CHEMOTHERAPY
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33 巻, 9 号
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  • 福間 真理子, 瀬戸 淑子, 豊島 滋
    1985 年 33 巻 9 号 p. 733-742
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    今日までに私共は, 日常生活の中で摂取され得る環境物質の中に, 単純性疱疹ウイルス2型 (HSV-2) の増殖を抑制するものと促進するものが存在することを見出したので, 今回はそれらの物質がin vitroの静止感染系において. HSV-2の再活性化にいかに作用するかを検討した。静止感染系は,(i) 紫外線処理ウイルス (UV-HSV-2),(ii) 代謝阻害剤処理細胞. および,(iii) in vivo感染後のマウス三叉神経節, を用いて作製し, 食用色素, 医薬品, 重金属を含む13個の環境物質についてその作用を検討した。その結果,(i) の系でなトウイルス再活性化に対しamaranth, safroleは強く抑制し, erythrosine, 2-AAF, phenacetinは軽度に抑制した。一方nicotineには促進作用が認められた。(ii) の系ではamaranthに強い抑制作用が認められ, erythrosine, 2-AAFには軽度の抑制作用が認められた。そこで (iii) の系を用いてamaranth, safrole, phenacetin, nicotineについて検討したがウイルス産生量に変動が大きく有意差は得られなかった。しかしphenacetin処理群では非処理群に比べ10倍程度高い感染量が認められ, 三叉神経節からのウイルス再活性化に対し, phenacetinは促進的に作用する傾向を示した。この研究で, 静止感染系からのウイルス再活性化に対しても環境物質の中のいくつかは, 抑制的あるいは促進的に作用することが認められ再燃性ヘルペス感染症に対し, これらの環境物質が何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
  • 山下 直子, 生方 公子, 松下 真理, 紺野 昌俊, 増田 真理子, 野々口 律子
    1985 年 33 巻 9 号 p. 743-752
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床検査材料より分離したメチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌50株を対象とし, 培養温度を違えてβ-ラクタム剤のMICと殺菌効果とを測定して, 下記のような成績を得た。
    1. 9種類のβ-ラクタム剤に対するMICは, 1) 106/mlの接種菌量で30℃培養, 2) 106/mlの接種菌量で30℃培養, 3) 106/mlの接種菌量で37℃培養, 4) 106/mlの接種菌量で37℃培養, の四通りについて測定した。その結果は, 接種菌量が同じであっても培養温度が異なると, MICは大きく変動することが明らかにされた。つまり, 30℃の培養条件におけるMICに比較すると, 37℃のそれは8~32倍感性側へsiftする傾向が認められた。
    2. MIC測定時の菌の培養と同一条件にしてMRSAに対するβ-ラクタム剤の殺菌効果を測定すると, 30℃の培養では殺菌効果の認められなかった薬剤濃度の添加によっても, 37℃の培養時には明らかな殺菌効果が認められた。
    3. 培養温度によって殺菌効果に差異のあることは, 位相差顕微鏡による薬剤作用後の菌の形態観察によっても確かめられた。すなわち, 菌はほぼ同じ低い薬剤濃度から隔壁形成を阻害された膨化細胞を形成するが, 30℃の培養条件では薬剤濃度をかなり高めても容易には溶菌細胞が見出されないのに対し, 37℃の培養条件では, 比較的低い薬剤濃度から膨化細胞に混じって溶菌細胞が観察された。
    4. 培養温度の違いによってMIC値と殺菌効果に差が認められるという成績は, Pcase plasmidを脱落させ, メチシリン・セフェム耐性の残った変異株においても同じように観察された。
    5. このような現象は, メチシリン・セフェム耐性に関与しているpenicinin binding protein-2'が温度感受性であるため, その至適産生温度が37℃ではなく30℃にあるためであることを考察した。
  • 渡辺 泰雄, 南 新三郎, 松原 信之, 能見 寿彦, 荒木 春美, 保田 隆, 高井 明, 才川 勇
    1985 年 33 巻 9 号 p. 753-758
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種β-lactamaseに対するCefbuperazone (CBPZ) のin vitro, in vivo安定性をCefmetazole (CMZ), Cefotaxime (CTX) およびCefazolin (CEZ) と比較した。
    K.pneumoniae Y-4由来のpenicillinase, P.vulgaris T-178由来のcefuroximaseに対してCBPZはCMZと同様にCTX, CEZに比べ安定であった。またE.cloacae H-27, C.freundii GN 346由来のcephabsporinaseに対してはCBPZはCMZ, CTX, CEZに比べ安定であった。
    Pouch内感染ラットに各薬剤100mg/kgをi.v.投与したときの血中および浸出液中濃度を測定した結果, P.vulgaris T-178感染群のCTXを除いた各薬剤の血中濃度は感染菌による影響はほとんど認められなかった。一方, CBPZの浸出液中濃度は非感染群と感染群間に差は認められなかったが, E.cloacae H-27, P.vulgaris T-178感染群のCTXは非感染群に比べ低く推移した。またCMZではE.cloacae H-27感染群で, CEZではすべての感染群において薬剤の活性が認められなかった。この濃度の低下は感染菌由来のβ-lactamaseによって加水分解されたためと考えられ, in vitroのβ-lactamaseに対する安定性の成績がin vivoにも反映するものと思われる。
  • 名出 頼男, 玉井 秀亀, 柳岡 正範, 石黒 幸一, 安藤 浩二, 安藤 慎, 鈴木 恵三, 小沢 英夫, 原 進, 内藤 守啓
    1985 年 33 巻 9 号 p. 759-777
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1977年から1981年までの5年間にわたって。名古屋保健衛生大学病院中検細菌検査室において各種臨床材料より分離された905株のグラム陰性桿菌群について, ST合剤に対する薬剤感受性の推移ならびにST合剤におけるSMXの配合意義を検討した。
    1) ST合剤に対する菌種別感受性分布は, 一部例外を除きMIC50で3.13μg/ml以下を, MIC80で125μg/ml以下を示した。
    2) 1980年のCitrobacter spp.を除き, 極端な感受性分布の年次変動はみられなかった。
    3) Enterobacteriaceaeでは, MIC濃度とdisc感受性検査結果には, かなりの相関傾向はみられるものの, disc感受性検査の結果の方が耐性菌率の高い傾向を示した。一方, P.aeruginosaでは腸内細菌群とは異なって, 両者の相関はみられなかった。
    4) TMPの協力作用は, SMX50μg/ml以下のMIC値を示す481株中373株77.5%にみられた。一方, SMXの協力作用は, TMP50μg/ml以下のMICを示す743株中384株51.4%に認められた。TMP高度耐性菌において協力作用は, ほとんど認められなかった。
  • 岩田 次郎, 高橋 好夫, 藤岡 博文, 高瀬 幸次郎, 竹沢 正気, 中野 赳, 竹沢 英郎, 山崎 義久, 多田 茂
    1985 年 33 巻 9 号 p. 778-784
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人志願者6名と腎機能障害患者24名の計30名にAspoxicillin 1gを急速静注した際の体内動態と種々の腎機能患者への最適投与方法について検討を行なった。クレアチニンクリァランス (Ccr) が10ml/min以下の高度腎機能障害患者とCcrが75ml/min以上の腎機能正常者を比較すると, 高度腎機能障害患者では血清中濃度は本剤投与1時間後より有意に高値となり, 6時間値は220μg/mlと腎機能正常者 (1.7μg/ml) の約13倍の高値を示し, 24時間累積尿中回収率は6.1%で, 腎機能正常者 (67.3%) の9.1%に低下していた。血清中濃度半減期は乳2±4.0時間で, 腎機能正常者 (1.5±0.2時間) の約5倍に延長していた。
    次にCcr, 腎クリアランス (CR), 体クリアランス (CB) の平均値を比較すると, 腎機能正常者ではそれぞれ98.8ml/min, 112.9ml/min, 167.5ml/minであるのに対し, 高度腎機能障害患者ではそれぞれ3.8ml/min, 2.8ml/min, 43.2ml/minとCcrやCRの著しい低下に比ベ, CBの低下は約1/4と軽度であった。またβ相における血清中濃度半減期, CB, CRはCcrとの相関関係がみられた。血液透析患者3例に非透析時と透析時に本剤19を静注した際の血清中濃度を比較すると, 透析4時間後の血清中濃度は非透析時よりも平均12.3μg/ml低下していた。以上の結果より本剤の主な排泄経路は腎であり, 腎機能低下が高度になると腎からの本剤排泄が低下し, 腎外排泄が増加すると考えられた。腎機能正常者での本荊投与方法は19を8時間間隔でよいが腎機能低下に伴い投与間隔を延長するか, 投与量を減少させる必要があり, 血液透析患者では透析後19を1日1回投与するのがよいと思われた。
  • 1985 年 33 巻 9 号 p. 785-810
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 33 巻 9 号 p. 810-834
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 33 巻 9 号 p. 841
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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