CHEMOTHERAPY
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31 巻, 4 号
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  • Midecamycinとの二重盲検比較試験
    馬場 駿吉他
    1983 年 31 巻 4 号 p. 411-435
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性化膿性中耳炎および慢性化膿性中耳炎急性増悪症に対する9, 3''-diacetyl-midecamycin (MOM)[1日600mg (力価), 分3] の有効性および安全性を客観的に評価するためMidecamycin (MDM)〔1日1, 200mg (力価), 分3〕を比較対照薬として二重盲検比較試験を実施し次の成績を得た。
    1.小委員会判定基準に基づく総合臨床効果は, MOM投与群107例中, 著効21例, 有効33例, やや有効24例, 無効29例で有効率50.5%, MDM投与群95例中, 著効20例, 有効25例, やや有効27例, 無効23例で有効率47.4%で推計学的に両薬剤間に有意の差はなく同等であった。
    2.小委員会判定基準に基づく全般改善度細菌学的効果, 有用性判定においても両薬剤間に有意差はなく, 両者ほぼ同等であった。
    3.副作用は, MOM投与群 (発現率3.3%) の方がMDM投与群 (発現率9.2%) に比べ少ない傾向が認められた。MOMの副作用症状は, MDMのそれと変わらず, いずれも軽症の胃腸症状, 発疹などで, この試験の範囲では安全性の高い薬剤であると思われた。
    以上の成績からMOMはMDMの半量で, ほぼ同等の臨床効果を期待し得る安全かつ有用な薬剤であると考えられた。
  • 渡辺 邦友, 今朝洞 忠孝, 布施 愛索, 磯野 美登利, 山田 規恵, 上野 一恵
    1983 年 31 巻 4 号 p. 436-441
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系薬剤8剤, Cefoxitin (CFX), Cefmetazole (CMZ), Latamoxef (LMOX), Cefotaxime (CTX), Ceftizoxime (CZX), Cefmenoxime (CMX), Cefotiam (CTM) およびCefoperazone (CPZ) のKlebsiellaspp.およびBacteroides fragilisに対するin vitro抗菌作用と両菌種による実験的混合感染症マウスに対する感染防御効果とを測定し, 基礎的評価を行なった。なお, マウスに実験的混合感染症を惹起させる際, β-lactamase産性株を用い, 各薬剤のin vitroでのβ-lactamase抵抗性についても比較検討した。
    1) K. oxytocaおよびB. fyagilisの腹腔内単独感染にてはマウスの死亡率は0%であったが, あらかじめK. oxytocaを腹腔感染させ, 4時間後にB.fragilisを接種すると, 臓器内においてB. fragilisの顕著な増殖が起こり, K.oxytoca接種後約20時間目にて死亡率100%となった。
    2) Klebsiellaspp.に対するin vitro抗菌作用はCZX, CTX, CMX, LMOX, CTM, CMZ, CFX, CPZの順で, 同様にB.fragilisに対してはLMOX, CFX=CMZ, CZX, CTX, CMX, CPZ, CTMの順で強いことが認められた。
    3) K.oxytocaおよびB.fragilisによる混合感染マウスに対する感染防御効果 (ED50値) はK.oxytocaおよびB.fragilisの双方のβ-lactamaseに対し抵抗性を示すLMOX, CFX, CMZ, 次いでK.oxytocaのβ-lactamaseに対してのみ抵抗性を示すCZX, CMX, CTXそして両菌株のβ-lactamaseに対し抵抗性を示さないCTM, CPZの順であった。
  • 大前 憲一, 米沢 昭一
    1983 年 31 巻 4 号 p. 442-447
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    豚糞便由来大腸菌から検出したCarbadox (Cdx) 耐性形質を有するR plasmld: pNV 13を用いてCdx耐性機構について検討した。pNV 13によるCdxの化学的修飾に関する検討では, Escherichia coli Cを宿主菌とした場合, 培養液中のCdxの特異吸収 (375nm付近) が消失し新たな波長 (360nm付近) での吸収が認められた。これらの変化はL-cysteineの存在により促進された。またE. coli C pNV 13から得た浸透圧処理粗酵素液を用いたNADPH還元反応系で, L-cysteine存在下でCdxの還元が認められた。しかしE. coliC由来のそれではCdxの還元は認められなかった。他方, E.coliC pNV 13をEDTA処理したときの該菌のCdxに対する耐性度の低下は認められず, このことからpNV 13によるCdx透過性の低下機構は否定された。なおE. coliAB 1157 (rec+) 株および同AB 2463 (rec-) 株を用いてpNV 13の宿主菌のDNA損傷修復能に与える影響について検討したが, rec機能には直接関係しないものと考えられた。
    これらのことよりpNV13によるCdx耐性機構としては, NADPH依存Cdx還元酵素が宿主菌のperiplasm内に新たに出現することに起因するものと推定された。
  • 渡辺 泰雄
    1983 年 31 巻 4 号 p. 448-455
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) およびCefazolin (CEZ) のラット血清に対する最大結合量 (n), 結合定数 (K), 結合サイトならびに血清蛋白結合と炎症巣への移行性の関係について検討を加えた。
    SCATCHARD plotよりCPZおよびCEZはラット血清蛋白上に2種の結合サイトを有していた。両剤の結合パラメーターを算出した結果, CPZのKはCEZに比べ低値を示し, CPZの結合の強さはCEZより弱いものであった。また併用実験から両剤のmain結合サイトは同一であり, CPZの結合率はCEZにより著しく減少したが, CEZはCPZより結合が強いためさほど影響を受けなかった。さらに得られたn, Kを用いてCPZとCEZ併用時の各薬剤の結合率を推定することが可能であった。
    次にCPZとCEZの各50mg/kg i.v.単独および併用投与時のラット炎症Pouch内濃度を調べた結果, 血清蛋白を介しての置換現象により, CPZの遊離体が増加するため, 併用群の炎症巣濃度は単独群に比べ高く推移した。したがって血清蛋白結合は炎症巣移行に大きな影響を及ぼす因子と考えられた。
  • マウス実験的感染症に対するDibekacin (DKB) 坐剤の治療効果
    折笠 義則, 宮内 慶之輔, 岡本 了一, 数野 勇造, 鬼海 庄一郎, 尾花 芳樹, 西野 武志
    1983 年 31 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マウス実験的感染症に対するDibekacin (DKB) 坐剤の治療効果を筋肉内投与の成績と比較検討し, 以下の成績を得た。
    マウス実験的感染症に対するDKB坐剤の治療効果について検討を行なったところ, 筋肉内投与の場合と同様にdose responseが認められ, ED50値は筋肉内投与におけるED50値の2.1~2.8倍であった。
    DKB坐剤の治療効果の発現には, 筋肉内投与の場合とは異なり, 有効血清中濃度の維持時間が関与していた。
  • (1) 各種β-lactamaseおよび生菌による測定法の感度
    武藤 弓子, 小川 正俊, 吉田 勇, 五島 瑳智子
    1983 年 31 巻 4 号 p. 462-467
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-lactamase簡易測定法4法 (nitrocefin spot plate法, disk法, starch paper法, slideglass法) をβ-lactamase産生標準株の生菌および産生酵素を用いて感度を調べた結果, nitrocefinspot plate法が最も感度が良かった。またdisk法の基質としてCephaloridineを用いることにより, Penicillin Gの場合より, 10倍以上感度が上昇した。
    Richmond type I型の酵素はその産生菌種により, 感度に大きな差が認められたが, 臨床分離耐性株のうち, 最も分布率の高いRプラスミド支配のIII型酵素は測定法間に感度の差が認められなかった。
  • (2) 臨床分離各菌種におけるβ-lactamase検出率
    小川 正俊, 武藤 弓子, 吉田 勇, 宮崎 修一, 五島 瑳智子
    1983 年 31 巻 4 号 p. 468-474
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-lactamase検出を日常の臨床細菌検査へ導入することを目的とし, disk法, slide glass法, starch paper法, nitrocefin spot plate法について, 多くの臨床分離株を用い有用性を検討した。
    4種の方法のうち, 菌の培養にinducerとしてPenicillin G, Cephaloridine, Cefmetazole, Cefoxitinを添加した培地を用い, 12.5μg/ウェルのnitrocefinを用いたspot plate法およびdisk含有基質をPenicillin GまたはCephaloridineをそれぞれ15mg/diskとしたdisk法が陽性率が高かった。
    β-lactam抗生剤耐性菌株は, β-lactamaseに起因するものだけではないため, 菌種によりβ-lactamase産生能と薬剤感受性は必ずしも強い相関が認められない。
    しかしβ-lactam剤に耐性の菌が不活化酵素によるものか否かを簡単に知るために, 以上の方法は日常検査に充分応用され得ると考えられた。
  • 1983 年 31 巻 4 号 p. 475-510
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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