨床検査を実施し, CCLの身体諸機能に及ぼす影響を検討したが, 連続投与群で3名が軽度一過性の胃腸症状を訴え服薬継続中に消失したほかには, 異常は認められなかった。
    CCLを空腹時単回投与した際の平均的血漿中濃度推移は, 投与45分後にピークに到り, ピーク濃度は250mg投与で7.42μg/ml, 500mg投与で13.04μg/mlを示し, 投与量にほぼ比例したdose response傾向が明瞭であった。以後生物学的半減期約30分をもって漸減し, 6時間後には定量限界 (0.2μg/ml) 以下となった。対照剤CEX 250mg投与時と比較すると, CCLはCEXに比し血漿中ピーク値はやや低く, 半減期もやや短い傾向であったがその差は小さかった。CCLを食後30分に単回投与した際の平均血漿中濃度は投与2時間後にピーク濃度を示し, 250mg投与で3.22μg/ml, 500mg投与で5.33μg/mlであり, 空腹時に比しピーク時間の遅れとピーク濃度の低下が明らかであったが, AUC (Area Under the Curve) 値は空腹時と等しく, 吸収・排泄の総量は食事に影響されなかった。また, CCLの尿中排泄は空腹時投与では速やかであり, 食後投与では排泄が遅れて開始される傾向が認あられたが, 投与後8時間までの累積尿中回収率ではその差は縮少し, いずれの場合にも投与量の約70%程度が回収された。連続投与群で初回, 9回目, 17回目, 29回目投与時に血漿中濃度および尿中排泄を測定した結果, 各回とも単回投与の繰りかえしと見なされ, CCL29/日, 7日間投与では体内の蓄積傾向は認められなかった。
  • 斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 上村 裕樹, 小田柿 栄之輔, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 木下 与四男
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 175-191
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口cephalosporin製剤Cefaclorについて体内動態と臨床効果について検討した。体内動態は, 250mg 2回投与時の血中濃度と尿中排泄について, 空腹時と食後-light mealとheavy meal-の3群について, 6名の健康成人男子volunteerでcross overにより行なった。血中濃度のピークは, 空腹時で各1/2時間後9.0, 9.3μg/mlであり, light mealで11/2, 3時間後に4.2, 4.2μg/mlで, heavy mealで2, 3時間後に2.4, 2.4μg/mlであった。AUCは, 3群で有意差はなかった。尿中排泄は10時間までで, それぞれ82.9, 81.0, 78.1%であった。52例の内科的感染症に本剤1日750mg投与し, 臨床効果をみた。著効11例, 有効27例, やや有効5例, 無効9例で, 有効率73.1%であった。S. aureus, S. pneumoniae, E. coli, Haemophilusなどによい効果を示した。副作用は軽度の胃腸障害が2例に認められた。
  • 長濱 文雄, 安田 真也, 中林 武仁, 小六 哲司, 斎藤 孝久
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 192-199
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    種々の基礎疾患を有する13症例の気道感染症 (慢性気管支炎8, 気管支拡張症3, 気管支肺炎1, 急性気管支炎1) にCefaclorを1回250mg, 1日毎食前3回又は就寝前を加えた4回, 7~14日間の使用で有効11例 (有効率84.6%), 喀痰中の優位の細菌はH. influenzae, E. coli, Enterobacter, S. pneumoniae, S. hemolyticus等を12例に認めたが, このうち10例 (83.3%) に陰性化がみられた。
    尿路感染症は6例の急性腎盂炎, 1例の急性膀胱炎で, 全例に検尿上E. coliを証明したが, Cefaclor1回250mgを1日3~4回, 3~14日間服用し全例が菌陰性化して有効であった。有熱者の解熱までの日数は3日以内4例, 5日以内1例であった。副作用として慢性気管支炎の1例に軟・下痢便を認あたが, 服薬を中止するほどのことはなかった。また臨床検査所見上本剤服用による肝・腎機能障害は認められなかった。
  • 武田 元, 庭山 昌俊, 岩永 守登, 蒲沢 知子, 田中 容, 和田 光一, 木下 康民, 山作 房之輔, 鈴木 康稔, 川島 士郎
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 200-204
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン系抗生物質であるCefaclorの試験管内における各種細菌に対する抗菌力は, 現在市販されている経口用セファロスポリン系抗生物質よりも優れているか, または同等であり, その臨床効果が期待された。
    尿路感染症11例 (急性膀胱炎7例, 急性腎孟腎炎3例, 慢性腎孟腎炎1例), 気道感染症5例 (急性咽頭炎1例, 急性気管支炎4例) にCefaclorを使用し, 有効14例, やや有効1例, 無効1例の成績を得, 期待通りの臨床効果をみた。副作用として, 16例中1例に発疹を認めたが, 抗ヒスタミン剤の併用にて本剤投与継続が可能であった。各種臨床検査成績に関してはCefaclorによると断定できる異常値は認めなかった。
  • 関根 理, 薄田 芳丸, 青木 信樹, 若林 伸人, 林 静一, 渡辺 京子
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 205-208
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新内服用Cephalosporin剤Cefaclorを呼吸器感染症15例, 尿路感染症5例計20例に使用し, 有効11例, やや有効3例, 無効4例, 判定不能2例の結果を得た。
    胃腸症状, アレルギー症状などの臨床的な副作用はみられなかった。検査成績では治験終了時に好酸球増多1例, 白血球減少傾向2例がみられたが, 肝・腎機能への影響をみたものはなかった。
    本薬剤はとくに呼吸器感染症においてCephalexinよりも, すぐれた効果が期待できるとの印象を得た。
  • 相馬 隆, 安達 正則, 河合 美枝子, 今高 國夫, 藤井 俊宥, 中野 昌人, 滝塚 久志, 岡山 謙一, 勝 正孝, 竹田 直彦, 能 ...
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 209-214
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用Cephalosporin剤Cefaclor (CCL) を呼吸器感染症10例 (急性扁桃炎3例, 急性気管支炎2例, 慢性気管支炎2例, 気管支肺炎3例), 尿路感染症11例 (急性膀胱炎4例, 急性腎孟腎炎4例, 慢性腎孟腎炎3例), 胆道感染症1例および急性腸炎6例の計28例に使用し, 以下の結果を得た。
    臨床効果は, 呼吸器感染症10例中全例有効, 尿路感染症11例中8例, 胆道感染症1例, 急性腸炎6例中5例有効であり有効率は85.7%と高い数値を示した。
    原因菌別効果ではE. coli 10例中8例, P. mirabilis2例中1例, Enterobacter1例に菌が消失し, その消失率は76.9%であった。
    また本症例を含む36例の臨床分離株のMICをCEXのそれと比較検討してみた。全体的に感受性菌種についてはCEXの2~8倍の抗菌活性を示した。
    副作用については1例に悪心を訴えたものがあったが, 軽度のため投薬を続行した。
    また1例にGOT, GPTの一過性の軽度上昇が認められた。
  • 上田 泰, 松本 文夫, 斉藤 篤, 嶋田 甚五郎, 大森 雅久, 柴 孝也, 山路 武久, 井原 裕宣, 北條 敏夫
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 215-223
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用Cephalosporin剤のCefaclorについて若干の臨床的検討をおこない, 以下の結論を得たので報告する。
    抗菌力: Eschertchin coliに対するCefaclorの最小発育阻止濃度は0.39~≧100μg/mlに分布し, そのpeakは0.78μg/mlで, 27株中25株 (92.6%) は3.13μg/mlまたはそれ以下で発育が阻止された。Klebsiella pneumoniae 50株に対する本剤の最小発育阻止濃度は0.39~≧100μg/ml, peakは0.78μg/mlであり, 50株中33株 (66%) は6.25μg/mlまたはそれ以下で発育が阻止された。以上よりCefaclorはCephalexin, Cephalothin, Cephaloridineなどよりすぐれた抗菌力を有するものと考える。
    血中濃度および尿中排泄: 健康成人にCefaclor 250mgおよび500mgを空腹時に1回服用させた際の血中濃度のpeakはいずれも内服45分後にあり, それぞれ8.19μg/ml 11.15μg/mlであった。また同量内服後6時間までの尿中回収率は, それぞれ69.7%, 70.6%であった。
    臨床成績: 呼吸器感染症3例, 尿路感染症14例の計17例にCefaclorを使用し, 有効13例 (有効率81%) 3例に無効の成績を得た。副作用としては17例中1例に発疹を経験したが, 他に重篤な副作用は認められなかった。
  • 国井 乙彦, 深谷 一太, 小松 喬, 眞下 啓明
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 224-236
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床材料分離E. coli, Klebsiella, P. mirabilisのCefaclor (CCL) に対する感受性を測定し, Cephalexin (CEX), Cefatrizine (CFT) と比較した。一般にCCLはCEXよりすぐれ, CFTと同等の抗菌力を有した。三者の間には交差耐性の存在をみとめた。
    健康成人に種々の量の食餌を摂取させ, 摂取後異なった時間にCCLを投与し, 血中濃度, 尿中排泄を比較検討した。摂食量を増し, 摂食後短時間で投与すると, 血中濃度のピーク値上昇がおくれ, かつ低値に止まった。尿中排泄にはあまり大きな相違はみられなかった。CCLとCFTをcross over法にて投与したところ, CCLの方が血中濃度のピーク値は高値を示し, 消失が速やかであった。
    高速液体クロマトグラフィーにより, 同一血清, 尿検体中の濃度を測定し, bioassayによる値と比較したところよい相関を示した。
    臨床的に上気道感染4例, 尿路感染4例の計8例に使用した。臨床的に有効6例, やや有効11例, 判定不能1例であった。副作用の発現, 検査値の異常化はみとめられなかった。
  • 富岡 一, 小林 芳夫, 小沢 幸雄, 山上 恵一
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 237-242
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用Cephalosporin系抗生剤であるCef包clorについて基礎的, 臨床的検討を行なった。CefaclorのStaphylococcus aurusに対する最小発育阻止濃度は接種菌液が24時間培養菌液の100倍希釈菌液を使用した場合54株中40株に対し0.78μg/ml~6.25μg/mlに分布していた。また, 29株のEscherichia coliおよび23株のKlebsiella pneumoniaeに対する100倍希釈菌液接種時の最小発育阻止濃度は, 培養菌液の原液接種時より低値で前者に対しては26株までが0.78μg/ml~6.25μg/ml, 後者では18株までが0.78μg/mlであった。比較対照薬剤として使用したCephalexinよりこれら3菌種のいずれに対しても優れた抗菌力を示した。
    扁桃炎患者6例, 急性膀胱炎患者6例, 急性腎孟腎炎患者7例に1日量0.25gから0.75gのCefaclorを5日間から14日間投与し, そのうち16例が有効であった。副作用としては無効例1例に食欲不振を認めたが, 他に特記すべき副作用は認めなかった。
  • 清水 喜八郎, 熊田 徹平
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 243-249
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (以下CCLと略す) について検討を行なった結果, 以下の成績がえられた。
    1) 抗菌力
    CCLのE. coli, Klebsiellaに対するMICはcephalexinに比して2~4倍すぐれていた。
    2) 吸収・排泄
    CCLの血中濃度, 尿中排泄を3例の健康人に250mg, 500mgを経口投与し測定した。250mg投与時の血中濃度は投与後0.5時間5.4μg/ml, 1時間で4.1μg/ml, 2時間で1.1μg/ml, 4時間で0.1μg/ml以下であった。尿中から6時間迄の回収率は約70%であった。
    3) 臨床成績
    尿路感染5例, 呼吸器感染2例に使用し6例に有効であった。副作用は認められなかった。
  • 中川 圭一, 渡辺 健太郎, 木原 令夫, 小山 優, 鈴木 達夫, 横沢 光博
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 250-258
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい内服用cephalosporin剤Cefaclorについて基礎的・臨床的検討を加えた。
    臨床分離のE. coli, Klebstella pmeumonine, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzaeに対する本剤の抗菌力をCEXのそれと比較検討した。原液接種でもE. coliを除く三種の菌では本剤はCEXよりもすぐれていた。接種菌量を100倍に希釈した場合には, 本剤の抗菌力は増強され, どの菌種についてもCEXよりもすぐれた感受性を示していた。
    本剤服用後の血中濃度と尿中回収率を6名の健康男子について, 食前および食後に本剤を250mg投与し比較検討した。6例の平均では食前投与の場合peak値は30分後にあり, peak値は5μg/mlと高く, 食後投与の場合のpeak値は2時間にありpeak値は2.2μg/mlと低く, 食事による影響が認められた。尿中回収率は6時間までに食前投与では78.7%, 食後投与では68%と, ともに良好であった。
    臨床治験例は呼吸器感染症17例, 尿路感染症2例の19例である。1日投与量は3例を除き750mgを原則としたが, 肺気腫および気管支拡張症の感染6例に対しては有効1例, やや有効2例, 無効3例と有効率は劣ったが, 肺炎1例, 急性気管支炎7例, 急性扁桃炎3例に対しては全例有効であり, また急性腎盂腎炎1例, 急性膀胱炎1例の尿路感染症2例に対しても有効であった。投与期間は肺炎, 慢性気道感染症以外は3~14日間であった。なお副作用としては臨床的にも, 検査所見においても全く認められなかった。
  • 島田 馨, 稲松 孝思, 佐藤 京子
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 259-263
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    CCL 250mg 内服時の血中濃度の変動を高齢者4例で検討した。血中濃度曲線は個人差が目立ち, ピーク値は8.0~20.0μg/mlで (平均14.75μg/ml) 3例は90分以内にピーク値に達したが, 1例は4時間後に漸くピーク値に到達した。なお血中濃度は6時間後でも全例測定可能 (0.36~2.4μg/ml) であった。2例で6時間までの尿中回収率を測定したところ, 28.7%, 53.6%と低値を示した。
    高齢者の気道感染3例, 尿路感染5例にCCL1日750~1,000mgを内服させ, 気管支炎2例と腎盂腎炎1例が著効, 慢性膀胱炎は3例有効, 1例やや有効, 気管支肺炎の1例は無効であった。有意の副作用は認められなかった。
  • 河野 通律, 美田 誠二, 小花 光夫, 入交 照一郎, 東 冬彦, 藤森 一平
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 264-270
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) を以下の感染症に投与し, 下記の結果を得た。
    急性気管支炎10例中9例, 慢性気管支炎2例中2例, 急性腎盂腎炎19例中16例に有効。
    慢性膀胱炎, 胆のう炎, 全身性膿瘍各1例には無効であった。計34例中27例有効で, 有効率79.4%であった。
    起炎菌別効果は, E. coli 11例中8例, K. pneumoniae 3例中2例, Micrococcus 3例中3例, H. influenzae 2例中2例, P. mirrzbilis, D. pneumaniae各1例に有効であった。
    副作用としては, 消化器症状, 発疹などは認あなかったが, 臨床検査値の本剤投与前後の変動を見ると2例に本剤によるものと思われる肝機能検査異常を認めた。その他末梢血液像および腎機能検査値の異常は認められなかった。
  • 三木 文雄, 久保 研二, 河野 雅和, 高松 健次
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 271-281
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セファロスポリン系抗生物質, Cefaclor (CCL) について検討を行ない, 以下の成績を得た。
    1) 臨床分離S. aureus, E. colir, Klebsiellrz, P. mirabilis, P. vulgarisのCCLに対する感受性のピークは, 高接種菌量においてはそれぞれ3.12, 25, 1.56, 1.56,100μg/ml以上に, 低接種菌量においてはそれぞれ1.56, 3.12~6.25, 0.78, 1.56,100μg/ml以上に存在する。P. vulgaris以外のこれらの菌に対するCCLの抗菌力はCephalexinの抗菌力の2~8倍強力である。
    2) 健康成人にCCL 500mgを経口投与した場合の血清中濃度は投与後30~60分に最高値を示し, 4.6~13.6μg/mlに達するが, 以後比較的急速に低下し, 投与4時間後には検出不能例が多い。6時間内の尿中回収率は68.8~95.4%である。
    3) 気道感染症7例, 尿路感染症7例, 計14例にCCL 1日1.5~3.0gを経口投与し, 著効2例, 有効8例, やや有効1例, 無効3例の成績を得た。1例に発熱, 発疹が出現した以外, 副作用は認められなかった。
    4) CCL投与に伴う発熱の改善傾向より, 本剤に解熱作用の存在が示唆された。
  • 大久保 滉, 岡本 緩子, 呉 京修, 右馬 文彦, 上田 良弘, 前原 敬悟, 牧野 純子
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 282-291
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    米国Eli Lilly社で開発された新しい経口Cephalosporin剤であるCefaclor (構造上従来のものと異なり3位に直接Clが結合しているという特徴がある一以下CCL) について基礎的, 臨床的に検討した。
    臨床より分離した菌につきCCLのMICを測定し, 従来の内服Cephalosporin剤であるCephalexin (CEX) のそれと比較した結果, Staphylococcus aureus 33株のMICは20株が3.1μg/mlにあり, 11株はそれ以下にあった。E. coliのMICは44株中, 大部分が3.1~12.5μg/ml, Klebstellaは3.1~6.2μg/mlにあってCEXより1段階すぐれていた。ただし菌液を100倍希釈すると, これらMICはCEXより3~4段階すぐれていた。Protens mirabllisにおいては菌量の影響はほとんどみとめられず, 原菌液でCEXより3段階すぐれたMICを示した。他のProteus属およびPseudomonasにおいてはCEXとほぼ同様な高度耐性であった。
    一方, 呼吸器感染症19例, 尿路感染症4例および急性大腸炎1例の計24例にCCLを1日0.75~1.5g経口投与した。気管支喘息あるいはSLEに合併した肺膿瘍では14~17日間投与したが, 他は3~14日間使用した。ただし消化器症状の現われた1例は1日で, またPAPと判明した2例は2日で中止した。効果判定の対象となった21例中, 20例が有効, 1例がやや有効であった。なお, 行ない得た範囲では血液生化学的検査に異常をみとめなかった。
  • 副島 林造, 松島 敏春, 田野 吉彦, 小林 武彦, 二木 芳人, 繁治 健一
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 292-299
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefaclor (CCL) の患者分離株に対する試験管内抗菌力は, E. coliの場合, Cephalexin (CEX) とほぼ同様であったが, Staphylococcus aureusでは50株中45株, Klebsiella pneumoniaeでは50株中31株が, 6.25μg/ml以下の濃度で発育阻止が認められ, Proteus mirabilis43株では24株が12.5μg/ml以下のM工Cを示しており, CEXに比し1~2段階すぐれた抗菌力を示した。しかし, Proteus vulgaris, Serratia marcescens, Pseudomenas aeraginosaに対するMICは100μg/ml以上であった。
    CCL食後投与時の血清中濃度は, 250mg内服の場合, 1時間平均値0.8μg/ml, 2時間値2.5μg/ml, 4時間値2.2μg/mlであり, 500mg内服の場合, それぞれ2.2μg/ml, 3.4μg/ml, 1.8μg/mlであった。6時間までの尿中排泄率はともにほぼ60%であった。
    呼吸器感染症患者10例に1日750mg~1,000mg使用した結果, 有効5例, やや有効3例, 無効2例であり, 副作用および検査値の異常を示したものは1例もなかった。
  • 香西 勝人, 滝下 佳寛, 螺良 英郎
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 300-303
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新半合成経口用cephalosporin系抗生物質であるCefaclorを内科領域感染症に用い, 若干の知見を得た。
    対象は, 呼吸器感染症9例 (急性気管支炎6例, 慢性気管支炎2例, 上気道炎1例), 尿路感染症7例 (急性膀胱炎3例, 慢性膀胱炎2例, 急性腎盂腎炎2例) の計16症例であり, 臨床効果は著効2例, 有効7例, やや有効3例, 無効3例, 不明1例で, 有効率は80.0%であった。なお, 全例ともCefaclor1回250mg1日3回毎食後経口投与した。
    分離菌の消長を観察し得た10例について細菌学的効果を検討すると, 菌陰性化2例, 減少5例, 不変3例であり, 有効率は70%であった。
    副作用については, 1例に本剤に対する薬剤アレルギーがみられた。
  • 沢江 義郎, 柳瀬 敏幸
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 304-312
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用Cephalosporin系薬剤であるCefaclorについて, 九大第一内科入院患者からの臨床分離菌のMICを測定し, Cephalexinの抗菌力と比較した。S.aureusおよびS.pyogenesなどのグラム陽性球菌およびE.coliK.pneumoniaeなどにはすぐれた抗菌力があり, Enterobacter, Proteus属の中にも感受性菌が認められた。しかし, S. faecalis, Serratia, P. aeraginosaなどには抗菌力が認められなかった。また, 接種菌量によるCCLの抗菌力の差が著しく, 108cells/mlのときに108cells/mlの4~32倍に増強する。106cells/mlのときCEXの抗菌力との差が明瞭となり, グラム陽性球菌では2倍, グラム陰性桿菌では4~8倍であった。30μg含有ディスクによる薬剤感受性成績は106cells/mlのMICの成績に近いが, 3濃度ディスク法によるCEXの成績との比較ではCCLが劣っていた。
    肺炎2例, 慢性気管支炎1例, 扁桃炎5例, 頸部リンパ節炎1例, 麦粒腫1例, 急性膀胱炎1例, 慢性腎盂腎炎3例の計14例にCCLを1日0.75~1.59, 2~24日間使用し, 有効9例, やや有効2例, 無効2例, 判定不能1例であり, 比較的良好な治療成績が得られた。起炎菌別ではS. aurens, E. coliなどによるものに有効であった。副作用としては胃痛を伴った下痢が1例, 頭痛が1例認められたほかになく, 臨床検査成績にも影響は何ら認められなかった。
  • 徳永 勝正, 浜田 和裕, 福田 安嗣, 志摩 清, 徳臣 晴比古
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 313-319
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口Cephalosporin系抗生剤Cefaclorに関し, 臨床効果について検討を行ない, 以下の成績を得た。
    1. 急性呼吸器感染症17例では, 著効3例, 有効10例, 無効4例であった。
    2. 慢性呼吸器感染症13例では, 有効3例, やや有効5例, 無効5例であった。
    3. 尿路感染症5例では, 著効2例, 有効1例, やや有効2例であった。
    4. 副作用は, 一過性の目まいを訴えた症例1例, アレルギー性皮疹1例, GOTGPTの上昇1例, 計3例に認められた。
  • 重野 芳輝他
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 320-333
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口用セファロスポリン系抗生剤Cefaclor (CCL) についての基礎的・臨床的検討を行ない次の結果を得た。
    1) 抗菌力: 最近の臨床材料から分離された661株および教室保存の標準株17株の計678株について, CCLとCephalexin (CEX) の最小発育阻止濃度を求め, 両者を比較した。CCLは全般にCEXと同等か1~3管強い抗菌力を示した。
    2) 健康成人男子における血中濃度および尿中排泄: 健康成人男子 (29才, 37才) 2例に本剤500mgを早朝空腹時に経口投与した場合の血中濃度の推移は, 1時間後にピーク値8.3μg/mlと12.8μg/mlを示した。又尿中排泄は1~2時間後に約75%, 4~6時間後に約90%が回収された。
    3) 慢性気道感染症における血中および喀痰内移行濃度: 腎機能に著変をみない膿性痰を喀出する気管支拡張症の2症例に本剤500mgを早朝空腹時経口投与した場合の血中濃度は, 投与後2時間目にピーク値1.0~2.3μg/mlを示した。また喀痰内移行濃度は1例は投与後0~1時間目に0.13μg/ml, 他の1例は4~5時間後に0.17μg/mlのピーク値を示した。
    4) 臨床応用: 呼吸器感染症21例, 尿路感染症6例の計27例に本剤を1日750~1,500mg (総投与量3, 75~219) 投与した場合の臨床効果は, 著効11例, 有効9例, やや有効4例, 無効2例, 判定不能1例で有効率は76.9%であった。本剤投与中, 臨床症状や検査値からみて, 副作用は特別認められなかった。
  • 松本 慶蔵, 井手 政利, 吉本 博易, 野口 行雄, 渡辺 貴和雄
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 334-343
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclorに関する基礎的, 臨床的検討を行ない以下の結果を得た。
    1) H.influenzaeに対するMICのピークは6.25μg/mlにあり, CEXに比べ2倍優れた抗菌力が認められた。K.pnenmoniaeに対するMICのピークは0.78μg/mlにあり, CEXより4~8倍高い抗菌力を示した。
    2) GMとの併用により明確な試験管内相乗効果を認あた。
    3) 本剤500mg空腹時投与3例における血中ピーク濃度は15.7μg/ml, 14μg/ml, 74μg/mlであった。これに比べ食後投与例ではピーク到達時間の延長, ピーク値の低下の傾向が認められた。
    4) 呼吸器感染症, 急性膀胱炎, 胆のう炎, 糖尿病性壊疸の計30症例に本剤を投与した。呼吸器感染症では18例中8例が有効以上を示し, 急性膀胱炎では9例中7例が有効以上であった。急性胆のう炎の1例は著効を示し, 糖尿病性壊疸の1例2回投与は何れも無効であった。
    5) 1例でAl-Paseの上昇がみられたが一過性であり, 投与中止後正常に復した。
    6) 本剤は適切な投与量, 投与法を選択することにより従来の経口cephalosporin剤に比較し, いくつかの点ですぐれた薬剤であると結論される。
  • 青山 隆蔵, 永田 紀四郎, 泉 幸雄
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 344-347
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口用Cephalosporin系抗生物質であるCefaclor (CCL) を小児感染症18例に使用し, 有効率は77.8%であった。起炎菌別では, E. coli, P. mirabilis, S. aureusに特に有効であり, またEnterobacter cloacaeによる尿路感染症1例で有効であった。
    副作用としては, 1例でGOTおよびGPTの検査値異常が認められたのみであった。
    15才の慢性扁桃炎患児において, 扁摘前日よりCCL500mgを8時間毎に投与し, 扁桃内組織濃度を測定したところ, CCL投与後約2時間目の濃度は8.0μg/gと高値であった。
  • 沢井 稔, 中村 健, 篠崎 立彦, 木田 盈四部, 藤井 良知
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 348-354
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新合成Cephalosporin剤Cefaclorについて, 小児科領域における臨床的検討を行なった。
    259例に投与したが, 臨床経過を追跡できたのは221例で, その内訳は急性咽頭炎170例, 急忙化膿性扁桃炎9例, 急性気管支炎14例, 肺炎2例, 化膿性リンパ腺炎6例, 急性尿路感染症2例, 眼瞼膿瘍1例, および当初適応と考えられたがその後の診断確定により適応外として除外した麻疹, 突発性発疹などの疾患17例であった。投与量は1日25mg/kgを原則として, 1日4回に分け, 毎食前と就寝前服用とした。
    適応外疾患17例を除く204例のうち, 臨床的に有効経過をとったもの179例, 無効のもの10例, 判定不能のもの15例で, 有効率は94.7%であった。本剤使用前後に咽頭培養を行ない病原性細菌の消長をみたところ, 黄色ブドウ球菌の消失率は18/26 (69.2%), 肺炎球菌7/11 (63.6%), A群溶連菌4/4 (100%), インフルエンザ菌11/25 (44.0%) であった。尿路感染症の1例で血中濃度, 尿中濃度, 尿中細菌数を調べた。
    副作用は221例中下痢7例, 嘔吐が1例あり, GOT, GPT, BUNで異常値を示したものはなかった。
  • 秋田 博伸, 堀田 昌宏, 山下 直哉, 南里 清一郎, 砂川 慶介, 原 典良, 小島 好文, 小佐野 満, 市橋 保雄, 郡 健男, 岩 ...
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 355-361
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口cephalosporin C系薬剤cefaclor (以下CCL) の基礎的, 臨床的検討成績を報告する。
    1) 血中濃度: 心臓カテーテルおよび血管造影検査 (以下心カテ, アンギオ) を目的に入院した小児11例 (男児6例, 女児5例, 年令2~6才) にCCL25mg/kgを心カテ時, 感染予防の目的で経口投与した。血中濃度測定は原則として投与後30分, 1, 2, 4, 6時間目に行なった。心カテ・アンギオはCCL投与後2時間目頃に全麻下で実施された。その結果, 平均血中濃度は30分値16.5μg/mlとピークを示し, 1時間11.2μg/ml, 2時間2.27μg/ml, 6時間0.20μg/mlで半減期は20~50分であった。以上の結果をcephalexinと比較するとCCLは吸収が極めて良好で, 半減期もやや短縮傾向であった。
    2) 臨床検討: CCLを小児31例について, 投与しその結果を検討した。投与量は30mg/kg/day (分3) 食後投与を原則とし, 投与期間は4~14日であった。31例の内訳は上気道炎18例, 気管支炎, 気管支肺炎8例, 尿路感染症3例, その他2例であり, その有効率は31例中29例で93%であった。細菌学的効果では検出された16例について検討した。菌消失または減少の見られたのが14例 (88%) であった。
    3) 副作用: 1例にGOT, GPTの軽度上昇を認めた。
  • 堀 誠, 河野 三郎, 橋本 文久, 黒須 義宇, 豊永 義清
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 362-369
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    小児の感染症に, Cefaclor細粒を投与し, 以下の成績を得た。
    Cefaclorの血中濃度を検討するために, 3才11カ月から9才7カ月までの小児25例に対しCefaclor10mg/kgを19例 (空腹時投与3例, 食後投与16例), 20mg/kg (食後投与) を3例, 51mg/kg (食後投与) を3例に投与した。1回投与後の血中濃度の推移は, 10mg/kg食後投与群では, 30分値7.43μg/ml, 1時間値4.52μg/ml, 2時間値1.28μg/ml, 4時間値0.63μg/ml, 6時間値10.37μg/mlであり空腹時投与群が若干の高値を示した。食後に20mg/kgを投与した群では30分値13.2μg/ml, 1時間値11.2μg/ml, 2時間値4.9μg/ml, 4時間値0.42μg/mlであり, 5mg/kg投与群では30分値4.6μg/ml, 1時間値2.33μg/ml, 2時間値0.73μg/ml, 4時間値0.04μg/mlで明らかにDoseresponseが認められた。尿中排泄率は, 投与量には関係なく, 8時間までに70%台を示していた。
    臨床的には26例にCefaclorを使用しその結果を検討した。気管支肺炎3例, 急性気管支炎5例, 化膿性リンパ節炎1例, 腺窩性扁桃腺炎13例, カタル性扁桃腺炎2例, 急性尿路感染症2例に使用し, その有効率は26例中24例92.3%であった。26例中菌が分離されたものは21例であり, これらのうち細菌学的に菌の消失または減少を認めたものは15例, 71。4%であった。
    副作用については, 全例において認めず, 検査値の異常も認めなかった。
  • 岩崎 章亘, 鈴木 博之, 中沢 進一, 成田 章, 平間 裕一, 新納 憲司, 佐藤 肇, 中沢 進, 入野 泰一, 近岡 秀次郎, 岡 ...
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 370-380
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用cephalosporin系抗生剤cefaclor (CCL) について基礎的・臨床的検討を行ない, 次の成績を得た。
    猩紅熱患児から分離されたA群β 溶連菌20株に対するCCL, CEXのMICは, 106/ml-白金耳接種条件では, CCLは0.05~0.78μg/ml, CEXでは0.1~3.12μg/mlに分布し, CCLはCEXより2~4倍感性であった。2例の学童に空腹時CCL200mg (約10mg/kg) を内服させた際の血中濃度は, 内服30分後に4.4~4.6μg/mlのピークを示したのち, 1時間後2, 8~3.4μg/ml, 2時間後1.85~2.1μg/mlと潮減し, 6時間後には測定限界以下となった。尿中には6時間までに投与量の66, 6~82%が排泄された.
    A群β 溶連菌感染を主体とする小児感染症33例 (急性扁桃炎6例, 腺窩性扁桃炎11例, 狸紅熱12例, その他4例) を対象に, 原則としてCCL20~30mg/kg/日を1日3~4回に分割して3~9日間内服させ, 全例に良好な臨床効果を認め, 起炎菌陽性例では起炎菌の消失が観察された。また, 全例に副作用を認めず, 6例で肝機能, 腎機能を検査したが異常は見られなかった。
    以上の一連の成績から, 軽症ないし中等症の小児感染症に対するCCLの投与法としては, CCL20~30mg/kg/日を1日3~4回に分割投与するのが適当であると思われた。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 中沢 秀夫, 友利 典子
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 381-389
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系経口剤Cefaclor (カプセル, シロップ用細粒) について小児科領域における臨床的使用を検討した。
    (1) 抗菌力: 患者病巣より分離した臨床分離株について, CCLとCEXの感受性を比較した。
    β-StreptococcusH. influenzaeに対する抗菌力はCCLがCEXよりすぐれていたが, Staphylococcus aureus, Salmonella B群菌では差がなかった。
    (2) 血中濃度・尿中排泄: 食後3時間目に投薬すれば1時間後にピークがみられ, 4時間後には極めて低値となる。尿中回収率は投与2時間後に50%を越え, 6時間後に60%を越える。
    (3) 32例の小児急性感染症に使用し, 著効18例, 有効11例, やや有効2例, 無効1例で, 有効率90.696であった。
    (4) 臨床的副作用はみられず, またCCL投与による臨床検査異常成績も認めなかった。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 二村 淳子, 宮津 光伸, 大須賀 民子
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 390-404
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) の小児科領域における吸排と臨床効果の検討をおこなった。
    10mglkgを朝食後30分に服用させた3例の血清濃度は, 平均30分4.1μg/ml, 1時間4.4μg/ml, 2時間0.9μg/ml, 4時間0.5μg/ml, 6時間0.3μg/mlであった。また, 6時間までの尿中回収率は, 平均37.1%であった。
    20mg/kgを服用させた2例の血清濃度は, 平均30分7, 2μg/ml, 1時間6.1μg/ml, 2時間4.0μg/ml, 4時間0.4μg/ml, 6時間0.1μg/mlで6時間までに平均30.9%が尿中に回収された。これらのことから, CCLは吸収, 排泄ともにすみやかで, 服用にあたってはdoseresponseがみられることがわかった。
    生後1カ月から14才にわたる52例の細菌感染症に本剤を投与した。投与量は1H25, 5~56.8mg/kgにわたり, 分3にして毎食後服用させた。投与日数は3~10日, 総投与量は1.2~9.89であった。
    急性咽頭炎4例は共に著効, 急性鼻咽頭炎2例は共に有効, 急性化膿性扁桃炎19例は9例著効, 10例有効, 急性気管支炎11例は5例著効, 4例有効12例やや有効, 急性肺炎および急性気管支肺炎11例は1例著効, 10例有効, 急性尿路感染症5例はすべて著効であった。著効, 有効を含めた全症例の有効率は96.2%であった。
    投与前後の分離菌の消長をみると, S. pneumoniae, S. Pyogenes, S. aurens, S. epidermidis, H. parahaemolyticus, E. coli, P. mirabilisでよく除菌され, H. influenzaeでは若干悪いようであった。
    臨床検査値とも含めた副作用は, 年令の小さい乳児3例に下痢がみられた以外みとめなかった。
  • 近藤 圭造, 久野 邦義, 小出 照子, 山口 英明, 西川 和夫, 小川 昭正
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 405-412
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 小児の細菌感染症31例にセファクロール (CCL) シロップ用細粒を投与した。著効56.7%, 有効30.0%でその有効率は86.7%であった。
    2. 臨床分離株についての抗菌力測定を行ない, CEXに比し, CCLはK. pneumontaeH. influenzae, E. coli, S. aureus, Group A β-Streptoeoccus, S. pneumoniaeにおいて優れた抗菌力を示した。
    3. 本剤の吸収は良好で20mg/kg 1回投与での血中濃度は1時間後で平均値で18.5μg/mlで4時間後にはほとんどゼロに近い。本剤の尿中排泄は, 投与後6時間までの平均回収率で86.4%であった。
    4. 副作用調査ではGOTの一過性上昇の1例を認めたのみである。
  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 小谷 泰
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 413-422
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclorについて基礎的並びに臨床的検討を行い次の結果を得た。
    1) Staphylococcusの感受性分布は108/ml菌液接種の場合, 0.78~6.25μg/mlの間にあり, 感受性ピークは3.13μg/mlであった。106/ml菌液接種では, その分布は0.39~3.13μg/mlで, 感受性ピークは1.56μg/mlであった。E. coliでは108/ml菌液接種の場合, 感受性は25~100μg/ml乃至それ以上に分布し, 感受性ピークは25μg/mlであった。一方106/ml菌液接種では0.78~100μg/ml乃至それ以上の分布となり, 2管程度感受性はよくなっている。またKlebsiella Pmeumoniaeでは108/ml菌液接種で3.13~100μg/ml乃至それ以上, 106/ml菌液接種では0.78~12.5μg/mlとなり, その感受性ピークも1.56μg/mlで2管程度, 108/ml菌液接種時に比しよくなっている。
    2) 吸収, 排泄はCefaclor体重kg当り10mgを早朝空腹時に投与し, 5例について検討した。血中濃度ピークは投与後30分にあり細粒投与群で平均10.9μg/ml, 1時間後3.9μg/ml, 2時間後1.4μg/mlであった。なおカプセル投与群では30分後平均6.95μg/ml, 1時間後5.3μg/ml, 2時間後2.3μg/mlを示し, カプセル投与時のピーク濃度は細粒に比しやや低い。しかしともに4時間後には血中に殆ど証明されない。
    3) 臨床検討は扁桃炎16例, 尿路感染症9例, 狸紅熱及び気管支炎夫々1例で計27例に行い, 1日体重kg当り20~60mgの投与で, 全例有効であった。なお副作用としては27例中発疹, GOT上昇を夫々1例に認めた。
    4) Cefaclorの殺菌効果をCephalexinと比較するため両剤を人白血球のE. coli, K. pneumoniae食食殺菌系に添加して検討し, Cefaclorによる菌への影響は人白血球の貧食殺菌作用にも現れ, 最終的にはCephalexinに比べより殺菌効果のつよく現れることを明らかにした。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 423-438
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口cephalosporini剤Cefaclorに関して基礎的, 臨床的検討を行ない, 以下の結論を得た。
    1) 臨床分離のStaphylococcus aureus 14株, Escherichia coli 9株, K lebsiella pneummoniae biovar. oxytoca 42株, Klebsiella pneumoniae, Salmonella typhi各3株, Salmonella B群, Proteus mirabilis, Proteus morganii各1株, Enterobacter 5株, Pseudomonas aeruginosa 8株について, 本剤の最小発育阻止濃度をCephalexinと比較した。
    Staphylococcus aureus, Escherichia coliでは, 108/ml接種においては本剤の方が高い最小発育阻止濃度を示す菌株が多かったが, 106/mlでは前者はほぼ同等, 後者では本剤の抗菌力の方がすぐれていた。108/mlでCephalexinよりも本剤に低感受性を示した菌株はいずれもAmpicillin耐性株であった。Klebsiella pneumoniae biovar. oxytocaにおいても同様な傾向がみられた。
    Klebsiella pneumoniae, Salmonella, Proteus mirabillisでは, 本剤はCephalexinよりも明らかにすぐれていた。Proteus morganii, Enterobacter, Pseudomonas aeruginosaに対しては, 両剤ともほとんど抗菌力を示さなかった。
    2) 本剤とCephalexinのdry syrupの吸収について, 家兎を用いてcross over testを行なった。100mg/kg 1回経口投与後のピーク血中濃度は, 本剤はCephalexinに比べてやや低いが, ピークに達する時間は早く, 血中濃度半減時間が長く, area under curveも大きい傾向が認められた。
    3例の小児に約10mg/kgを1回, 空腹時に経口投与した場合の血中濃度のピークは30分にあり, 7.6~10.6 (平均9.6) μg/mlで, 2時間では測定下限以下となった。6時間までの尿中回収率は37.8~82.0 (平均62.5)%であった。29.9mg/kgを投与した1例では, 血中濃度のピークは1時間で26.0μg/ml, 2時間11.6μg/ml, 4時間では検出不能, 6時間までの尿中回収率は36.3%であった。
    3) 小児急性細菌感染症28例 (扁桃炎18例, 中耳炎2例, 副鼻腔炎1例, 頸部リンパ節炎1例, 腎盂腎炎6例) に本剤1日26.1~51.2mg/kgを3~4回に分割, 経口投与した。投与日数は3~10日であった。副鼻腔炎例に無効であった以外は著効 (17例) または有効 (10例) で, 有効率は96.4%であった。
    症状としての副作用は認められず, GOT, GPTの一過性上昇を3例に認めただけであった。
    4) 本剤の味と匂いは小児に十分受入れられるものと考えられた。
    5) 以上の成績から, 本剤は小児科領域において有用な新抗生剤で, 1回10mg/kg1日3~4回の投与によって効果が期待できると考えられた。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 西山 亨, 中島 哲也, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 439-452
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) の小児における血中濃度, 尿中回収率を測定し, 起炎菌として重要なEscherichia coli (E. coli) とStaphylococcus aureus (S. aureus) についてCEXとの感受性比較をおこない, 尿路感染症32例およびその他の感染症13例, 計45症例に本剤のシロップ用細粒を投与し, その臨床効果, 細菌学的効果および副作用を検討した。
    血中濃度および尿中回収率は, 8才男児の2例に食後1時間目に10mg/kg, 全量200mgを1回経口投与したところ, 1例は服用後30分, 他例は1時間後に各々6.3, 4.3μg/mlと最高濃度に達し, 4時間でも各々2.9, 2.6μg/mlを示し, 尿中回収率は平均60%であった。
    本剤とCEXにたいするS. aureusE. coliの感受性はS. aureusでは, 接種菌量108/mlで差はなかったが, 106/mlでCCLは1.56~3.13μg/mlに80%, CEXでは3.13~6.25μg/mlに90%が分布し, CCLがよい抗菌力を示し, E. coliでは, 接種菌量108/mlで, CCLはMIC3.13~6.25, CEXでは12.5μg/mlに各々56%, 接種菌量106/mlでCCLは, MIC1.56~3.13μg/ml, CEXでは6.25~12.5μg/mlに各々75.85%が分布し, 両接種菌量ともにCCLがよい抗菌力を有した。
    1日平均36mg/kg, 平均15日間の投与での尿路感染症の臨床効果は有効率93%, 細菌学的効果は96%, 1日平均57mg/kg, 平均10日間の投与によるその他の感染症にたいする臨床効果は全例有効であったが, 起炎菌は全例不明で細菌学的効果は不明であった。
    副作用としては胃腸障害および発疹出現例はなかったが, 1例に末梢血白血球数が本剤投与前8,800から投与開始7日後に1,500に減少がみられ, 中止後7日目に9,900と正常に復した。肝・腎への影響としてGOT, GPT, A1-P, LDH, BUNおよびCreatinineの6項目について, 各々35, 35, 31, 26, 34, 33症例に測定したところ, LDHで1例投与前473W. U, から14日間投与終了後2日目に589W. U. への上昇がみられたが, その他の検査値は正常範囲の変動にとどまり, 小児の尿路感染症をはじめ比較的軽症の上気道感染症や軟部組織感染症に対し本剤は有用な薬剤といえる。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 戸次 英一, 平沢 貞子, 阿部 弘
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 453-460
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCLと略す) は今回新たに開発されたCephalosporin系の内服剤であるが, これを皮膚軟部組織感染症16例, 穿孔性腹膜炎10例, 急性乳腺炎10例, 計36例に使用して, 著効17例, 有効16例, やや有効3例, 無効0例の成績を得た。有効以上91.7%。
    授乳中の急性乳腺炎患者10例のうち, 2例に切開を加えたが, 3例は膿汁穿刺, 他は冷湿布を併用して治癒せしめ得た。また, この際2例にCCLの乳汁及び膿汁内の濃度を測定したが, 正常人乳汁に比して, 乳腺炎患者の乳汁及び膿汁中にはCCLの高濃度移行を認め, これはCCLの乳腺炎に対する有効性を示唆するものと考える。
    原則として空腹時投与を行なったが, 胃腸障害を訴えた例はなかった。1例に1日量750mg, 1週間の投与後, GOT, GPT値の中等度上昇を認めたが, 正常値に復帰後, 再度1日量1,500mg, 2週間の投与を試みて, GOT, GPT値の上昇を認めなかったのでこれは本剤による副作用ではないと考える。
  • 中山 一誠, 岩井 重富, 村田 郁夫, 坂部 孝, 石山 俊次
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 461-474
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セファロスポリン系抗生物質Cefaclorについて基礎的臨床的検討をおこなった。
    抗菌スペクトルはCEXとCFTの中間に位置し類似の抗菌スペクトルを示した。
    病巣由来株の感受性は黄色ブ菌ではCEX, CEDより1~2段階優れ, CFTよりは1段階劣る。大腸菌ではCFTと同等, CEX, CED, CET, CEPより多少優れている。肺炎桿菌, インドール陰性変形菌に対しては現在臨床使用可能のセファロスポリン系薬剤のうち最も優れた感受性を示した。
    血中および尿中濃度について500mg早朝空腹時投与の成績では, 投与後30分で血清中濃度はピークとなり平均9.05μg/mlを示した。尿中濃度は1時間でピークとなり平均3,790μg/ml, 6時間迄の平均尿中回収率は72.8%であった。
    Phatmacekineticsに関しcomputerにて解析した。Ka (hr-1) は4.36, Kel (hr-1) は0.709, Vd (L) は39.04, T1/2は58.66分, t-max (hr) は0.5, C-max (μg/ml) は9.00の値を得た。
    TLCを用いた生体内代謝の実験では, 本物質以外に抗菌活性のある代謝物を認めた。
    臓器内濃度に関しては20mg/kg SD系ラットに投与した結果, 腎, 血清, 脾, 肺, 心, 肝, 筋肉の順であり脳には移行しない。
    外科系感染症33例に本剤を使用し30例有効 (有効率90.9%), 3例無効であった。副作用は1例に本剤投与終了後に発疹を認あたが, 本剤との因果関係は不明である。
  • 山田 好則, 石引 久弥, 相川 直樹
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 475-481
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用cephalosporin剤であるCefaclorを外科的感染症の29例および開腹術後感染予防の2例に投与した。
    投与量は1日750mgまたは1.5g (分3) で, 外科的感染症における本剤の有効率は75.9%であった。最大投与量は19.5g, 最高投与日数は13日であり, 1例に副作用として一過性のGOT, GPT上昇を認めたのみであった。
  • 加藤 繁次, 田中 豊治, 納賀 克彦, 三浦 誠司, 島津 弘
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 482-486
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) を表在性軟部組織感染症18例, 総胆管結石術後胆管炎2例の計20例に使用し, その臨床効果について検討した。
    表在性軟部組織感染症では18例中16例88.9%という高い有効率を示したが, 総胆管結石術後胆管炎2例はいずれも無効で, 総計20例での有効率は80%であった。
    細菌学的には, 表在性軟部組織感染症18例中S. aureus 4例, S. epidermidis 1例, EnterobacterK. pneumoniaeとの混合感染症1例の計6例に菌が検出されたが, S. aureus 1例とEnterobacterK. pneumoniaeとの混合感染例は菌存続し他の4例はすべて菌消失をみた。総胆管結石術後胆管炎2例の分離菌はいずれもK. pneumoniaeであったが, 菌消失は認められなかった。
    副作用は2例に食欲不振の消化器症状を認めたが投与中止により副作用症状は直ちに消失した。
  • 山田 良成, 斉藤 敏明
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 487-494
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) の基礎的, 臨床的な検討を行ない以下の結果を得た。
    抗菌力は最近の臨床分離菌S. aureus 20株, E. coli 20株について検討した。S. aureus, E. coliのいずれも108cells/ml, 106cells/ml接種菌量においてCCLがCEXの1~2管優る結果を得た。
    臨床的には外科的疾患の皮膚表在性感染症16例, 肛囲膿瘍5例, 胆のう炎兼胆石症2例の計23例に使用し, 著効2例, 有効14例, やや有効3例, 無効3例, 評価対象外1例で有効以上16例 (72.7%) であった。臨床検査値に及ぼす影響を検討したが, 投薬開始前にすでに高値を示していた症例の1例にGOT, の上昇が見られた以外には, 異常は認められなかった。また, 1例に嘔気を強く訴えたので投薬を中止した。
  • 柴田 清人, 由良 二郎, 品川 長夫, 土井 孝司, 石川 周, 高岡 哲郎, 花井 拓美, 松垣 啓二
    1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 495-502
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用Cephalosporin剤であるCefaclor (以下CCL) について外科領域における基礎的, 臨床的検討を行ない次の結論を得た。
    抗菌力に関してはS. aureus, S. epidermidis, E. coli, Klebsiellaに対してCephalexin (CEX) より同等またはやや優れていた。経口投与による吸収は早く, 空腹時CCL 500mg投与の場合血中濃度のピークは1時間後にあり, 平均10.15μg/mlと良好であった。外科的感染症22例に本剤を使用した結果, 著効5例, 有効13例, 無効4例で有効率81.8%と優れた成績であり, 副作用は特に認めなかった。
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