CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
34 巻, Supplement3 号
選択された号の論文の87件中1~50を表示しています
  • 疋田 宗生, 三橋 進, 井上 松久
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 1-16
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    3位側鎖に1, 2, 3-thiadiazol基を導入した新しい注射用セフェム系抗生物質L-105の抗菌力をcefmenoxime (CMX), cefbperazone (CPZ) およびcefazolin (CEZ) を対照薬として比較検討した。グラム陽性菌に対してL-105はCMXおよびCPZに比べ明らかに高い抗菌活性を示した。とくにS. aureusに対しL-105はCEZとほぼ同等の抗菌力を示し, またmethicillin耐性S. aureusに対しても抗菌活性がみられた。本剤のグラム陰性菌に対する抗菌力はCMXとほぼ同等であった。
    殺菌力の検討ではS. aureus, E. coliおよびK. pneumoniaeに対し, L-105は1/2~1MIC濃度で殺菌的に作用した。またE. coliの形態変化の観察では, L-1051/16MIC濃度においてさえ, 菌のfilament化が認められた。E. coliのpenicillin binding proteins (PBPs) に対するL-105の親和性は, PBP3, 1A, 1Bs, 2の順に高かった。β-lactamaseに対する安定性を検討した結果, 本剤はプラスミド支配のpenicillinase (PCase) および菌種特有の酵素であるcephalosporinase (CSase) に対し安定であった。しかし, 本剤はP. vulgaris, P. cepaciaおよびX. maltophilia由来のoxyiminocephalosporinase (CXase) によって少し分解された。S. aureusおよびE.coliによるマウス実験的感染症に対する本剤の治療効果を検討し, 治療効果のあることを認めた。
  • 横田 健, 吉田 玲子, 鈴木 映子, 新井 京子
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 17-34
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105は, 3位にthiadiazolyl-thiomethyl基をもつ新しいoxime型注射用cephem系抗生物質である。S. pyogenes, S. pneumoniae, S. aureus, E. coli, K.pnemoniae, P. mirabilis, P. vulgaris, P. rettgeri, M. morganii, C. freundii, E. cloacae, S. marcescens, ABPC耐性 H. influenzae, A. calcoaceticusおよびB.fragilis 22~58臨床分離株に対するL-105のMIC80はそれぞれ, 0.013以下, 0.013以下, 0.78, 0.05, 0.1, 0.013以下, 0.2, 0.39, 0.39, 0.78, 6.25, 0.78, 0.025, 12.5および12.5μg/mlであった。L-105は, 種々の型のβ-lactamascに高い安定性を示した。また作用点PBPに対する親和性は, E. coli, S. aureus (感受性), S. marcescensおよびA. calcoaceticusのそれに対し, cefmenoximeと同等かやや高い結合親和性を示した。L-105はP. amginosaのPBPに対しても親和性をもつので, この薬剤がP. amginosaに抗菌力が弱いのはこの菌の外膜通過性が悪いためと考えられた。L-105の特徴は, methicillinおよびcephem耐性S. aureus (MRSA) にも相当程度の抗菌力を示しうる点にある。MRSAは, そのPBPに分子量78Kの特異画分 (PBP2) をもつが, L-105はこの画分に対してもなおある程度の結合親和性を保つためである。L-105と補体との協力的殺菌作用は強くはないが, マウス培養マクロファージに, L-105共存下でE. coliを食菌させると, 1/4MICまで強い協力的食菌殺菌作用を示した。
  • 五島 瑳智子, 宮崎 修一, 小川 正俊, 辻 明良, 金子 康子, 桑原 章吾
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 35-50
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セフェム剤L-105のin vitro, in vivo抗菌作用を検討した結果, 次のような成績を得た。
    1) 本剤は一部のブドウ糖非発醸酵菌を除くグラム陰性菌の各菌種に対し抗菌力を有し, グラム陽性球菌のStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidisに対してもL-105は優れた抗菌力を示した.
    2) L-105はグラム陰性菌の産生する各種のβ-lactamascに対し安定であった。
    3) 各種のβ-lactamase産生グラム陰性桿菌およびmethicillin耐性のStaphylococcus aureusによるマウス実験感染に対しL-105は治療効果があり, そのED50値はin vitro抗菌力とよく相関していた。
  • 紺野 昌俊, 生方 公子, 山下 直子, 松下 真理, 野々口 律子
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 51-56
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床検査材料より分離された各種細菌を対象とし, L-105の基礎的検討を行い, 以下のような成績を得た。
    1) E. faecdlisのL-105に対する感受性は, 106 CFU/mlの接種菌量でABPCとほぼ同等のMICを示したが, 原液接種では大きく耐性側へshiftした。また, E. faeciumおよびE. aviumの2菌種においては, 大部分の菌株がL-105に耐性を示した。
    2) メチシリン耐性のS. aureusおよびコアグラーゼ陰性のブドウ球菌のL-105に対する感受性は, 106CFU/mlの接種菌量でcefmetazole (CMZ), ceftizoxime (CZX) に比べ若干優れたMICを示した。原液接種ではMICは大きな変動を示した。
    3) 臨床分離のE. coli, E. cloacae, S. mrcescmsおよびM. morganiiの各1株より抽出したPBPに対して, L-105の親和性を検討したが, いずれの菌株においてもPBP-3に対する親和性が高く, PBP-1Bに対するそれの約100倍近い親和性を示し, MIC以下の薬剤濃度を菌に作用させたときに示す著しくフィラメント化した細菌の形態変化と一致する結果であった。
  • 岡田 淳, 大野 義明, 駒瀬 登志子
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 57-63
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105の臨床試験に先立って, 1983年に各種臨床材料から分離されたS.aureus, S. epidermidis, S. pneumoniae, hemolytic Streptococcus, E.faecalis, H. influenzae, E. coli, K. pneumoniae, C.frekmdii, E. cloacae, S. marcescens, P. mirabilis, P.aeruginosa, B. fragilis計427株を用いたL-105の細菌学的評価を行い, 他のセフェム剤と比較検討した。L-105はグラム陽性菌に対して他の第三世代セフェム剤より比較的強い抗菌力を示した。とくにS.aureusに対する抗菌力は第一世代のcefazolin, 第二世代のcefbtiamと同等の優れたものであった。P. aeruginosaを除くグラム陰性菌に対しても既存の第三世代セフェム剤とほぼ同等の強い抗菌活性を有していた。このことからL-105は, 従来のセフェム剤に比ベグラム陽性菌群, グラム陰性菌群に幅広い抗菌スペクトラムと優れた抗菌力を有するセフェム剤である。
  • 比留間 良一, 澤井 哲夫
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 64-68
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    酵素化学的性質の明らかにされている4種のpenicillinase (PCase), 5種のcephalosporinase (CSase) をそれぞれ構成的に産生する9群のグラム陰性菌群を用い, 新cephalosporin剤L-105のβ-lactamase産生菌に対する抗菌力 (MIC) より, L-105の各種β-lactamaseに対する安定性の生菌体における評価を行った。さらに, 7種の精製β-lactamaseによるL-105の加水分解速度 (Vmax), β-lactamaseのL-105に対する親和性 (Km) について検討し, 次の結果を得た。
    1) PCase産生株に対するL-105のMIC値はPCase産生量に影響されることなく低値を示し, L-105はPCaseにきわめて安定であった。CSase産生株では高度産生株が低産生株に比較しやや高いMIC値を示したが, 6.3μg/mlまたはそれ以下であった。
    2) L-105は用いた7種のβ-lactamaseのなかで, Proteus vulgaris由来のCSase (cefuroxime分解型CSase) によりもっとも高い加水分解を受けたが, その分解速度はcephaloridineの加水分解速度の1/5であった。他のPCase, CSaseによる加水分解速度は低く, とくに典型的なCSaseに対してはきわめて安定であった。
    3) 各種PCase, CSaseに対する親和性はcephaloridineに比べ比較的高く, Km値は0.3~28μMであった。
    4) L-105のβ-lactamaseに対する挙動は構造類似体であるcefmenoximeと類似の傾向を示した。
  • 渡辺 邦友, 沢 赫代, 青木 誠, 宮内 正幸, 小林 とよ子, 上野 一恵
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 69-78
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された半合成セフェム剤であるL-105の嫌気性菌に対する抗菌力を, 類似した構造を有するcefotaximeおよびcefmenoximeを対照薬剤としてin vitroおよびin vivoで検討した。
    L-105の嫌気性菌に対する抗菌スペクトラムは, cefotaxime, cefmenoximeとほぼ同様でB. fragilis groupの一部, Clostridium difficileを除く広い範囲にわたった。抗菌力は強力で, 上記の菌種を除き, 106cells/ml接種時では3.13μg/mlで, 108cells/ml接種時では12.5μg/mlでほとんどの菌株の発育を阻止した。
    L-105は, B.fragilisの産生するβ-lactamaseに対し, cefazolin, cefoperazoneよりはるかに安定であったが, わずかに分解され, cefotaxime, cefmenoximeとほぼ同様であった。またL-105には, B.fragilisとautoclaved caecal contentの同時接種によって起こる膿瘍形成の阻止能は認められなかった。
  • 西野 武志, 尾花 芳樹, 後藤 季美, 大槻 雅子, 北川 英男, 田中 和重, 中 るり子, 谷野 輝雄
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 79-95
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用cephem系抗生物質L-105のin vitroおよびin vivo抗菌作用についてcefotiam (CTM) とceftazidime (CAZ) を比較薬として検討し, 以下の結果を得た。
    L-105は教室保存標準株のグラム陽性菌およびグラム陰性菌群に対して幅広い抗菌スペクトルを示した。また臨床分離株に対する感受性分布ではグラム陽性菌に対してL-105はCTMやCAZよりも良好な感受性を示した。一方, グラム陰性菌に対してはProteus vulgarisを除きL-105はCAZとほぼ同等かあるいは優れていた。
    殺菌作用について検討したところ, L-105は使用したいずれの菌種に対してもdose responseのある殺菌作用を示した。
    抗菌力に及ぼす諸因子の影響では, ウマ血清添加の影響をほとんど受けなかったが, 接種菌量および培地pHの影響を受け, 培地pHではアルカリ側で抗菌力が良好となった。
    位相差顕微鏡による形態観察を行ったところ, Escherichia coli K-12に対してL-105は0.006~0.78μg/mlの幅広い濃度域で菌のフィラメント化が観察された。またE. coliのペニシリン結合蛋白質 (PBPs) に対してL-105はPBPsの3に良好な親和性を示し, 次いで1A, 1Bsの順であった。一方, Staphylococcus aureusの場合はPBPs 2, 1, 3の順に親和性を示した。
    マウス実験的腹腔内感染症に対する治療効果では, S. aureusStreptococcus pneumoniaeの場合, CTMより劣るがCAZより優れていた。一方, E. coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescensではCTMより優れ, CAZとほぼ同等か若干優れていた。
    マウス実験的局所感染症に対する治療効果ではK. pneumoniaeによる肺感染の場合, L-105の効果はCAZより劣っていたが, CTMより優れていた。またE. coliによる尿路感染ではCTMより優れており, CAZとほぼ同等であった。
  • 滝田 節郎, 高木 英利, 中村 厚, 西村 信雄
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 96-99
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生物質であるL-105の急性毒性をマウス, ラットおよびイヌを用いて検討した。
    L-105のLD50値はマウスでは静脈内投与で雄4, 800mg/kg以上, 雌4, 117mg/kg, 腹腔内投与で雄6, 783mg/kg, 雌6, 424mg/kg, 経口投与で雌雄とも10,000mg/kg以上, 皮下投与で雄8,000mg/kg以上, 雌約8,000mg/kgであった。ラットでは静脈内投与で雄4, 222mg/kg, 雌4, 281mg/kg, 腹腔内, 皮下, 経口および筋肉内投与で雌雄ともそれぞれ8,000mg/kg以上, 8,000mg/kg以上, 10,000mg/kg以上, 5,000mg/kg以上であった。イヌでは静脈内投与で雌雄とも2, 500mg/kg以上, 5,000mg/kg以下であった。
    L-105をマウス, ラットに大量投与したときにみられた主な症状は自発運動の減少, 腹臥姿勢, 半眼状態, 異常歩行, 呼吸緩徐, 間代性および強直性痙攣であった。イヌでは流誕, 嘔吐, 呼吸緩徐, 自発運動の減少, 筋緊張の低下, 顔面皮膚の腫脹および発赤, 血性粘液便がみられた。生存例ではいずれの動物においても上記症状は投与翌日までにはほとんど消失し, 剖検においても特記すべき変化は認められなかった。
  • 松本 文夫, 井之川 芳之, 赤井 伸子, 武井 啓司, 比留間 秀雄
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 100-104
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105のイヌにおける腎排泄について, 定速注入によるstop-flow法により検討した。stop-flow分析では, 近位尿細管部にL-105のピークは認められなかった。またL-105のstop-flowパターンに対してプロベネシドの影響はほとんどみられなかった。これらの成績は, L-105がイヌでは主として糸球体濾過によって排泄されることを示唆している。
  • 井之川 芳之, 山下 憲昭, 武井 啓司, 比留間 秀雄
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 105-118
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105をマウス, ラット, ウサギ, イヌ, サルおよび幼若イヌに静脈内またはその他の経路により投与したときの血清 (血漿) 中濃度, 組織内分布, 尿中・胆汁中排泄ならびに代謝について検討した。
    L-105の単回静脈内投与後の血清 (血漿) 中濃度は, サルがもっとも高く, 次いでウサギ, ラット, イヌ, マウス, 幼若イヌの順であり, 生物学的半減期は, それぞれ53分, 58分, 80分, 69分, 30分, 44分であった。これらの値はcefmenoximeに比し, マウス, ラット, イヌおよび幼若イヌで長く, ウサギではやや短かった。ラットにおいてL-105は投与後速やかに各組織に分布しその濃度は, 腎≧肝>血清>肺>心>脾>脳の順であった。
    L-105の尿中排泄率はウサギでもっとも高く, 投与量の88%, イヌ, サル, 幼若イヌで43~52%, ラットで8%であった。胆汁中排泄率はラットでもっとも高く, 投与量の70%, ウサギ, イヌおよびサルで3~30%であった。各種動物の尿, 胆汁についてTLC-バイオオートグラフィーにより活性代謝物の検討を行ったが, L-105以外抗菌活性を有する代謝物は認められなかった。遠心限外濾過法により測定したヒトイヌ, ウサギ, ラットおよびマウスの血清に対するL-105の蛋白結合率はそれぞれ87%, 55%, 98%, 94%, および75%であった。またヒト血清蛋白に対するビリルビン競合結合性はサリチル酸およびcefoperazoneに比較し弱かった。
  • 山下 憲昭, 水村 光男, 井之川 芳之, 武井 啓司, 前田 正敏
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 119-132
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ラットにL-105の14C標識体 (14C-L-105) を単回あるいは10回反復静脈内投与し, 体内動態について検討した。
    1) 単回静脈内投与による最高血液中, 血漿中濃度は20mg/kgおよび100mg/kg投与とも投与5分後に得られ, 以後漸減した。組織内濃度は雌雄共通組織において性別, 投与量で分布ハターンに大きな差は認められなかった。
    2) 反復投与時の血液中濃度は初回投与30分後と最終投与30分後で同じであった。10回投与後の血液中濃度推移は単回投与と同様であった。
    組織内濃度は5回および10回投与30分後で大きな差がなく, 10回投与後の組織内濃度推移は腎でやや遅れる傾向にあったものの, 単回投与時と同様速やかな低下を示した。
    3) 単回投与後の放射能は尿中へ15~30%が排泄され, 残りは胆汁を介して糞中へ排泄された。呼気中への排泄は認められず, 尿, 糞中排泄の合計は投与96時間後までに約97%に達した。反復投与時の尿, 糞中排泄率は6回投与以降平衡に達し, 排泄の遅延は認められなかった。
    4) 14GL405の血球移行性はほとんど認められず, 単回投与時の血漿蛋白結合率は88~96%であった。
    5) 放射能の乳汁中への移行は少なく, 乳汁中放射能濃度は最高でも1.8μg eq./mlと低かった。
  • 中島 光好, 橋本 久邦, 滝口 祥令, 水野 淳宏, 渡辺 邦友, 上野 一恵, 吉住 完治
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 133-148
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人男子志願者37名を対象に, 新しいセフェム系抗生剤L-105の安全性, 腸内細菌叢の変動ならびに体内動態を観察するために, 臨床第一相試験を実施した。
    試験は, L-105の0.25g, 0.5g, 1.Ogおよび2.0g単回静注, 2.0g単回点滴静注 (1時間点滴) および1.0g宛12時間ごと, 計9回連続静注, さらに, 0.25gおよび0.5g単回筋注および0.25g宛6時間ごと, 計6回連続筋注が順次行われ, 以下に示す結論を得た。
    1) 自・他覚的症状, 理学的検査および臨床検査 (血液学的検査, 血液生化学検査および尿検査) については, 薬物に起因すると思われる変化は認められなかった。
    2) 0.25, 0.3, 1.0および2.0g各単回静注5分後の血清中濃度は, 28.9, 73.2, 112および243μg/mlで, 用量依存性が認められ, また, 2.09単回点滴静注終了時の血清中濃度は, 90.1μg/mlであった。0.259および0.59単回筋注時の最高血清中濃度は30分後に得られ, それぞれ9.8および16, 9μg/mlであった。これらの単回静注あるいは筋注時の血清中濃度半減期 (T1/2β) は, いずれも約1時間 (0.9~1.3) であった。
    3) 1, 09宛12時間ごと, 計9回連続静注および0.259宛6時間ごと, 計6回連続筋注時の血清中濃度の推移では, いずれも薬物の蓄積が認められなかった。
    4) 単回静注あるいは筋注時の尿中回収率は, 6時間までに投与量の約50~70%であった。また, 1.09単回静注時の糞便中回収率は, 8.3~15.1%であった。
    5) 1.0g宛12時間ごと, 計9回連続静注時に, 糞便中腸内細菌叢の著しい変動は認められなかった。
  • 斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 福原 育夫, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 149-160
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephem系注射剤L-105について, 抗菌力, 体内動態, 臨床効果などの検討を行った。
    S. aureus 104株を含む臨床分離株217株について, 化療標準法に従い106cells/ml接種でMICを測定した。S. aureusは0.39μg/mlにピークを認め, 大部分が6-25μg/ml以下にあって高度耐性株はなく, cefazolin (CEZ), cefmenoxime (CMX), cefopemone (CPZ) より優れていた。他の菌種ではCMXとほぼ同等であった。
    健康成人男子6名にL-105 1gを静注し, 血中濃度および尿中排泄をみた。血中濃度は5分後109.7μg/mlの値を示し, 1時間12.6μg/ml, 6時間0.33μg/mlであった。対照としたCMXはそれぞれ129.8, 24.8および0.46μg/mlであった。T1/2βはL-105で1.14時間, CMXで1.07時間であった。尿中排泄率は, 6時間まででL-105は54.0%, CMXは78.4%であった。
    呼吸器感染症6例, 胆管炎1例, 尿路感染症14例の計21例に, L-1051回191日2回点滴静注を3~10日間行い, その臨床効果を検討した。著効14例, 有効6例, やや有効1例で, 有効率は95.2%とよい成績であった。細菌学的にも呼吸器感染症からの検出菌であるS. aureus, S. pneumoniaeや, 尿路感染症からのE. coli, K.pneumoniaeなどはいずれも消失した。副作用として軟便が1例に認められた。また, 臨床検査値異常としてGOT, GPTの上昇が軽度ではあるが2例に認められた。
  • 佐々木 信博, 石田 栄, 南 宏明, 中野 均, 赤石 直之, 藤兼 俊明, 小野寺 壮吉, 高塩 哲也
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 161-164
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセファロスポリン系抗生剤L-105を呼吸器感染症に使用し, 以下の結果が得られた。
    1) L-105を細菌性肺炎8例, 肺膿瘍1例, 慢性気管支炎1例に対して, 1日量2~49を8~14日間点滴静注した。
    2) 臨床効果は著効3例, 有効3例, やや有効2例, 無効1例, 判定不能1例で有効以上の有効率は67%) あった。
    3) 副作用として, 自家感作性皮膚炎を合併する例に発疹が出現した。臨床検査成績では2例にトランスアミナーゼの上昇, 2例に好酸球の増加, 1例にBUNの増加が認められた。
  • 山内 文俊, 伊藤 隆司, 田村 昌士, 根本 義勝, 須藤 守夫
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 165-169
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105はセフェム系半合成の抗生剤であり, 好気性ならびに嫌気性のグラム陰性菌のみならずグラム陽性菌にも抗菌力をもつ新しい抗生剤である。細菌性肺炎12例, 肺化膿症, 慢性気管支炎, 気道感染症各1例の呼吸器感染症を対象に本剤の有用性について検討した。方法はL-105 1gを1日2回点滴静注法により投与した。細菌学的検索は喀痰からの分離菌について行い, S. aureus 3株, S. pneumoniae 2株, H. influenzae, H. parainfluenzae, K. pneumoniae, A. calcoaceticus各1株が分離された。本剤の臨床効果は著効8例, 有効3例, やや有効1例, 無効2例, 不明1例であった (有効以上78.6%)。細菌学的効果は菌消失6例, 不変1例, 菌交代1例, 不明1例であった (菌消失率66.7%)。副作用および臨床検査値の異常として発疹が1例, 血清のGOT, GPTの上昇が4例, A1-Pの上昇1例, 好酸球増多が2例みられた。
  • 井田 士朗, 西岡 きよ, 滝島 任
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 170-174
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セフェム系抗生剤L-105を5名の慢性気道感染症の患者に投与し, その臨床的効果について検討した。患者の喀出痰の定量培養により分離された有意菌はインフルエンザ菌3例, 大腸菌, 緑膿菌各1例であった。これらの患者に対し本剤を1回1~29, 1日2回に分けて点滴静注した。その結果, 5例中4例で臨床的に有効あるいは著効の成績が得られ, さらにこれらの症例ではすべて起炎菌の消失がみられた。本剤投与中に自・他覚的副作用は認められなかった。
    慢性気道感染症の起炎菌としてもっとも重視すべき2種の菌, すなわちH. influenzaeB. catarrhalisについてL-105の感受性分布をCMX, ABPC, PIPCと比較検討した。その結果L-105はH. influenzaeに高感受性であり, 全菌株を0.05μg/ml以下のMICで抑えた。一方B. catarrhalisに対しては, そのMIC値は0.05~1.56μg/mlと幅広く分布しCMXには及ぼなかった。
  • 渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 佐々木 昌子, 青沼 清一, 大沼 菊夫, 小野 玲子, 本田 芳宏, 大谷 紀子, 今野 淳, 中井 祐之, ...
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 175-192
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    セファロスポリン系抗生物質のL-105のin vitro抗菌力と呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果, 副作用を検討した。
    黄色ブドウ球菌に対する本剤の抗菌力は, 比較したlatamoxef, ceftizoxime, cefmenoxime, cefmetazole, cefazolin, ampicillinのいずれよりも優れ, 表皮ブドウ球菌に対してはcefazolinとほぼ同等だった。肺炎球菌に対してはcefmenoximeとほぼ同等であり, 化膿性連鎖球菌に対してはもっとも優れていた。インフルエンザ菌に対してはcefmenoximeよりやや優れていた。大腸菌, 肺炎桿菌, エンテロバクターおよびセラチアに対してはceftizoximeより劣るが, latamoxefより優れていた。緑膿菌に対してはlatamoxefとほぼ同等だった。各菌種に対する本剤のMICとMBCの較差は小さかった。
    呼吸器感染症35例 (肺炎25例, 肺化膿症5例, DPB1例, 肺結核混合感染1例, 肺癌二次感染3例) に対して本剤を1回1g, 1日2回あるいは3回, 点滴静注投与した。臨床効果は, 著効8例, 有効15例, やや有効3例, 無効3例でありマイコプラズマ肺炎の6例は判定から除外した。起炎菌として13菌種, 計18株を分離し, 効果判定可能の16株中12株が本剤の投与により消失した。発疹1例, 発熱1例, トランスアミナーゼ値の上昇7例, LDHの上昇1例, 白血球数減少1例, 好酸球数増多1例を認めたが, いずれも軽度で投与終了後には正常化した。
  • 林 泉
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 193-197
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105を呼吸器感染症 (RTI) に使用し, 薬効・安全性・有用性を検討し次の成績を得た。
    1) 細菌学的効果: L-105投与前に喀痰から分離された起炎菌はH. influenzae 2株, K. oxytoca 1株, Serratia 1株の計4株であったが, すべてが除菌された (除菌率100%)。
    2) 臨床効果: 11症例中8症例が効果判定の対象となった。著効4例, 有効3例, 無効1例であった (有効率87.5%)。
    3) 副作用: 1例が1回の投与で薬疹が出現し中止となった。この症例は前投薬で5日前からPEPC 19およびジクロフェナクナトリウム (ボルタレン®) 25mg 1日3回をそれぞれ3日間投与されていた。本剤 (L-105) が発疹のきっかけとなったことは明らかであるが, 前投薬との関連は不明である。
    ほかにGOT上昇, GOT・GPT上昇, GOT・GPT・AI-P・γ-GTP上昇各1例が認められ, L-105は安全性に注意を要する。
  • 和田 光一, 森本 隆夫, 荒川 正昭
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 198-202
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生剤であるL-105を肺炎6例, 膀胱炎2例, 細菌感染を疑われた発熱例3例の計11例に使用し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用, 臨床検査値の変動の4点について検討した。
    L-105は全例点滴静注で使用し, 1日使用量は2.0~4.0g, 使用日数は3~23日であった。臨床効果は著効1例, 有効3例, やや有効1例, 無効2例, 判定不能4例であった。細菌学的効果は細菌を分離した6例で検討し, 消失3例, 減少2例, 不変1例であった。
    本剤使用による副作用は認めなかった。臨床検査値の異常では1例に好酸球増多を認めた。
  • 青木 信樹, 関根 理, 薄田 芳丸, 湯浅 保子, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 田中 富美子, 渡辺 京子
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 203-211
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症24例にL-105を使用した。対象は35歳から88歳まで (平均66. 8歳) の男性12例, 女性12例で, 全例経静脈的に使用し, 腎不全例の1例を除き, 0.5ないし1.09を1日2回静注あるいは点滴静注した (腎不全例では1日1回)。使用期間は4~20日, 総使用量は4.0~38. 09であった。
    臨床効果は有効15, やや有効1, 無効5, 判定不能3例であった。副作用は臨床的にはとくにみられず, 検査成績上GOTの上昇を2例に, GPTの上昇, BUN・クレアチニンの上昇をそれぞれ1例に認めたが, いずれも軽度で治療終了後速やかに正常化した。
  • 山作 房之輔, 鈴木 康稔, 宇野 勝次
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 212-218
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105を20例 (上気道感染症2例, 呼吸器感染症4例, 不明熱1例, 胆道感染症3例, 尿路感染症8例, S. pneumoniae髄膜炎1例, 表在性感染症1例) に使用した。使用法は上気道感染症2例, 呼吸器感染症の3例, 不明熱, 胆道感染症, 尿路感染症の1例では1回19, 1日2回の静脈内投与を行い, 著効1例, 有効7例, やや有効1例, 無効1例であった。髄膜炎は1回19, 1日3回静注し, 有効であった。呼吸器感染症の1例, 表在性感染症, 尿路感染症の7例では1回250mg, 1日2回の筋注を行い, 有効8例, 無効1例であった。
    起炎菌は髄膜炎1例, 上気道感染症2例, 表在性感染症1例, 尿路感染症8例から分離し, このなかの9株についてMICを測定したが, S. pneumoniaeは0-006μg/ml以下, A. anitratusは25μg/ml, E. coli 4株は0.025~0.1μg/ml, P. mirabilis3株は0.1~0.2μg/mlであった。
    副作用は1例に肝機能障害を伴う発熱, 発疹を, 2例に肝機能障害を認め, 前者と後者の1例ではLMITにより本剤に起因することが確かめられた。
  • 山縣 元, 佐藤 実, 坂本 智子, 横瀬 節, 勝 正孝, 奥井 津二
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 219-226
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セファロスポリン系抗生物質L-105について, 基礎的・臨床的検討を行った。
    臨床分離株S. aureus, S. epidermidis, S. Pneumoniae, E. coli, K. pneumoniae, H. iinfluenzu, E. doacae, P. uulgalis, S. marcescens, B. fragilisに対し本剤の抗菌力を測定し, cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), cefmetazole (CMZ), cefoperazone (CPZ), cefmenoxime (CMX), latamoxcf (LMOX) のおのおのと比較した。L405は, S. aureus, S. epidgrmidisに対してもっとも優れた抗菌力を示した。S. pneumoniae, E. coli, K. pneumoniu, H. influenzae, P. uulgaris, S. marcescensに対しても, CMXと同様もっとも優れた抗菌力を示した。E. cloacae, B. fragilisに対しては, LMOXがもっとも優れた抗菌力を示し, L-105とCMXがそれに次いだ。
    臨床成績では, 呼吸器感染症10例, 尿路感染症4例, 消化器感染症3例, 不明熱4例の計21例に対し, 本剤1.0gを1日1~3回, 3~31日間 (平均10日間) 点滴静注した。このうち, マイコプラズマ肺炎2例, 不明熱4例 (悪性腫瘍3, 膠原病1) を除き, 残り15例について検討した。その結果, 著効と有効は13例で, 有効率は87.5%であった。副作用は21例中1例に, 悪寒, 発熱, 発疹・消化器症状を認め投薬を中止した。臨床検査ではL-105と関係があると考えられる異常値は, 1例において肝機能障害と白血球減少, 他2例にGOT, GPTの軽度上昇を中心とする肝機能障害をみたが, いずれも投与中止後, または終了後正常化した。
  • 柴 孝也, 斉藤 篤, 嶋田 甚五郎, 山路 武久, 北條 敏夫, 加地 正伸, 奥田 新一郎, 南雲 久美子, 宮原 正, 上田 泰
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 227-236
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新半合成セファロスポリン剤L-105に関する抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討および内科系感染症に対する臨床評価を試み, 以下の成績を得た。
    1) 抗菌力: 臨床分離のStaphylococcus aureusに対するL-105の抗菌力はCMZより1~3段階, CEZ, CPZ, LMOXより3~5段階優れていた。Indole (+) Proteus属に対しては, CEZとProteus mirabilisではLMOX, CEZとほぼ同等の抗菌力を示し, 他の比較薬剤より優れていた。
    2) 吸収・排泄: 健康成人男子志願者に1,000mgのL-105およびCTMをcross over法により1回静注し, 血中濃度ならびに尿中排泄を比較した。静注5分後のL-105, CTMの血中濃度は164μg/ml, 96μg/mlを示し, 以後経時的に減少し, その半減期 (β相) はそれぞれ0.833時間, 1.063時間であった。静注後6時間までの尿中排泄率はL-105, CTMで, それぞれ52-4%, 58.0%であった。また, L-105静注30分前にprobenecid 1,000mgを併用した場合, 非併用時に比較し, 血中濃度の持続および尿中排泄の遅延傾向が認められた。
    3) 臨床成績: 歯根膜炎, 感染性心内膜炎各1例, 呼吸器感染症2例, 尿路感染症3例計7例にL-105を使用し, 著効2例, 有効3例, やや有効1例, 無効1例の成績を得た。
    副作用としては特記するものは認めず, また本剤使用によると思われる臨床検査値の異常は認められなかった。
  • 渡辺 一功, 小原 共雄, 稲垣 正義, 礒沼 弘, 日比谷 一郎, 浜本 恒男, 森 健, 池本 秀雄
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 237-241
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105は日本レダリー株式会社で合成, 開発された新規の注射用半合成セファロスポリン系抗生物質であり, 好気性, 嫌気性のグラム陽性菌からグラム陰性菌にまで幅広い抗菌スペクトラムを有し, なかでも第三世代セフェム系抗生物質の抗菌力の及ぼないブドウ球菌に対してcefazolinとほぼ同等の抗菌力を有している。
    今回, われわれは8例の呼吸器感染症に本剤を投与した。対象患者は男性5例, 女性3例, 年齢分布は21歳より76歳 (平均58歳), 対象疾患は肺炎3例 (1例はマイコプラズマ肺炎), 気管支拡張症, 膿胸, 慢性細気管支炎, 気道感染を伴った肺気腫, 肺アスペルギロームの各1例である。投与量は1例で1回29, 1日2回投与以外は全例1回19, 1日2回投与であり, 投与期間は6~13日 (平均9日), 総投与量は11~289 (平均19.89) である。
    臨床成績は肺炎3例中有効1例, 他の2例はマイコプラズマ肺炎, 肺癌を基礎疾患とし無気肺, 放射線肺臓炎を合併していたため効果判定から除外した。気道感染を伴った肺気腫例は著効, 気管支拡張症, 慢性細気管支炎例は有効, 膿胸例はやや有効, 肺アスベルギローム例は判定から除外した。
    副作用は1例に発疹, 1例にGOT, Al-Pの上昇を認めたが, 重篤な副作用は認めなかった。
    今後は症例をつみかさね本剤の特徴, 有用性を検討していく予定である。
  • 稲松 孝思, 岡 慎一, 浦山 京子, 磯埼 泰介, 島田 馨
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 242-247
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経皮経肝胆管ドレーンを有する71歳女性の閉塞性黄疸患者にL-105 1gを1時間かけて点滴静注したときの血中濃度のピーク値は96.0μg/mlであり, β相半減期は1.17時間であった。胆汁内濃度は, 投与開始後3~5時間に188μg/mlであり, 8時間までに投与量の1.23%が胆汁中に回収された。
    54~92歳の高齢者13症例に本剤による感染症治療を試みた。臨床効果判定可能であった敗血症 (E.coli) 1例で著効, 肺炎6例中5例で有効, 腎盂炎, 胆嚢炎, 蜂窩織炎各1例で有効であり, 無効例は肺炎1例のみであった。3症例は本剤投与後, 適応外疾患であることが判明したため, 臨床効果判定からは除外した。副作用としては13症例中, 1例に皮疹, 1例にGOT, Al-Pの軽度上昇を認めた。
  • 蝶名林 直彦, 吉村 邦彦, 中谷 龍王, 中森 祥隆, 中田 紘一郎, 谷本 普一, 杉 裕子
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 248-256
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    セフェム系抗生物質L-105を呼吸器感染症21例に使用し, その臨床効果および副作用を検討した。感染症の内訳は, 急性肺炎5例, 気道感染症4例, びまん性汎細気管支炎 (以下DPBと略す), 肺気腫症などの気道・中間領域感染症12例であるが, 急性肺炎のうち2例は, 後にマイコプラズマ肺炎と判明し, 臨床効果判定からは除外した。臨床的有効率は, 急性肺炎では, 著効1例, 有効2例で, 有効率100%, 気道感染症では, 有効2例, やや有効1例, 不明1例で50%, 気道・中間領域感染症では, 有効4例, やや有効4例, 無効4例と, 有効率は33.3%であったため, 全体の有効率は47.4%にとどまった。
    起炎菌別にみると, 複数菌感染1例を含め, 11例の起炎菌が同定されており, Staphylococcus aureus2例中1例消失, 1例減少, Haemophilus influenzaeは7例全例消失したが, Pseudomonas aeruginosa, Bacteraides species各1例は菌不変であった。副作用は3例に認められ, やや発現頻度の高い印象をもった。下痢・発熱および嘔気・発疹であるが, それぞれ本剤中止後速やかに消失した。また臨床検査値異常として, 軽度の貧血, 好酸球増加および軽度の肝機能異常の4件を認めたが, 治療終了後は改善していた。本剤は, 起炎菌の種類が多岐にわたる可能性のある呼吸器感染に対する治療薬として, その効果が期待される。
  • 武田 博明, 吉田 雅彦, 小林 宏行
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 257-260
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症9例 (急性気管支炎2例, 慢性気管支炎1例, 気管支拡張症の感染性増悪1例, 肺炎4例, 肺化膿症1例) に対し, セフェム系新抗生剤であるL-105の点滴静注による臨床的効果および安全性について検討した。
    その結果, 有効7例, やや有効1例, 除外1例との成績が得られた。
    副作用に関しては, 臨床検査値の異常を含めて自覚的, 他覚的な症状・所見はみられなかった。
    以上より, 本剤は呼吸器感染症, とくに下気道感染症に対し臨床的に安全に使用可能であり, 有用性が期待でき, かつ今後検討するに十分価値ある抗生剤と考えられた。
  • 倉沢 忠弘, 山根 至二, 真下 啓明
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 261-264
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい第三世代セファロスポリン系抗生物質, L-105を呼吸器感染症10例について投与し, 臨床的検討を行った。投与症例は, 肺炎9例, 膿胸1例である。結果は, 著効3例, 有効5例, やや有効2例であり, 有効率80%と, 良好な成績を得た。S. aureusによる肺炎3例については, 1例が著効, やや有効が2例の成績であり, その有効性については, さらに多数例についての検討が必要である。副作用は, 1例に発疹をみたが, 他には副作用を認めず, 安全に使用できる抗生物質と思われる。
  • 小花 光夫, 小林 芳夫, 藤森 一平
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 265-270
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセフェム系抗生剤であるL-105を呼吸器感染症および尿路感染症に使用し, その臨床効果と副作用を検討した。対象は12例で男性4例, 女性8例, 年齢は17歳から96歳までで, 平均61.8歳であった。感染症の内訳は急性肺炎4例, 急性腎盂腎炎2例, 慢性腎盂腎炎5例, 不明熱1例であった。薬剤投与方法としてはL-1051回1,000mgをブドウ糖液20mlに溶解して1日2回one shot静注, またはSolita T3液200mlに溶解して1日2回30分間で点滴静注した。投与日数は4~14日間, 平均7.8日間であった。
    臨床効果の判定可能であった10例において急性肺炎3例ではいずれも有効, 急性腎盂腎炎2例ではいずれも有効, 慢性腎盂腎炎5例では有効2例, やや有効2例, 無効1例であり計10例中7例が有効以上で, 有効率は70.0%であった。起炎菌を同定しえた7例では, 菌消失4例, 菌交代2例, 菌減少1例であった。
    副作用は12例について検討したが, 不明熱の1例で本剤投与9日後に発熱, リンパ節腫脹, 全身の発疹がみられた。しかし, 本剤投与中止と外用剤にて軽快した。本剤投与前後における臨床検査値では貧血が1例 (RBC 261→181×104/mm3, Hb7.2→5.0g/dl, Ht21.9→15-1%), LDHの増加が1例 (333→418IU), プロトロンビン時間の延長とBUNの増加が1例 (PT12.9→14.8秒, BUN 22.0→29.5mg/dl), 好酸球数の増加と肝機能障害が1例 (eosino.0→640/mm3, GOT13→62IU, GPT7→94IU, LDH 256→461IU) で認められた。しかし, いずれも軽度で一過性であり, 本剤投与中止後軽快した。
    これらの結果から, 本剤は内科領域の感染症において有用な薬剤と考えられた。
  • 伊藤 章, 川井 孝子, 大久保 隆男
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 271-277
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    3位側鎖にthiadiazol基を導入した新規半合成セフェム剤L-105について臨床的検討を行った。
    1) 肺炎5例, 呼吸器系二次感染2例, びまん性汎細気管支炎2例, 計9例の呼吸器感染症を対象とした。
    2) 臨床効果は, 有効5例, 無効3例, 判定不能1例で有効率は8例中5例有効で62.5%であった。
    3) G (+) 菌検出例は5例中4例有効 (80, 0%), G (-) 菌検出例は3例中1例有効 (33.3%) であった。
    4) 分離菌のL-105に対するMICはS. epidermidis 0.1μg/ml, S. aureus 0.39~0.78μg/ml, K. pneumoniae 0.1μg/ml, P. aeruginosa 12.5μg/ml, F. meningosepticum 100μg/ml以上であり, 細菌学的には2例で消失, 1例で菌交代, 不変4例, 不明2例であった。
    5) びまん性汎細気管支炎例で, 本剤19投与例の体内動態を検討し, 喀痰中へも0.2~0.4μg/mlの濃度で認められた。
    6) 1例で蕁麻疹様発疹が認められ, 投与を中止したが本剤によると思われる検査値異常は認められなかった。
    7) 本剤は, G (+) 菌のみならずG (-) 菌にも抗菌力を有する新しいセフェム剤であり今後とも有用な抗菌力となりうるであろう。
  • 松本 文夫, 桜井 磐, 今井 健郎, 児玉 和也, 相沢 純雄, 高橋 孝行, 杉浦 英五郎, 田浦 勇二, 平林 哲郎
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 278-284
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105は新しく開発されたcephem系剤であり, 好気性, 嫌気性のグラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広い抗菌スペクトラムを有している。今回われわれは, 本剤の抗菌力とともに臨床効果を検討した。
    L-105の最小発育阻止濃度は, S. dureus (50株), E. coli (50株), K. pneumoniae (50株), P. mirabilis (50株) で, それぞれ1.56, 0.2, 1.56, 0.39μg/mlの成績を得た。
    臨床効果の検討では細菌性肺炎5例, 慢性気管支炎1例, 急性腎盂腎炎4例'急性前立腺炎1例の合計11例を対象とした。1日使用量は1~4gであり7~13日間にわたり点滴静注で使用した。その結果, 著効3例, 有効6例, やや有効2例の結果を得た。原因菌が判明したものは7例あり, S. pneumoniae, H. influenueおよびE. coliであったが, 細菌学的効果は全例有効であった。一方, 副作用および本剤に起因する臨床検査値の異常はみられなかった。
  • 山木 健市, 高木 健三, 鈴木 隆二郎, 佐竹 辰夫, 今井 昌利, 岩田 仁, 笹本 基秀, 佐々木 智康, 田野 正夫, 横山 繁樹
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 285-292
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい半合成セファロスポリンであるL-105は, 好気性, 嫌気性のグラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広い抗菌スペクトルを示すとともに強い抗菌力を有す。また, 化学的に安定であるとともに各種のβ-ラクタマーゼに対しても安定である。
    呼吸器感染症20症例に対してL-105を投与し, 臨床的効果と細菌学的効果を判定した。臨床的効果は15症例にて判定し, 著効13.3%, 有効53.3%, やや有効26.7%, および無効6.7%であった。細菌学的効果は9症例にて判定し, 55.6%に菌消失がみられた。また, 検査値の異常が4例にみられたが, 副作用として自・他覚的な臨床症状を呈した症例はなかった。以上より, 呼吸器感染症に対するL-105の有効性が期待できるものと思われた。
  • 岡本 緩子, 飯田 夕, 米津 精文, 榊原 嘉彦, 安永 幸二郎, 上田 良弘, 大久保 滉
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 293-307
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    日本レダリー株式会社で合成された新セフェム系抗生物質L-105について検討を行い, 以下の成績を得た。
    臨床分離菌に対する本剤のMICは, S. aureusではCMX・CPZ・CZX・LMOXのいずれよりも優れていた。一方, グラム陰性菌に対するMICは一般にCMXに類似し, LMOX, CPZよりもまさり, CZXよりも劣る傾向がみられた。P. aeruginosaに対してはCPZがもっとも優れL-105はCMX・CZX・LMOXと同程度であった。
    基礎疾患を有する肺炎3例, 急性気管支炎3例, 慢性気管支炎1例, 急性腎盂腎炎1例, 疑敗血症1例, その他3例の計12例に本剤を1回1g, 1日2回, 4~15日間点滴静注した。臨床効果判定可能対象症例9例中5例に有効の成績を得た。副作用検討対象症例12例中1例に下痢, 1例に好酸球増多を認めた。
  • 吉丸 清道, 小林 敬司, 山田 義夫, 塩田 憲三
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 308-312
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    3位側鎖に1, 2, 3-thiadiazol基を導入した新規半合成セフェム剤L-105を内科領域の感染症9例に使用し, その有効性と安全性を検討した。
    対象は, 呼吸器感染症6例, 尿路感染症2例, 敗血症1例で, 原因菌についてはcoagulase陰性Staphylococcus1例, Serratia marcescens 1例, 未見1例, マイコプラズマ1例, その他5例は常在菌であった。
    臨床的効果では, 呼吸器感染症5例中4例, 尿路感染症2例中2例, 敗血症1例が有効以上の判定で, 全8例中7例87.5%の有効率であった。
    副作用は, 著明なものは認めなかった。
    以上の結果より, L-105は内科領域の感染症に対して, 有効性, 安全性ともに優れた有用な抗生剤と思われる。
  • 三木 文雄, 生野 善康, 井上 英二, 葭山 稔, 村田 哲人, 谷澤 伸一, 坂元 一夫, 酒井 宏純
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 313-320
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    日本レダリー研究所において新しく合成された注射用セフェム系抗生物質L-105について, 臨床分離菌の感受性を測定するとともに, 内科系感染症患者に投与し, 有効性と安全性の検討を行い以下の成績を得た。
    病巣分離菌のL-105に対する感受性分布のピークは, 106CFU/ml菌液接種時, S. aureusでは0.78μg/ml, E. coliでは0.2μg/ml) K. pneumoniaeでは0.1μg/ml, P. mirabilisでは0.1μg/ml, P. vulgarisでは0-1μg/ml, P. aeruginosaでは50μg/ml以上, S. marcescensでは0.2μg/mlにそれぞれ認められた。Proteus属およびS. marcescensでは接種菌量の増加によりMICにかなりの影響が認められた。
    敗血症4例, 呼吸器感染症9例, 肝膿瘍1例, 腎孟腎炎1例, 計15例にL-105を1回19, 1日2回 (敗血症1例に対しては1日3回), 3~22日間, 点滴静注により投与した結果, 効果判定可能であった敗血症4例中著効1例, 有効1例, 無効2例, 肺炎2例中著効1例, 有効1例, 慢性気管支炎1例は有効, 感染を伴った肺気腫2例はともに有効, 感染を伴った気管支拡張症2例中やや有効1例, 無効1例, 肝膿瘍1例は無効, 腎孟腎炎1例は有効の臨床効果を認めた。細菌学的には, 原因菌を確定しえた12例中9例において除菌効果が認められた。全例において自・他覚的の副作用は認められなかったが, RBC・Hb・Htの減少1例, 好酸球増多2例, GOT上昇2例, GOTGPT・Al-P上昇2例, BUN上昇1例と, 臨床検査値の異常化がやや高率に認められた。
  • 主として呼吸器感染症に対する臨床的有用性の検討
    二木 芳人, 角 優, 梅木 茂宣, 中川 義久, 日野 二郎, 渡辺 正俊, 川西 正泰, 川根 博司, 副島 林造
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 321-327
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質L-105について, 各種臨床分離株に対するMICを測定し, CTM, CZX, LMOXおよびPIPCのそれと比較した。また, 呼吸器感染症12例, Campylobacter腸炎1例の計13例を対象に本剤を1回1~291日2回点滴で3~15日間使用して, 臨床効果および副作用の有無の検討を行い以下の成績を得た。
    1) 抗菌力: 本剤のS. aureusに対するMICのピークは0.39μg/mlであり, CTM, CZX, LMOX, PIPCのいずれにも勝る成績であった。E. coli, S. marcescms, Proteus sp.についてはCZXには若干劣るが, CTM, LMOXには勝る成績であった。K. pneumoniaeではLMOXと同等の抗菌力を示した。P. aeruginosa, P. cepacia, Acinetobacter sp.ではおのおの200≦, 6.25, 25μg/mlにMICのピークを認めた。
    2) 臨床的検討: 本剤はS.aureusが起炎菌と考えられた呼吸器感染症2例を含む, 13例すべてに有効の, 優れた成績を示し, 臨床的副作用を全く認められなかった。臨床検査成績では, eosinophiliaを3例に, GPT上昇, Al-P, LDHの上昇を各1例に認めたが, いずれも軽度・一過性であった。
  • 田村 正和, 中川 勝, 螺良 英郎, 滝下 佳寛
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 328-331
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105を10例の呼吸器感染症に使用した。その内訳は, 肺炎7例, 慢性気管支炎2例, 急性気管支炎1例であり, そのうち6例が基礎疾患を有していた。投与方法は, 1回1~29を1日2回, one shot静注または点滴静注とした。臨床効果判定は, 除外2例を除く8例について行い, 有効4例, やや有効1例, 無効3例であった。副作用は, 1例に下痢, 4例に発疹を認めたが, いずれも軽度であった。本剤に起因する臨床検査値異常は認めなかった。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 熊谷 幸雄, 石丸 敏之, 仁保 喜之
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 332-344
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用cephalosporin系抗生物質であるL-105について, 基礎的・臨床的検討を行った。
    臨床分離菌に対するL-105の抗菌力を接種菌量が106 cells/mlのときのMICで測定した。このときのL-105のMIC80S. aureus 6.25, E. feecalis 100, E.coli 0.10, K. pneumoniae 0.39, K. oxytoca 0.10, E. cloacae 100, E. aerogenes 12.5, S. marcescms 6.25, Citrobuter spp.12.5, Proteuspp.0.20, M. morganii 3.13, P. aeruginosa 100μg/mlで, E. faecalis, P. aeruginosa以外の菌種には優れた抗菌力であった。これらの抗菌力を同時に測定したcefmenoxime (CMX), ceftizoxime (CZX), cefbperazone (CPZ) と比較すると, S. anreusではL-105が他の3剤よりも1~2段階優れていたが, グラム陰性桿菌ではCMX, CZXとは同等か1~2段階劣るものであった。しかし, CPZよりはP. aeruginosa以外で数段階優れていた。
    急性腎孟腎炎からの敗血症, 肺炎, 喉頭炎と肺炎合併例, 扁桃炎の各1例, 計4例にL-105を1日2~4g, 5~14日間使用したところ, 著効1例, 有効1例, 無効1例, 判定不能1例であった。副作用は何ら認められず, 臨床検査成績にもL-105によると思われる変動は認められなかった。
  • 重野 芳輝他
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 345-362
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105についての基礎的・臨床的研究を行い, 次の結果を得た。
    1) 抗菌力: 教室保存の標準株29株と各種臨床分離菌17菌種682株の計711株について, 本剤のMIC値をミクロブイヨン希釈法にて測定し, cefazolin, cefotiam, ceftizoxime, latamoxef, piperacillinと比較した。本剤の抗菌力は, S. aureus, S. epidermidis, S. pneumoniae, H. influenzae, S. marcescensに対し, 6薬剤中もっとも優れた抗菌活性を示した。
    2) 体内動態: 慢性気管支炎2例について, crossover法により1.0gおよび2.0g投与後の血中濃度および喀痰内濃度を検討した。最高血中濃度は, 点滴終了時に1.0g投与では38.2, 49.5μg/ml, 2.0g投与では48.7, 72.9μg/mlの値を示し, 最高喀痰内濃度は1例においてのみ1.0g投与で2~3時間目に0.15μg/ml, 2.0g投与で3~4時間目に1.11μg/mlの値を示し, 他の1例では測定限界値 (0.025μg/ml) 以下であった。
    3) 臨床応用: 呼吸器感染症44例に対し, 本剤2.0~4.0g/日, 5~8日間の点滴静注投与を行った。臨床効果は, 著効5例, 有効26例, やや有効3例, 無効3例, 判定不能7例で, 有効率は83.8%であった。副作用として, 2例に嘔気, 発熱, 9例に臨床検査値の異常 (肝機能異常7.好酸球増多1, プロトロンビン時間の延長1) がみられたが, いずれも投与中止後改善した。
  • 宍戸 春美, 高橋 淳, 大石 和徳, 永武 毅, 渡辺 貴和雄, 松本 慶蔵
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 363-379
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105は, cephem環の7位にaminothiazole,(syn) methoxyimino両基をもち, 3位側鎖に1, 2, 3-thiadiazole基を導入した新規半合成cephalosporin剤である。
    呼吸器病原性の明確な臨床分離株について106cfu/ml, 1白金耳接種時のMIC (μg/ml) を測定した。L-105と代表的cephem剤のMIC50, MIC90値を示す。H, influenzae 47株に対しては, L-105 0.025, 0.05; CMX 0.013, 0.025; LMOX 0.1, 0.1; CEZ 12.5, 25であった。S, Pneumoniae 38株に対しては, L-105 0.013, 0.1; CMX O.013, 0.2; LMOX 1.56, 3.13; CEZ O.2, 0.78であった。B. cayarrhalis 40株に対しては, L-105 0.78, 1.56; CMX 0.39, 0.78; LMOX 0.025; CEZ 6.25, 6.25であった。S, aureus 35株に対しては, L-105 1.56, 50; CMX 3.13, 0.013, 50; LMOX 12.5, 100; CEZ 0.78, 50であった。Methicillin耐性S, aureus (MRSA) 29株に対しては, L-105 25, 100; CTX 100, >100; CTM 25, >100; CET 25, 50であった。
    呼吸器感染症患者における血中濃度, 局所痰中濃度, 喀痰中濃度を測定した。L-105 1g×2/日, 点滴静注投与中の喀痰中濃度は0.68~1.34μg/ml, 最高喀痰中濃度は0.11~0.31μg/ml, 喀痰中移行率 (血中ピーク値に対する最高喀痰中濃度の比) は0.29~0.78%であった。
    呼吸器感染症20例にL-105 1g×2/日, 点滴静注投与による治療を行った。起炎菌のうち, H. influenzae, S. pneumonie, およびS. aureusはすべて消失した。著効4例, 有効14例, やや有効1例, 無効1例, 有効率90.0%であり, 優れた治療効果が得られた。本剤の安全性は優れていた。
  • 菅 守隆, 安藤 正幸, 田中 不二穂, 杉本 峯晴, 荒木 淑郎, 福田 安嗣, 徳永 勝正, 徳臣 晴比古
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 380-385
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい半合成セファロスポリンの注射剤であるL-105. を内科領域における感染症に使用し, その臨床効果と副作用について検討した。
    対象は呼吸器感染症13例 (肺炎9例, 慢性気道感染症3例, 肺化膿症1例) と尿路感染症2例 (急性膀胱炎1例, 慢性尿路感染1例) の計15例に使用した。
    1) 細菌学的効果は15例中9例から起炎菌が検出され, そのうち8例において起炎菌の消失をみた。
    2) 臨床効果は, 著効2例, 有効7例, やや有効2例, 無効1例, 効果判定除外例3例で有効率75%であった。
    3) 副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
    以上より本剤は内科領域における感染症に有用な薬剤であると考えられた。
  • 呼吸器感染症を中心に
    那須 勝, 後藤 純, 後藤 陽一郎, 田代 隆良, 黒田 芳信, 山崎 仁志, 明石 光伸, 糸賀 敬, 宮子 博, 柿川 恵子, 菅原 ...
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 386-393
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセフェム系抗生物質L-105について, 臨床分離菌に対する抗菌力, ヒトへ投与した場合の血中濃度および喀痰への移行濃度, 呼吸器感染症例を中心とした臨床効果を検討し, 以下の結果を得た。
    抗菌力: 最近の各種の臨床材料から分離した902株 (グラム陽性球菌106株, 腸内細菌537株, ブドウ糖非醸酵グラム陰性桿菌212株, Bacteroides fragilis47株) について, 日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同時に測定したlatamoxef (LMOX), cefotaxime (CTX) との抗菌力と比較した。
    本剤は, Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis に対してLMOX, CTXよりもやや優れ, 腸内細菌に対しては, ほぼ同等の抗菌力を示した。ブドウ糖非醸酵グラム陰性桿菌に対しては, L-105は, LMOX, CTXとほぼ同様の抗菌力を示し, 全般にやや抗菌活性は弱く, Pseudomonas amginosaにも抗菌力は低かった。B. frgilisに対してはLMOXがもっとも抗菌力が強く, CTXとほぼ同等の成績) あった。
    血中濃度, 喀痰への移行濃度: 慢性気道感染症3例に, L-105 1gを200mlの溶液とともに1時間かけて点滴静注した場合の血中濃度は, 点滴終了時に38~70μg/ml, 以後漸減し6時間目に0.2~1.3μg/mlであった。喀痰への移行は, 点滴終了時から1時間目の間に0.3~0.7μg/mlの濃度が得られた。
    臨床評価: 気管支肺炎2例, 慢性気管支炎2例, 気管支拡張症2例, 盲腸部膿瘍1例の計7例に本剤1日2g分の点滴静注を4~10日間行った。臨床効果は, 有効2例, やや有効4例, 無効1例と判定された。本剤投与前後における自覚的所見, 血液・生化学的検査には, とくに異常は認められなかった。
  • 青木 正治, 熊本 悦明, 広瀬 崇興, 岡山 悟, 酒井 茂, 江夏 朝松
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 394-404
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるL-105について基礎的・臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1) 抗菌力
    教室保存の臨床分離株のMICをMIC 2000システムにて測定した。その結果E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilis, Indol陽性Proteus spp., Enterobacter spp., Citrobacter spp., S. marcescens, S. epidermidis には優れた抗菌力を示したが, P. aeruginosa, E. faecalisに対してはかなり高いMIC分布を示した。
    2) 臨床的検討成績
    複雑性尿路感染症患者14例について原則的に10日間投与を行い検討した。総合臨床効果は, 5日間投与では有効率64%, 10日間投与では有効率69%であった。
    本剤を投与した14例で問題となる副作用は認められなかった。
  • 土田 正義, 西沢 理, 鈴木 隆志, 高田 斉, 松尾 重樹, 佐藤 貞幹, 中野 修道
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 405-412
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症の26例に注射用半合成セファロスポリン系抗生剤L-105を使用し, UTI薬効評価基準に合致した23例について臨床効果を検討した。投与量は1日2g, 2回分割で, 5日間にわたり投与した。
    23例の総合臨床効果は著効2例, 有効9例, 無効12例で有効率は48%であった。細菌学的効果では全41株中, 28株が消失し, 消失率は68%であった。副作用としては, 自他覚的に臨床症状を呈したものはなかったが, 3例でGOT, GPT, AIPに軽度な上昇を認めた。
  • 富永 登志, 北原 研, 岸 洋一, 新島 端夫, 石井 泰憲, 塚田 修, 斉藤 功, 西村 洋司
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 413-420
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域の尿路感染症16例に対し, L-105を投与し, その臨床効果および副作用について検討を行った。投与方法は1回0.5~1.0gを1日2回静注または点滴静注し, 投与期間は原則として5日間とした。
    主治医判定による総合臨床効果は, 急性単純性腎盂腎炎は1例で有効, 複雑性尿路感染症15例では, 著効5例, 有効6例, やや有効2例, 無効2例で, 有効率73%であった。一方, 複雑性尿路感染症15例中, UTI薬効評価基準に合致した10例の有効率は, 著効4例, 有効1例, 無効5例で, 総合臨床効果は50%であった。
    細菌学的効果では, 12株中9株 (75%) が除菌されたが, P. aeruginosa, C. freundii, Enterococcusの各1株が存続した。投与後出現菌としては, Candida2株を含む4株が認められた。
    自他覚的副作用は認めなかったが, 1例にAl-Paseとγ-GTPの上昇を認めた。
  • 清田 浩, 町田 豊平, 小野寺 昭一, 鈴木 博雄, 岸本 幸一, 後藤 博一
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 421-426
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症13例に対し, 新しいセフェム系抗生剤であるL-105を投与し, その臨床効果および副作用について検討した。投与方法は本剤1回1gを1日2回5日間静注とした。
    これらの症例のうちでUTI薬効評価基準で判定可能であった8例に対する有効率は50.0%であったが, 無効例4例のうち3例は, 本剤の適応外である緑膿菌が起炎菌であった。
    自他覚的副作用は認められず, 臨床検査値異常としては2例にtransaminascの上昇が認められたが, これらは本剤投与中止後改善した。
  • 岡田 敬司, 中島 登, 宮北 英司, 谷川 克巳, 西澤 和亮, 川嶋 敏文, 白水 幹, 長田 恵弘, 勝岡 洋治, 木下 英親, 松下 ...
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 427-434
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    L-105は好気性, 嫌気性のグラム陽性菌からグラム陰性菌まで広い抗菌スペクトルを示し, β-lactamaseに安定であることを特徴とする。本剤を尿路感染症21例に使用しその有効性, 安全性および有用性について検討した。
    急性単純性腎孟腎炎2例, 慢性複雑性尿路感染症15例, 急性副睾丸炎2例, 急性前立腺炎1例, 淋菌性尿道炎1例に投与し, 主としてUTI薬効評価基準に従って効果を判定した。
    UTI薬効評価基準に合致する症例のうち, 急性単純性腎孟腎炎では著効1例, 有効1例で有効率100%, 慢性複雑性尿路感染症では著効2例, 有効4例, 無効3例で有効率67%であった。
    副作用は21例中, 食欲不振1例, 全身倦怠感・発熱1例認めた。
    以上のことから本剤は尿路感染症治療, 感染予防にご有用と考えられた。
  • 鈴木 恵三, 高梨 勝男, 森口 隆一郎, 根本 総, 置塩 則彦, 名出 頼男
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 435-443
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤L-105を慢性複雑性尿路感染症20例に投与した。1日投与量は主に2gで, 静注または点滴静注で投与した。期間はおおむね5日間である。UTI薬効評価基準では18例中7例, 39%, 主治医判定では20例中10例, 50%の有効率であった。有効率が低かった理由は, L-105の非適応菌種であるP. aeruginosaの単独菌または複数菌感染が7例含まれていたことによる。これらにはすべて無効であった。これを除外したUTI基準での有効率は64%であった。本剤はP. aeruginsaE. faecalisには効果が劣るが, これ以外のGNB, GPCには優れた成績を示した。副作用は全例に認めず, 末梢血, 肝, 腎機能の臨検値にも全例異常をみなかった。
  • 太田 信隆, 広瀬 淳, 山口 安三, 塚田 隆, 増田 宏昭, 牛山 知已, 畑 昌宏, 鈴木 和雄, 田島 惇, 阿曽 佳郎
    1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 444-449
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン抗生物質であるL-105を浜松医大および関連施設に入院中の24例の複雑性尿路感染症患者に使用し, その有効性と安全性を検討した。投与法は本剤1回0.5または1.0gを1日2回点滴静注し, 5日間投与した。UTI薬効評価基準合致例は15例であり, 総合臨床効果は著効4例, 有効7例, 無効4例であり, 有効率は73%であった。副作用に関しては自他覚的副作用はみられず, 臨床検査値異常としてリンパ球増多が1例にみられたが本剤中止後正常化した。
feedback
Top