CHEMOTHERAPY
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30 巻, 1 号
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  • 広瀬 崇興, 岡山 悟, 西尾 彰, 熊本 悦明
    1982 年 30 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性単純性膀胱炎尿から分離したE.coliと健康成人女子から採取した膀胱粘膜の上皮細胞を用いた付着実験において, 抗生物質が, 如何なる影響を及ぼすかについて検討した。抗生物質は, ABPC, CEXおよびGMを用いたが, いずれの抗生物質も明らかにE. coliの上皮細胞への付着能を低下させることを認めた。このような作用は, 各抗生物質のE. coliに対する1/2MIC濃度でも明らかに認められ, また, 付着阻止作用は, 抗生物質の濃度に比例して増強した。
  • Pipemidic acidを対照に用いた二重盲検比較試験
    西村 洋司他
    1982 年 30 巻 1 号 p. 7-30
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    米国Eli Lilly社で新しく開発されたキノロンカルボン酸系抗菌剤Cinoxacin (CINX) の女子急性単純性膀胱炎に対する有効性, 安全性および有用性についてPipemidic acid (PPA) を対照薬とした二重盲検試験を実施し, 比較検討した。
    CINXの1日投薬量は400mg2分割とし, 対照薬のPPAは1日常用量の750mg3分割投薬とした。また投薬期間は, 両剤とも3日間連続とした。
    総症例254例中除外.脱落42例を除く212例が総合臨床効果判定可能症例で, CINX群110例, PPA群102例であった。背景因子について両薬剤群間に特異な相違は検出されず, 両薬剤群の比較可能性を打消す差は認められなかった。
    UTI薬効評価基準 (第2版) に準じて判定した総合臨床効果は, CINX群の場合110例中著効91例, 有効18例, 無効1例, すなわち著効率82, 7%, 有効率99.1%であり, PPA群の場合102例中著効78例, 有効23例, 無効1例すなわち著効率76, 5%, 有効率99.0%であった。著効率, 行効率ともに薬剤群間に有意水準5%で差は認められず, 両薬剤群ともに高い有効性を示した。また排尿痛, 膿尿および細菌尿に対する効果についても両薬剤群間に有意水準5%で差は認められなかった。
    副作用はCINX群 (127例) に軽度のもの4例が認められ.発現頻度は3.1%であり, PPA群 (122例) には見られなかったが群間に差はなかった。
    以上のことより, CINXは1日400mg2分割投薬でPPA750mg3分割投薬と同等の有効性, 安全性ならびに有用性が示唆され, 急性単純性膀胱炎の治療において有用であると考える。
  • 渡辺 誠, 近藤 恭子, 真下 啓明, 川本 健志, 島津 邦彦
    1982 年 30 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質の血中濃度モニタリングの方法を, トプラマイシンを中心に高速液体クロマトグラフィーを用いて検討した。
    使用機器にはアミノ酸分析システムを利用し, イオンペアクロマトグラフィーによりポストカラム法にてケイ光試薬をラベルして検出した。前処理はANHALTの方法を一部変更し, 内部標準品には他のアミノ配糖体系抗生剤よりシンマイシンを選択して利用した。
    本法による検量線は0.5μg/ml~20μg/mlの範囲で直線性が得られた。また本法での変動係数は2.5μg/mlの血清中濃度で3.5%(n=6) であった。
    本法の特徴は市販のアミノ酸分析システムを利用して用いることができ, 特殊な装置を必要としないことと, 内部標準品に他のアミノ配糖体系抗生物質を利用している点で簡易であり, また, 誤差が少ないことがあげられる。さらに本法ではトブラマイシンのほかに, ネチルマイシン, ホルチミシン (KW-1070), シンマイシンが現在のところ測定可能であり, また, 他のアミノ配糖体系抗生物質に対しても応用が可能と思われる。
  • 今野 淳他
    1982 年 30 巻 1 号 p. 25-60
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    6059-Sの呼吸器感染症に対する臨床的有用性を, Cefazolin (CEZ) を対照薬とする二重盲検法により比較検討した。
    投与量は6059-Sでは1日29 (19×2), CEZでは1日49 (29×2) とし, 14日間点滴静注し, 以下の結果を得た。
    1. 細菌性肺炎, 肺化膿症群における小委員会判定による総合臨床効果では, 6059-S群で85.3%(64/75), CEZ群で84.4%(65/77) の有効率を示し, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった。これを重症度別にみると, 軽症例においては6059-S群で92.9%(著効3/14, 有効10/14), CEZ群で100%(著効10/17, 有効7/17) の有効率となりCEZ群の方がU検定において有意に優れた成績であった。重症例においては, 6059-S群の有効率が85.7%(6/7) であるのに対し, CEZ群では42.9%(3/7) であった。
    2. 主治医による総合臨床効果では, 細菌性肺炎, 肺化膿症群において, 6059-S群で84.4%(65/77), CEZ群で83.3%(65/78) の有効率を示し, 慢性気道感染症群においては6059-S群で67.6%(25/37), CEZ群で67.7%(21/31) の有効率を示した。いずれの場合も両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
    3. 細菌学的効果を起炎菌別の菌消失率でみると, グラム陽性球菌においては6059-S群で76.9%(10/13), CEZ群で85.7%(12/14) であり, グラム陰性桿菌においては6059-S群で72.2%(13/18), CEZ群で56.7%(17/30) であった。
    4. 安全性の検討では, 副作用あるいは臨床検査値の異常変動の出現頻度に, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
    5. 主治医判定による有用性の検討では, 有用以上の評価を受けた例が, 6059-S群で78.9%(101/128), CEZ群で74, 6%(97/130) であり両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
    以上, 呼吸器感染症に対する6059-Sの有効性と安全性を総合的に評価すると, 6059-SはCEZの1/2の投与量でCEZと同等の成績を示し, 有用性の高い薬剤であると結論される。
  • 中富 昌夫, 長沢 正夫, 田中 光, 張 景弘, 伊藤 直美, 藤田 紀代, 重野 芳輝, 山口 恵三, 広田 正毅, 那須 勝, 斎藤 ...
    1982 年 30 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    リンコマイシン (LCM) はグラム陽性菌および嫌気畳1菌に対して優れた抗菌力を有する。LCMの静脈内注射時の血中濃度についての報告はあるが, 喀痰内, 胸水内移行濃度にく) いての成績は少ない。そこでLCMの点滴静注時の血中濃度および喀痰内移行濃度, 筋注時の胸水内移行濃度について検討し, LCMが奏効した嫌気性菌性慢性気管支炎の1例を報告した。慢性気管支炎5例, 肺化膿症1例および糖尿病1例に, LCM1~3gを点滴静注し, 点滴終了時, 終了後1, 2, 4および6時間目に採血を行ない, 喀痰は点滴開始から各1時問毎に全量を採取した。また胸水を伴う肺癌3例に本剤19を筋注し, 注射後1, 2, 4および6時間目に, 胸水および血液を採取した。薬剤濃度測定は, M.luteus ATCC 9341を検定菌とするカップ法で実施した。32歳主婦のBacteroides sp.による慢性気管支炎感染例に, 本剤3g/日, 13日問点滴投与し, その後の経過を観察した。1g点滴の場合, 最高血中濃度は点滴終了時26~38.3μg/ml, 3gては50~125μg/mlで, 最高喀痰内移行濃度は1gで, 3~16μg/ml, 3gで14~18μg/mlであった。1g筋注時の最高血中濃度は23.2~30μg/ml (1~2時間目) であった。胸水内移行は6.9~18.2μg/mlが2~4時間日に測定された。Bacteroidesによる慢性気管支炎ては治療閉始後4~5口て解熱し, 咳嗽・喀痰も減少し治癒した。よ剤の喀痰内への移行は極めて良好で, 感性菌による呼吸器感染症に有用な薬剤と思われた。
  • (1) マウスの条件による感染菌の菌力, 抗菌薬投与後の血中濃度, 尿中排泄の比較
    小川 正俊, 上村 利明, 川崎 賢二, 宮崎 修一, 五島 瑳智子
    1982 年 30 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    感染治療実験に用いるマウスdd, ddN, ddy, ICRの各系統について, 感染菌に対する感受性, 抗菌薬投与時の血中濃度, 尿中排泄, および感染防御効果を検討した。
    Escherichia coli C11株のマウス股腔内感染におけるMLDは, ICRマウスがもっとも小さく, 菌に対する感受性が高かった。また同一系統であっても, 週令によって感染菌に対する感受性に差がみられた。この原因を調べるため, carbon-clearanceによる細網内皮系の機能を調べたところ, ICRはddに比べ, 有意に低かった。
    抗菌薬投与による血中濃度は, マウス各系統間に差がみられた。
    以上の実験成績により, in vivoにおける抗菌作用の評価において, 同一実験系で同時に行なった場合のみ, ED50の比較が可能であると考えられた。また治療効果を判定する資料としての吸収, 排泄の成績は, 感染実験に用いた同条件の動物を用いるべきであることが示唆された。
  • 酒井 克治, 藤本 幹夫, 上田 隆美, 平尾 智, 森本 健, 川畑 徳幸, 佐々木 武也, 沢田 晃, 土居 進, 政田 明徳, 川島 ...
    1982 年 30 巻 1 号 p. 75-85
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 外科領域における皮膚・軟部組織感染症92例に対してMOM1日量600mgまたは900mgを経口投与し, 次の結果を得た。両群を通じて92例中77例 (83.7%) に著効あるいは良好の治療効果が得られた。600mg投与群45例中著効24例, 有効15例, やや有効3例, 無効3例 (有効率86.7%), 900mg投与群47例中著効15例, 有効23例, やや有効5例, 無効4例 (有効率80.9%) で, 両群間に有意差を認めなかった。
    2. 外科的処置群と無処置群との間では, MOMによる治療効果の上に差が認められなかった。
    3. 病巣分離菌の除菌効果は, 600mg投与群の方がむしろ優れていた。
    4. 副作用は発疹1例, 便秘1例, 口角炎1例で, 投与を中止したのは発疹の1例だけであった。
    以上の成績から, MOMは外科的皮膚・軟部組織感染症に対して有用な新経口的抗生剤で, その1日投与量は, 通常600mgで充分であると考えられる。
  • 第1編 臨床検査材料からのゲンタマイシン耐性菌の分離頻度と薬剤感受性ならびにファージ型について
    紺野 昌俊, 生方 公子, 高橋 洋子, 佐々木 有宇子, 川上 小夜子
    1982 年 30 巻 1 号 p. 86-95
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1979年1月から1980年1月までの1年間に, 帝京大学医学部附属病院の中央検査部細菌検査室に提出された検査材料から分離された黄色ブドウ球菌 (ブドウ球菌) を対象として, gentamlcin (GM) 耐性菌の出現状況を検索した。さらに, GM耐性菌の各種抗生物質に対する感受性ならびにファージ型に関しても検討を行なった。
    1. 上記の期間中に検出されたブドウ球菌は, 総検体15, 978検体中1,287株であった。そのうち, GM耐性の株は57株 (4.4%) 検出されたが, 分離材料別ては膿汁 (148%) と耳漏 (9.106) て検出率が高く, その他の材料ではいずれも5%前後であった。
    2. GM耐性菌は, 他のアミノグリコシド系 (AGs) 抗生物質のkanamycin (KM), sisomcin (SISO), dibekacin (DKB) およびtobramycin (TOB) にも耐性を示し, またamikacin (AMK) に対しても6.25~25μg/mlのMICを示した。
    3. GM耐性菌の多くは, penicillin G (PCG), tetracycline (TC), chloramphenicol (CP) およびマクロライド系 (MLs) 抗生物質にも耐性であり, 多剤耐性化が著明であった。
    4. GM耐性菌のファージ型別では, III群とその他の81を含む混合群が47.4%, III群と8081を含む混合群とがそれぞれ7.0%, 81単独が26.3%, 型別不能が12.3%という割合であり, I群あるいはII群に関係したファージ型の菌株は認められなかった。
  • 第2編 ゲンタマイシン耐性の黄色ブドウ球菌から誘発したファージによる薬剤耐性の導入とブラスミドの解折
    生方 公子, 紺野 昌俊
    1982 年 30 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 臨床検査材日より分離されたgcntamicin (GM) 耐性の黄色ブドウ球菌の中からTK5553株を選び, その菌より誘発したファージ液を川いて薬剤耐性の導入を試みた。その結果, penicilin G (PCG)-erythromycin (EM)-kanmamycin (KM) GM耐性の連関導入が認められた。また, 薬剤耐性の除去実験においても, それらの耐性は同時に脱落した。この耐性型を示す導入株よりプラスミドDNAを分離し, 電子顕微鏡で観察したところ, 分子量32.1×106daltonの環状DNAが見出された。PCG-EM-KM-GM耐性が支配されるこのゾラスミドは, pTU053と呼称することとした。
    2. TK5568株より誘発したファージ液を用いた導入実験では, KMあるいはGM含有の選択培地上からはKNIとGMに同時に耐性を示す集落と, PCG-EM-KMに耐性を示す集落とが得られた。KM-GM耐性が芝配されるプラスミドは, 36.2×106daltonの環状DNA (pTU068) であった。
    3. プラスミドpTU512 (PCG-EM-KM耐性) とpTU053とのHeteroduplex法によるDNAの相同性に関する実験的解析ては, pTU053のDNA鎖の92, 9%がpTU512と同一塩基配列をしていることが示された。しかしながら, ごくわずかてはあるが, pTU512のDNA鎖の方にpTU053とは非相同の部分かあることも見出された。
  • 1982 年 30 巻 1 号 p. 104-111
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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