CHEMOTHERAPY
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29 巻, 7 号
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  • 相川 直樹, 山本 修三, 茂木 正寿, 安尾 信, 内藤 千秋, 行岡 哲男, 須藤 政彦
    1981 年 29 巻 7 号 p. 725-732
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    皮膚・軟部組織感染症ならびに熱傷患者の感染に対するTicarcillin (TIPC) の効果を臨床的に検討した。
    皮膚・軟部組織感染症は5例で, 他薬剤による治療が無効あるいは臨床的に重篤な症例であった。TIPCが有効であったのは3例で, いずれもGentamicin (GM), あるいはDibekacin (DKB) が無効であったP. aeruginosa, Providencia, Bacteroidesなどの菌は消失, 炎症所見も改善した。熱傷患者は3例で.うち2例はEnterobacterによる敗血症であったが, TIPCの単独使用で血液培養は陰性化, 臨床症状も改善し救命し得た。無効例は3例あり, 臨床効果は合計すると, 有効5例 (63%), 無効3例 (27%) であった。細菌学的効果は, 分離した起炎菌22株中16株 (73%) が消失, 菌種別内訳では, P. aeuginosaは5株中3株, Enterobacterは3株中2株, E. coliは2株すべてが消失, 嫌気性細菌も3株すべてが消失した。8例中3例に本剤投与期間に一致して肝機能検査値の異常を認めたが, 他には本剤投与に関連した副作用は認めなかった。
    今回の治験成績, ならびに本剤の広範囲な抗菌スベクトラム, P. aeruginosaに対する優れた抗菌力, 皮膚移行の特性および安全性の点を総合的に判断し, TIPCは難治性の皮膚・軟部組織感染症や熱傷患者の感染に対する有用な化学療法剤として評価に値するものと考えられた。
  • 上田 勝, 柴田 元雄, 等 泰三, 三浦 昭代
    1981 年 29 巻 7 号 p. 733-737
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 試験管内でSerratia marcescensのCH耐性菌を青成し, 原株のMIC 15.6μg/mlに対し, 最終的にMIC 10,000μg/mlの耐性菌を育成した。
    2. 緑膿菌や変形菌も耐性獲得についてはSerratiaと同様の傾向を示したが, 大腸菌はきわめて耐性化しにくかった。
    3. Serratiaの場合, 獲得したCH耐性能はCHを含有しない培地に継代培養しても比較的安定に維持された。
    4. 今回育成したSerratiaのCH耐性菌には塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムの第4級アンモニウム系消毒剤が有効であった。
  • 久岡 正史, 小島 敏昌
    1981 年 29 巻 7 号 p. 738-742
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefmetazoleのラット炎症Pouch内漫出液中への移行性とPouch内実験的感染に対する治療効果を検討し, Cefazolinについても同様の検討を行なった。その結果, 総薬物濃度では血清中および浸出液中ともにCefazolinの方がCefmetazoleよりも高い濃度推移を示したのに対し, 非結合型薬物濃度ではCefmetazoleの方がCefazolinよりも高い濃度推移を示した。また, ラットPouch内に接種した大腸菌に対する増殖抑制効果は, Cefmetazole, Cefazolinともに投与重の増加に伴なって強く発現したが, 両薬剤の効果を比較するとCefmetazoleの方がCefazolinよりも強く, しかも持続性を示した。
  • 各種体液中への移行
    久岡 正史
    1981 年 29 巻 7 号 p. 743-748
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefmetazoleの組織移行性を知る目的で, 投与後の各種体液中濃度を経時的に測定した。また, 2, 3のセフアロスポリン系薬剤についても同様の検討を行ない, 移行性について薬剤間の比較を行なった。その結果, ラット胸管リンパ液中へのCefmetazoleの移行はCefazolin, Cephaloridineとほぼ同等であり, Cephalothinよりも優れた傾向を示した。また, イヌ胸管リンパ液中へのCefmetazoleの移行はCefazolinよりも優れていた。さらに, イヌ末梢リンパ液およびウサギ腹水中への移行はCefmetazoleとCefazolinとでほぼ同等であった。これらの結果から, Cefmatzoleは組織移行性の良い薬剤であることが示唆された。
  • 鈴木 一郎, 真柳 佳昭
    1981 年 29 巻 7 号 p. 749-753
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性髄膜炎の際に種々の抗生剤が高濃度に髄液中に移行することはよく知られている。しかし, 脳神経外科領域では術後, 細菌感染予防のために抗生剤を使用する機会が多い。このため, 種々の非感染性脳外科的疾患時の術後という条件下で抗生剤が髄液中にどの程度移行するかという事を知ることは極めて重要であると思われる。
    持続脳室ドレナージ, 又は腰椎ドレナージを施行した9例の脳外科息者に, 術後セファロスポリン系抗生物質の一つであるCephacetrile (CEC) を2g静脈内投与し, 経時的に血液及び髄液を採取しCECの濃度測定を行なった。濃度測定にはBacillus subtilis ATCC 6633を検定菌とする薄層カップ法を用いた。
    CECの血中移行濃度は全症例とも比較的一定の傾向を示したが, 髄液中移行濃度はそのピーク値および経時的変動ともに個々の症例でかなりのばらつきを示した。しかし, 大部分の症例で高濃度の髄液移行が認められ, グラム陽性菌 (Staphylococcus aureus等) のMICより高濃度を呈したものが9例中8例 (89%), グラム陰性菌 (Neisseria meningitidis等) のMICより高濃度を呈したものが9例中6例 (67%) であった。
    以上の結果より, CECは脳外科手術の全身投与によって比較的高濃度の髄液中移行が得られ, 術後感染の予防に極めて有用であると結論される。
  • 大谷 巌, 大槻 好正, 相川 通, 佐藤 洋子, 尾股 丈夫, 大内 仁, 斉藤 武郎
    1981 年 29 巻 7 号 p. 754-758
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体薬剤 (DKB, KM) の1日の投与量を1回で投与した場合と, 2分割投与した場合との聴器および腎毒性について, 家兎を用いて病理組織学的に比較検討し, さらに両投与法における薬剤の血清中濃度の動態についても検索し, 聴器毒性との関係について検討を加えた。
    (1) 病理組織学的検索にはDKBおよびKMとも1日量100 mg/kgおよび50 mg/kgとし, 1日1回および2分割して1日2回 (12時間間隔) いずれも30日間筋注し, 最終投与10日後に固定した。聴器障害はいずれの薬剤においても, 1回投与群よりも2分割没与群の方が軽度であった。腎障害は両投与法間に明らかな差異を見出すことはできなかった。
    (2) 薬剤の血清中濃度はDKB 100 mg/kgを1回および2分剛筋注して経時的に測定した。その結果最高血清濃度は両投与法問に有意差はみられなかった。しかしArea Under the Curve (AUC) は1回投与よりも2分割投与の方が有意に大きかった (P<0.01)。すなわち同一量のアミノ配糖体薬剤を投与法を変えて投与した際の聴器毒性の発現とAUCとの関連性については, これを否定する成績が得られた。
  • 守殿 貞夫他
    1981 年 29 巻 7 号 p. 759-781
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいCephalosporins (CEPs) 系注射用抗生剤Ceftizoxime (以下CZX) の複雑性尿路感染症に対する有効性および安全性を客観的に評価する目的で, Cefazolin (以下CEZ) を対照薬とした二重盲検法による比較検討を行なった。CZXは1回0.5g, CEZは1回1gをいずれも1日2回5日間静注した。総症例数は255例で, うちCZX群107例, CZE群97例についてUTI薬効評価基準 (第二版) に準拠して判定を行ない, 以下の成績を得た。
    総合臨床効果はCZX群で著効率17.8%, 著効+有効率69.2%, CEZ群で著効率13.4%, 著効+有効率46.4%となり, 著効+有効率においてCZX群がCEZ群に比べ有意に優れた成績を得た。細菌尿に対する効果はCZX群で陰性化58.9%, 減少5.6%, CEZ群で陰性化35.1%, 減少4.1%と陰性化率, 陰性化+減少率においてCZX群がCEZ群より有意に優れていた。膿尿に対する効果はCZX群の正常化+改善率43.9%, CEZ群36.1%と両群間に有意差を認めなかった。細菌学的効果はCZX群の消失率78.4%, CEZ群59.2%とCZX群の菌消失率が有意に高く, グラム陰性菌に限定してもCZX群の菌消失寧が何意に高かった。
    副作用および臨床検査値異常の発現頻度はCZX群がおのおの1.5%, 3.1%, CEZ群が0.8%, 4.0%てあり, 両群間にも意差は認められなかった。有用性判定結果はCZX群に有用性の高い症例が多く, CEZ群と比較して有意差が認められた。
    以上の成績から, CZXは複雑性尿路感染症に対して有用な薬剤と考えられた。
  • 1981 年 29 巻 7 号 p. 782-848
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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