慢性呼吸器感染症に対するcefoxitinの有効性, 安全性などを評価検討する目的で, cefazolinを対照としたwell controlled comparative studyを実施した。薬剤投与量および投与法は, cefoxitiaでは1日6g3分割, cefazolinでは1日4g2分割のいずれもone shot静注または点滴静注とし, 投与期間は14日間とした。
1. 検討症例: 投与総症例は95例 (cefoxitin投与群47例, cefazolin投与群48例) で, このうち幹事会における臨床効果, 細菌学的効果および有用性判定には89例 (cefoxitin投与群44例, cefazolin投与群45例) が採用された。また, 副作用評価には投与総症例95例が採用された。なお, 両薬剤投与群の症例背景については, ほぼ等質であることが確認された。
2. 臨床効果: cefoxitin投与群では44例中著効16例, 有効20例, やや有効7例, 無効1例 (有効率82%), cefaxolin投与群では45例中著効9例, 有効20例, やや有効11例, 無効5例 (有効率64%) で, ceifoxitin投与群が著効例が多く, 有意に優れていた (P<0.05)。とくに, 疾患が肺感染症である症例, 2疾患以上の基礎疾患を有する症例, Gram陰性桿菌単独感染の症例などにおいてcefoxitinの優位性が確認された。
3. 臨床症状改善度: cefoxitin投与群は, 喀痰の性状 (投与7日目), 喀痰の色調 (投与3日目) および胸痛 (投与7日目) において, cefazolin投与群に比べ有意に優れた改善度を示した (P<0.05)。
4. 細菌学的効果: cefoxitin投与群では44例中菌消失24例, 菌減少14例, 菌不変5例, 菌交代1例 (抑制率86%), cefazolin投与群では45例中菌消失21例, 菌減少11例, 菌不変11例, 菌交代2例 (抑制率71%) で, cefoxitin投与群が高い抑制率を示したが, 有意の差は認められなかった。
5. 副作用: 臨床検査値異常変動を含む副作用は, cefexitin投与群47例中9例 (19%), cefazolin投与群48例中7例 (15%) にみられたが, 発現頻度に有意差は認められなかった。
6. 有用性: cefoxitin投与群では44例中極めて有用15例, かなり有用18例, やや有用9例, 有用と思われない2例 (有用率75%), cefazelin投与群では45例中極めて有用10例, かなり有用19例やや有用11例, 有用と思われない3例, 非常に好ましくない2例 (有用率64%) で, cefoxitin投与群が高い有用率を示したが, 有意の差は認められなかった。
以上の成績から, cefoxitinは慢性呼吸器感染症に対して有用な薬剤であることが結論された。
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