CHEMOTHERAPY
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32 巻, 12 号
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  • 急性毒性と薬動力学的解析
    小枝 武美, 須野 貴美子, 堀坂 和敬, 小宮 泉
    1984 年 32 巻 12 号 p. 949-954
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質であるリポスタマイシン (RSM) をラットの後肢大腿部の筋肉内に投与し, 毒性学的検討を行なった。LD50は 1,850mg/kg であり, 死亡原因は呼吸麻痺と思われ, まず呼吸が停止し, 次に心臓が停止するという経過をたどった。そこで呼吸筋として働く横隔膜および内・外肋間筋と, 呼吸に関与しない前腕三頭筋に対する RSM の移行濃度を測定し, 薬動力学的解析を行なった。ラットに対し, RSM の 20 (臨床量), 200, 1,000 および 3,000mg/kg を筋肉内投与し, 経時的に血清および上記の3種の筋肉内の RSM の濃度を円筒平板法により測定した。
    薬動力学的解析は, 血清については one-compartmento pen model に, 筋肉については deconvolution 法に従って行なった。その結果, 20 と 200mg/kg の投与ラットの筋肉では, 投与後約10分に最高筋肉内濃度に達し, その濃度は横隔膜が最も高値であり, 次いで肋間筋, 前腕三頭筋であった。1,000mg/kg の投与ラットでは, 肋間筋が最高値を示し, 次いで横隔膜, 前腕三頭筋であった。また, 組織移行性パラメーター (K1/K2) を求め, 3種の筋肉への RSM の移行を比較したところ, 前腕三頭筋へは, 他の2種の呼吸筋より RSM がやや移行しにくいという傾向がみられ, RSM の急性毒性としての呼吸抑制の発現との関連が示唆された。
  • 尾花 芳樹, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1984 年 32 巻 12 号 p. 955-965
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    大腸菌に対する cefsulodin (CFS) の抗菌作用について, sulbenicillin (SBPC) を比較薬として検討を行なったところ, 次のような結果が得られた。
    1) 殺菌作用については, 両薬物は強い殺菌作用を有し, spheroplagt を形成後, 溶菌に導くものであった。しかしながら synchronous culture 系での検討では, CFS は cell age に関係なく殺菌作用を示すが, SBPC では分裂期のみに殺菌作用が認められた。また培地 pH の影響について検討したところ, CFS はアルカリ側で, SBPC は酸性側で殺菌力が増強された。
    2) 大腸菌のもつ autolysin 活性はアルカリ側で増強されたが, CFS および SBPC 処理により, さらに活性上昇が認められた。この活性については, CFS 処理では, cellage に関係なくいずれの phase でも認められたが, SBPC では分裂期に特に強くなることが認められた。
    3) CFS 処理による溶菌は, SBPC 処理によるものよりも強いものであり, これらの溶菌は, いずれも蛋白合成に依存するものであった。
  • 高橋 公毅, 菅野 治重
    1984 年 32 巻 12 号 p. 966-971
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) +Fosfomycin (FOM), Cefoperazone (CPZ) +FOM, Cefaulodin (CFS) +FOM, PIPC+FOM+Tobramycin (TOB), CPZ+FOM +TOB, CFS+FOM+TOB の併用効果を臨床材料より分離した緑膿菌を用いて検討した。相乗作用 (FIC係数≦0.5) は PIPC+FOM, CPZ+FOM および CFS+FOM の併用でそれぞれ, 80.0%. 85.0%, 826% に認められた。上記の各2剤の組み合わせに TOB を微量に添加することによって, さらに相乗効果が強化された。
    単個および集塊菌に対する2剤および3剤の組み合わせでも著しい殺菌効果を示した。集塊菌に対する CPZ+FOM+TOB の殺菌作用は PIPC+FOM+TOB や CFS+FOM+TOB に比ぺて著しく, 薬剤3時間後の生菌数ははじめの 108/ml から 106/ml に, 24時間後では101/mlにまで減少した。今回行なったこれらの抗生剤の組み合わせは重症な緑膿菌感染症に対する臨床的有用性がうかがわれた。
  • 谷村 弘, 斎藤 徹, 稲本 俊, 小林 展章
    1984 年 32 巻 12 号 p. 972-984
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    消化器疾患の手術に際して術前に経口合成抗菌剤 Ofloxacin を投与し, 糞便中および消化管粘液中細菌数, 糞便中薬剤濃度の測定とその臨床効果を, 従来から頻用されてきた Kanamycin 投与時と比較, 検討し, 以下の成績を得た。
    1) ofloxacin 600mg/日を3日間および5日間投与後の糞便中平均薬剤濃度は, それぞれ 151μg/g, 124μg/g と低値であった。一方, Kanamycin 2g/日を3日間および5日間投与後の糞便中平均薬剤濃度は, それぞれ 5,916μg/g, 7,364μg/g と著しく高値を呈した。
    2) Ofloxacin の3日間投与により, 糞便中の総細菌数は 8.49log10/g (以下菌数はすべてlog10/gで示す) から 6.50 と有意に減少した (P<0.01)。特に大腸菌群の菌数は 5.79 から 0.55と殆ど殺菌され, 嫌気性菌の Bacteroides 群も 7.12から 5.15まで減少したが, グラム陽性菌の Stnptococcus 群の減少はわずかであった。5日間投与でも3日間投与と同様の成績を示した。
    3) Kanamycin 3日間投与後の糞便中総細菌数は 8.73 から 5.78 と有意に減少し, その主な変化は大腸菌群であったが, Oflomcinに比べてその減少は軽度であった。Streptocoocus 群と Bacteroides 群の菌数は3日間投与では一旦減少したが, いずれも5日間投与では投与開始前の菌数と変らず, これらの菌の再増殖が示唆された。
    4) 吻合部の消化管粘液中の細菌数は, 好気性菌数では, ofloxacin 投与群で小腸粘液が10例中8例で0となり, 平均でも 0.85と, Kanamycin投与例の 3.49に比べ, 400分の1と低値を示し, 結腸粘液もそれぞれ Onoxacin 投与例 3.18, Kanamycin 投与例翫21と, Ofloxacin 投与例が1/100と優れた成績であった。嫌気性菌数では, 小腸粘液, 結腸粘液ともに両薬剤間で大きな差は認めなかった。
    5) 高カロリー輸液 (IVH) や経腸栄養剤 (ED) 投与が糞便中細菌叢に与える影響を薬剤別に検討した結果, Ofloxacin 投与では, IVH 群, ED 群が無処置群に比べ, 糞便中総細菌数, 好気性菌数, 嫌気性菌数が著明に減少したが, Kanamycin 投与では各群間に殆ど差を認めなかった。
    6) 術後創感染の発生率は, Ofloxacin 投与例では 5.3%と低かったが, Kanamycin投与例では16.7%と3倍も発生し, さらに1例 (8.3%) に縫合不全を生じた。
  • Bladder modelによる検討
    説田 修
    1984 年 32 巻 12 号 p. 985-999
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    試験管内膀胱モデルを用いて, 生体における膀胱炎の場合と同様に活発に増殖する細菌に対して, 抗菌剤を生体の尿中濃度を模式化して作用させ, その細菌増殖抑制効果を抗菌剤の最高濃度と維持濃度の面から解析した。
    被検菌は尿路由来のE. coli とし, 抗菌剤は ampicillin (ABPC), cefazolin (CEZ) および gentamicin (GM) を用いた。最高濃度の意義を検討する目的では, 各薬剤の1, 2, 5, 10, 20, 50 および 100 MIC 濃度を4時間作用させ, 維持濃度とくに必要最低維持濃度を検討する目的では, pulseadmimistration によって初期濃度が50もしくは 25 MIC 濃度となるようにし, 別途に 2, 1 および 1/2 MIC 濃度での持続投与を8もしくは16時間行なった。
    その結果, GM では最高濃度の上昇によって細菌増殖抑制時間が著しく延長し, ABPC でも中等度に延長したが, CEZ では5 MIC 濃度以上では延長効果が見られなかった。
    また, 初期高濃度投与による細菌増殖抑制効果を延長させるための必要最低維持濃度は, GM では初期濃度 50 MIC の場合は1 MIC 濃度, 初期濃度 25 MICの場合は 2 MIC 濃度と考えられ, ABPC ではともに 1 MIC濃度と考えられた。
    以上により, GM では初期高濃度投与も重要であることが示唆され, ABPC でば低濃度での持続時間を長くする投与法が好ましいと考えられた。
  • 宮本 慎一, 田宮 高宏, 高塚 慶次
    1984 年 32 巻 12 号 p. 1000-1003
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    18名の複雑性尿路感染症患者に, gentamicin, latamoxef. MT-141を5日間投与し, 薬剤投与前に104 cells per ml以上分離された25菌株の, 初回投与6時間後および1日目-5日目までの尿中細菌数を経時的に測定した。その結果, 化学療法剤が有効ならば尿中細菌は経時的に減少する, 薬剤耐性群より薬剤感性群で, またカテーテルあり群よりカテーテルなし群で尿中細菌数の減少が大きく, しかも早い時期にみられる, 5日間の化学療法剤投与にて尿中細菌が陰性化する症例では, 投与開始6時間後-1日目には約60%が陰性化している, などのことがわかった。これらの知見は, 抗菌剤の薬効評価上重要であることを主張した。
  • 藤原 三知雄, 小宮山 寛機, 梅沢 巌, 名雲 照一
    1984 年 32 巻 12 号 p. 1004-1009
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    褐藻ほんだわら (Sargassum fulvellum) の熱水抽出物から分離精製したアルギン酸ナトリウム塩 (分子量: 29,000, M/G比: 2.84) のマウス腫瘍に対する抗腫瘍性を調ベた。その結果,Sarcoma-180およびEhrlich腹水腫瘍に対して. 50mg/kgの投与重でILS (lncrease in life span) がそれぞれ, 141,222%といずれに対しても抗腫瘍効果が認められた。さらに, IMC腫瘍に対しても, 12.5および50mg/kgの投与量で, ILSがそれぞれ, 205%, 215%以上と顕著な抗腫瘍性が認められた。しかし, Meth-AとP388に対しては延命効果が認められなかった。次にアルギン酸ナトリウム塩の直接的な殺細胞作用を調べるために, in vitroで増殖しているHeLa細胞に1,000μg/mlの濃度で作用させたが, 増殖抑制作用は認められなかった。そこでin vivoでアルギン酸ナトリウム塩のbiological response modifierとしての性質について検討した。まずアルギン酸ナトリウム塩を投与したマウスの腹腔浸出付着細胞 (PEC) の腫瘍細胞に対する作用を調べた。即ち, 100mg/kg投与し4日後にマウスのPECを集めEL-4細胞の3H-thymidineの取り込みを調べたところ, ほぼ完全な取り込み阻害がみられた。また, Cytblytic活性を調べるために, あらかじめ3H-uridineでラベルしたEL-4細胞にPECを作用させたところ, コントロールの約2倍の3Huridineのreleaseがみられた。次に, アルギン酸ナトリウム塩のInterferon (IFN) 誘起能を調ベるために, マウス尾静脈に投与して血中のIFN量を測定したところ, 200mg/kgの投与で, 1時間後に最も高い活性が認められた。
    以上の結果から, アルギン酸ナトリウム塩の抗腫癌性は, マクロファージの活性化, およびインターフェロンの誘起能等による宿主介在性によるものであることが示唆された。
  • 1984 年 32 巻 12 号 p. 1010-1066
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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