CHEMOTHERAPY
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29 巻, 3 号
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  • 三輪谷 俊夫
    1981 年 29 巻 3 号 p. 227-249
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    合成抗菌剤Pipemidic acid (PPA) の急性腸炎に対する治療効果ならびに細菌学的効果を客観的に評価する目的で, Piromidic acid (PA) を対照薬として二重盲検法による比較試験を実施した。両剤とも1回0.5gを1日3回, 3~6日間経口投与した。総症例119例中除外, 脱落を除いた107例について臨床的評価を, また糞便試料を採取し得た103例については細菌学的検討を併せ行なった。
    その結果, 統一判定における著効率はPPA群が51.9%, PA群が41.8%, 有効串はそれぞれ96.2%と90.9%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。また有用性物定, さらには便性状, 排便回数, 下熱, 腹痛に対する効果および副作用発現頻度に関しても, 丙群間に有意差は認められなかった。
    服薬前の糞便の細菌検査により病原菌として, 腸炎ビブリオ (PPA群2例, PA群4例), サルモネラ (1例, 2例) および毒素原性大腸菌 (5例, 3例) が検出された。サルモネラの2例 (1例, 1例) および脱落, 除外の毒素原性大腸菌の3例 (PPA群3例) を除けば, 両剤とも臨床的および細菌学的に有効であった。服薬前, 中, 後の糞便細菌叢の測定では, 服薬後いずれの群においても通性嫌気性グラム陰性菌の減少が見られたが, グラム陽性菌や嫌気性菌は殆んど変化しなかった。なお減少の程度はPPA群のほうが著明であった。分離菌のMIC測定ではPPAおよびPAに耐性の通性嫌気性グラム陰性菌は殆んど認められなかったが, Ampicillin, TetracyclineまたはChloramphenicolに耐性の菌はかなりの頻度で認められた。PPAまたはPAの膿用により抗生物質耐性大腸菌の検出頻度および菌数は低下したが, とりわけPPAの場合は著明で展用終了後においても検出頻度および菌数は低下したままであった。
    以上の結果から, PPAは急性腸炎に対し有用な薬剤であると考えられる。
  • 二重盲検法によるCophalex in との比較成績
    石神 襄次
    1981 年 29 巻 3 号 p. 250-266
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    米国Eil Lilly社で開発された新しい経口用cephaloaporin系抗生剤cefaclor (CCL) の急性単純性膀胱炎に対する有効性.安全性および有用性についてcephalexin (CBX) を対照薬として二重盲検法で比較検討し, 併せて再発についても検討した。
    CCLの1日投与量は750mg3分割投与とし, 対照薬のCEXは1日常用量の1,000mg4分割投与とした。
    総症例310例中・除外・脱落71例を除く239例が総合臨床効果判定可能例で, 性別, 年令, 発症時期.自覚症状, 膿尿の程度, 分離菌などの背景因子ならびに投薬前の臨床所見についてCCL投与群とCEX投与群の間に有意差は認められなかった。
    UTI薬効評価基準 (第2版) に準じて判定した総合臨床効果において, CCL群は116例中著効70例, 有効43例.無効3例, CEX群は123例中著効82例, 有効36例, 無効5例で有効性に関して両群間に有意差は認められず, いずれも95%以上の高い有効率を示した。
    副作用は両群ともに2例ずつ認められたが, いずれも胃腸障害だけで重篤なものはなく, また有用性, 再発の頻度においても両群間に有意差は認められなかった。
    以上のことから, 今回の検討においてCCLは1日750mg3分割投与でCEXの1日1,000mg4分割投与と同等の有効性, 安全性および有用性が認められ, 急性単純性膀胱炎に対して充分な臨床効果が期待できるものと考える。
  • 荒田 次郎他
    1981 年 29 巻 3 号 p. 267-279
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1) Cefaclor (以下, CCL) 1日750mg3分服とCephalexin (以下, CEX) 1日1g 4分服の臨床効果を二重盲検試験により比較検討した。対象疾患は, 癌, 癖, 瘍腫症, 毛包炎 (ニキビを除く), 蜂窩織炎, リンパ管炎に限った。
    2) 経過観察は, 原則として3日, 5日, 7日に行ない, 主治医による効果判定, 有用性判定と疼痛, 発赤, 浮腫範囲を点数化し, その推移による薬効評価判定麓準判定とを行なった。
    3) 臨床的検討の対象となった症例は148例 (CCL 75例, CEX 73例), 除外例はCCL 4例, CEX 5例, 脱落例CCL 6例, CEX 5例であった。臨床効果判定対象となったものはCCL 65例, CEX 63例, 副作用検討の対象となったものCCL 70例, CEX 69例であった。
    4) 主治医による総合判定: CCL著明改善35/65 (53.8%), 著明改善~改善54/65 (83.1%), CEX著明改善31/63 (49.2%), 著明改
    5) 有用性の比較も有意差がなかった。
    6) 薬効評価判定基準による総合判定: CCL著効38/65 (58.5%), 著効~有効55/65 (84.6%), CEX著効34/63 (54.0%), 著効-有効54/63 (85.7%) で, 両薬剤間に有意差がなかった。
    7) 自覚的副作用の比較: CCL 8/70 (11.4%), CEX 3/69 (4.3%) の出現率で, その内容はほとんど消化器症状であった。
    8) 全体として, CCL 250mg 1日3回内服とCEX 250mg 1日4回内服は, 急性皮膚感染症に対し, 同等の効果, 有用性をもつと判定された。
  • 平岡 仁司, 占部 武, 木阪 義意, 岸田 秀夫, 藤原 篤
    1981 年 29 巻 3 号 p. 280-288
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域において, 新しい注射用セファロスポリン系抗生剤Cefoperazone (CPZ) の基礎的ならびに臨床的検討を行ない, 次の成績を得た。
    1) CPZの血中濃度推移は1g筋注により1時間後にピークを示し以後漸減した。また, 尿中濃度推移は1~2時間後がピークとなり以後漸減し, 6時間までに投与量の約20%が排泄された。
    2) CPZの臍帯血と羊水への移行性については, 注射後分娩までの時間により異なるが, 胎盤通過性は3.3~31.4%, 羊水への移行率は2.0~3.1%であった。
    3) 臨床応用として, 子宮労結合織炎6例, 腎盂膀胱炎6例, 付属器炎2例, 子宮内感染症3例, 乳腺炎1例の計18例に使用し, 著効10例 (55.6%), 有効6例 (33.3%), 無効2例 (11.1%) で著効と有効を合わせると88.9%と高い有効率が認められ, とくに著効率が高かった。
    4) CPZ投与前後の臨床検査成績には著しい差はみられず, 投与後の異常所見も認められなかった。
    5) CPZによると考えられる副作用は1例も認められなかりた。
    以上の成績から, CPZは産婦人科領域の感染症に対する治療効果が極めて高く, かつ副作用は認められず, 安全に使用し得る薬剤であることが確認された。
  • 周産期および授乳期投与試験
    辻谷 典章, 大山 正和, 角谷 清剛, 大内 勝, 斎藤 太郎, 松本 朋徳
    1981 年 29 巻 3 号 p. 289-299
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Sodium colistin methanesulfonate (CLM) の安全性研究の一環として, 生殖に対する影響を検討する目的で, 周産期および授乳期投与試験をWistar系ラットを用いて, CLM 6.25mg, 12.5mgおよび25mg/kgをそれぞれ静脈内に投与して行ない, 以下の成績を得た。
    1. 妊娠母体の一般症状, 体重および摂餌量に対して影響は認められなかった。
    2. 分娩時および授乳期の観察において, 妊娠期間, 出産仔数, 生存仔数, 生存仔体重, 性比, 死産仔数, 着床痕数, 分娩率および哺育率に対して影響は認められず, 生存仔の外形異常も見られなかった。
    3. 新生仔の成長および発育・分化に対して影響は認められなかった。
    4. 新生仔の生後の行動および機能観察では, 行動および感覚反射機能, 自発運動乱神経・筋能力, 学習能力, 情緒性および生殖能力に対して, 影響は認められなかった。
    以上のことから, CLMを雌ラットの周産期および授乳期に投与した場合, 母動物ならびにその新生仔の生後の発育・分化および行動などに, ほとんど影響をおよぼさないことが確認された。なお, 本試験におけるCLMの最大無作用量は, 25mg/kgであると考えられる。
  • 器官形成期投与試験
    辻谷 典彦, 大内 勝, 斉藤 太郎, 松本 朋徳
    1981 年 29 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Sodium colistin methmesulfonate (CLM) の安全性研究の一環として, 生殖に対する影響を検討する目的で, ウサギにおける器官形成期投与試験を行なった。New Zealand whito-Sat. ウサギに, CLMの50mg, 63mg, 80mg/kgをそれぞれ静脈内投与し, 以下の成績を得た。
    1. 妊娠母体の一般症状, 体重および摂餌量に対して, CLMは影響をおよぼさなかった。
    2. 末期胎仔の観察において, 着床数, 生存胎仔数, 生存胎仔体重, 性比, 死亡胎仔数, 吸収胚数および胎盤重量に影響は認められなかった。
    3. CLM投与による胎仔の外形異常, 内臓異常および異常化骨の発現は認められなかった。また, 化骨遅延も認められなかった。
    以上のことから, ウサギにおけるCLMの墨官形成期投与において, 母体および胎仔に対して影響をおよぼすものでないことが示唆された。また, 本試験におけるCLMの最大無作用量は80mg/kgであると推定される。
  • 辻谷 典彦, 山崎 直則, 土屋 重俊, 大内 勝, 斉藤 太郎, 松本 朋徳, 佐藤 博
    1981 年 29 巻 3 号 p. 306-313
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Sodium colistin methanesulfonate (CLM) の安全性研究の一環として, CLMの視覚器におよぼす影響について検討を加えた。CLMを, 雄性Wistar系ラットに25mgおよび40mg/kg, 雄牲日本白色種ウサギと雄性beagle犬にそれぞれ80mg/kgを, 35日間日曜日を除く毎日静脈内に投与した。そして, 各動物の一般症状ならびに行動の観察, 体重推移の観察, ラットの網膜心電図 (ERG) の記録, ウサギおよびbeagle犬の眼底検査, ラットおよびウサギの眼球について病理組織学的検索を行ない, 以下の成績を得た。
    1. ラット, ウサギおよびbeagle犬のいずれの動物においても, CLM投与による中毒症状の発現ならびに死亡例は認められなかった。体重推移に対しても影響は認められず, 動物の一般行動および動作に異常は認められなかった。
    2. ラットのERGに対し, CLM投与の影響は認められなかった。
    3. CLM投与は, ラットおよびウサギの眼球に病理組織学的変化を与えなかった。
    4. ウサギおよびbeagie犬の眼底所見に, CLM投与による異常は認められなかった。
    以上のように, ラット, ウサギおよびbeagle犬において, CLM投与によると思われる機能的また病理組織学的な異常が認められないことから, 本実験条件下ではCLMは視覚器に対して特異的な作用を示さず, 影響をおよぼすものでないという結論を得た。
  • 森 研二, 小部 秀行, 滑川 宏, 御園 等, 横山 昌鶴, 小針 孝司
    1981 年 29 巻 3 号 p. 314-322
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC) およびガスクマロトグラフィー(ECD-GLC) を用い, 1-hexylcarbamoyl-5-fluomuracil (HCFU) および代謝物のヒト体液中濃度測定法の検討を行なった。
    HCFU投与後の試料中のHCFUはクロロホルム抽出後HPLCにて, 5-FUはクロロホルム抽出後の水層からアンパーライトXAD-2樹脂にて分離しクロロメチルジメチルシリル化した後ECD-GLCにてそれぞれ定量する方法を開発した。さらに, HCFUおよび5-FU骨格を有する全代謝物をアルカリ性条件下で5-FUに分解して測定 (総5-FU) することにより, 1-(5-carboxypentylcarbamoyl)-5-fluorouracil (CPEFU), 1-(3-carboxypmpylcarbamoyl)-5-fluorouracil (CPR-FU), 1-(5-hydmxyhexylcarbamoy)-5-fluorouracil (HHCFU) および1-(5-oxohexylcarbamoyl)-5-fluorouracil (OHCFU) 等のFU骨格を有する全中間酸化代謝物の総濃度をも定量できた。
    この方法によるHCFU, 5-FUおよび総5-FUの検出限界はそれぞれ20, 10および20ng/mlであった。
    本法は, 操作が簡便であり, しかも他の薬剤を併用投与した試料にも適用でき, 臨床試料のルーチン分析に適している。
    また, 本法とパイオアッセイ法とによる同一試料の測定結果は互いに良く相関した。
  • 1981 年 29 巻 3 号 p. 323-367
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 高見 博, 石引 久弥, 阿部 令彦
    1981 年 29 巻 3 号 p. 368
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 29 巻 3 号 p. e1
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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