CHEMOTHERAPY
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36 巻, 10 号
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  • 菅野 治重
    1988 年 36 巻 10 号 p. 691-705
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    木綿縫糸を支持体として作製した集塊菌に対する抗菌剤の殺菌効果を検討した。単独菌に比べ集塊菌は殺菌されにくい傾向がみられた。グヲム陽性球菌に対するpenicillin G (PCG) の殺菌効果ではStreptecoccus pneumoniaeが最も殺菌されやすく, 逆にStaphylococcus aureusは最も殺菌されにくかった。同一のminimum inhibitory concentration (MIC) を示す各種グラム陰性桿菌に対するpiperacillin (PIPC) の殺菌効果では菌種による大きな差はみられなかった。常用投与量で得られる各種抗菌剤の血清中濃度の推移にあわせて抗菌剤の濃度を変化させ, Escherichia coliおよびS. ascreusの集塊菌に作用させて得られた殺菌効果では, E. coliに対してはセフェム剤の殺菌効果が最も強く, MICと相対してcefmenoxime (CMX), cefmetazole (CMZ), cephalothin (CET) の順で殺菌効果が強かった。S. aureusE. coliに比べ著しく殺菌されにくかったが, セフェム剤よりgentamicin (GM) の殺菌効果が強かった。E. coliに対するセフェム剤の作用では, 接触開始後最初の30分間に著しい菌数減少がみられたが, その後菌数減少は緩徐となる。またセフェム剤を連続して作用させても2回目の接触では殺菌効果はほとんど認められず, むしろ再増殖を抑制する効果が強かった。抗菌剤との接触後に集塊菌をdrugfreeの培地で再増殖させた場合は, E. coliではCMXが, S. aureusではGMが最も長時間再増殖を抑えた。
  • 沢 赫代, 渡辺 邦友, 武藤 吉徳, 加藤 直樹, 上野 一恵, 松田 静治
    1988 年 36 巻 10 号 p. 706-712
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gardnerella vaginalis 23株とanaerebic curvedrods7株の臨床分離株とそれらの参考菌株8株を用いて, 16剤の各種化学療法剤に対する薬剤感受性を寒天希釈法にて実施した。薬剤感受性測定用培地としてG. vaginalisには5%羊血液加Columbia寒天培地 (BBL), anaerobic curvedrodsには5%羊血液加Brucella HK寒天培地 (極東) を用いた。16化学療法剤のうち, clindamycinはG. vaginalis, anaerobic curvedrods両方に最も強い抗菌力を示し, MIC90値は各々0.05μg/mlであった。Ampicillinもまた, これらの菌株に対して良好な抗菌力を示し, MIC90値は各々0.10μg/ml, 0.20μg/mlであった。Metronidazoleは6.25μg/ml以上でG. vaginalisの発育を阻止した。また, anaerobic curved rodsひご対しては3.13μg/ml以上で発育を阻止した。M. mulieris株はM. curtisii株よりmetronidazoleに対して感受性であった。この傾向はアミノ配糖体系薬剤とvancomycinを除いた他の薬剤に対しても認められた。
  • 感染病態, 薬剤耐性パターンとR-plasmidの関係
    張 邦光
    1988 年 36 巻 10 号 p. 713-724
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    難治性尿路感染症の原因の一つである耐性菌の頻度と病態との関係を明確にする目的で, 薬剤耐性プラスミド (R-plasmid) の検出を行ない, 病態との関係を検討した。
    1982年から1985年までの4年間に分離されたEscherichia coli 366株について, ampicillin (ABPC), tetracycline (TC), chloramphenicol (CP), streptomycin (SM), kanamycin (KM), sulfanilamide (SA), nalidixic acid (NA), rifampicin (RFP) のMICを化学療法学会標準法により測定し, 得られた耐性菌株を供与菌とし, RFPとNA耐性株を受容菌として一次および二次の接合伝達実験を行ない, R-plasmid支配株を確認した。
    耐性菌の頻度はABPCとSMが41%, SAが40%, TCが35%, CPが18%, KMとNAが9%であり, RFP耐性菌は1株も分離されなかった。これらの耐性菌からのR-plasmidの検出率は単剤耐性菌よりも多剤耐性菌において高かった。多剤耐性菌の中では, 単純性尿路感染症よりも複雑性尿路感染症においてR-Plasmidの検出率が高かった。複雑性尿路感染症では, カテーテル留置症例と非留置症例の耐性菌分離頻度はほぼ同等であったが, R-plasmidの検出率はカテーテル非留置症例において高かった。これらのことから, 耐性菌の頻度, R-plasmidの検出率は尿路感染症の病態によって異なることが明らかとなった。
  • 荒木 春美, 南 新三郎, 渡辺 泰雄, 保田 隆, 才川 勇
    1988 年 36 巻 10 号 p. 725-731
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Enterobacter cloacae H-27の菌体内および菌体外 (培養炉液) β-lactamase活性を測定するとともに。ラット各種体液中におけるβ-lactamaseの安定性を検討した。cefoperazone (CPZ) 作用時には菌体内および菌体外のβ-lactamase活性はいずれも低値であったが, cefmetazole (CMZ) 作用時にはβ-lactamaseが誘導され, 菌体内および菌体外に高い活性が認められた。また, ラットpeuch内にE. cloacae H-27を感染させ, CPZ, CMZをそれぞれ100mg/kg i.v.投与した時のpouch内浸出液中β-lactamase活性は, CPZ投与群では低かったがCMZ投与群では高値を示した。さらにβ-lactamaseの安定性をラット各種体液を用いてin vitroで検討した結果, 胆汁中では速やかに失活したが, 血清, 尿, pouch内浸出液中では6日後においても90%以上の活性を有していた。またラットpouch内においてもβ-lactamaseは比較的安定に存在していた。
    以上誘導されたβ-lactamaseは菌体内のみならず菌体外にも認められ, ラット体液中において比較的安定に存在した。
  • Sulbactamの添加によるcefoperazoneとamikacinのin vitro併用効果の増強
    渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1988 年 36 巻 10 号 p. 732-737
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離の8菌種, 各20株, 計160株を対象とした微量液体培地希釈チェス盤法により, SBT/CPZとAMKのin vitro併用効果を, CPZとAMKの併用効果と比較した。併用効果の判定にはFIC indexのほかに, 三次元チェス盤法の応用として新たに考案した, 2種の併用の各々の平均MIC曲線下面積の比を表わす併用効果増強指数 (enhancement of combined effect index=ECE index) を用いて比較した。
    CPZとAMKの併用およびSBT/CPZとAMKの併用は, そのmean FIC indexが8菌種の平均で0.46および0.48を示して同等であるが, SBTの併用によってCPZ自体のMICが1/2~1/7に小さくなるため, SBT/CPZとAMKの併用における平均MIC曲線下面積は, CPZとAMKの併用のそれより小さかった。すなわち, mean ECE indexはS. aecreus 0.34, E. colt 0.47, K. pneumoniae 0.65, E. cloacae 0.26, S. marcescens 0.35, P. mirabilis 0.87, M. morganii 0.81, P. aeruginosa 0.35であった。菌種によって相違は少しあるが, SBTの添加による併用効果の増強は, そのβ-lactamase阻害作用により強く発現していることが認められた。
  • β-ラクタム系とアミノ配糖体系およびテトラサイクリン系薬剤間の3剤併用効果
    渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1988 年 36 巻 10 号 p. 738-742
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離株を対象として, β-ラクタム系, アミノ配糖体系およびテトラサイクリン系の3系統薬剤同時併用の効果について検討した。S. aureus, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, S. marcescens, P. aeruginosaの計118株を対象とし, 3系統等量混合倍数希釈系列の各菌株に対するMICとFIC3 indexを求め, また, PIPC+AMKのチェス盤にMINOを低濃度から加えてFIC2 indexの変化を観察した。Mean FIC3 indexは, PIPC+AMK+MINOとCPZ+AMK+MINOがともに0.73, CZX+AMK+MINOが0.77であった。MINOを低濃度から添加すると, E. coliK. pneumoniaeではFIC2 indexがさらに低下するが, S. marcescensP. aeruginosaではほとんど変化しなかった。
    以上より, 3剤併用では菌種により強い併用効果が認められるものの, 拮抗作用は小さく, 難治性感染症への臨床応用の適応が示唆された。
  • 清田 浩
    1988 年 36 巻 10 号 p. 743-749
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    50%発育阻止濃度の各種セフェム系抗生剤とmaximum sub-lethal concentrati。nのモルモット補体共存下あるいは非共存下におけるEscherichia coli NIHJJC-2, Pseudomonas aeruginosa18S, そしてStaphylococcus aecreus 209Pの経時的生菌数を比較することにより各菌に対する補体とセブニム系抗生剤との協力的殺菌作用の有無を検討した。
    E. coliに対してはcefmenoximeとceftizoximeの殺菌作用が補体存在下において著しく増強され, これら2剤と補体との間に強い協力的殺菌作用を認めた。またlatamoxefとaztreonamは補体存在下において培養開始5時間後に殺菌力の増強を認めたものの, 24時間後には菌は再増殖した。cefazolin, cefotiam, cefmetazole, cefoperazone, cefotaxime, cefbuperazone, そしてceftazidimeと補体との間には協力的殺菌作用は認めなかった。
    P. aeruginosaS. aureusに対してはセフェム系抗生剤と補体との協力的殺菌作用を認めなかった。
    以上の結果よりE. coliに対するcefmenoximeとceftizoximeの優れた生体内効果が示唆された。
  • 1988 年 36 巻 10 号 p. 750-772
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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