CHEMOTHERAPY
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29 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • Cefazolinを対照とする比較試験
    斎藤 玲他
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1097-1118
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸器感染症に対するcefoxitinの有効性, 安全性などを評価検討する目的で, cefazolinを対照としたwell controlled comparative studyを実施した。薬剤投与量および投与法は, cefoxitiaでは1日6g3分割, cefazolinでは1日4g2分割のいずれもone shot静注または点滴静注とし, 投与期間は14日間とした。
    1. 検討症例: 投与総症例は95例 (cefoxitin投与群47例, cefazolin投与群48例) で, このうち幹事会における臨床効果, 細菌学的効果および有用性判定には89例 (cefoxitin投与群44例, cefazolin投与群45例) が採用された。また, 副作用評価には投与総症例95例が採用された。なお, 両薬剤投与群の症例背景については, ほぼ等質であることが確認された。
    2. 臨床効果: cefoxitin投与群では44例中著効16例, 有効20例, やや有効7例, 無効1例 (有効率82%), cefaxolin投与群では45例中著効9例, 有効20例, やや有効11例, 無効5例 (有効率64%) で, ceifoxitin投与群が著効例が多く, 有意に優れていた (P<0.05)。とくに, 疾患が肺感染症である症例, 2疾患以上の基礎疾患を有する症例, Gram陰性桿菌単独感染の症例などにおいてcefoxitinの優位性が確認された。
    3. 臨床症状改善度: cefoxitin投与群は, 喀痰の性状 (投与7日目), 喀痰の色調 (投与3日目) および胸痛 (投与7日目) において, cefazolin投与群に比べ有意に優れた改善度を示した (P<0.05)。
    4. 細菌学的効果: cefoxitin投与群では44例中菌消失24例, 菌減少14例, 菌不変5例, 菌交代1例 (抑制率86%), cefazolin投与群では45例中菌消失21例, 菌減少11例, 菌不変11例, 菌交代2例 (抑制率71%) で, cefoxitin投与群が高い抑制率を示したが, 有意の差は認められなかった。
    5. 副作用: 臨床検査値異常変動を含む副作用は, cefexitin投与群47例中9例 (19%), cefazolin投与群48例中7例 (15%) にみられたが, 発現頻度に有意差は認められなかった。
    6. 有用性: cefoxitin投与群では44例中極めて有用15例, かなり有用18例, やや有用9例, 有用と思われない2例 (有用率75%), cefazelin投与群では45例中極めて有用10例, かなり有用19例やや有用11例, 有用と思われない3例, 非常に好ましくない2例 (有用率64%) で, cefoxitin投与群が高い有用率を示したが, 有意の差は認められなかった。
    以上の成績から, cefoxitinは慢性呼吸器感染症に対して有用な薬剤であることが結論された。
  • 新井 武利, 佐藤 利夫, 桑原 章吾
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1119-1126
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれはP.aeruginosaの褐色色素であるピオメラニンを抽出し, その抗生物質の抗菌活性に与える影響を放線菌メラニンおよび人毛髪メラニンと比較検討した。ピオメラニンはcarbenicillin (CBPC), gentamicin (GM) のP.aeruginosaに対する活性を低下させ, kanamycin (KM) の場合もやや抑制がみられた。chloramphenicol (CP), tetracycline (TC) には影響が認められず, colistin (CL) ではやや活性の促進がみられた。E.coliに対しては, CBPC, GM, CLの活性が高まり, KMの活性もやや高まった。CP, TCには影響が認められなかつた。S.aureusに対するCBPC, GM, KM, CP, TCの抗菌活性はピオメラニンによって促進された。
    放線菌メラニンはP.aeruginosaに対するCBPC, GM, KMの抗菌活性を低下させ, E.coli, S.aureusに対してはCBPCの活性を高めるが, GM, KMには影響が認められなかつた。
    人毛髪メラニンはP.aeruginesaに対するGMの抗菌作用を著しく低下させるが, CBPC, KMの抗菌活性にはあまり影響がみられなかつた。E.coli, S.aureusに対するCBPCの抗菌活性は人毛髪メラニンによって著しく抑制され, またGM, KMの抗菌活性も抑制された。
    ピナメラニンはS.auresusに対し弱い抗菌力を有する。
  • 渡辺 淳, 川島 庄平, 白井 泰生, 冨井 郁子, 粟津 緑, 高橋 英介, 武内 可尚
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1127-1133
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1979年4月から1980年7月までに, 下気道感染症で入院した315例のうちMpn.感染症と診断した例は68例 (21.6%) を数えた。この68例中。入院時に発熟を有した65例を, 1.LM静注群28例, 2.EM経口投与群24例, 3.他剤使用群13例, の3群にわけ, M.pn.感染症に対するLM静注の効果を検討すべく, いくつかの項目に関しretrospectiveに比較した。LM群は治療開始後解熱までに平均1.2日, 咳嗽軽減までに平均4.3日, 全身状態改善までに平均2.6日, CRP陰転化までに平均8.1日を要した。また治療開始後き6時間における解熱率は100%, 5日における咳嗽消失率は74%であった。従つて, M.pn.肺炎の治療にLMを用いることは極めて有用で, 次回のM.pn.の流行が予想される1983~1984年には, 同感染症入院例に対してLMの点滴静注を推奨したい。
  • 栗山 一夫
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1134-1142
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の無芽胞嫌気性菌 (嫌気性菌) 感染症に、対し, thiamphenicol (TP) 単独投与およびlysozyme (Lz) とTPの併用投与を行ない, それぞれの臨床的および細菌学的効鳥ならびに投薬前後における両群の宿主防御能の変動について検討した。
    その結果, 以下の成績が得られた。
    1) 検出嫌気性菌の83.0%に対してTPは1.56μg/ml以下のMIC分布を示し, in vitreにおける高い抗菌活性がみられた。
    2) 臨床的および細菌学的効果はTP単独投与群ではいずれも70%以下であつたのに対し, TP+Lz併用投与群では80%以上の効果がみられ, 併用投与の優位性が認められた。
    3) 投薬前後の宿主防御能の変動については, TP+Lz併用群で非特異的防御能関連因子に有意の改善的変動が認められた。しかし免疫グロブリンでは対象とした3菌種でのIgG, IgA, IgMの3クラスの変動が, TP単独群およびTP+Lz併用群ともに一定のバターンをとらず, 変動の有意性を意義づけることはできなかつた。
    したがって今回の検討から考えられることは, 抗微生物薬とLzとの併用効果の主役はLzの貪食・殺菌系に対する賦活作用ではないかと推測される。
  • 河田 幸道, 説田 修, 西浦 常雄
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1143-1148
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症の治療効果に影響する因子としては, 血中濃度よりも尿中濃度が重要であることが指摘されているが, 尿中の薬剤濃度は, 試験管内抗菌力測定の際のように濃度が一定に保たれることはなく, 時間とともに常に変化している。
    一方, 膀胱内の細菌は腎尿による希釈と排尿の影響により, その菌数は常に変動している。したがって膀胱内では, 濃度変化をともなつた薬剤と, 菌数変動をともなつた細菌とが接触していることになり, この状態は通常の薬剤感受性試験における試験管内での細菌と薬剤の接触とはかなり異なった条件にあるといえる。
    膀胱におけるこのような試験管内と生体内との条件の相違を小さくし, 少しでも生体に近い状態の試験管内実験を行う目的で開発されたO'GRADYらの膀胱モデルに, 若干の改良を加えたモデルを試作したので, その概要を紹介するとともに, 膀胱モデルを用いた予備的実験の成績について報告した。
    今後このモデルを用いて検討を行うことにより, 膀胱炎に対する適正な化学療法を行ううえで有用な指標が得られると思われる。
  • 試験管内抗菌活性
    岩田 和夫, 内田 勝久
    1981 年 29 巻 10 号 p. 1149-1153
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    イミダゾール系抗真菌剤として新しく開発されたIsoconazoleの抗真菌作用を基礎的に研究する一環として, まず本剤の試験管内抗菌活性を検討した。寒天平板希釈法により本剤はCandida, Cryptoceccusなどの酵母状真菌, Histoplasmaなどの二形性真菌, Trichophytonなどの皮膚糸状菌, Fonsecaea, Phialophoraなどの黒色糸状菌, Aspergillus, Penicilliumなどの子嚢菌類に対し, さらに細菌としてのNocardia属諸菌種に対しても強い発育阻止作用を有すること, すなわち広域抗菌スペクトルを示す強力な抗真菌剤であることを認め, また, 相当に強い殺菌作用のあることも明らかにした。Isocenazoleのこれらの病原真菌に対する最小発育阻止濃度と最小殺菌濃度を他のイミダゾール系抗真菌剤であるMiconazole, Cletrimazoleと比較するとき, ほぼ同等であり, 優るとも決して劣らないことを認めた。
  • 1981 年 29 巻 10 号 p. 1154-1185
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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