CHEMOTHERAPY
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34 巻, 4 号
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  • 河野 恵, 小原 康治, 佐藤 郁, 大宮 敬一
    1986 年 34 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離ストレプトマイシン (SM) 耐性株のSM不活化酵素活性測定には, 粗酵素液を用いたアミノグリコシド (AG) 修飾酵素活性測定法が用いられている。本研究では, AG-3 ″-フォスフォトランスフェラーゼ [APH (3″)] 産生菌Pseudomonas aeruginosa (P.aeruginosa) K-Ps94株を用いて生菌によるSM不活化酵素の測定を可能としたことについて述べる。また, 本反応を利用したSM不活化酵素活性簡便測定法の至適条件の検討を行なった結果, その反応pHは7.8~8.4, ATP濃度は32mMであり, 反応温度は45℃であった。さらに, 本簡便法を臨床分離SM耐性P.aeruginosaに適用したところ, APH産生株に対して本法が有用であることが実証された。
  • 戸塚 恭一, 大井 聖至, 熊田 徹平, 清水 喜八郎, 渡辺 泰雄, 林 敏雄
    1986 年 34 巻 4 号 p. 286-293
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健常人志願者について, piperacillin (PIPC) とcefazolin (CEZ), cefoperazone (CPZ), cefotetan (CTT) およびcefsulodin (CFS), さらにABPCとCEZとの点滴併用投与時の血中濃度, 尿中回収率について, それぞれ単独投与時とcross-overにて検討した。
    各々の単独投与時に比べると, PIPCとCEZおよびCTTの併用では, CEZおよびCTTの血中濃度の上昇, 尿中回収率の低下を認めた。PIPCとCPZの併用では, CPZの血中濃度の上昇を認めたが, 尿中回収率に差を認めなかった。PIPCとCFSの併用では, CFSの血中濃度および尿中回収率に差を認めなかった。PIPCの作用はABPCとCEZの併用では, ABPCはCEZの血中濃度, 尿中回収率に影響を与えずペニシリン系に共通したものではないと考えられた。
    ProbenecidとPIPC, CEZおよびCPZの併用投与時の血中濃度, 尿中回収率について検討すると, probenecidの併用により, PIPC, CEZは, 血中濃度の上昇, 尿中排泄率の低下を示し, その影響はPIPCよりCEZの方が強かった。CPZは血中濃度, 尿中回収率に変化を認めなかった。
    このことより, PIPCと併用した場合は, CEZの血中濃度の上昇は, PIPCによるCEZの腎尿細管分泌の抑制によると考えられ, CPZでは, 腎排泄での抑制は認めず, 血中濃度の上昇は, 肝における排泄抑制と考えられた。CTTでも尿細管分泌の抑制を認めたが, 肝排泄の抑制の可能性も考えられた。CFSとは排泄過程での影響はほとんどないものと考えられた。PIPCのこのような作用はPIPCに特有な作用と考えられた。
  • 陳 瑞明, 菊池 典雄, 村木 憲子, 渡辺 昌平, 高橋 公毅, 菅野 治重
    1986 年 34 巻 4 号 p. 294-301
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    微量液体希釈チェッカーボード法を用いて, 臨床新鮮分離緑膿菌に対するTobramycin (TOB)+Cefsulodin (CFS) +Fosfomycin (FOM), TOB+Piperacillin (PIPC) +FOM, TOB+Cefoperazone (CPZ) +FOMおよびTOB+CFSの併用効果をin vitroで検討し, 次の結果を得た。
    1) 臨床分離緑膿菌201株に対する各抗菌剤の80% MICはTOB4μg/ml, CFS 32μg/ml, CPZ 64μg/ml, PIPC 128μg/ml, FOM 128μg/mlであった。
    2) TOB+CFS+FOM, TOB+PIPC+FOM, TOB+CPZ+FOMの3剤併用のうち, TOB+CFS+FOMの組み合わせが最も強い併用効果を示し, FIC indexが≦0.5の株が19%認められた。
    3) TOB+CFSの併用での平均FIC indexは0.67で, 相乗作用 (FIC index≦0.5) を示した株は46%であった。TOB+CFSにFOM 8μg/mlを添加した時の平均FIC indexは0.64, 32μg/mlを添加した時のFIC indexは0.52で, FOM 32μg/mlを添加した時に相乗効果の増強が認められた。以上によりTOB+CFS+FOM 3剤の併用は重症緑膿菌感染症に対し有用と思われた。
  • 2.制癌活性および免疫賦活化作用
    小宮山 寛機, 広川 弓子, 諸田 隆, 梅沢 巌
    1986 年 34 巻 4 号 p. 302-307
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    クロレラピレノイドーサより抽出, 精製した酸性多糖体クロンAの制癌活性および免疫賦活化作用についてマウスを用い検討した。クロンAはSarcoma 180担癌マウスに対し広い薬量範囲で延命効果を示した。また, Syngeneicな腫瘍であるIMCcarcinoma, Meth-A fibrosarcoma, B-16 melanoma, Lewis lung carcinomaに対してもip投与で効果が認められ, さらにMeth-A細胞とクロンAを混合し皮下に移植した場合には著しい増殖抑制がみられた。
    次いでクロンAを投与して宿主の反応を調べたところ, マクロファージの腫瘍細胞に対する殺細胞活性を増強しリンパ球の幼若化および網内系機能の亢進作用が観察された。また, クロンAを投与されたマウスの血清中にLA (セルロプラスミン) あるいはLB (ヘモペキシン) 様物質の産生がみられた。
    これら結果からクロンAは生体の免疫を賦活化して制癌活性を表わすものと思われる。
  • 倉田 和夫, 溝辺 雅一
    1986 年 34 巻 4 号 p. 308-311
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefuroximeは髄膜炎に際しては極めて高い髄液移行が認められる報告から, 正常髄液への移行濃度を知ることにより, 脳脊髄感染症または感染予防に対して本剤投与に際し示唆が得られるものと考え, 血液髄液関門の透過性に変化がない正常髄液移行の経時的推移を検討した。その結果, 以下の成績が得られた。
    1. 脳脊髄非感染者24例について, 点滴静注後の血清中濃度および髄液中濃度を測定し, 得られたデータを薬物速度論的に解析した。
    2. 血清中濃度の消失推移は, one compartment modelに適用され, 消失半減期は0.67時間, 分布容積は12.3L/bodyの値を得た。
    3. 髄液中濃度に関して計算された理論推移曲線より, 点滴静注後2~3時間まで髄液中濃度は上昇し続け, ピーク到達後は約10時間の消失半減期で減少すると推定された。
    4. 得られた速度論的パラメーターより各種の用法における髄液中濃度の理論計算が可能であると期待された。
  • 高橋 義人, 堀江 正宣, 磯貝 和俊, 松田 聖士, 加藤 直樹, 栗山 学, 兼松 稔, 坂 義人, 西浦 常雄, 篠田 育男, 説田 ...
    1986 年 34 巻 4 号 p. 312-315
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれは, Latamoxef (LMOX) の単純性腎嚢胞内溶液中への移行について検討した。対象は単純性腎嚢胞と診断され, 特に基礎疾患を有していない5症例 (男性3例, 女性2例, 平均年齢66.0歳) である。排泄性腎盂造影による腎機能は, 患側腎および対側腎とともに, 左右差なく良好であった。嚢胞内溶液の採取は, エコー監視下に嚢胞を直接穿刺することによって行なった。穿刺の20分ないし40分前にLMOX 1gをone shot静注し, 嚢胞内溶液, 血液, 新鮮尿を同時に採取した。
    嚢胞内溶液は, 全例, 無色から淡黄色透明であり, 生化学的分析では, ほぼ血清に近いものであった。各検体のLMOX濃度はthin layer cup methodにより求めた。嚢胞内溶液中濃度は0.46±0.154μg/ml, 血清中濃度は43±10.2μg/ml, 尿中濃度は, 4,100±2,160μg/mlであった。LMOXの単純性腎嚢胞液中への移行は不良であり, 腎嚢胞感染症に対する有効なLMOX濃度は得がたいものと思われた。
  • 松本 慶蔵, 高橋 淳, 山本 眞志, 永武 毅, 力富 直人, 大石 和徳, 宇塚 良夫, 宍戸 春美
    1986 年 34 巻 4 号 p. 316-330
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症に対する化学療法剤の評価基準を作成し, 168症例について, 主治医判定, 以前報告した基準5) (旧基準) との比較検討を行なった。薬効評価は化学療法剤使用7日後とし, 14日後判定も可能であった22症例についてはその検討も加えた。効果判定様式は, 判定指標を, 1) 起炎菌の消長, 2) 喀痰量, 性状, 3) 発熱, 4) 白血球数, 5) CRP, の5項目とし, それぞれに重みを付け効果判定一覧表 (新基準) を作成した。
    対象症例は, 当教室が治験段階で提出したケースカードから慢性気道感染症に関するものを無作為に選び, 主治医判定はそのときの判定を使用した。
    主治医判定と新基準の一致率は72.9%, 主治医判定と旧基準では68%, 薬剤効果を有効群 (著効と有効), 無効群 (やや有効と無効) に大別した比較では, 主治医判定と新基準で一致率94.6%, 主治医判定と旧基準で91%と良い一致率を示した。しかし解析が困難なため, 主治医判定によらざるを得ない症例が2例存在した。疾患別の検討では, び漫性汎細気管支炎での一致率が58.8%と慢性気管支炎, 気管支拡張症の77%, 76.9%に比べ低く, 今後の問題と考えられる。7日後判定と14日後判定の比較では22症例中, 21例で評価に変動がなく, わずかに, 有効から著効へ変化した1例が認められたのみであり, 慢性気道感染症においては7日後判定が可能であることが示唆された。
    また慢性気道感染症における化学療法の適応, 薬剤の持つ “切れ味” についても言及した。
  • 酒井 克治, 藤本 幹夫, 上田 隆美他
    1986 年 34 巻 4 号 p. 331-358
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    術後感染症に対するCefotaxime (CTX) の有効性, 安全性ならびに有用性を客観的に評価する目的で, Ceftizoxime (CZX) を対照薬とし, 両薬剤とも1日2g点滴静注投与によりwell-controlled study法による比較対照試験を実施し, 以下の成績を得た。
    1. 効果判定委員会判定による総合臨床効果は, 術後創感染症例 (以下A層とする) ではCTX群84.5%(60/71), CZX群75.7%(56/74), また術後腹腔内感染症例および術後死腔内感染症例 (以下B層とする) ではCTX群73.7%(42/57), CZX群68.4%(39/57) の有効率であり, A層, B層とも両薬剤群間に有意の差はなかった。
    2. 主治医判定による最終全般的改善度はA層でCTX群76.1%(54/71), CZX群74.3%(55/74), B層ではCTX群64.9%(37/57), CZX群57.9%(33/57) となり, A層, B層とも両薬剤群間に有意の差はなかった。
    3. 効果判定委員会判定による細菌学的効果は症例別菌消失率において, A層でCTX群69.5%(41/59), CZX群52.6%(30/57) となり, CTX群が高い傾向を示した。一方, B層においてはCTX群52.2%(24/46), CZX群42.6%(20/47) となり, 両薬剤群間に有意の差はなかった。投与前検出菌の消長からみた菌種別消失率においては, A層でCTX群73.3%(66/90), CZX群56.8%(54/95), B層でCTX群51.4%(37/72), CZX群33.0%(31/94) となり, A層, B層ともにCTX群が有意に優れていた (P<0.05)。
    4. 副作用はCTX群ではみられず, CZX群で150例中4例 (2.7%) にみられた。臨床検査値異常例は, CTX群で1.4%(2/144), CZX群で4.1%(6/147) にみられた。しかし, 副作用および臨床検査値異常とも両薬剤群間に有意の差はなかった。
    5. 主治医判定による有用性は, A層でCTX群66.7%(46/71), CZX群58.3%(42/74), B層でCTX群54.5%(30/55), CZX群42.3%(22/52) となり, 両薬剤群間に有意の差はなかった。
    以上の結果よりCTXはCZXと同様に術後感染症の治療薬として有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 1986 年 34 巻 4 号 p. 359-376
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 34 巻 4 号 p. 376-385
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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