CHEMOTHERAPY
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30 巻, 3 号
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  • 熊本 悦明, 西尾 彰, 生垣 舜二, 塚本 泰司, 酒井 茂, 水戸部 勝幸, 本間 昭雄, 腎山 龍生, 田宮 高宏, 高塚 慶次, 宮 ...
    1982 年 30 巻 3 号 p. 259-276
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    女子急性単純性膀胱炎症例244例に対し, Cinoxacin 1日投与量を800mg, 400mg, 200mg, 100mg (2分服) の4群に分けて, 治療効果のdose response的検討を二重盲検法で施行した。
    (1) 尿中濃度は投与後12時間後でもかなり高く, 50mg投与で1±1μg/ml, 100mgで3±2μg/ml, 200mgで9±2μg/ml, 400mgで20±4μg/mlであった。
    (2) 患者尿分離起炎菌の大部分を占めるE. coliのMICは98.2%が3.13μg/ml以下であり25~50μg/mlが1.8%であった。起炎菌の6%を占めるグラム陽性球菌はすべて800μg/ml以上であった。
    (3) 総合臨床効果ば800mg/日群で100.0%, 400mg/日群で90.9%, 200mg/日群で96.1%, 100mg/日群で91.3%であり, グラム陽性球菌を除いた場合はそれぞれ100.0%, 97.6%, 98.0%, 97.8%ときわめて高い有効率であった。そして有意なdoseresponseは認められなかった。しかし, グラム陽性球菌も考慮すると800mg/日群がやや高い有効率を示している。
  • 高畑 正裕, 笹倉 かの子, 滝 秀雄, 保田 隆, 才川 勇
    1982 年 30 巻 3 号 p. 277-285
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    家兎の総胆管を24時間結紮した後解除して直ちに菌液を胆管内へ接種する非閉塞性胆道感染症群と, 結紮解除を行なわず菌接種する閉塞性胆道感染症群を作成した。感染後両群についてそれぞれ白血球数の測定, 肝機能検査さらにLimuhs lysate testを行なった。また, 非閉塞群では感染3日後, 閉塞群では感染2日後にCPZ, CMZ, CEZ, CETを各20 mg/kg筋肉内投与し, 血清・胆汁中濃度, 尿中回収率, 胆嚢および胆管の組織内をBioassay法で測定するとともに, 胆汁中生菌数変動より治療効果を検討した。
    非閉塞群と閉塞群では病態が明らかに異なり, 前者は急性胆管炎, 後者はREYNOLDSらがヒトで提唱した急性閉塞性胆管炎に類似する症状を認めた。胆道系への抗生剤の移行も両群で異なっており, 閉塞群ではどの抗生剤も非閉塞群に比べ胆汁中濃度は低値てかつ経時的に高くなる傾向を示したが, CPZは移行パターンの異なる両群について4剤中最も高い濃度を保ち, またこの結果を反映して優れた治療効果をあげた。
  • 上田 勝, 坂田 政幸, 柴田 元雄, 等 泰三
    1982 年 30 巻 3 号 p. 286-290
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    さきに著者らはSerratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Proteus vulgaris, Escherichia coliなどのグラム陰性桿株菌のケロールヘキシジンに対する耐性化およびその安定性について報告した1)が, このうち. セラチアはクロールヘキシジンに対する耐性獲得が箸しく, 試験管内で原株のMIC 15.6μg/mlに対し, 最終的にMIC 10,000μg/ml (最高生育濃度5,000μg/ml) のクロールヘキシジン耐性株が得られ, また緑膿菌や変形菌もセラチアと同様の耐性獲得の傾向を示したが, 大腸菌はきわめて耐性化しにくかった。
    一方, セラチアが獲得した本耐性は, クロールヘキシジンを含値しない培地に継代培しても比較的安定てあった。(F20てMIC 1,000μg/ml)。
    さらに, 上記の耐性菌に対し塩化ペンザルコニウムや塩化ベンゼトーウムなどの第四級アシモニウム系消毒剤が有効であり, したがって院内での常用消毒剤を1種頬に限定せず, 異なる種類の消毒剤で少なくとも二度消毒するか, あるいは一定期間ごとに消毒剤の交互使用を実施することにより, 消毒剤に起因する院内感染は防止しうると考えられた。
    今後, 院内感染においてこのセラチアがますます注目されるのではないかと思われるが, 著者らはセラチアのクロールヘキシジン耐性はクロールヘキシジンの分解に起因するのではないかと考えて実験を進めているが, 現在までのところ, この分解は耐性化に直接関与していないように思われる。すなわち, セラチアとクロールヘキシジンを接触させたのち, 培養炉液を薄層クロマトグラフ法で検したところ, 耐性に起因すると考えられるクロールヘキシジンの分解産物のスポットは見い出されていない。
    このことから, セラチアの本耐性には菌体の膜構造の変化に基づく膜透過性の減少が関与しているのではないかと考えて実験を進めた。
    本報では, セラチアによるプロテアーゼの産生を比較したのち, セラチア菌体に及ぼすクロールヘキシジンの影響を調べ。さらに菌体由来の脂質含量, およびその脂肪酸組成を調ぺ, セラチアのクロールヘキシジン耐性株の特徴を明らかにしようとした。
  • 加藤 直樹, 前田 真一, 松田 聖士, 藤広 茂, 説田 修, 酒井 俊助, 坂 義人, 清水 保夫, 河田 幸道, 西浦 常雄, 沢 赫 ...
    1982 年 30 巻 3 号 p. 291-300
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    岐阜大学医学部附属病院泌尿器科外来患者より有意の膿尿と菌数をもって分離された尿路感染菌を1972年から1979年の8年間にわたって検討した。
    1. 尿路感染菌が分離された症例は, 急性症では毎年外来患者総数の3~4%で, 慢性症では4~5%であった。
    2. 急性症の尿路感染菌はE. coliが70~86%の分離率で, S. epidermidisは多くの年度で2番目の分離率を示した。その他にはK. Pneumoniae, P, minbilis, S. faecalisが分離され, ほぼこれら5菌種に限られていた。
    3. 慢性症の尿路感染菌は多菌鍾にわたるが, E. coli (24~41%) が1位で, 次いでS. faecalis (12~22%), P.aemginosa (7~14%), K. pneumnoniu (6~13%) であった。S. momscmsは1975年より出現し, 1977年には5.7%を占めたが, 最近は減少傾向にある。
    4. 混合感染菌として最も分離されやすい菌種はS. faecalisで, 次いでP.aeruginosa, K. pneummiaeであった。
    5. 急性症と慢性症におけるグラム陽性菌や慢性症におけるglucose-nonfermenting gramnegative rods (GNF-GNR) などの最近の増加傾向は, 現在の新薬開発の動向との関連で注目される。
    6.S. faecalisは慢性症で高い分離率を示し, 混合感染症の問題からも, 今後, 臨床的, 病原的意義の検討が待たれる。
  • 出口 浩一
    1982 年 30 巻 3 号 p. 301-307
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1979年6月から1980年2月までの間に, 急性・単純性膀胱炎の患者採取尿から分離された菌性について臨床細菌学的検討を行ない, 次のような成績を得た。
    1. 尿中104/mlもしくは>104/mlの菌数を検出した742例から分離・同定された菌種は789菌種であった。
    このうち同一検体から性状の異なるE. Coliが分離されたものが7例を数えた。
    2. 742例から分離された789菌種の分布は, 以下に示した。E. coli 75.3% S. epidermidis12.4% K. pneumoniae 5.3% P. mirabilis 3.8% S. faecalis 3.1%P. aeruginosa 1.3%A. calcoaceticus 0.9%
    3. 検出菌のうち, E. Coli (559株), K. pneumoniae(39株), P. mirabilis (28株), citmbacter spp.(7株) に対する, Nalidixic acid (NA), Pipemidic acid (PPA), Ampicillin (ABPC), Carbenicillin (CBPC), Cephalexin (CEX), Cephalothin (CET) およびGentamicin (GM) のMICを測定した結果, 106CFU/ml接種で100μg/mlまたはそれ以上のMICを示す株は, NAでは4菌種 (菌属) とも数パーセント, CEX, CETにはE. coli, K. pneumoniae, P, mirabilisが数パーセントの低率であり, C. freundiiには100μg/ml以上, C.diuersusは小さなMICを示した。PPA, GMは4菌種 (菌属) とも, 100μg/ml以上のMICを示す株の存在を認めなかった。一方, ABPC, CBPCのK. pneumoniaeに対する抗菌作用ば不充分である性質をそのまま反映する成績であったが, E. coliでは20%以上の株が100μg/ml以上のMICを示すことを認めた。
  • 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 青沼 清一, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1982 年 30 巻 3 号 p. 308-315
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離グラム陰性桿菌に対するMinocyclineとAmikacinの併用効果を寒天平板希釈チェス盤法および増殖曲線の観察により検討した。
    寒天平板希釈チェス盤法の対象は緑膿菌15株, 大腸菌18株, 肺炎桿菌25株, セラチア49株 (当施設分離株29株および磐城共立病院分離の院内感染20株) の計107株である。これらに対するMinocyclineとAmikacinの併用の平均FIC係数は大腸菌と肺炎桿菌ではともに0.43という相乗作用を示し, 緑膿菌とセラチアに対しては0.63, 0.75およひ0.56という相加作用を示した。
    前記107株から4株 (大腸菌と肺炎桿菌各1株, セラチア2株) を任意に選び増殖曲線に対して併用の与える効果について検討した。セラチア2株のうち寒天平板希釈チェス盤法て拮抗作用を示した1株の増殖曲線では、Amikacin単独添加時の生菌数よりもこれにMinocyclineの低濃度を併用した場合の生菌数が増加する, という拮抗作用がみられた。寒天平板希釈チニス盤法で相乗作用を示した他の3株の増殖曲線では, 1MIC値以下の低濃度のMinocyclineとAmikacinの併用においてこれらの各々単独添加時より生菌数が1/1,000以下となる相乗作用がみられた。
  • 岩田 吉一, 中川 秀光, 呉 淳東, 清水 恵司, 中田 博幸, 山本 和己, 加藤 天美
    1982 年 30 巻 3 号 p. 316-323
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍, 頭部外傷など, 脳神経外科的疾患の開頭手術術後に発症した7例の髄膜炎患者に対してCeftizoxime (CZX) を投与した。投与方法としては1日に2~6gを点滴静注するか, one shotで徐々に瀞脈内に投与して, 髄液への移行とその臨床効果を検討し, 以下の結果を得た。投与日数は6日から27日間であった。
    1.髄液濃度からみた髄腔内への移行は, CZXを1g投与した場合に1.45~3.0μg/ml, 2g投与時は1.99μg/ml, 3g投与1時6.08μg/mlとなった。
    2.全症例 (7例) に対する治療効果は, 著効4例, 有効2例, やや有効1例であり。無効例はなかった。
    3.副作用, 臨床検査値の異常は1例にも認められなかった。
    以上の結果からみて, さらに症例を増して検討する必要はあるが, CZXは開頭術術後の髄膜炎に対して全身投与により充分な治療効果が得られる優れた薬剤であると考えられる。
  • 1982 年 30 巻 3 号 p. 324-369
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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