CHEMOTHERAPY
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31 巻, 7 号
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  • 重野 芳輝, 古賀 宏延, 渡辺 講一, 福田 義昭, 田中 光, 藤田 紀代, 伊藤 直美, 原田 孝司, 山口 恵三, 泉川 欣一, 広 ...
    1983 年 31 巻 7 号 p. 691-698
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1977年より1979年の3年間に当科へ入院したすべての患者のうち, 悪性腫瘍や肝疾息を有しない呼吸器感染症患者を中心に, retrospectiveにみて抗生剤が投与され, ブロトロンビン時間 (以下PT) および部分トロンポプラスチン時間 (以下PTT) が測定されていた症例について, 抗生剤投与と血液凝固能との関達について検討した。また人工透析中の腎不全例3例に対し, CBPC 1回点滴静注後の血液凝固能の変化についても, 併せて検討した。
    抗生剤の経口投与群においては, 血液凝固能に軽度の変化がみられたものの, 抗生剤の使用期間や総投与量との間には有意の関連性は認められなかった。一方静注・筋注投与群においては, 投与開始後1~2週目の比較的早期に, PTおよびPTTの両者がともに延長する症例がみられた。しかしこれらの症例は, いずれも投与中止によって次第に正常化していくことが判明した。
    腎不全例においては, 1回投与のみでPTおよびPTTの著明な延長をみた例もあったが, これらは特別な処置を行なうことなくその後の経過で, 改善がみられた。
  • 上田 泰他
    1983 年 31 巻 7 号 p. 699-706
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) は院内感染対策上重要な菌の一つとなっている。そにで, 全国10施設より収集した臨床分離棟942株と, 手術関係者の手指より分離した93株との検討を行なった。菌の同定はKLOOSらに準じて作製したprobability matrixにもとづき, コンピユーターを用いて行ない, 併せてファージ型別, 抗生物質感受性テストを行なった。
    同定の結果は, 443株 (42.8%) がS. epidermidisであった。PULVERERおよびde SAXEのセットによるファージ型別の結果は, 型別可能な割合は38.1%および14.1%と低率であった。抗生物質感受性テストの結果では, 手指よりの分離株に比べ, 臨床分離株にMICの高い株が多く, 特にGMにその傾向が強かった。S. saprophyticusを同定する基準の一つであるNB感受性においてはぱらつきが大きく, 基準として適切でないことを示していた。
    CNSは皮膚, 粘膜常在菌であり, compromised hostに対しては常にopportunistic pathogenとして注意を要する菌である。CNSによる院内感染が多発した際には, その疫学的調査において, 分類学的進歩が大きな意義を有しており, 菌の同定, ファージ型別, 抗生物質感受性のパターンなどを組み合わせて感染経路を究明し, その感染防止対策を早急に確立する必要がある。
  • 特に形態変化と多形核白血球による貪食殺菌作用に及ぼす効果について
    川西 正泰
    1983 年 31 巻 7 号 p. 707-716
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    In vitroおよびマウス実験的肺炎において, 肺炎桿菌B-54株に対するCeftizoxime (CZX) とCefazolin (CEZ) の抗菌作用を, 電顕的に主として形態学的変化の面より検討した。さらに多形核白血球 (PMNs) の貪食, 殺菌作用に対するCZXとCEZの効果についても検討した。
    In vitroにおいてCZXとCEZは, MIC以下の濃度でも菌を伸長化し, 濃度を上げるとspheroplastやbulgeを形成し, その後溶菌した。
    マウス実験的肺炎においても, CZX 20mg/kg 4回投与, およびCEZ 80mg/kg 4回投与で明らかに溶菌を認めたが, 特にCZX 80mg/kg 4回投与では99%の菌にspheroplastないしlysisを認め, これは肺内生菌数の著明な減少とよく相関した。すなわちin vivoでの殺菌効果に関しCZXはCEZと比べはるかに優れていた。またCZXとCEZは, 単回投与に比べ分割投与がより殺菌的であり, 抗菌作用を考える上で有効濃度の持続が重要であると考えられた。
    CZXとCEZの投与により, 未治療対照群に比べ, 菌を貪食したPMNsの割合が約2倍増加しており, またPMNsに貪食された菌数も約3倍増加していることが電顕的に確かめられた。さらにPMNs内の菌の形態変化では, spheroplastないしlysisの変化は, 未治療群で9%程度に認められたにすぎないのに対し, CZXないしCEZ投与群では73~95%にその変化を認めたが, 両薬剤間での違いは明らかでなかった。すなわち, CZXとCEZは, 菌に対して殺菌的に作用するだけでなく, PMNsの貪食並びに細胞内殺菌作用を増強する作用も有していると考えられた。
  • 特に, β-lactamase産生淋菌に対する効果について
    岡崎 武二郎, 三井 一子, 鈴野 逸雄
    1983 年 31 巻 7 号 p. 717-722
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1982年7月から同10月の間に都立台東病院泌尿器科を受診した男子淋菌性尿道炎34症例および臨床分離淋菌50株に対するCFXの臨床的・細菌学的検討を行なった。
    淋菌50株中10株 (20%) のPPNGが認められ, この10株に対するPCGおよびCERのMICは, ほとんどが100μg/ml以上であった。一方, CFXのMICは, PPNG 10株を含む50株全株に対し. 0.2~6.25μg/mlの値を示し, 特にPPNGに対して優れた抗菌力を示した。
    男子淋菌性尿道炎34症例に対しCFX 2g 1回筋注とprobenecid 1g経口投与の併用治療を行なったが, 治療成績は著効14例 (41%), 有効18例 (53%), 無効2例 (6%) で, 有効率は94%であった。特に, 8例のPPNGによる症例に対しては100%の有効率であった。
    本剤による副作用は, 1例に軽度のshock様症状がみられたが, 特別な処置を必要とせず間もなく回復した。その他の症例には, 副作用は認められなかった。
  • 藤田 浩, 小川 カツイ, 木村 禧代二
    1983 年 31 巻 7 号 p. 723-732
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    BH-ACはAra-Cのmasked compoundである。実験動物およびヒト剖検材料を用いて, BHACおよび産生されたAm-Cの血中, 組織内濃度, 排泄, 代謝について検討した。その結果, BHACは長時間組織内に留まり, 徐々にAra-Cを放出すること, BH-ACとAra-Cの代謝は動物種, 組織の種類, 腫瘍の種類により差違があることが観察された。
  • グラム陰性桿菌に対するセフェム系抗生物質のin vitro短時間殺菌力の検討
    青沼 清一, 大沼 菊夫, 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1983 年 31 巻 7 号 p. 733-738
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Dynatech MIC 2000を用いた液体培地希釈法により, E. coli, K. Pneumoniae, S. marcescens, E. cloacaeに対するcefazolin, cofmetazole, cefotiam, ceftizoxime, cefoperazone, latamoxefの短時間殺菌力を検討した。これらセフェム系薬剤の上記菌種に対する24時間最小殺菌濃度 (24h-MBC) はMICとほぼ同値を示した。E.coli, K. Pneumoniaeに対し, 6h-MBCはMICとほぼ同値を示すが, S. marcescens, E. cloacaeに対してはMICより1~6段階高値を示した。3h-MBCは, いずれの菌種に対しても高値を示した。
    S. marcescens IFO 3736に対するceftizoxime, cefoperazone, latamoxefの殺菌効果を生菌数測定法により検討した。3薬剤の6h-MBCの濃度条件で6時間作用させたところ, いずれも初めの生菌数6×105CFU/mlが1/100~1/240に減少し, Dynatech MIC 2000を用いた方法に相関する結果が得られた。
    また, 検討した6種のセフェム系薬剤の中で, ceftizoximeはこれら4菌種に対するMICそのものも低値であり, 他薬剤に比べ3h-MBC, 6h-MBCは低値を示しており, 優れた殺菌効果を有することが知られた。
  • 沢江 義郎
    1983 年 31 巻 7 号 p. 739-746
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい持続性Cephalexin錠剤であるHI-89について, 基礎的, 臨床的検討を行ない, 以下のような成績が得られた。
    1) 健常成人6名にHI-89 500mgを経口投与し, 血中Cephalexin濃度を測定した。3名での血中濃度平均値は, 投与1時間後1.69μg/ml, 4時間後4.56μg/ml (最高値), 8時間後3.06μg/ml, 10時間後1.37μg/mlと高濃度が長時間持続した。他の2例では, 1時間後3.63μg/ml, 4時間後5.21μg/ml (最高値), 8時間後0.45μg/ml, 10時間後0μg/mlと内服後早期から高濃度となるが持続時間がやや短縮していた。残りの1名では, 1時間後3.29μg/ml (最高値), 6時間後0μg/mlであった。
    これらの12時間でのCephalexin尿中回収率は。血中濃度の持続がみられなかった1例が28%であったが, そのほかは60~90%であった。
    2) 肺炎1例, 気管支炎5例, 扁桃炎3例, 咽頭炎2例, 皮膚化膿症1例の計12例にHI-89を1日1g, 4~17日間使用した。臨床効果は著効4例, 有効3例, やや有効3例, 無効2例であった。細菌学的にはS. aureus, S. pyogenesに良好な効果を示し, H. influenzaeに比較的良好であった。副作用としては, 下痢, 腹痛, 食欲不振, 嘔気, 便秘などの消化器症状が3例にみられた。臨床検査値には何ら変化は認められなかった。
  • 松本 佳巳, 高乗 仁, 西田 実
    1983 年 31 巻 7 号 p. 747-752
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離のE. cloacaeのβ-lactamaseを等電点によって分類し, それらの糊生とcenizoxime感受性の相関性を検討した。
    100株の試験菌株を, 産生する染色体由来のcephalosporinaseの等電点の違いにより, 15種に分類した。これらのcephalosporinaseの等電点は8.8から10.1に分布していた。また, 18株は同時にR-plasmid由来のpenicillinaseを産生していた。
    ceftizoxlmeに対するE. cloacaeの多様な感受性は, 等電点の全く等しいcephalosporinascを産生する同一groupの菌株においてもみられ, group間の感受性の違いに起因するものではないと考えられた。
    一方, 電気泳動的に同じcephalosporinaseを産生する菌株では, それぞれ酵素産生量とceftizoxime感受性は相関性を示し, 産生量が多い菌株ほどceftizoximeに対する感受性は低かった。E. cloacaeのceftizoximeに対する広い感受性分布は, 酵素産生量の相違によるものと考えられる。
    また, 染色体由来cephalosporinaseを産生する株に対するceftizoximeとcefoperazoneの抗菌力は相関性を示したが, plasmid由来penicillinaseを産生する株に対して, cefoperazoneの抗菌力は低下し, ceftizoximeのそれと異なる挙動を示した。
  • 1983 年 31 巻 7 号 p. 753-802
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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