敗血症, 呼吸器感染症由来のMethicillin resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) 50株を用いて, アミノ配糖体抗生物質 (AGs) 9剤 [Arbekacin (HBK), Dibekacin (DKB), Gentamicin (GM), Amikacin (AMK), Tobramycin (TOB), Netilmicin (NTL), Sisomicin (SISO), Micronomicin (MCR), Astromicin (ASTM)], β-lactam系抗生物質2剤 [Methicillin (DMPPC), Cefazolin (CEZ)] に対する感受性を検討した.
1) MRSAに対するAGsの抗菌力は, HBK, NTLが優れていて, そのMIC
80は, HBK O.78μg/ml, NTL1.56μg/mlだった.AMKは, >100μg/mlのMIC値を示す高度耐性株は少ないが, MIC
80は, 25μg/mlを示していた.
その他のAGsは, MIC
50で, DKB, GM, SISOが各々100μg/ml, TOB, MCR, ASTMが各々>100μg/mlであり抗菌力が劣る.
GM, SISO, MCR, ASTMのMIC値の分布は同一パターンを示し, TOBは高度耐性株が高率を占めるなど, MRSAに対するAGsの抗菌力は, 複雑かつ多様である.
2) MRSAに対するDMPPC, CEZのMIC値分布はほぼ同様で, DMPPC耐性はCEZ耐性であることを確認した.
DMPPCのMRSAに対するMIC値分布は, 32℃, 37℃によって多少異なり, 37℃では一部の株が感受性側のMIC値を示したが, 大部分の株は37℃でも高度耐性のMIC値を示した.これらのことからMRSAは温度条件によってβ-lactam系剤に対する感受性が変動しうる株と, 温度条件には感受性が依存しない.より頑固な多剤耐性菌としての性格をもつ株が併存することを示唆していた.
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