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中沢 久, 松浦 正幸, 三橋 進
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
1-10
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
1) Amoxicillin (AMPC) 耐性のグラム陽性, グラム陰性菌群に対して, Amoxicillinに少量のClavulanic acid (CVA) を添加すると著しい抗菌力の増強が見られた。
2) Amoxicillin耐性菌においてAmoxicillinのMIC値とβ-lactamaseの生産量には相関関係が見られた。
3) Clavulanic acidはR因子由来のすべての型のPenicillinase (PCase) および
P.vulgaris, B.fragilis, P.cepaciaの生産するセフロキシマーゼを強く阻害した。
4) AmexicillinとClavulanic acidの至適配合比を検討するため各種のAmoxicillin耐性および感受性菌に対して, AmoxicillinとClavulanic acidの配合比を変化させMIC値の比較を行なった。Amoxicillin: Clavulanic acidの配合比が5:1から1:5の間が耐性菌, 感受性菌どちらに対しても最も強い抗菌力を示した。
5) BRL25000 (Amoxicillin: Clavulanic acid=2:1) の治療実験中に集められたAmoxicillin耐性菌に対してBRL25000はAmoxicillinより数段強い抗菌力を示した。
6) Amoxicillin耐性菌に対する殺菌作用もAmoxicillinにClavulanic acidを添加することにより増強された。
7) マウス感染治療実験においてAmoxicillinと比較してClavulanic acid添加による治療効果は優れていた。
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横田 健, 関口 玲子, 東 映子
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
11-19
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Clavulanic acid (CVA) その他のβ-lactamase阻害剤について, Ampicillin (ABPC) やCephaloridine (CER) などとの協力的抗菌作用の仕組を検討した。CVAはpenicillinase (PCase) 型酵素をつくる菌にはABPCと著明な協力作用を示すが, cephalosperinase (CEPase) 産生菌に対するCERとの協力作用は弱い。K
1値で表わされたCVAなどの一時的β-lactamase阻害効果と, 希釈法と等電点電気泳動法で測定した永久的β-lactamase不活化力のどちらが, 協力作用のためにより重要か調べると, 永久不活化力が協力作用により強く反映すると結論された。CVAは調べたβ-lactamase阻害剤のなかではPCase型酵素に対する不活化力が最も強かった。一方CVA自身の弱い抗菌力はPBP IIその他に対する結合親和性から説明される。
CVAはPCase産生菌, 特にR (
bla) plasmid保有のグラム陰性桿菌やPCG耐性ブドウ球菌にABPCなどと強い協力作用を示すので, 有力な耐性菌対策となり得ることが示唆された。
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Clavulanic acidとAmoxicillinおよびAmpicillinとの併用による抗菌作用の増強
五島 瑳智子, 小川 正俊, 金子 康子, 宮崎 修一, 辻 明良, 桑原 章吾
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
20-29
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Clavulanic acidのβ-lactamase inhibitor作用をAmoxicillin, Ampicillinとの併用により検討した。
Clavulanic acidの抗菌力は弱く, 単独では抗菌剤として使用することはできないが, Amoxicillin, Ampicillinとの併用によって抗菌力の相乗的増強がみられ, 菌の産生するβ-lactamase阻害作用が確認された。
in vitro抗菌力においてAmoxicillin耐性
E.coli, K.pneumoniae, P.vulgarisに対するAmoxicillinとClavulanic acidの併用効果は各菌種とも著しく,
P.mirabilis, P.morganii,
P. rettgeri, P.inconstansに対しても併用効果がみられた。
Clavulanic acidはβ-lactamaseのRICHMOND typeIaに弱く, II~Vに強い阻害作用がみられた。
マウス実験感染ではAmoxicillin, Clavulanic acid, Cephalexinそれぞれ単剤では無効な
E. coli, K.pneumoniaeの感染において, AmexicillinとClavulanic acidの併用により治療効果が認められた。
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上野 一恵, 渡辺 邦友, 磯野 美登利, 小林 とよ子, 丸井 利軌
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
30-38
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Clavulanic acidをAmoxicillin (AMPC), Ampicitlin (ABPC), Carbenicillin (CBPC), Ticarcmin (TIPC), Cephalothin (CET) に1μg/mlと5μg/mlの微量の添加でβ-lactamase産生の
Bacteroidesに対して著しい抗菌力の増強を認めた。またBRL25000についても
Bacteroidesに対して強い抗菌力を認めた。
しかし
Clostridium属のβ-lactamaseを産生する
C. ramosumと
C.clostridiiformeに対しては無効であった。
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渡辺 邦友, 青木 誠, 磯野 美登利, 小林 とよ子, 川島 健, 上野 一恵
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
39-41
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL 25000差
in vivoにおける抗菌力および盲腸内細菌叢への影響をマウスを用いて検討し, 次の結果を得た。
1.β-lactamase産生でAmoxicillin, Cefazolinに耐性の
B.fragilisとβ-lactamase非産生でAmoxicillin, Cefazolinに感受性の
E.coliによる皮下混合感染系において, BRL25000はAmoxicillin単独, Cefazolin単独より著明に優れた治療効果を示した。
2.Amoxicillin 2mg/mouse 1日1回, 7日間経口投与されたマウスの中止直後の盲腸内には, 5匹中5匹 (100%) とも
C.difficileが多数 (10
5個以上/g) 存在したが, BRL 25000を2mg/mouse経口投与されたマウスの盲腸内には5匹中1匹 (20%) に少数の
C.difficileが存在したのみであった。
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西野 武志, 大瀬 満寿代, 佐治 弓子, 谷野 輝雄
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
42-75
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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β-lactamase inhibitorであるClavulanic acid (CVA) をAmoxicillin (AMPC) と併用した場合の
in vitroおよび
in vivo抗菌作用について検討を行ない, 以下のような成績を得た。
1.教室保存の標準株に対する抗菌スペクトラムについて検討を行なったところ, CVAは単独で弱いながらも抗菌力を示したが, 1/4MIC以下の濃度をAMPC: CVA (1:2),(2:1),(8:1) の比率でAMPCと併用した場合, AMPC感受性菌に対してはAMPCのMICに影響を与えず, AMPC耐性の
S.aureus, K.pneumoniae, P.vulgarisなどに対して著しいAMPCのMICの低下を認めた。
2.臨床分離の
S.aureus, E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilis, P.vulgarisに対する感受性分布および感受性相関では, AMPC:CVA (1:2),(2:1),(8:1) ともに, AMPC耐性菌に抗菌力を示し, Cephalexin (CEX) の抗菌力と比較しても優れていた。MICをAMPCとCVAの合計濃度でみた場合, 平均すれば (2:1) が (1:2) にほぼ同等であり,(8:1) より約1.5倍小さかった。
3.Checkerboard dilution methodでも上記菌種のAMPC耐性臨床分離株でAMPCとCVA間の著しい協力作用が認められた。
4.AMPCの一定濃度 (3.13~12.5μg/ml) にCVAを併用してAMPC耐性の臨床分離株を阻害するに要する濃度を求めたところ, その濃度は菌種により異なり, 同一菌種でも2相性の分布を示すものも認められた。
5.AMPC耐性の
S.aureus, E.coli, K.pneumoniae, P.vulgarisに対するAMPC: CVA (1:2),(2:1),(8:1) の殺菌作用を検討した結果, MIC濃度で著明な殺菌作用が見られ, 両剤の併用による協力作用を認めた。
6.AMPC耐性の
S.aureus, E.coli, K.pneumoniae, P.vutgaeisを用いたマウス実験的感染症に対する治療効果では
in vitro同様AMPCとCVAの併用により著明な協力作用を認めた。またAMPCとCVAの合計のED
50値で比較すると, 総合すればAMPC:CVAの比が (2:1) の場合に最も優れた治療効果が得られた。
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杉中 秀寿, 三宅 洋一郎, 高田 直樹, 小川 道雄
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
76-80
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Clavulanic acid (CVA) とAmoxicillin (AMPC) とのpepldoglycan合成に及ぼす併用効果をβ-lactamase産生大腸菌, CSH 2-RK 1株 (RICHMOND III型) CSH 2-RE 45株 (RICHMONDV型) およびそれらの親株, CSH 2-NAr株を用いて比較検討した。
β-lactamase産生株に対するAMPCの最小発育阻止濃度はいずれも6,400μg/ml以上であり, CVAのそれは100μg/mlであった。CVAとAMPC併用によってβ-lactamase産生株では著明な相乗抗菌作用が認められた。これらの菌株のエーテル処理菌体によるpepldoglycan架橋形成は100μg/ml濃度のAMPCあるいはCVA単独によって全く阻害されなかったが, 両者併用によって著明な架橋形成阻害が認められた。RK 1およびRE 45株の産生するβ-lactamase活性は, CVAにょって阻害された。
以上の結果からβ-lactamase産生株に対するCVAとAMPCとの相乗抗菌機構は, CVAがペリプラズムに局在するβ-lactamase活性を阻害し, そのため外膜を通過したAMPCが活性を維持したまま細胞質膜 (内膜) 上に存在する標的酵素であるtranspeptidaseに結合して, その作用を阻害するためであると考えられる。
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特にβ-lactamase産生Ampicillin耐性インフルエンザ菌について
松本 慶蔵, 宍戸 春美, 渡辺 貴和雄, 永武 毅, 力富 直人, 高橋 淳
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
81-90
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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BRL 25000は, Amoxicillin (AMPC) と, β-lactamase阻害剤Clavulanic acid (CVA) とを2:1に配合した合剤である。私どもは, BRL 25000について, 呼吸器感染症に対して経口剤として, 臨床応用するための基礎的研究を行なった。
呼吸器病原性の明確なAmpicillin (ABPC) 耐性
H.influenzae NNH 55161の産生するβ-lactamaseの基質特異性をmacroiodometryにて実験し, PCase type I (三橋分類) と結論された。呼吸器病原性の明確なβ-lactamase産生ABPC耐性
H.influenzae 4株に対するAMPCとCVAとの相乗効果は, AMPC: CVAの配合比が256: 1という極めて少量のCVA添加でも明確に認められた。
呼吸器病原菌に対するBRL 25000の
in vitro抗菌力を測定した (10
6cfu/ml接種時MIC)。β-lactamase産生ABPC耐性
H.influenzae 18株に対するAMPC, CVAのMICはともに>100μg/ml, BRL 25000のMICは, 1.56μg/mlと著明な相乗効果を示した。β-lactamase産生
S.aureusに対し, AMPCとCVAとの相乗効果が認められた。β-lactamase産生
K.pneumoniae 25株に対するMIC分布のピーク値は, AMPC 100μg/ml, CVA 12.5μg/ml, BRL25000 3.13μg/mlであった。β-lactamase産生
B.catarrhalis 3株は, β-lactamase陰性の対照と比較し, AMPCとCVAとの相乗効果が明確に認められた。
S.pneumoniae, S.faecalis (AMPC耐性株なし),
P.aeruginosa, E.coli, Enterobacter sp.では両剤の相乗効果は認められなかった。
慢性呼吸器感染症患者2例において, 血清中, 喀痰中濃度を測定した。肺動脈perfusion低下のない患者のBRL 25000 750mg経口投与後の喀痰中AMPC濃度は, 0.64μg/ml, CVA濃度は0.11μg/mlであった。
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薄田 芳丸, 田尻 正記, 湯浅 保子, 中村 享道, 関根 理, 青木 信樹, 林 静一, 渡辺 京子, 橋本 俊広, 服部 信之
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
91-97
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
種々の腎機能障害患者でBRL25000 375mg内服後のAmoxicillin (AMPC), Clavulanic acid (CVA) の血中, 尿中濃度を調べた。
Amoxicillinの血中濃度は腎機能が正常に近い場合は内服後1,2時間で5μg/ml以上に達するが, その後急速に低下し6時間後には1μg/ml以下となる (半減期は約1時間)。尿中への排泄は2時間で40%以上, 6時間までに80%に達した。腎機能低下が高度になると高い血中濃度が持続し, 腎不全患者では10μg/ml以上にも達し, 24時間後も1μg/ml以上の濃度が持続した (半減期は8~20時間)。尿中への排泄は腎機能低下が高度になるにしたがい遅延するが, 長時間かかれば大部分が尿中に排泄される。
Clavulanic acidの血中濃度は腎機能が正常に近い場合は内服後1,2時間でAmoxicillinの50%以上の値を示したが, 4時間後急速に低下し, Amoxicillinの約50%の濃度を示した (半減期は約1時間)。尿中排泄は2時間で約40%, 6時間までに約70%に達した。腎機能低下が高度になっても血中濃度低下の著明な遅延はなく (半減期2~3時間), 10時間後には全例1.0μg/ml以下となり, 24時間後には検出されなかった。
BRL25000 1, 500mg/日×7日間投与は腎機能低下の有無にかかわらず大体安全と考えられる。高度腎機能低下者に375mg投与した効果は腎機能低下のない患者に375mg×3~4回/日投与に匹敵するか, それを上まわると考えられる。
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中川 圭一, 渡辺 健太郎, 服部 信之, 横田 栄作
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
98-110
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Amoxicillinと, 新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるClavubnic acidとの231の合剤であるBRL25000を健康成人に投与し, 第一相試験としてその安全性, および吸収排泄に関する検討を行なった。
BRL25000を経口投与するとき, 血中濃度は投与量に比例して推移し, その消失半減期は, Amoxicillin, Clavulanic acidとも約1時間であり, 投与されたAmoxicillinの約60%, Cbvulanicacidの約30%が尿中に回収された。BRL25000 375mgを1回1錠, 1日3回7日間連続投与した場合, 血中濃度および尿中排泄に蓄積性を認めなかった。
投与後の臨床症状として, 1回2錠投与時に1例, 3錠投与時に3例において軽い嘔気が出現したが, 短時間で軽快し, 食欲の減退などはみられなかった。また, BRL25000を1回1錠1週間の連続投与では, 投与終了時24時間の検査で1例においてBUNの軽度上昇がみられたが, 1週間後の検査では正常値であった。
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横田 栄作, 佐藤 光行, 建林 和夫, 服部 信之
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
111-117
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL25000の経口投与時における体液内濃度の微生物学的定量法について検討した。
BRL25000はAmoxicillin (AMPC) とClavulanic acid (CVA) の配合剤のため, その成分を各々定量しなければならない。
Amoxicillinの定量には
Micrococcus luteus ATCC 9341が
Bacillus subtilis ATCC 6633よりClavulanic acidの影響を受けず適していた。このときAmoxicillinの測定限界濃度は, 0.03μg/mlであった。
Clavulanic acidについては, それ自身の持つ抗菌活性が弱いため従来の生物学的定量はできず, Penicillin Gを用いてβ-lactamase産生の
Klebsiella pneumoniae ATCC 29665を検定菌とする方法によった。
Klebsiella pneumoniae ATCC 29665は, Amoxicillinが250μg/mlの濃度まで混入しても影響を受けず測定限界濃度は0.06μg/mlであった。
ヒトの血清中濃度測定には新鮮ヒト血清が, 尿中濃度測定には0.1M citrate buffer (pH6.5) による希釈が適していた。各種体液試料は, -55℃以下 (ドライアイス) で保存する方法でAmoxicillinおよびClavulanic acidは少なくとも2週間安定に保たれた。
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宇野 豊三, 萩中 淳, 中川 照眞
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
118-124
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
ヒト尿中のクラプラン酸測定を, UV検出器付イオンベア萬速液体クロマトグラフ法を用いて行なった。固定相としてはODSを, 移動相としてはtetmbutylammonium bromideを含むリン酸緩衝液/メタノールを用いた。
クラブラン酸 (125mg) およびAmoxicillin (250mg) をそれぞれ単独に, あるいは合剤であるBRL25000として同時に健康男子に投与した後, 未変化のクラブラン酸, Amoxicillinおよび後者の代謝物であるPenicilloic acidおよびPonamaldic acidの尿中排泄量および排泄率を求めた。
モーメント解析の結果, BRL25000投与では投与されたクラブラン酸の27~45%が尿中に排泄され, 平均体内滞溜時間 (MRT) は1.6~2.1時間であった。一方Amoxicillinのそれは56~73%(代謝物を含む), 2.0~2.6時間 (未変化のAmoxicillinについて) であった。すなわち, クラブラン酸は吸収が悪く (または, 代謝物や尿以外への排泄が非常に多い), Amoxicillinより尿中排泄が速いようである。
さらに, 同一被験者にクラブラン酸およびAmoxicillinを単独投与して検討してみると, BRL25000投与時と比べてクラブラン酸とAmoxicillin間の薬物速度論的相互作用は認められなかったが, Penamaldicacidの排泄率は単独投与時に比べて有意 (危険率5%) に減少していた。
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斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 上村 裕樹, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 佐藤 清, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 木下 与四男
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
125-143
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL25000はAmoxicillim (AMPC) とβ-lactamase阻害剤のClavulanic acid (CVA) の2:1の合剤である。本剤の抗菌力を, 臨床分離の
Staphylococcus aueus, Eschericha coli, Klebsiella pnmoniae, Proteus sp., Bacteroides fragilisなどについてAMPCを対照にして行なったところ, いずれも抗菌力の増強が認められた。
健康成人6名に本剤375mgおよび187.5mgを経口投与し, AMPC, CVAの血中濃度の推移および尿中排泄をみた。血中濃度はAMPCで最高5.6と25μg/ml, CVAで3.1と1.4μg/mlであった。尿中排泄率は8時間でAMPCは67.0と64.6%, CVAは46.0と46.9%であった。血中濃度, 尿中濃度ともに, 両剤の比率は投与量の比率を保っていた。
内科的感染症45例に本剤1日375mgを3~4回投与し, 臨床効果をみた。著効21例, 有効18例, やや有効3例, 無効3例で有効率は87%であった。副作用として胃腸症状を3例に認めた。またGPT上昇2例, 好酸球増多1例が認められた。
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長浜 文雄, 安田 悳也, 中林 武仁, 小六 哲司, 斎藤 孝久, 安塚 久夫
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
144-151
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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じん肺症, 甲状腺機能低下症兼糖尿病, 潜在性梅毒兼肺線維症などの基礎疾患があり, その治療経過が長期にわたっていた慢性気管支炎9名 (年齢: 50~59歳2, 60~69歳4, 70~79歳3, 男8, 女1), 慢性汎細気管支炎1名 (41歳, 男) およびやや重症な急性気管支炎1名 (31歳, 女) の計11名差患者を対象に合計20症例のBRL 25000治療を実施した。使用量および使用期間 (使用総量) は1回1錠, 1日3回毎食後服用, 7~8日間 (総使用量7.875~9.0009) 10例, 14日間投与 (15.75g) 1例, 1回1錠, 1日4回, 毎食後ならびに就寝前服用 (10.5g) 2例, 1日3回毎食後服用7日間 (15.75g) 1例, 14日間 (31.5g) 4例, 21日間 (47.25g) および28日間 (63.0g) 各1例であった。
これらの臨床的効果は73.7%(14/19), 喀痰細菌の除菌率52.9%(9/17), みるべき副作用はなく, 本剤治療の有用性は全例に認められた。
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武部 和夫他
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
152-167
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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フリー
臨床分離のβ-lactamase産生コアグラーゼ陰性ブドウ球菌51株に対するBRL25000のMICをAmoxicillinと比較した。その結果51株中47株でBRL25000がAmoxicillinよりMICが2管以上優れており, 27株で6.25μg/ml以下の感性側に分布した。
BRL25000の血中濃度および尿中排泄を調べるため, 健康成人男子5名に同一条件下で本剤375mgを空腹時, 非空復時にそれぞれ1回経口投与した。空腹時投与時の血中濃度のピークはAmoxicillinで2.90μg/ml (1.5時間), Clavulanic acidで1.91μg/ml (1時間), 尿中濃度のピークはAmoxicillinで269.4μg/ml (2~4時間), Clavulanic acidで94.8μg/ml (0~2時間), 6時間までの尿中回収率はAmoxicillinで66.0%, Clavulanic acidで32.8%であった。非空腹時投与の血中濃度のピークはAmoxicillinで3.25μg/ml (1.5時間), Clavulanic acidで1.89μg/ml (1.5時間), 尿中濃度のピークはAmexicillinで462.2μg/ml (0~2時間), Clavulanic acidで131.6μg/ml (0~2時間), 6時間までの尿中回収率はAmoxicitlinで49.5%, Clavulanic acidで29.0%であった。
臨床効果についてはBRL25000を内科的感染症44例に使用した。急性膀胱炎16例では著効9例, 有効7例, 急性腎盂腎炎7例では著効3例, 有効4例, 慢性膀胱炎5例では有効3例, 無効2例, 慢性腎盂腎炎では2例ともに有効, カテーテル留置尿路感染症7例では3例有効, 4例無効で尿路感染症の有効率は83.8%(31/37) であった。呼吸器感染症としては肺炎など7例で, 有効6例, やや有効1例で有効率85.7%(6/7) あった。全体の有効率は84.1%であった。尿路感染症37例中Amoxicillin耐性菌が20例にみられ, 14例が
E.coli, 4例が,
K.pneumoniae, 1例が
K.oxytocaなどであったが, BRL25000による有効率は80.0%であった。
副作用としては下痢が3例, 悪心, 眩暈が各々1例, 発疹が1例にみられた。発疹以外は本剤を中止することなく投与が可能であった。臨床検査値の異常はみられなかった。BRL25000は内科的感染症に対して優れた効果を示し, 特にAmoxicillin耐性菌にも有効であった。副作用も少なく, 臨床検査値の異常もなく, 安全な抗生物質である。
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荒井 澄夫, 小西 一樹, 西岡 きよ, 滝島 任
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
168-175
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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新しいβ-lactamase阻害剤Clavulanic acidを含有するBRL25000について抗菌力および臨床使用から次の成績を得た。
1) 抗菌力: 呼吸器感染症患者の喀痰から分離された菌株についてMICを測定し,
H.influenzaeに対し強い抗菌力を有するとともにAmoxicillin耐性菌に対しても低いMICを示した。また
K.pneumoniaeに対しても強い抗菌力を示した。このことからClavulanic acidが細菌の産生するβ-lactamaseを阻害し, β-lactam系抗生物質の抗菌力を発揮させると考えられた。
2) 臨床成績: 慢性呼吸器感染症14例について本剤を投与し, 検討した。なお, 起炎菌はすべて
H.influenzaeが10
7cells/ml以上喀痰から分離された症例である。効果判定は, 著効6例, 有効4例, やや有効3例, 無効1例であった。β-lactamase産生
H.influenzae感染症3例については全例著効であった。
副作用は下痢, 胃部不快感, 悪心が各1例に認められた。血液, 生化学的検査では全例に異常は認められず, また発疹などの皮膚症状も認められなかった。
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渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 佐々木 昌子, 青沼 清一, 大沼 菊夫, 今野 淳
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
176-183
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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β-lactamase阻害剤であるClavulanic acid (CVA) とAmoxicillin (AMPC) およびそれらの1:2の配合剤であるBRL25000の3剤について各種臨床分離株に対する抗菌力を検討するとともに, BRL25000の呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
黄色ブドウ球菌と大腸菌のAMPC耐性株および肺炎桿菌のほぼ全株においてCVAの併用によるAMPCの抗菌力の著明な増強が認められた。エンテロパクター, セラチア, 緑膿菌においてはCVAの併用によるAMPCの抗菌力の増強は小さかった。
呼吸器感染症5例 (肺炎1例, 気管支拡張症2次感染1例, 肺癌2次感染3例) に対するBRL25000の臨床効果は著効2例, 有効2例, 無効1例であった。5例中4例で喀痰から起炎菌を分離し, BRL25000の投与により3例で菌消失が得られた。副作用として下痢を1例に認めた。
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中野 昌人, 神崎 玲子, 早川 正勝, 安達 正則, 河合 美枝子, 今高 國夫, 滝塚 久志, 岡山 謙一, 勝 正孝, 野瀬 信子, ...
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
184-190
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
AmoxicillinとClavulanic acidとの231の合剤であるBRL25000を呼吸器感染症5例と尿路感染症12例, 合計17症例に投与し, その臨床効果を検討した。
症例別では呼吸器感染症4例中3例, 尿路感染症12例中8例, 合計16例中11例に有効であった。
菌別では,
E.coli 7株中6株,
H.parainfluenzae 3株中1株が消失し, 有効であった。
Klebsiella感染に有効な2例ではBRL25000はAmoxicillin単独にくらべ明らかに抗菌力の増強を示していた。
副作用と思われるものに, 自覚的に「めまい」1例, 眠気と嘔気を訴えるもの1例, 臨床検査値では, BUN, クレアチニンの軽度上昇がみられたもの1例のみであった。
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国井 乙彦, 小松 喬, 渡部 迪男, 西谷 肇, 中辻 理子, 小原 博, 平山 雅清, 三輪 史郎
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
191-197
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいβ-lactamase阻害剤Potassium clavulanate (CVA) とAmoxicillin trihydrate (AMPC) の合剤であるBRL25000について検討を加えた。
臨床材料から分離した諸種グラム陰性桿菌101株の本剤に対する感受性を測定した。
E.coli 49株に対するAmoxicillinのMICは12株が12.5μg/mlで一つのピークをなしているが28株が200μg/ml以上であった。BRL25000のMICは28株において12.5~25μg/mlであり, Amoxicillin耐性株の多くが本剤に対し好感受性であった。
Klebsiella 16株においても同様の傾向がみられ, AmoxicillinのMICが200μg/ml以上の14株中10株においてBRL25000のMICが12.5μg/ml以下であった。その他
Proteus vulgaris, P.mirabilisなどでも類似の傾向がみられた。
Pseudomonas aeruginosaではほとんどすべての株がAmoxicillinおよびBRL25000にMICが200μg/mlまたはそれ以上の耐性を示した。
高速液体クロマトグラフィによるAmoxicillinとClavulanic acidの分離定量を試み, 水溶液については可能であるが, 尿, 血清などの生体試料については種々検討を加えたが不充分の点があり今後さらに検討を要する。
臨床的には急性腎盂腎炎2例, 急性膀胱炎1例, 慢性膀胱炎1例, 気管支肺炎1例に使用し, 著効3例, 有効1例, やや有効1例で, 菌消失3例, 減少1例であった。1例で一過性にGOT, Al-Pの軽度上昇がみられたがそれ以外には特別の副作用は認められなかった。
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上田 泰, 斉藤 篤, 嶋田 甚五郎, 大森 雅久, 柴 孝也, 山路 武久, 井原 裕宜, 北條 敏夫, 加地 正伸, 三枝 幹文, 宮原 ...
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
198-215
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Amoxicillinとβ-lactamase阻害剤であるClavulanic acidとの合剤であるBRL 25000について抗菌力, 血中濃度, 尿中排泄, 臨床効果などを検討し, 以下の成積をえた。
臨床分離の
Eschsrichia coli, Klebsiella pneumoniae, Prateusa mirabilis, indole Positive Proreus属などに対するBRL 25000の抗菌力はAmoxicillinより2~3段階優れ0特にAmoxicilhnに100μg/ml以上のMICを示す菌株に本剤は3.13~25μg/mlと低いMICを示す傾向が認められた。一方,
Enterobacter属,
Serratia marcescensに対する本剤の抗菌力はAmexirillinとほぼ同等であった。
健康志願者に空腹時にBRL 25000 375mg 1回内服後のAmoxiCitiin, Clavutanic acidの血中濃度のpeakは1.5時間にあり, それぞれ4.05±0.74, 2.79±0.66μg/mlに達し以後それぞれのT
1/2は0.81±0.17, 0.65±0.16時間で減少した。内服後6時間までの尿中回収率はそれぞれ54.9±4.0, 24.1±10.2%であり, 本剤の血中濃度は高く, 尿中排泄も良好であった。
急性扁桃腺炎1例, 尿路感染症12例の計13例にBRL 25000を1日3~4錠, 2~19日間使用した。臨床効果を判定しえた10例中著効3例, 有効4例0やや有効1例, 無効2例の成績をえた。
副作用として2例にskin rashを認めたが, その他には重篤な副作用は特に認めなかった。
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小林 宏行, 高村 光子, 武田 博明, 河合 伸
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
216-221
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
慢性閉塞性疾患の感染性再燃例12例, 肺炎6例に対してBRL25000による臨床効果を検討した。
その結果, 前者で12例中有効6例, 後者で6例中有効5例との成績を得た。
また, 本対象例を, 本剤初回投薬例と前投薬抗生剤 (主としてAMPC) 無効例について層別した場合, 前者で8例中有効7例, 後者で10例中有効4例との成績を得, 特に前投薬抗生剤無効例において本剤に変更して4例の有効例 (40%) がみられたことは注目すべき事実と考えられた。
また, 副作用として, 胃部不快感, 発疹がそれぞれ1例ずつみられた。
以上より, 本剤は, 呼吸器下気道感染症に対しての有用性が示唆され, 今後充分検討するに価値ある薬剤と考えられた。
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山岡 澄夫, 山根 至二, 真下 啓明
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
222-225
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Clavulanic acidとAmoxicillinの合剤である新抗生剤BRL25000を9例に投与し, 臨床的検討を行なった。投与法は, 1日3錠 (1錠375mg) を毎食後分3で内服し, 投与期間は3~11日間であった。ただし1例は1日6錠分3を3日間内服し, ついで4錠分4で4日間投与した。
臨床的効果は肺炎著効1例, 急性気管支炎著効, 有効, やや有効各1例, 急性腎盂腎炎無効1例, 慢性膀胱炎著効, 有効, やや有効, 無効各1例の成績であった。副作用として1例に嘔気を認めたが, 投与量減少に伴い嘔気は消失し, 継続投与が可能であった。臨床検査値異常は認めなかった。
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中川 圭一, 渡辺 健太郎, 小山 優, 横澤 光博
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
226-232
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL25000はAmoxicillin trihydrate (AMPC) とPotassium clavulanate (CVA) の2:1の合剤であり, 本剤1錠中にはAMPC 250mgとCVA 125mgが含有されている。CVAは英国ビーチャム研究所で開発されたβ-lactamase阻害剤である。
臨床分離のβ-lactamase産生の
Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeのAMPC耐性菌について本剤の抗菌力を検討したところ, 明らかに大部分の株の本剤に対するMICは低く感受性を示し, CVAがβ-lactamase阻害剤となっていることが証明された。
BRL25000とAMPC単独を健康成人男子12名に, それぞれ経口投与した血清中濃度と尿中回収率をcross over法で測定した。BRL25000中のAMPCとAMPC単独の血清中濃度はほぼ同じであり, AMPCとCVAの合剤でもAMPCはCVAの影響は受けていなかった。
臨床成績よりみれば気管支拡張症2症例については有効例がみられなかったが, 急性気管支炎, 扁桃炎および膀胱炎などの軽症感染症に対しては21例中15例が有効であり, また軽症とはいえ急性肺炎3例についても有効であった。副作用もなく本剤は中等度以下の感染症に対する有用な薬剤と考えられる。
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島田 馨, 稲松 孝思, 浦山 京子, 上条 仁子
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
233-238
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
AmoxicillinとClavualanic acidの合剤であるBRL25000を尿路感染症9症例11事例に使用した。敗血症を伴った腎盂腎炎1例は著効, 腎盂腎炎2例は1例著効1例有効, 膀胱炎8例中著効, 有効がそれぞれ2例, やや有効4事例であった。11事例のうちABPC耐性菌感染が8事例あり, 著効1, 有効3, やや有効4であった。やや有効例は膿尿の改善はみたが, 尿の無菌化に成功しなかった例で, BRL25000投与後も尿中に残存した菌は
Candida, P.aeruginosaのほか
Klebsiella, Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Proteus rettgeriが各1株ずつと,
Proteus morganiiの3株であった。
ABPC耐性グラム陰性桿菌184株のBRL25000感受性をディスク法で検討すると
Klebsiellaは30株中26,
E.coliは53株中38,
Proteus vulgarisは18株中14株がBRL25000に感受性を示したが,
Enterobacter, Serratia marcescens, Proteus morganiiは全株がBRL25000にも無効であった。
また臨床分離株196株中190株はβ-lactamase産生菌であった。
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関田 恒二郎, 高橋 久雄, 小林 芳夫, 藤森 一平
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
239-245
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL25000を呼吸器および尿路感染症の37例に使用したので, その臨床成績について報告する。投与法: 1日量3錠または4錠を経口投与し, 投与日数は4日から7日間であった。
成績: 呼吸器感染症28例では急性扁桃炎6例中3例有効, 急性咽頭炎7例中4例有効, 急性気管支炎15例中1例著効, 9例有効で, 計著効1例, 有効16例で, 有効率は63.0%であった。また尿路感染症9例では, 急性膀胱炎4例中1例著効, 2例有効, 急性腎盂腎炎5例中2例著効, 3例有効で, 計著効3例, 有効5例, 有効率は100%であった。計37例中著効4例, 有効21例, やや有効3例, 無効7例, 効果不明2例で, 有効以上の有効率は71.4%であった。
分離菌別除菌効果: 呼吸器感染症では,
H.parahaemolyticus 1株,
K.pneumoniae 1株,
H.influenzae 1株がそれぞれ除菌された。尿路感染症では,
E.coli 5株全株,
Proteus sp.1株,
Enterobacter sp.1株, グラム陽性
Micrococcus 2株の全株, グラム陽性桿菌1株, 腸球菌1株がそれぞれ除菌された。
急性腎盂腎炎の1例から分離されたABPC耐性の
E.coliは, BRL25000に対して25μg/mlというMICを示し, 除菌された。
副作用: 嘔気, 心窩部不快感, 下痢が各1例に認められたが, 投与中止例はなかった。
24例について投与前後の末梢血, 肝機能 (GOT, GPT, Al-P), 腎機能 (クレアチニン, BUN) を調べたが, 本剤によると思われる検査値異常は認められなかった。
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伊藤 章, 進藤 邦彦, 福島 孝吉, 神永 陽一郎, 佐藤 芳美, 崎山 典子
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
246-253
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
われわれは, 呼吸器感染症13例, 尿路感染症1例, その他の1例の計15例について臨床効果を検討した。
著効2例, 有効7例, やや有効2例, 無効3例, 判定不能1例で, 有効率は64.3%(9/14) であった。
慢性気道感染症では, 8例中6例が著効もしくは有効で, 有効率75%と優れていた。
全体をみてみると,
P.aeruginosaの分離されない例では, 10例中9例が有効以上の臨床効果を示した。
なお, 副作用としては, 軽度の消化器症状が3例認められた。また, 本剤によると思われる臨床検査値への影響はみられなかった。
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松本 文夫, 黒須 義宇, 小林 千鶴子, 高橋 孝行, 杉浦 英五郎, 平林 哲郎, 森田 雅行, 武富 和則
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
254-262
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
BRL25000について抗菌力.吸収. 排泄・臨床効果など検討し, 以下のような成績を得た。
1.本剤の臨床分離
S.aureus, E.coli, K.pneumoniae, P.mirabitisに対する感受性分布は, それぞれ0.39μg/ml, 6.25μg/ml, 3.13μg/ml, 0.78μg/mlにpeakがあって極めて良好な感受性を示した。
2.本剤750mgを健康成人4名に早朝空腹時および食後30分, 150mlの水で服用させたときの血中濃度は, 早朝空腹時使用では服用後1.5時間にpeak値がみられ, Amoxicillin (AMPC) は4.37μg/ml, Clavulanic acid (CVA) は4.19μg/mlの値であった。また食後服用時のそれは2時間にAMPCのpeak値があり, 3.15μg/ml, CVAは3時間にpeak値がみられ, 1.93μg/mlの値が得られた。AMPCとCVAのratioは2時間値で1.8で空腹時のそれより大きかった。尿中濃度は空腹時使用では, Amoxicillinは1,125μg/ml, Clavulanic acidは455μg/mlのともに2~4時間に最高値が得られ, 6時間までの尿中回収率は, それぞれ59.0%, での尿中回収率は72.5%と24.3%であった。
3.内科系感染症のうち, 主として急性扁桃炎 (6), 急性気管支炎 (4), 慢性気管支炎 (1), 急性膀胱炎 (14) など軽症例計25例に本剤を1日4~8錠使用したところ, 急性扁桃炎は著効3, 急性気管支炎は著効2, 慢性気管支炎は有効1であり急性膀胱炎のそれは著効7, 有効7例であった。またAmoxicillinあるいはAmpicillinが無効であった症例で, 本剤により有効以上の結果を得た症例が5例に認められた。副作用については, みるべきものは認められなかった。
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金沢 裕
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
263-268
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
1) 臨床分離株21株についてAmoxicillin, Clavulanic acid, BRL 25000 (Amoxicillin 2: Clavulanic acid 1) に対するMIC, ディスク法における阻止円直径, およびディスク法によるAmpicillin不活化能測定成績との関係を検討した。その結果は不活化陽性株数/検索株数で示すと,
S.aureus 0/1,
E.coli 4/10,
K.pneumoniae 4/4,
K.oxytoca 1/1,
E.cloacae 1/1,
P. vulgaris1/1,
P.morganii 0/1,
P.aeruginosa 1/1であった。不活化陽性を示した13株中
P.aeruginosaの1株を除いてMICの低下, ディスク法阻止円の増大のいずれからもAmoxicillinに対する感受性の復活がみられた。
2) 臨床的に9症例にBRL 25000を用いた。
E.coli (Ampicillin, Amoxicillin耐性の3株を含む) による単純性膀胱炎の5例 (Talampicillin, Amoxicillin前投与無効の各1例を含む), および
E.coliによる膀胱炎+副睾丸炎の1例, ならびに肺炎球菌による気管支肺炎の1例, A群溶連菌による腺窩性扁桃炎1例そして急性リンパ管炎 (起炎菌不明) 1例, 以上9例に投与し, 全例著効ないし有効であった。
副作用として1例に発疹がみられた。その他の8例については, 本剤投与後とくに異常傾向を示したものはなかった。
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澤田 博義, 三浦 賢佑, 木下 良太, 小西 博, 臼井 忠男, 和泉 洋一郎, 石倉 浩人, 内野 治人, 小西 明美
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
269-272
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Amoxicillin (AMPC) とClavulanic acid (CVA) の合剤であるBRL25000を尿路感染症9例, 肺感染症3例, 尿路感染症と下痢の合併症1例, 計13症例に投与し, 著効4例, 有効6例, やや有効2例, 効果判定不能1例の結果を得た。尿路感染症と下痢の合併症例は, 尿路感染症に対して有効, 下痢に対しては無効であった。
本剤はAMPC耐性の
E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilis, E.cloacaeなどによる感染症に, 優れた細菌学的, 臨床的効果を示した。
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大久保 滉, 岡本 緩子, 上田 良弘, 前原 敬悟, 間瀬 勘司, 米津 精文
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
273-291
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Amoxicillin (AMPC) とClavulanic acid (CVA) を211に配合したBRL25000について基礎的・臨床的に検討した結果, 次のような結論を得た。
1) 抗菌力:
S.aureusはほとんどの株が3.1μg/ml以下,
E. coliでは0, 8~50μg/ml,
Klebsiellaは0.05μg/ml以下のものもあって, 3.1μg/mlを中心に50μg/mlより小さいMICであった。
P.mirabilisでは, ほとんどすべてが12.5μg/ml以下のMICであった。この他, 他のグラム陰性桿菌にも耐性菌が少なく, Cephalexin (CEX) と同等以上の抗菌力を示した。
2) 血中濃度, 尿中排泄: 健康成人にBRL25000の750mgを空腹時および食後に投与 (Cross over法) し, その濃度推移を測定したところ, AMPCの血中濃度のピークは2時間後にあり, 食事の影響はわずかであった。一方, CVAの血中濃度のピークは1時間後にあり, 食事により低下の傾向を示した。
尿中回収率はAMPCでは食後投与で空腹時投与より増加していたが, CVAは逆であった。
3) 臨床効果: 本剤を35例に投与し, 有効率は呼吸器感染症で77.8%(14/18), 尿路感染症で100%(7/7), その他の感染症には77.8%(7/9) で, 全体的には82.4%(28/34) であった。
副作用としては, 悪心.嘔吐による投与中止が1例, 悪心・食欲不振が1例みられた以外, 特記すべきものはなく, 臨床検査所見にも特に本剤に起因すると考えられる変化はなかった。
以上の成績から, BRL25000は優れた内服抗生剤と考えられた。
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三木 文雄, 高松 健次, 河野 雅和, 別府 敬三, 久保 研二
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
292-295
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-ラクタマーゼ阻害剤Potassium clavulanateとAmoxicillinの配合剤であるBRL25000の有効性と安全性を検討する日的で, 8例の呼吸器感染症に1回1錠 (Amoxiciliin250mg+Clavulanic acid 125mg) ~2錠宛, 1日3~4回経口投与した結果, 著効1例, 有効4例, 無効1例, 判定不能2例の臨床効果を収めた。副作用として8例中5例に悪心, 嘔吐, 下痢などの消化器症状が認められ, うち3例は投与中止を余儀なくされた。BRL25000投与に伴う臨床検査値異常は認められなかった。
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澤木 政好, 中野 博, 辻村 みち子, 伊藤 新作, 三上 理一郎, 播金 収, 増谷 喬之, 石井 勇次, 大堀 真知子, 桜木 麗子
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
296-303
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase阻害剤であるClavulanic acidとAmoxicilliaの1:2の合剤であるBRL25000を呼吸器感染症に使用し, その有効性を検討した。
対象は, 慢性下気道感染症17例, 肺炎1例, 肺化膿症1例, 急性気管支炎1例の計20例である。起炎菌の検索を17例について経気管吸引法で行ない, その検出菌は
H.influenzae 5例,
S.pneumoniae 4例,
H.parainfluenzae 2例,
B.catarrhalis+
S.marcescens 2例,
B.catarrhalis+
K.pneumoniae 1例,
S.aneumoniae+
H.influenzae 1例,
S.pneumoniae+
H.parainfluenzae1例,
S.pneumoniae+
Propionibacterium 1例であった。喀出痰より起炎菌を推測した3例では,
S.pneumoniae 1例,
H.parainfluenzae 1例および
H.influenzae+
Peptostreptococcus 1例であった。
臨床効果は, 20例中著効9例, 有効8例, 無効2例, 判定保留1例で, 有効率は89%であった。無効の慢性下気道感染症2例では,
H.influenzaeが1例に, また
B.catarrhalis+
S.marcescensが1例に検出された。他の抗生剤が無効の3例では, 全例BRL25000が有効であった。
副作用として, 消化器症状が2例にみられた。
以上の結果より, BRL25000は呼吸器感染症に有用な化学療法剤になり得ると思われる。
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副島 林造, 二木 芳人, 川西 正泰, 松島 敏春, 沖本 二郎, 中浜 力
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
304-313
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase inhibitorであるClavulanic acid (CVA) とAmoxidllin (AMPC) との1:2の配合剤であるBRL25000について基礎的・臨床的検討を行なった。患者由来の
Staphylococcusaureusに対するBRL25000の抗菌力は, AMPC単独の場合に比べ優れたMICを示し, 殆んどの株が6.25μg/ml以下の濃度で発育阻止された。さらに
E.coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus vulgarisに対してもBRL25000は明らかにAMPC単独に比べて優れた抗菌力を示した。
Haemophilus influenzae, Proteus mirabilis, Acinetobacterに対しては, AMPC単独の場合とほぼ同等の抗菌力を示したが, β-lactamase産生の
Haemophilus influenzaeに対しては, 明らかにAMPC単独よりは優れたMICを示し, すべて0.78μg/ml以下の濃度で発育阻止が認められた。しかし
Proteus morganii, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepaciaでは殆んどの株が本剤に対して, 100μg/ml以上のMICを示した。
本剤375mgを朝食前空腹時に内服した場合の血中濃度は, AMPC, CVAともに2時間後に最高値を示し, それぞれ平均4.70, 2.44μg/mlであった。以後4時間値1.66, 1.04μg/ml, 6時間値0.54, 0.28μg/mlであった。同時に測定した6時間までの尿中排泄率は, AMPCで47.4%, CVAで25.8%であった。
呼吸器感染症21例, 尿路感染症2例に, 本剤1日3~4錠を2~15日間使用した結果, 著効島有効11, やや有効3, 無効6, 判定不能1例の成績であった。1例で軽度の嘔気食欲不振, 1例で嘔気嘔吐を認め, うち1例は投与中止したが, それ以外には副作用ならびに臨床検査値の異常も認められず, 臨床的に有用な薬剤であると考えられた。
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西本 幸男, 山木戸 道郎, 渡辺 隆, 桑原 正雄
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
314-318
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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AmoxicillinとClavulanic acidの金剤であるBRL 25000の臨床的検討を行なった。
呼吸器感染症18例に本剤を1日750-1,500mg (2-4錠), 5-17日間経口投与し著効8例, 有効6例, やや有効3例および無効1例の成績が得られた。有効以上をとった有効率は77.8%(14/18) であった。
臨床検査成績では本剤投与後S-GPTの軽度上昇1例およびAl-PとBUNの軽度上昇1例がみられたが, 自覚的な副作用は全例で認められなかった。
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沢江 義郎, 岡田 薫, 福島 正孝, 柳瀬 敏幸
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
319-337
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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Amoxicillin (AMPC) とClavulanic acid (CVA) との2:1の合剤であるBRL 25000について基礎的・臨床的検討を行なった。
臨床分離菌に対するBRL 25000のMICが12.5μg/ml以下の占める割合は,
S.aureus 84%(16/19),
S.faecalis 100%(19/19),
E.coli 67%(20/30),
K.pneumoniae 82%(27/33),
Enterobacter sp.5%(1/20),
S.marcescens 1%(3/226),
Proteus sp.60%(9/15),
P.aeruginosa 0%(0/8), ブドウ糖非醸酵菌43%(3/7) であった。また, 1濃度ディスク法による薬剤感受性検査でも, ほぼ同様の感受性分布が認められた。しかも,
S.aureus, S.epidermidis, E.coli, K.pneumnoniae, Proteus sp.,
Acinetobacter sp.ではAMPCとCVAの相乗効果が明らかであった。
BRL 25000を375mg服用したときの血中濃度は, AMPCが服用後1.5時間に約3μg/mlのピークとなり, 半減時間が約1.2時間であるのに対し, CVAは1時間後に約1.3μg/mlのピークとなり, 半減時間は約0.9時間であった。また, 半量の187.5mg錠剤を2錠服用した場合に吸収が良好となる傾向にあったが, 有意差のあるものではなかった。このときの尿中回収率は8時間後までに約AMPCが60%, CVAが20%であった。
呼吸器感染症33例, 尿路感染症3例, 胆道感染症1例にBRL 25000を1日0.75~2.25g, 1~35日間使用したときの有効率はそれぞれ73%, 100%, 0%であった。副作用として消化器症状, 口角炎, 発疹などが8例 (22%) に認められ, GOT, GPTの上昇が1例に認められた。
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山口 恵三他
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
338-348
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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英国ピーチャム社によって新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるClavulanic acid (CVA) とAmoxicihin (AMPC) との1:2の配合剤であるBRL25000について, 基礎的・臨床的検討を加えた。
臨床分離株の
Haemophilus infiuenzae 97株に対する本剤の最小発育阻止濃度は0.78μg/mlにピークが認められ, AMPCに比べ1管ほど高かったが, Cefotetan, Erythromycin (EM) よりは低かった。Amoxicillin耐性株に対しても本剤はすべて1.56μg/ml以下でその発育を阻止した。
Bacteroides fragilisこ対しては, 対照としたLincomycin (LCM), Cephalexin (CEX) に比べ極めて優れた抗菌力を示し, すべての株が6.25μg/ml以下で阻止された。
本剤の375mgおよび750mg投与時のAmoxicitlinの最高血中濃度の平均値は, それぞれ4.00μg/mlと7.17μg/mlであり, Clavulanic acidのそれは, それぞれ1.20μg/mlと3.03μg/mlであった。喀痰中のAmoxicillin濃度は375mg投与の際は極めて低く, 750mg投与時には3~4時間目の喀痰から0.11μg/mlが検出された。Clavulanic acidは750mg投与においても痕跡程度であった。しかし喀痰中にβ-lactamase活性が認められた症例にAmoxiciHinを単独で投与した場合とClavulanic acidを同時に投与した場合の喀痰中のAmoxicillin濃度を測定したところClavulanic acidによるβ-lactamase阻害効果が
in vivoにおいても認められた。
本剤の呼吸器感染症13例における臨床効果は, 著効2例, 有効9例, やや有効1例, 無効1例で, 有効率は84.6%であった。
副作用はBUNおよびクレアチニンの軽度上昇が1例に認められた。
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松本 慶蔵, 宍戸 春美, 高橋 淳, 原田 知行, 力富 直人, 永武 毅, 宇塚 良夫, 渡辺 貴和雄, 長野 準, 小山田 正孝, 工 ...
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
349-357
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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BRL25000は, 経口投与後吸収良好なAmpicillin (ABPC) 誘導体Amoxicillin (AMPC) とβ-lactamase阻害剤Clavulanic acid (CVA) とを2:1に配合した経口投与β-lactam合剤である。私どもは呼吸器感染症19例 (慢性気管支炎7例, 気管支拡張症7例, 慢性細気管支炎4例, 肺膿瘍1例) に対し, BRL25000 750mg×3/日または375mg×4/日の経口投与を行ない, 本剤の有用性を検討した。
H.influenzae 10株 (うち1株はβ-lactamase産生菌),
S.aureus 5株 (うち2株はβ-lactamase産生菌), および
S.pneumoniae 1株が起炎菌 (または起炎菌の一部) となった15症例において, これら3菌種の起炎菌はすべて消失した。一方,
K.pneumoniae 2株は本剤投与により菌数は減少したが消失せず, また
P.aeruginosa 2株は菌数に変動はなかった。これらの起炎菌の消長は臨床効果と完全に一致した。即ち, 著効1例, 有効15例, やや有効3例 (有効率84.2%) で, やや有効はすべて後者の2菌種が起炎菌の症例であった。19例中2例に一過性の軽度肝機能異常が認められた。1例に一過性かつ軽度の嘔気, 食欲不振が出現した。しかしいずれも重篤ではなく, 本剤継続投与に支障をきたすものではなかった。
本剤の有効性, 特にβ-lactamase産生菌の関与する場合の利点, および安全性の成績に基づき, BRL25000は呼吸器感染症に対する極めて有用な経口投与β-lactam剤であると結論される。
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中山 一誠, 秋枝 洋三, 田島 華陽, 川口 広, 川村 弘志, 石山 俊次
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
358-378
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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BRL25000について基礎的, 臨床的検討を行なうた。抗菌スペクトルはAMPCよりさらに幅広く, 特にpenicillinase産生
S.aureus, S.epidermidis, E.coli, P.mirabilis, K.pneumoniae, および
B.fragilisに対しても優れた抗菌力を示す。血中, 尿中濃度を健康成人3名にcross overにて空腹時および食後に375mgを経口投与し,
M.luteus ATCC 9341株を検定菌としてAMPCの濃度を, また
K.pneumoniae ATCC29665株を検定菌としてCVAの濃度をBioassayにより測定した。空腹時投与群ではAMPCの濃度は投与後1時間でピークとなり平均3.0μg/ml, CVAは同様に1時間でピークとなり平均1.5μg/mlの濃度を示した。尿中濃度はAMPCでは投与後2時間にピークとなり平均992μg/ml, CVAは同様に2時間でピークとなり平均172μg/mlの濃度を示し, 6時間までの平均尿中回収率はAMPC47.7%, CVA16.3%であった。
食後投与群では, AMPCの濃度は投与後1.5時間でピークとなり4.1μg/ml, CVAは1時間でピークとなり1.01μg/mlの濃度を示した。尿中濃度はAMPCでは投与後1時間でピークとなり平均1,103μg/ml, CVAは2時間でピークとなり平均79.3μg/mlの濃度を示し, 6時間までの平均尿中回収率はAMPC 48.6%, CVA 16.7%であった。
上述の血中濃度をone compartment methodにより薬効力学的検討を行なった結果, 空腹時投与群におけるAMPCの
Ka (hr.
-1);3.38,
Kel (hr.
-1): 0.598, T
1/2は1.78時間,
Vdは48.3
l, T-maxは0.623時間, C-maxは3.56μg/ml, AUCは8.65 (μg/ml)・hr.の値を得た.CVAは
Ka: 3.33,
Kel: 0.56,
T1/2: 1.87時間,
Vd: 49.5
l, T-max: 0.642時間, C-max: 1.76μg/ml, AUC: 4.48 (μg/ml)・hr.の値を得た。食後投与群におけるAMPCの
Ka: 3.37,
kel: 0.441,
T1/2: 2.27時間,
Vd 51.3
l, T-max 0.694時間, C-max 3.59μg/ml, AUC: 11.05 (μg/ml)・hr.の値を得た。CVAは
Ka: 3.17,
kel: 0.382,
T1/2: 2.57時間,
Vd: 84.5
l, T-max: 0.758時間, C-max: 1.11μg/ml, AUC: 3.87 (μg/ml)・hr.の値を得た。
臓器内濃度は, SD系ラットに50mg/kg経口投与した成績では, AMPC, CVAともに腎, 肝, 肺, 脾, 血清, 心の順であった。
TLCおよびBioautogramを用い人尿における生体内代謝を検討した結果, AMPC, CVAともに生体内では代謝されないことを証明した。臨床成績については外科感染症50症例に本剤を使用し著効4例, 有効40例, やや有効1例, 無効5例で有効率88.0%であった。
副作用について自覚的, 他覚的に特に障害となる副作用は認められなかった。
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由良 二郎, 品川 長夫, 石川 周, 高岡 哲郎, 早川 義秋, 三宅 孝, 中村 明茂
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
379-386
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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経口用のAmoxicillinとβ-lactamase阻害剤の合剤であるBRL25000について, 外科領域における基礎的・臨床的検討を行ない次の成績を得た。
(1) 抗菌力: 外科病巣分離の
S.auraus, E.coli, KlsbstellaにおいてBRL25000はAmoxicillin (AMPC) 単独またはCephalexinより優れたMICを示し, 特にAmoxicillin耐性菌に優れた抗菌力を示した。
(2) 胆汁中移行: 閉塞性黄疸症例1例においてBRL25000750mgを食後経口投与し, その胆汁中濃度を測定した結果, Clavulanic acid (CVA) およびAmoxicillinの胆汁中最高濃度は0.63μg/mlないし1.44μg/mlと低値を示したが, Clavulanic acidの方がAmoxicillinより吸収および胆汁中移行がやや速い傾向であった。
(3) 臨床使用成績: 外科的皮膚軟部組織感染症21例にBRL25000を使用し, 著効4例, 有効9例, やや有効6例, 無効1例, 不明1例であった。副作用として消化器症状3例, 発疹1例の計4例を認めた。
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酒井 克治, 藤本 幹夫, 上田 隆美, 佐々木 武也, 前田 貞邦, 沢田 滉, 松本 敬之助, 政田 明徳, 森本 穣, 土居 進
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
387-396
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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健康成人1名にBRL25000を375mg投与し, 血清中濃度, 尿中排泄量を測定したほか, 胆汁の採取が可能であった患者6名中, 4名に本剤375mg, 2例に本剤750mg投与後の血清中濃度, 胆汁中濃度を測定した。
健康成人では, 本剤375mg投与後, 血清中濃度は1時間後にピーク値 [Amoxicillin (AMPC) 6.30, Clavulanic acid (CVA) 2.50μg/ml] を示したが, 患者6名ではピーク値はいずれも投与後2~4時間目に現われ, その値は健康成人に比し低かった。
胆汁中濃度のピーク値は2~4時間後にみられ, 750mg投与2例では, AMPC1.4および1.3μg/ml, CVA0.4および0.3μg/ml, 375mg投与の4例では, AMPC1.9~0.8, CVA0.3~0.1μg/mlで, 血清中濃度ピーク値の1/2~1/4であった。
なお, 健康成人1例での尿中累積排泄率は6時間でAMPC81.7%, CVA32.3%であった。
本剤を皮膚・軟部組織感染症33例に使用し著効15例, 有効16例, 無効2例の結果が得られ, 有効率は93.9%であった。
本剤を投与した33例から分離された28株中20株の菌で, 本剤およびAMPCのMIC値を測定した。20株中13株で, AMPCのMIC値に比し本剤のMIC値は1/4以下に低下し, CVAの有用性が認められた。
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山本 泰寛, 山本 博, 志村 秀彦
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
397-401
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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β-lactamase inhibitorのClavulanic acid (CVA) とAmoxicillin (AMPC) 1:2の合剤であるBRL25000についてわれわれは外科領域感染症の11例に使用し, 次のような成績を得た。
11例中基礎疾患として悪性腫瘍をもったものが4例あった。膿瘍6例, 創感染3例, 胆のう炎1例, 尿路感染症1例に対して, BRL25000を1回量375mgを1日3~4回経口的に3~16日間投与し次のような結果を得た。有効8例, やや有効1例と無効1例, 不明1例であった。やや有効1例と無効1例は会陰部膿瘍と腹腔内膿瘍であり, また不明の1例はBRL25000の3日投与により下痢を来たしたため投薬を中止したものである。この症例は胃潰瘍術後の尿路感染症であったが, これを除外すると有効率は80%であった。
細菌学的検索では
E. coli 5株,
E. cloacae,
P. mirabilis,
P. maltophilia,
S. aureus,
S. epidermidis各々1株で計6種10株が起因菌として検出された。投薬後
P.mirabilis,
S. epidermidis各1株が残存したが, 他の菌はすべて除菌された。
副作用は, 下痢を来たした上記の1例のみで胃腸障害, アレルギー様反応などは経験しなかった。
また臨床検査成績においても特に本剤によると思われる異常所見は認められなかった。
以上の成績より外科領域感染症にBRL25000の有用性について満足すべき結果を得た。
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酒井 茂, 熊本 悦明, 西尾 彰, 丸田 浩, 長谷川 昌子
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
402-412
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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新しいβ-lactamase阻害剤Clavulanic acidとAmoxicillin (AMPC) の配合剤であるBRL25000について基礎的・臨床的検討を行ない以下の結果を得た。
(I) 抗菌力 (MIC): MICはBRL25000およびAmoxicillin (AMPC) の両剤について検討した。
E. coliでは, 両剤とも12.5μg/mlにピークを示すものの, AMPcでは2峰性に分布した。BRL25000に対しては, AMPCに対し200μg/ml以上を示した株も100μg/ml以下に分布し, BRL25000がAMPCよりも優れた抗菌力を示した。
P. mirabilis, Indole (+)
Proteus sp.も
E. coliと同様の傾向を示した。
K. pneumoniaeでは全株AMPCに耐性であったが, BRL25000に対しては, これらすべてが100μg/ml以下に分布した。
Enterobacter sp.,
P. aeruginosaは全株が両剤に耐性であったが,
S.marcescensは, AMPC耐性株はBRL25000に対し, MICの低下を示したが, 感受性株では両剤間に差は認められなかった。
(II) 臨床成績: 尿路感染症17例に対する有効率は, 急性単純性膀胱炎9例中, 著効8例, 有効1例で100%であり, 複雑性尿路感染症8例中著効4例, 有効3例, 無効1例で87.5%であった。尿路感染症全体の有効率は94.1%(16/17) であった。臨床分離菌のMICを同時に測定したところ, 有効例では, MICはすべて12.5μg/ml以下 (10
6cells/ml接種菌量) であり, MICと臨床効果に高い相関性が得られた。副作用は1例に胃部不快感および下痢がみられた。
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岡崎 武二郎, 町田 豊平, 小野寺 昭一, 三井 一子, 鈴野 逸雄
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
413-417
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるClavulanic acidとAmoxicillinの合剤のBRL25000について基礎的・臨床的検討を行なった。基礎的検討では, 臨床分離淋菌101株に対するAmpicillinとBRL25000のMIC値を測定し, そのうち68株についてはβ-lactamase活性も検討した。BRL25000はAmpicillinよりも数段階すぐれた抗菌力を示し, 特にAmpicillinのMIC 100μg/ml以上のβ-lactamase産生淋菌を含むAmpicillin耐性淋菌に対しては, 3.13μg/ml以下の低いMIC値を示した。
臨床的検討は, 男子淋菌性尿道炎70症例を対象として行なった。BRL25000の臨床効果は著効33例, 有効36例, 無効1例で有効率は98.6%であった。無効例1例も本剤の倍量継続投与にて治癒した。
副作用は軽度の下痢2例, 顔面紅潮1例であり, 重篤な副作用はなかった。
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中内 浩二, 秋間 秀一
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
418-423
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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β-lactamase阻害作用を持っ抗生物質Clavulanic acidとAmoxicillinの合剤であるところのBRL25000を, 複雑性尿路感染症をもつ高齢者17例の治療に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
臨床総合効果は, 著効3例, 有効7例, 無効4例, 脱落3例で, 有効率は71.4%の高値を示した。細菌学的効果は27株の全起炎菌に対する消失率が85.2%と, やはり高い効果を示した。起炎菌の多くのものに対して, 本剤およびAmoxicillinのMICを測定したが, 測定の対象となった起炎菌の6割以上, グラム陰性桿菌のみをとれば7割以上において, 本剤のMICはAmoxicillinのそれに比べ明らかに低値を示していた。この点こそ, 本剤の目的に適った成績であり, かつ, 好成績を得た原因と考えられた。
副作用は好酸球増多の3例および, 食欲不振の1例が認められたが, 大きな問題となるものではなかった。
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鈴木 恵三
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
424-442
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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新しい経口的抗生物質BRL25000の基礎的検討と尿路感染症に対する治療成績, 安全性に対する検討を行なった。
試験管内抗菌力は被検菌に
E. coliと
Klebsiekkaを用い, 対照薬剤はAmoxicillin (AMPC) を用いた。
E. coli 42株の感受性比較では, AmoxicillinのMICが3.13μg/mlと≧800μg/mlの2峰性の分布を示したのに対して, BRL25000は, 全株で6.25~12.5μg/mlの1峰性の感受性を示した。β-lactamase活性 (ほとんどがTEM型) を有する
E.coli20株では, AmoxicillinのMICは≧800μg/mlの高度耐性であったが, BRL25000ではほとんどが12.5μg/mlの感受性であった。
Klebsiellaに対してもBRL25000の抗菌活性は優れ, Amoxicillinの4~5倍の値であった。
尿路感染症67例に対して治療を行なった成績は, 急性単純性症 (膀胱炎48例, 腎盂腎炎2例) の有効率はUTI薬効評価基準で50例中48例 (96%), 慢性複雑性症で (膀胱炎8例, 腎盂腎炎5例) 13例中11例 (85%) であった。このうち, 単純性膀胱炎でAMPC無効例10に対する成績は10例中9例 (90%) であった。
副作用の検討では, 臨床検査を行なった22例では, すべて投与前後に本剤による影響と思われる異常値をみた例はなかった。自覚的副作用として, 消化器症状4例 (発現頻度5.9%), 発疹2例 (発現頻度2.9%) をみた。このうち投与中止例は発疹2例 (2.9%) であったが, その他は重篤なものはなく, すべて継続投与し中止後無処置で数日内に正常に復した。
BRL25000は既存の合成penicillin剤に比べて, 特にこれらの薬剤に耐性を示す
E.coliや
Klebsiellaに有効であることが, 基礎的, 臨床的検討から確認できた。総体的に安全性にも, 既存の同系薬剤に比べて特に問題となるべき点はないと考えられた。
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岡田 敬司, 村上 泰秀, 木下 英親, 河村 信夫, 大越 正秋
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
443-456
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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Amoxicillin (AMPC) とβ-lactamase inhibitorであるClavulanic acid (CVA) の2:1の合剤であるBRL 25000について基礎的および臨床的検討を行なった。
尿路感染症より分離された菌株についてMICを測定し, 本剤とAMPC, CMZ, CCL, CFTおよびCEDのそれと比較した。その結果, 本剤はAMPC感受性菌に対してはAMPCの抗菌力と差がなかったが, AMPC耐性菌に対しては優れた抗菌力を示した。また, CCL, CFTが接種菌量の影響を受けるのに対して本剤ではそれほどの差はなかった。
臨床的検討として尿路および性器感染症患者57名に本剤を投与し, UTI薬効評価基準による判定を行なった急性単純性膀胱炎29例で100%, 慢性複雑性尿路感染症7例でも100%の有効率であった。起炎菌の消失率は前者で32株中28株 (88%), 後者で10株中10株 (100%) で投与後出現菌としては
Candida sp.が多かった。
また, 淋菌性尿道炎5例についてはいずれも有効以上と判定された。
副作用は57例中9例 (15.8%) にみられたが, 主として消化器症状によるものであった。
以上のことから, 本剤が経口剤であることを考えれば, 尿路感染症に対してかなり有用と思われるが, 副作用発現については注意する必要があるといえる。
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長久保 一朗, 三井 久男, 玉井 秀亀, 青木 清一, 名出 頼男, 藤田 民夫, 浅野 晴好, 置塩 則彦
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
457-466
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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β-lactamase inhibitorであるClavulanic AcidとAmoxicillinとの1:2の配合剤であるBRL25000を38例の尿路感染症に投与し, その臨床的検討を行なった。
急性単純性尿路感染症24例に対して著効15例, 有効7例, 判定不能2例と有効率100%であった。また, 慢性複雑性尿路感染症14例に対しては著効6例, 有効5例, 無効3例と79%の有効率を得た。AMPC耐性と判定された各菌株に対しても優れた細菌学的効果を示した。
副作用として3例に胃腸障害をみたが, 投与を中止することなく軽快した。臨床検査値は11例で検討を行なったが, 全例異常を認めなかった。
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BRL 25000 (Clavulanic acid-Amoxicillin) を用いた基礎的・臨床的検討
兼松 稔, 酒井 俊助, 長谷川 義和, 加藤 直樹, 河田 幸道, 西浦 常雄
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
467-481
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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Amoxicillinとβ-lactamase inhibitorの1つであるClavulanic acidとの合剤として新しく開発された経口剤BRL25000について, 尿路感染症に対する有用性を検討する目的で, 基礎的ならびに臨床的研究を行なった。
1. BRL25000は
Pseudomonas属を除く各種のグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌に対し優れた抗菌力を示した。特に
Penicillin耐性の
Escherichia coliや
Klebsiella pneumoniaeに対しても, 比較的強い抗菌力を示した。
2. β-lactamase産生菌を組み合わせた試験管内混合培養実験において, Amoxicillinを単独投与した場合と本剤を投与した場合の細菌の増殖状態を比較検討したところ, 本剤の方が細菌増殖抑制効果が著しく優れていた。
3. 本剤を健康成人男子3名に対し非空腹時に375mgを経口投与し, 2時間ごとの尿中濃度・尿中回収率を6時間まで検討した。他施設における空腹時投与の成績と比較したところ, 非空腹時の方が尿中濃度・回収率ともに低い値を示した。したがって本剤の尿中排泄は食事の影響を受けやすく, 尿中排泄を高めるためには, 空腹時投与が望ましいように思われた。
4. 28例の慢性複雑性尿路感染症に対し, 本剤を1日量1, 125mg5日間連続経口投与し薬剤の治療効果と安全性とを検討した。28例中24例に効果を認め, 有効率は86%という優れた成績を得た。副作用として, 1例に軽度の食欲不振を認めたにすぎず, 血液生化学的検査値に異常をきたしたものはなかった。なお, これらの症例から得られた尿路感染菌30株について, Amoxicillin, Clavulanic acid, BRL25000の抗菌力およびβ-lactamase産生の有無に関して比較検討を加えた。
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大川 光央, 庄田 良中, 菅田 敏明, 沢木 勝, 島村 正喜, 中下 英之助, 黒田 恭一
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
482-495
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
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BRL 25000は, Amoxicillinとβ-lactamase阻害剤であるClavulanic acidとの2対1の配合剤である。本剤を女子の急性単純性膀胱炎および慢性複雑性尿路感染症に使用し, 臨床効果を中心に検討した。
投薬方法は, 急性単純性膀胱炎22例には1回187.5mg, 急性単純性膀胱炎21例および慢性複雑性尿路感染症38例には1回375mgをそれぞれ1日3回経口投薬し, 効果の判定は原則として単純性では3日間, 複雑性では5日間の投薬終了後に行なった。急性単純性膀胱炎の1回187.5mg投薬群および375mg投薬群の総合臨床効果は, 前者で著効17例 (77%), 有効5例 (23%), 後者で著効15例 (71%), 有効6例 (29%) で有効率はいずれも100%であった。慢性複雑性尿路感染症の総合臨床効果は, 著効16例 (42%), 有効15例 (40%), 無効7例 (18%) で有効率は82%であった。自他覚的副作用として, 下痢2例など計4例, 臨床検査値異常としてGOT上昇3例など計4例が認められたが, 重篤なものは認められなかった。
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彦坂 幸治, 奥平 浩, 荒川 創一, 片岡 陳正, 守殿 貞夫, 石神 襄次
1982 年 30 巻 Supplement2 号 p.
496-506
発行日: 1982/11/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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BRL25000の基礎的・臨床的検討を行なった。BRL25000は, Clavulanic acid (CVA) とAmoxicillin (AMPC) を1:2に配合した薬剤でβ-lactamase産生耐性菌に有効な薬剤である。
1) 血中濃度および尿中回収率: 空腹時投与, 非空腹時投与共にBRL25000を1回量375mgで検討した。血中濃度は, 空腹時でCVAは1.5時間後に2.3μg/ml, AMPCは2時間後に6.3μg/ml, 他方, 非空腹時ではCVAは2時間後に2.1μg/ml, AMPCは1.5時間後に4.5μg/mlとそれぞれピークを示した。尿中回収率は, 6時間後において, 空腹時でCVAは29.4%, AMPCは54.5%, 非空腹時でCVAは35.3%, AMPCは56.8%であった。
2) 抗菌力: BRL25000はAMPCおよびCephalexinよりも
Klebsiella,
Proteus mirabilis, indole陽性
Proteus,
Enterobacter,
Serratiaおよび
Citrobacterに対し, 優れた抗菌力を示した。
3) 臨床成績: 20例の慢性複雑性尿路感染症患者に1日1, 500mgのBRL25000を投与し, 有効率, 60%の結果を得た。特に, 投与前分離菌がβ-lactamase産生菌と判定された4例については, 著効を示し, その菌のMICはBRL25000の方がAMPCより明らかに低い値を示した。
副作用としては, 1例に胃腸症状がみられたが, 特に処置を要することなく5日間投与後速やかに軽快した。
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