BAY o 9867 (Cipnofloxacin, CPFX) の細菌性肺炎に対する有効性と安全性を客観的に評価する目的で, Bacampicillin (BAPC) を対照薬とし, 全国63施設の共同研究として二重盲検比較試験を実施した。
感染症状の明確な18歳以上の患者を対象とし, CPFX1日600mg (分3) またはBAPC 1日1.0g (分4) を原則として14日間経口投与し, 以下の成績を得た。
1) 小委員会判定による臨床効果については, 全症例ではCPFX群85.3%(58/68), BAPC群90.5%(57/63), 細菌性肺炎ではCPFX群83.3%(45/54), BAPC群88.9 (40/45) の有効率を示し, それぞれ両薬剤群間に有意の差を認めなかった。
2) 主治医判定による臨床効果においても, 全症例でCPFX群87.7%(57/65), BAPC群86.9%(53/61), 細菌性肺炎でCPFX群86.8%(46/53), BAPC群87.2%(41/47) の有効率で, 両薬剤群間に有意差を認めなかった。
3) 細菌学的効果については, 全症例ではCPFX群85.7%(18/21), BAPC群65.0%(13/20), 細菌性肺炎ではCPFX群83.3%(15/18), BAPC群56.3%(9/16) の菌消失率を示し, CPFX群の消失率が高かったが, 有意の差ではなかった。
4) 副作用はCPFX群で8.4%(7/83), BAPC群で9.5%(8/84), 臨床検査値異常は各々15.0%(12/80) と23.4%(18/77) とに認められたが, 重篤なものではなく, その発現率において両薬剤群間に有意の差を認めなかった。
5) 小委員会および主治医判定による有用性において, いずれも両薬剤群間に有意差を認めなかった。
以上の成績より, 細菌性肺炎の治療において, CPFX1日600mgの投与は, BAPC1日1.0gの投与に匹敵する臨床的有用性を有するものと考えられた。
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