CHEMOTHERAPY
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35 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中塩 哲士, 中村 正夫
    1987 年 35 巻 9 号 p. 675-698
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離されたグラム陽性球菌384株, 腸内細菌科菌群595株, ブドウ糖非発酵菌240株, 嫌気性菌その他143株を用いて, 第3世代セフェム系薬剤5種 (Cefotaxime, Latamoxef, Cefinenoxime, Cefpiramide, Cefoperazone), 第1, 第2世代セフェム系薬剤4種 (Cefazolin, Cefotiam, Ccfinetasole, Cefamaadole) および他の8種の抗菌性物質のin vitro抗菌力を検討した。化療標準法によりMICを測定し, MICrange, MIC50, MIC90で表示した。β-ラクタム剤の中でCefotaximeとLatamoxefは広範な菌種に対し最も優れた抗菌力を示した。CefpiramideとCefoperazoneは前二者より抗菌力は劣った。OfloxacinはC.difficileを除いて, 全菌種において3.13μg/mlの濃度で80%以上の菌株の増殖を阻害した。Cefinsaeディスク法により全菌株のβ-lactamase産生能を測定し, β-ラクタム剤に対する感受性との関連を検討した。有効な化学療法を実施するために, 新鮮分離菌株に対する抗菌活性を定期的に検討し把握しておくことが必要である。
  • 多剤耐性黄色ブドウ球菌分離率の病院間較差, 検体間較差およびβ-lactamase産生能との相関
    渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 今野 淳, 井田 士朗, 西岡 きよ
    1987 年 35 巻 9 号 p. 699-708
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1986年2~4月に東北地方の主要7病院で分離された各種検体由来の黄色ブドウ球菌200株について, MIC2000システムを用いた微量液体培地希釈法により24薬剤のMICを測定し, 同時にbromocresol purpleを用いてβ-hctamase活性を測定して検討を加えた。DMPPCおよびCEZに臨床的耐性 (MIC≧125μg/ml) を示す株は各々51株 (25.5%), 42株 (21%) であり, 内32株はDMPPCとCEZの双方に同時に耐性を有していた。DMPPC耐性株の分離率には病院間較差が大きく最大40.0%から0%にわたり, 統計学的に有意の分布の差を示した。検体別では, 膿汁分離株でDMPPC耐性株の分離率が有意に高かった。85.5%の株でpenicimnase産生がみられたが, その活性の強さの分布はDMPPC耐性株と感受性株の間では有意の差がみられ, さらにDMPPC耐性株の約30%にその耐性の温度感受性が認められたことから, DMPPC耐性の機序にはβ-lactamase産生の機構も大きな位置を占めていると考えられた。検討した薬剤でDMPPC耐性株に抗菌力を保っているものはMCIPC, AMK, CMD, CMZ, MINO, RFP, OFLX, NFLX, VCM. FA などであった。
  • 真崎 美矢子, 道津 安正, 増山 泰治, 山下 京子, 古賀 宏延, 須山 尚史, 河野 茂, 山口 恵三, 広田 正毅, 斉藤 厚, 原 ...
    1987 年 35 巻 9 号 p. 709-713
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生剤であるEM, JM, TE-031, RKM, Ru-28965の5薬剤について, ヒト多形核白血球内への移行性をradioisotope 14Cをラベルした薬剤を用いて測定した。37℃培養下での移行率 (細胞内/外濃度比) は, EM; 6.6倍, JM;15.5倍, TE-031;16.4倍, RKM;30.5倍.Ru-28965;21.9倍と.いずれも高値を示した。ホルマリン処理好中球および低温培養下での移行率は5薬剤ともに著明に低下した。また, pHが酸性になるほど移行率は低下し, pH依存性が示唆された。細胞のエネルギー代謝阻害剤であるフッ化カリウムおよびシアン化ナトリウムを添加すると, それぞれ2~47%, 4~38%程度の移行率の低下が認められた。またヌクレオシドの一種であるアデノシンの添加ではEM以外の4薬剤で8~17%の移行率の低下がみられた。
    細胞内へ移行した5薬剤は, 細胞外の薬剤を除去するといずれも急速に細胞外へ流出し, 5分後には30%以下に低下した。
    今回我々が用いた5種類のマクロライド系抗生物質は, いずれも良好な細胞内移行性を示し, これらの細胞内への移行には能動輸送が関与していることが示唆された。
  • 久保 誼修, 寺野 敏之, 堂谷 一仁, 覚道 健治, 虫本 浩三, 白数 力也
    1987 年 35 巻 9 号 p. 714-718
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系抗生剤のCGftizoxime (Epocelin®, CZX) の顎口腔類域における有用性を検討するために, 下顎体一部切除法による顎矯正手術を施行した下頭前突疾患者11症例にCZXを投与し, 血清中濃度とともに顎骨移行濃度をbioassayにより測定し, 次の結果を得た。
    1. CZX2.0g静注後の血清中および顎骨内濃度を測定した結果, 血清中濃度はC=120.2e-0.713tの式で表わされ, 半減期は, 0.97時間であった。また, 顎骨内濃度はC=11.8e-0.672tの式で表わされ, 半減期は, 1.03時間であった。
    2.顎骨内濃度の対血清比は, 30~180分の間で約10%の値を示した。
    3.CZXの血清中および顎骨内濃度は, 主要起炎菌に対するMIC80を超えていた。以上のことより, 口腔外科領域における各種感染症の治療ないし, 術後感染予防効果に対してCZXは充分期待できる薬剤であると考える。
  • 西崎 昭, 奥田 潤, 青山 久, 杉山 博子, 水田 栄治
    1987 年 35 巻 9 号 p. 719-723
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    12名の熱傷患者にCefmenoximoを体重kg当り50mg, 静脈内にsingle-dose静注し, 吸引により惹起された水疱液への薬物の移行を調べた
    吸引水疱液中のCefmenoxime濃度は投与1時間後に最高濃度25.8μg/mlに達した。Two-compartmentmodelにより薬動力学的に解析した結果, 最高濃度 (Cmax), 最高濃度到達時間 (Tmax), みかけの移行率 (F) はそれぞれ26.6μg/ml, 2.14時間, 0.54と計算された。
    今回, 得られた結果を熱傷植皮術の際の皮膚剥離創滲出液, 熱傷創面滲出液, 熱傷水疱液のCefmenoxime濃度と比較した。吸引水疱液中のCefmenoxime濃度変化は薬動力学的に熱傷水疱液中の動態に類似しており, 他の2種の滲出液とは異なる結果が得られた
    今回の結果から, 吸引水疱液中の薬物濃度を調べることは臨床的に熱傷水疱液中薬物濃度の予測に有用であることが示唆された。
  • 岸 幹雄, 那須 良次, 津川 昌也, 水野 全裕, 公文 裕巳, 大森 弘之, 難波 克一
    1987 年 35 巻 9 号 p. 724-727
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (500mg/500mg) 投与時の前立腺組織への移行性について検討した。Imipenem, Cilastatin sodiumの前立腺肥大症組織内濃度は1時間値でそれぞれ平均3.2±0.6μg/g, 8.4±1.0μg/g, 対血中濃度比は0.25±0.08, 1, 00±0.12であった。Imipenemそのものの前立腺組織への移行性は必ずしも良好とはいえないが, その組織内濃度は, E.coli, Klekbsiellaはもとより, P.aeruginosa, S.marcescens, E.faecalisなどに対するMIC80をも上回る成績であった。
  • 吉田 俊昭, 山本 真志, 田口 幹雄, 松本 慶蔵
    1987 年 35 巻 9 号 p. 728-736
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    去痰薬Ambroxolの喀痰中抗菌活性物質の増加作用を検討する目的で、慢性呼吸器感染症11症例を対象として.Ambroxol投与前後の喀痰中IgG, 分泌型IgA, Lysozyme濃度をレーザーネフェロメーターにて測定し解析を行なった。喀痰豊はAmbroxol投与により平均機で31.5mlから34.7mlと増加した。Ambroxol投与により喀痰中IgG量は平均値で12.9mgから16.5mgに, Lysozyme重は平均値で0.68mgから1.47mgと増加傾向が明らかでさらに本剤投与前値に比べ, 投与後に増加を示した症例は11症例中各々10例 (約91%), 6例 (約55%) であった。喀痰中分泌型IgA量の平均値はAmbroxol投与にても増加を示さなかったが, 4例 (約36%) に増加が認められた。さらに, Ambroxol投与によるIgG量の増加率は喀痰量およびAlbumin量の増加率を上回るものであった。
    以上の成績からAmbroxolによる喀痰中抗菌活性物質増加作用の機序として, 血中からのIgGの能動的移行を高めるとともに肺局所での産生を促進させ, さらに気管支腺の分泌能亢進作用が示唆された。Ambroxolの喀痰中抗菌活性物質増加作用は気道の感染防禦能を高め, 化学療法との併用において臨床的意義のあるものと認められる。
  • 宮本 慎一, 田宮 高宏, 高塚 慶次
    1987 年 35 巻 9 号 p. 737-739
    発行日: 1987/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    52例の女子急性単純性膀胱炎患者に対するEnoxacin 400mgのsingle dose therapyの有用性を検討した。尿中細菌の消失率は100%, 膿尿の消失率は85%であった。臨床効果は著効45, 有効6, 無効1, 有効率98%であった。無効の1例の原因菌はEnoxacin耐性であった。治療後2~3日後に著効・有効と判定され.7~10日後の所見を得られた28例中, 2例に再発があった。
    Enoxacin 400mg 1回服用による副作用はなかった。
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