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藤巻 一雄, 能見 寿彦, 浜名 洋子, 三橋 進, 井上 松久
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
1-18
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
1. T-3262はグラム陽性菌およびグラム陰性菌群に対し, 広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力 を示した。特に
Staphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenesおよび
Streptococcus pneumoniae等のグラム陽性球菌に対し, 強い抗菌活性を有していた。
2. T-3262はnalidixic acid耐性およびgentamicin耐性グラム陰性菌に対し優れた抗菌活性を示した。
3. T-3262の抗菌作用は殺菌的であり,
Escherichia coli (E. coli) および
Pseudomonas aeruginosa (P. aeruginosa) の増殖曲線に及ぼす影響では1MIC濃度で菌の増殖を完全に阻止した。
4. T-3262に対する自然耐性菌出現頻度は低かった。
5. T-3262は
E. coliのDNA gyrase活性を対照薬剤であるciprofloxacin, ofloxacinおよびnorfloxacinよりも強く阻害した。
6. T-3262のマウス実験的感染症に対する治療効果は
S.aureus SMITHにおいては対照薬剤よりもはるかに優れていた。また,
E. coli ML 4707,
P. aeruginosa GN 11189および
Serratia marcescens GN 7577においてはciprofloxacinとほぼ同等の優れた治療効果を示した。
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横田 健, 鈴木 映子, 新井 京子, 神田 佳代子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
19-29
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいキノロン合成抗菌薬であるT-3262の
Staphylococcus aureus, methicillin-resistant
S. aureus, coagulase (-) staphylococci,
Streptococcus pyogenes, その他のβ-streptococci,
Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichia coli (R
+),
Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Citrobacter freundii, Serratia marcescens, Enterobacter cloacae, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepacia, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter calcoaceticus, Haemophilus influenzae及び
Bacteroides fragilisの14~54臨床分離株に対するMIC
80は0.05, 0.2, 0.1, 0.39, 0.78, 0.39, 0.78, 6.25, 0.39, 0.1, 0.39, 0.39, 0.78, 0.78, 0.2, 1.56, 0.1, 0.39, 3.13, 0.39, 0.05, 0.025及び0.78μg/mlであった。
緑膿菌臨床分離株50株を, T-3262 150mg経口投与時のC
max 0.37μg/mlで何%増殖阻止するか普通培地と90%血清培地で比較すると, 普通培地で76%の株を抑えるのに対し, 90%血清培地では20%の株が増殖阻止されるにすぎなかった。
T-3262と血清補体との協力的殺菌作用は顕著ではないが, マウス培養MφとはT-3262 1/4 MICまで
E. coliに対する協力的食菌殺菌作用が明らかに認められた。
T-3262の培養動物細胞に対する毒性は, CHO-Kl細胞, HeLa細胞, 及びIMR 32 neurobla. stomaに対する増殖阻止力で見る限り, 対照としたOFLXよりかなり強かった。本剤はC
maxが他のニューキノロンよリ低いので, やや強い細胞毒性は相殺され, 強い抗菌力により
P. aemginosa以外の感染症, 特にグラム陽性菌感染症には優れた臨床効果が期待できよう。
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後藤 延一, 堀内 三吉, 稲垣 好雄, エカタクシン チャルアイ, 桧垣 恵, 高野 秀子, 小川 正之, 中谷 林太郎
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
30-35
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
開発中のニューキノロン (以下NQ) 系経口抗菌剤T-3262の, 下痢症患者および保菌者から分離された各種腸炎起因菌 (
Skigella spp. 50株,
Salmonella spp. 25株,
Esckerickia coli 25株,
Campylobacter spp. 25株,
Vibrio parakaemolyticus 25株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, nalidixic acid (NA), pipemidic acid (PPA), norfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), enoxacin (ENX) などと比較した。90%の菌の発育を抑制するMIC (MIC
90, 単位はμg/ml) は, T-3262が上記の菌に対して, それぞれ0.025, 0.05, 0.05, 0.10, 0.39であった。この値は
V. parakaemolyticusを除くほかの菌種では, 他の薬剤のMIC
90の1/4以下であった。
V. parakaemolyticusに対するMIC
90は, NFLXが0.20で最も低く, T-3262はOFLX, ENXと同じく0.39であった。
V. parakaemolyticusを除く菌株に対してT-3262に次いでMIC
90が低かったのはNFLXとOFLXで, T-3262のおおむね4倍またはそれ以上, ENXがさらにそれらの2倍であった。PPA, NAなど在来のキノロン剤のMICは, いずれの菌に対しても, どのNQ剤よりもはるかに高かった。NAのMICが100以上の耐性菌に対するT-3262のMICは,
S. flexneri 2株に0.05,
S. typhimurium 1株に0.20,
C. jejuni 2株に0.10および6.25であった。
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五島 瑳智子, 武藤 弓子, 小川 正俊, 金子 康子, 桑原 章吾
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
36-58
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新ピリドンカルボン酸系抗菌剤T-3262の
in vitro, in vivo抗菌作用をofloxacin (OFLX), norfloxacin (NFLX), ciprofloxacin (CPFX), enoxacin (ENX) と比較し, 次の結果を得た。
T-3262は広範囲な抗菌スペクトラムを有し,
Staphylococous aureusおよびMethicillin耐性
S. aureus, Staphylomous epidermidis, Streptococcus, Enteromcusなどのグラム陽性菌, ブドウ糖非発酵菌, 嫌気性菌に対して強い抗菌力を示した。
T-3262の
Klebsiella pneumoniaeに対する殺菌作用はOFLX, NFLXと同程度の効果を示した。
マウス実験感染においてT-3262は,
in vitroに相関した
in vivo効果を示し, 優れた治療効果が認められた。
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加藤 直樹, 武藤 吉徳, 渡辺 邦友, 上野 一恵
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
59-67
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
ニュー・ピリドンカルボン酸系抗菌剤であるT-3262の嫌気性菌に対する抗菌力をofloxacin (OFLX), norfloxacin (NFLX), pipemidic acid (PPA) を比較薬剤として検討した。抗菌スペクトラムの検討には29菌株 (28菌種) の参考菌株 (reference strain) を用い, 臨床分離株に対する抗菌力には1983~86年に分離された204菌株 (10菌種) を用いた。
in vitroにおける耐性獲得試験は増量的継代法により行った。また, T-3262の7日間連続投与後のマウス盲腸内での
Clostridium diffficileの異常増殖試験を行った。
T-3262はGram陰性, 陽性の嫌気性菌に対し幅広い抗菌力を有していた。新鮮臨床分離株の
Bacteroides fragilisに対しては, T-3262は使用薬剤中最も強い抗菌力を示し, これらの株は0.78μg/ml以下の薬剤濃度で発育が阻止された。T-3262のその他の臨床分離株に対する抗菌力も他のピリドンカルボン酸系抗菌剤より優れていた。T-3262の
B. fragilisと
Peptostnptococcus magnusに対するMICとMBCの値は非常に接近しており, このことは, 本剤がこれらの菌種に対し殺菌的であることが示唆された。耐性獲得試験においては,
B. fragilisに対するT-3262のMICの上昇は8代継代まで認められなかった。T-3262投与後のマウス盲腸内から
C. difficileはまったく検出されなかった。
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西野 武志, 高畑 正裕, 大槻 雅子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
68-88
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しく合成された化学療法剤T-3262の
in vitroおよび
in vivo抗菌力をciprofloxacin (CPFX), norfloxacin (NFLX) およびofloxacin (OFLX) を比較薬として検討し, 以下の結果を得た。
1) T-3262はグラム陽性菌群, グラム陰性菌群および嫌気性菌群に対し広範囲の抗菌スペクトルを有しており, その抗菌力はグラム陽性菌群および嫌気性菌群に対しては比較薬剤中最も優れており, グラム陰性菌群に対しては, norfloxacin, ofloxacinより優れていた。また腸内細菌科及び
Pseudomonas aeruginosa (P. aeruginosa) に対してはciprofloxacinと同等かそれより若干弱い抗菌力を示した。
2) 臨床分離株に対する感受性分布においてT-3262は嫌気性菌群, グラム陽性菌群, グラム陰性菌の
Acinetobacter calcoaceticus, Branhamella catarrhalis等に対して最も優れていた。他のグラム陰性菌群に対してはCPFXとOFLXの中間程度の抗菌力を示した。
3) T-3262の抗菌力に及ぼす諸因子の影響では
Staphylococcus aureus (S. aureus), Escherichia coli (E. coli), Klebsiella pneumoniae (K. pneumoniae) , 及び
P. aeruginosaを用いて検討したが, いずれの場合も培地の種類, 馬血清添加, 接種菌量の影響は認められなかった。培地pHがアルカリ側の時に抗菌力が増強された。
4)
S. aureus, E. coli, P. aeruginosaの増殖曲線に及ぼすT-3262の効果を検討した結果,
dose responseのある作用がみとめられ, いずれの場合も1MIC以上で殺菌的に作用した。
5)
E. coli, P. aeruginosaにT-3262を作用させた時の形態変化を観察したところ
E. coliでは菌体は1/2~1/4MIC濃度以上で伸長化したが
P. aeruginosaでは菌体の伸長化は認められずスフェロプラスト様構造及び溶菌像が観察された。
6) マウス実験的全身感染症に対する治療効果を
S. aureus, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, E. coli, K. pneumoniae, P. aeruginosaを用いて検討したところ, グラム陽性菌感染症においては他剤より遙かに優れた治療効果を示し,
E. coliではOFLXと同等,
K. pneumoniaeではCPFXと同等の治療効果を示した。
P. aeruginosaに対しては全比較薬剤より優れた治療効果を示した。また何れの菌株においてもNFLXより優れていた。
7) マウス実験的呼吸器感染症に対してT-3262はCPFX, NFLXより優れ, OFLXと同等の優れた治療効果を示した。
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二宮 敬宇
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
89-94
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
T-3262の産婦人科領域分離菌に対する抗菌力をofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), NY-198およびampicillin (ABPC) を対照薬とし比較検討した。
Staphylococcus aureus (46株) 及び
Staphy Jococcus epidermidis (116株) に対して, T-3262 は最も強い抗菌力を示し, 全菌株を0.20μg/ml以下の濃度でその発育を阻止した。
Escherichia coliに対するT-3262のMIcは304株中301株を0.20μg/ml以下の濃度で発育を阻止し, その抗菌力はCPFXと同程度であった。
Peptostreptococcus属 (5菌種93株) に対しては比較したピリドンカルボン酸3剤よりも強い抗菌力を示しT-3262とABPCとはほぼ同等の成績であった。
以上, T-3262は産婦人科領域に於いて分離頻度の高い
Staphylococcus属,
E. coli, Peptostreptococcus 属に強い抗菌力を示すことが確認された。
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保田 隆, 渡辺 泰雄, 四辻 彰, 林 敏雄, 南 新三郎, 岡本 世紀, 山城 芳子, 荒木 春美, 伊東 優子, 本村 桂子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
95-109
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262の
in vitroおよび
in vivo抗菌活性をnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を対照薬剤として比較した結果, 以下の成績を得た。
1) T-3262はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有していた。グラム陽性菌に対しては, すべての対照薬剤より強い抗菌力を示し, またグラム陰性菌に対しては CPFXとほぼ同程度, NFLX, OFLXより優れた抗菌力を示した。
2) T-3262は
Pseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非醗酵菌,
Bacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示した。
3) T-3262はmethicillin耐性ブドウ球菌およびnalidixic acid耐性グラム陰性菌に対しても強い抗菌力を示した。
4) T-3262の抗菌力に及ぼす諸因子の影響では培地の種類, ヒト血清添加の影響はほとんど受けず, 培地pHがアルカリ性側のとき抗菌力が強まった。
5) T-3262の作用は殺菌的であった。
6) グラム陽性菌およびグラム陰性菌を用いたマウス実験的全身感染症でT-3262は優れた治療効果を示した。特にグラム陽性菌においてすべての対照薬剤より優れた治療効果を示した。
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保田 隆, 渡辺 泰雄, 四辻 彰, 池田 靖, 満山 順一, 西田 亨子, 堀 りつ子, 春日 千恵子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
110-115
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
マウスを用いた各種感染モデルを作製し, これらに対するT-3262の治療効果をnorfloxacin (NFLX) およびofloxacin (OFLX) と比較検討した結果, 以下の成績が得られた。
1) Cyclophosphamideまたはazathioprine投与で, あらかじめ免疫を低下させたマウスを用いた全身感染に対するT-3262の治療効果は,
Escherichla coli TK-16感染に対しては対照薬剤より優れ,
Klebsiella pneumoniae Y-41感染に対してはOFLXとほぼ同等で, NFLXよりは優れていた。
2) マウス尿路感染に対するT-3262の治療効果は,
E. coli. 感染,
Serratla marcescens感染および
Proteus mirabilis感染に対してOFLXとほぼ同等で, NFLXよりは優れていた。
3) マウス肺感染に対するT-3262の治療効果は
K. pneumoniae Y-41感染に対しては対照薬剤より優れ,.
Pseudomonas aeruginosa S-406感染に対してはOFLXとほぼ同等, NFLXより優れていた。
4)
Staphylococcus aureus F-230で惹起したマウス皮下膿瘍に対するT3262の治療効果は対照薬剤より優れていた。
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堀 誠治, 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 大森 雅久, 柴 孝也, 北条 敏夫, 加地 正伸, 奥田 新一郎, 吉田 正樹, 宮原 正
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
116-120
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
近年のキノロン系抗菌薬の進歩には目覚ましいものがあるが, 反面, その副作用も注目されてきている。とくに, エノキサシンと非ステロイド系消炎剤の一つであるフェンブフェンとの併用時に痙攣の発現をみたという報告がなされてより, その痙攣発現機序が注目を集めている。我々は, 中枢神経系において抑制性伝達物質と考えられているGABAの受容体結合に及ぼす新キノロン系抗菌薬であるT-3262とその構造類似体の影響を検討した。
T-3262を始めとする構造類似体は濃度依存的にGABA受容体結合を阻害したが, その阻害効果は, 他のキノロン系抗菌薬よりも弱いものであった。さらに, T-3262は, 非ステロイド系消炎剤の共存下においても, その阻害効果は, 殆ど増強されなかった。
以上の
in vitroの結果より, T-3262は, 痙攣誘発作用の弱い薬物であろう事が示唆された。また, 非ステロイド系消炎剤との併用時においても, 痙攣誘発作用の弱い薬物であろう事が示唆された。
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渡辺 邦友, 加藤 直樹, 武藤 吉徳, 沢 赫代, 沢村 治樹, 上野 一恵
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
121-125
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新ピリドンカルボン酸系の抗菌剤であるT-3262のイヌに対する25mg/kg/日, 100mg/kg/日の3ヵ月投与および6ヵ月投与がイヌ腸内細菌叢におよぼす影響を検討した。 また400mg/kg/日6ヵ月投与し, 中止後1ヵ月たったイヌ腸内細菌叢の回復の様子を検討した。
本剤25mg/kg/日の3カ月投与は, 嫌気性菌および好気性菌総菌数に大きな影響を及ぼすことはなかった。しかし細菌叢の質的変動を見ると, 好気性菌では
Enterobaoteriaceaeが検出限界以下に, 嫌気性菌では
Fusobaoterium spp.が検出限界以下に減少していた。さらに6ヵ月投与後の糞便内細菌叢も嫌気性菌および好気性菌の総菌数の点では3ヵ月目と大きな変化はなかった。
Enterobacteriaoeaeは依然検出限界以下であったが,
Fusobacterium spp.の菌数は増加傾向を示した。
100mg/kg/日投与でも25mg/kg/日投与の場合とほぼ同様の変動を示した。
本薬剤400mg/kg/日6ヵ月間投与し, 中止後1カ月たったイヌの腸内細菌叢では, 総菌数および
Enterobacteriaceaeの菌数が無投与群に比しやや多い傾向を見たものの, 投与を受けなかったイヌのそれと殆ど異ならない細菌叢の構成を示した。検査したすべての糞便は,
Clostridium difficile分離陰性,
C. difficile毒素陰性であった。
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渡辺 邦友, 加藤 直樹, 武藤 吉徳, 沢 赫代, 沢村 治樹, 上野 一恵
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
126-136
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新ピリドンカルボン酸系の抗菌剤であるT-3262の1日450mgの7日間投与がヒト腸内細菌叢におよぼす影響を検討した。
本剤投与は, 検査期間中常に嫌気性菌優位の細菌叢を呈し, 総菌数に大きな影響を及ぼすことはなかった。しかし細菌叢の変動を見ると, 好気性菌の細菌叢の変化が嫌気性菌のそれらの変化より顕著であった。嫌気性菌では, T-3262投与による。
Bacteroides fragilis groupの変動は殆どなく,
Bifidobacterium spp.,
Lactobacillus spp.の菌数のわずかな減少が観察されたのみであった。好気性菌では
Enterobacteriaceaeの抑制が強く,
Micrococcaceaeが優勢こ存在する傾向を示し, 好気性菌の細菌叢の回復も遅れ, T-3262の好気性菌叢への強い影響が示唆された。尚, 本薬剤投与中および投与後の糞便中に
Clostridium diffioile (C. diffioile)D-1毒素は検出されず, また
C. difficileも分離できなかった。
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保田 隆, 渡辺 泰雄, 南 新三郎, 熊野 克彦, 恒田 礼子, 金山 淳子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
137-142
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新規ピリドンカルボン酸系抗菌剤T-3262の体液内濃度測定法について検討した。
本剤はパラトルエンスルホン酸塩であるのでT-3262 baseとして測定した。
検定菌としては.
Escherichia coli Kp, 測定用培地としてはheart infusion agarを用いるのが好ましく, ペーパーディスク法およびカップ法いずれも測定可能であった。血清中濃度測定には試料血清のpHに調整した各種血清で標準液を作製し, また, 尿中および胆汁中濃度測定には1/15Mリン酸塩緩衝液 (pH 8.0) で作製した標準液を用いるのが望ましい。
各種の体液試料は凍結保存すれば少なくとも30日間は安定であった。
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保田 隆, 渡辺 泰雄, 林 敏雄, 北山 理恵子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
143-148
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
T-3262の血清蛋白結合に関する検討を行い, 以下の結果を得た。
T-3262のヒト血清蛋白結合率は1~10μg/mlでは35.8~39.9%であり, その結合は可逆的であった。
pH7.0, 7.4および8.0におけるT-3262 (2μg/ml) のヒト血清との結合率は, それぞれ15.5, 37.4および71.5%であり, pHの上昇に伴って上昇した。また本剤の結合率は血清蛋白濃度の増加に伴っても上昇した。
ラット, ウサギおよびヒトにT-3262を経口投与した時の
in vivo結合率は, それぞれ56.1, 45.7および40.5%であり
in vitro結合率と近似していた。
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保田 隆, 渡辺 泰雄, 南 新三郎, 熊野 克彦, 高木 伸一, 恒田 礼子, 金山 淳子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
149-157
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
各種実験動物におけるT-3262の吸収・分布・代謝および排泄について検討した結果, 以下の成績が得られた。
各種動物にT-3262 100mg/kgを経口投与した時の最高血中濃度はマウス〈イヌ〉ウサギ>ラットの順に高く, いずれも持続的に推移した。ラットの各種組織中へも良好に移行し, 血中濃度と同様持続的に推移したが, 脳には検出されなかった。ウサギ髄液中移行は他剤に比べ低く, その血清比はenoxacin (ENX), ofloxacin (OFLX) の1/3~1/4であった。尿中排泄率はマウスで21.1%, ラットで11.5%, ウサギで15.2%, イヌで2.7%であった。またラットにおける胆汁中排泄率は活性体として0.13%であった。本剤の吸収には食事の影響がみられ, 摂餌群の方が絶食群に比べ若干高値を示した。ラットに本剤を連続投与 (100mg/kg×2/day) した時の血中濃度, 尿中排泄率および組織内濃度には, 初回投与時と12回投与時の間に差は認められなかった。D-ガラクトサミンで作製した肝障害ラットにおける血中濃度および尿中排泄率は正常群に比べ高値を示した。一方, 塩化第二水銀で作製した腎障害ラットにおける血中濃度は正常群に比べ高く持続的であったが, 尿中排泄率は低値を示した。なお, 尿のパイオオートグラムではT-3262以外の抗菌活性物質は認められなかった。
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中島 光好, 植松 俊彦, 金丸 光隆, 保田 隆, 渡辺 泰雄, 田井 賢
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
158-180
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
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フリー
健康成人男子24名を対象にT-3262の臨床第1相試験をおこなった。空腹時単回投与試験は37.5mgより開始し, 75, 150, 300mgまで増量した。食事の影響についてはcrossover法で150mg単回投与試験で検討した。連続投与試験は1回150mg1日3回, 7日間にわたり計19回食後投与を行なった。これらの試験から以下の成績を得た。
連続投与試験の1例に下痢が出現し, 3日間計8回投与で本剤の投与を中止した。また, 本被験者で尿中β
2-ミクログロブリンの軽度上昇を認めたが2週間後の検査で正常域に復していた。この症例以外には自他覚所見, 理学所見, 心電図, 臨床検査値上に, 異常は認められなかった。
T-326237.5, 75, 150, 300mg空腹時単回投与試験の血中濃度推移にはdose responseが認められ, 平均最高血中濃度は1~2.5時間にあり, それぞれ0.16, 0.29, 0.37, 0.8μg/mlで, 血中濃度半減期は3.14~3.86時間であった。尿中排泄率は投与量の増加に伴ない減少し, 投与24時間までの排泄率はそれぞれ47.9, 40.2, 28.0, 25.2%であった。食事の影響の検討では食後投与の方が空腹時よりCmax, が高く, AUCも1.4倍の値を示した。血中濃度半減期は食後3.59時間, 空腹時3.77時間とほぼ同じであった。1日3回, 7日間の連続投与試験で血中濃度の推移をみると3~4日目よりプラトーに達し, 尿中排泄からも蓄積性は認められなかった。
以上の成績より, T-3262は安全性において特に問題はなく, 体内動態の検討より, 本剤の各種細菌に対する抗菌力を考えると, T-3262は臨床評価を行なうに値するものと考えられる。
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稲松 孝思, 深山 牧子, 加藤 明彦, 大浦 正晴
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
181-186
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
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明らかな肝・腎障害のない, 平均78.9歳の高齢者10例に新ピリドン・カルボン酸系抗菌剤であるT-3262150mgを経口投与し, 体内動態を検討した.
空腹時投与群のピーク値は0.24~1.60μg/ml, 尿中回収率 (0~24時間) 17.8%であった.T
1/2, T
max, C
max, AUCはそれぞれ4.73hr, 1.63hr, 0.66μg/ml, 6.14μg・hr/mlであった.食後投与群のピーク値は0.18~0.91μg/ml, 尿中回収率24.4%であった.T
1/2, T
max, C
max, AUCはそれぞれ4.50hr, 2.93hr, 0.45μg/ml, 4.09μg・hr/mlであった.
若年ボランティア群における報告値と比較すると, 吸収の低下と, それ以上の尿中排泄遅延により, 高齢者群で高い血中濃度推移を示すものと思われる.
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前田 浩志, 藤井 明, 荒川 創一, 守殿 貞夫, 浜田 勝生, 宮崎 重, 原 信二, 前窪 治
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
187-194
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
健康人 (I群: Ccr≧80ml/min), 腎機能低下例 (II群: 80>Ccr≧50, III群: 50>Ccr≧20, IV群: 20>Ccr), および透析患者 (V群) における, ニューキノロン剤T-3262の体内動態および血液透析または吸着による除去効果を検討し, 以下の結果を得た。
1) T-3262150mg単回投与後の血中最高濃度はI群~IV群は0.62~0.83μg/mlで, V群では1.60~1.65μg/mlであった。血中半減時間はI群3.85時間, II群4.0時間, III群9.8時間, IV群10.5時間であった。
2) 尿中濃度の最高値および12時間までの尿中回収率はI群では102.4μg/ml, 40.81%, II群81.0μg/ml, 38.22%, III群25.8μg/ml, 14.83%, IV群15.16μg/ml, 2.82%であった。
3) T-3262を溶解したヒト保存血液で満たされた閉鎖回路内にハローファイバー一型人工腎臓 (AM-10 (R)) を介在させ, 150ml/minで灌流したときの血中半減期は0.218~0.238時間であった。同回路に活性炭吸着筒 (DHP-1 (R)) を介在させた場合の半減期は0.109時間であった。
4) 透析患者においては, 5時間透析により, 透析液中に本剤投与量の7.31~8.33%が回収され, 血中半減期も遷延しており, 3) の結果とは大きく異なっていた。
以上より, 腎機能低下例に対する本剤の投与量はその程度に応じて設定されるべきであり, 血中濃度の急激な上昇時には血液透析, 活性炭吸着が多少とも有用と考えられた。
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山作 房之輔, 鈴木 康稔, 宇野 勝次
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
195-200
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
健康成人被験者5名にOHoxacin (OFLX), Cipro Hoxacin (CPFX), NY-198を空腹時にそれぞれ200mgずつ, T-3262は空腹時と朝食後に300mgずつ内服させ, 血清中, 尿中濃度をHPLCで測定して比較した。空腹時の4剤の平均血清中濃度のピークはOFLXは2.36, CPFXは1.14, NY-198は2.21, T-3262は0.67μg/mlで, 薬動力学的に求めたC
maxはOFLX, NY-198とCPFX, T-3262の間に有意差が見られた。T
1/2はT-3262, 3.85, 0FLX3.57, NY-198, 3.39, CPFX, 2.51時間の順でCPFXはT-3262およびOFLXより有意に短かった。その際の平均尿中回収率はOFLXは64.0, NY-198は62.5, CPFXは38.1, T-3262はfreebase 204mgの21.0%であった。T-3262の食後内服時の平均ピークは1.08μg/mlに上昇し, C
max, AUCは空腹時内服との間に有意差がみられ, その際の平均尿中回収率は, free base 204mgの36.4%に増加した。
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二木 芳人, 角 優, 築山 邦規, 守屋 修, 梅木 茂宣, 副島 林造
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
201-207
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しい経口Pyridone-car boxylic acid系合成抗菌剤T-3262のTheophylline血中濃度に及ぼす影響を5人の健康成人男子ボランティアを用いて検討した。
あらかじめ4日間1日400mgの徐放性経口Theophylline製剤を投与して, 4日目にコントロールの採血を行い, その後5日間T-32621日450mgを併用し, 併用3日目, 5日目に採血し, コントロールのTheophylline血中濃度と比較した。
併用3日目では最高血中濃度で1.13倍, 濃度曲線下面積で1.14倍のTheophylline血中濃度上昇がみられ, 5日目では各々1.23倍, 1.24倍の上昇でTotal ody clearanceは20.7%の減少を示した。
臨床的な副作用は認められなかったが, T-3262はCiprofloxacin (CPFX) やPefloxacin (PFLX) と同等のTheophyllineとの相互作用を持つものと考えられた。
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田井 賢, 杉本 由美子, 片山 祐子, 前田 豊男
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
208-215
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいピリドンカルボン酸系合成抗菌剤であるT-3262の臨床第1相試験で得られた血清および尿を用いて, T-3262の代謝を検討し以下の知見を得た。
1) 血清中には, T-3262未変化体以外に7位アミノピロリジン環のアミノ基が水酸基となったT-3262BおよびT-3262Bのグルクロン酸抱合体が検出された。
2) 尿中には, T-3262未変化体以外に7位アミノピロリジン環のアミノ基がアセチル化されたT-3262A, T-3262Bおよびこれらのグルクロン酸抱合体が認められた。
3) 尿中の代謝物も含めた総回収率には食事の影響が認められ, 食後投与のほうが空腹時投与より高かった。
4) 連続投与での, 尿中総回収率, 代謝物の種類は単回投与と差が認められなかった。
5) 糞中には, T-3262未変化体以外にT-3262AおよびT-3262Bが認められた。
6) 血中および尿中には, T-3262の塩として用いられた
p-トルエンスルホン酸が認められた。
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渡辺 泰雄, 大橋 修, 酒井 晃, 萩中 隆博, 中村 武夫, 田近 栄司, 神田 静人, 加藤 正博
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
216-220
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
ラットにT-326220mg/kg静脈内および1,000mg/kg経口投与, 健康成人に300mg単回経口投与, カテーテル留置患者に150mg×2/日7日間経口投与したが排泄直後の尿にはいずれも本剤の結晶はみられず膀胱内での結晶析出はないものと思われる。一部の尿では放置あるいは遠心によりT-3262baseと思われる結晶の析出がみられたが, その析出には尿中濃度, 尿pH, 放置温度に関係はみられなかった。
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河村 泰仁, 中川 重仁, 鬼頭 暢子, 三善 隆広, 柴田 哲夫, 米田 豊昭
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
221-232
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
T-3262の急性毒性試験をマウス, ラットおよびイヌを用いて行い, 次の結果を得た。
1) T-3262の経口投与でのLD50値はマウス, ラットともに69/kg以上, イヌでは39/kg以上であった。非経口投与では, 皮下, 腹腔内投与でのLD50値がマウス, ラットともに69/kg以上であり, 静脈内投与でのLD
50値がマウス雄196mg/kg, 雌247mg/kg, ラット雄270mg/kg, 雌300mg/kg以上であった。
2) T-3262を大量に経口投与したラットには軟便, イヌには嘔吐がみられた。腹腔内投与では, マウス, ラットにライジングと自発運動減少が認められた。静脈内投与ではマウス, ラットによろめき歩行, 自発運動減少, 呼吸不整, 立毛がみられた。死亡例は, マウスでは間代性痙攣を起こし, ラットでは脱力, 呼吸不整, 呼吸数減少を起こして死亡した。
3) T-3262 3g/kgあるいは1.89/kgを経口投与したイヌの臨床検査では, GOT, GPTの軽度一過性上昇が認められた。
4) 組織学的検査では, マウスの経口, 腹腔内および静脈内投与の2週間生存例の腎の間質に細胞浸潤と線維化, それに尿細管上皮の空胞変性を認めた。皮下投与例ではマウス, ラットとも注射局所皮下に検体の残留と異物性肉芽組織を, 腹腔内投与例では検体の残留と腹腔内臓器の炎症性癒着を認めた。静脈内投与マウス, ラット死亡例で肺胞壁毛細血管に検体析出による塞栓が認められた。
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米田 豊昭, 河村 泰仁, 柴田 哲夫, 長沢 峰子, 吉田 一晴, 鬼頭 暢子
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
233-249
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいピリドンカルボン酸系合成抗菌剤であるT-3262の, ラット6ヵ月間経口投与慢性毒性試験を80mg/kg, 400mg/kg, 2000mg/kgの用量群を設定して行ない, 以下の結果を得た。
1) 2000mg/kg, 400mg/kg群で軽度の軟便が観察されたが発育は順調であり, 対照群に較べ体重が増加する傾向があった。
2) 尿沈渣中に, 検体析出によると思われる結晶が, 2000mg/kg, 400mg/kg群の3~9/20例に, 80mg/kg群の1/20例にそれぞれ観察された。
3) AIG比の上昇が2000mg/kg, 400mg/kg群で認められ, 蛋白分画ではβあるいはγグロブリン比が減少を示した。AIG比上昇は休薬により回復を示した。
4) 用量依存性の盲腸腔の拡張が, 各投与群の全例に観察された。
5) 組織学的検査では, 腎尿細管腔での結晶析出が, 2000mg/kg群の5/34例, 400mg/kg群の3/38例に観察された。また, 2000mgなkg群と400mg/kg群の少数例に, 腎皮質の間質細胞浸潤が軽度に認められた。2000mg/kg群の2例に, 尿細管上皮の変性, 腔の拡張, 尿細管円柱が・また400mg/kg群の1例に, 尿細管上皮の変性壊死がそれぞれ軽度~中等度に認められた。
6) 最大無影響量は80mg/kgであった。
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中川 重仁, 上原 京, 永井 章夫, 長沢 峰子, 吉田 一晴, 米田 豊昭
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
250-293
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
T-3262のビーグル犬6ヵ月間経口投与慢性毒性試験を400mg/kg, 100mg/kg, 25mg/kg投与群を設定して行い以下の結果を得た。
1) 症状観察では, 糞中への検体の排泄が400mg/kg投与群の全例に投与期間を通じてみられた。同様の現象が100mg/kg投与群の少数例にも散発的に認められたが, 25mg/kg投与群では認められなかった。軽度の体重減少が400mg/kg投与群2/12例に認められた。摂餌量心電図眼科的検査結果には, 異常は認められなかった。
2) 尿検査では, 検体析出によると思われる尿中結晶の出現が400mg/kg投与群3/12例, 100mg/kg投与群4/8例, 25mg/kg投与群2/8例の尿沈渣中に認められた。
3) 血液学的検査結果には, 検体投与に起因すると思われる変化はなかった。
4) 血液化学検査結果では, 投与2ヵ月以降総蛋白の軽度減少とA/G比の軽度増加傾向がみられたが用量相関は明瞭ではなかった。体重減少を示した2例のうち1例に総蛋白, 総コレステロール, トリグリセライド, リン脂質の減少が認められた。
5) 剖検時の肉眼的観察, 組織学的および電顕的検査結果では, 検体投与に起因すると思われる異常は認められなかった。
6) 本試験における最大無影響量は100mg/kgであった。
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中田 弘子, 中村 昌三, 小前 憲久, 三善 隆広, 能島 康幸, 赤坂 美保子, 西尾 由美子, 米田 豊昭
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
294-319
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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新しい合成抗菌薬T-3262の80, 500および3,000mg/kgをSD系ラットに経口投与して一連の生殖試験を行ない母体, 胎仔および出生仔におよぼす影響を検討した。
1. 妊娠前および妊娠初期投与試験
雌雄の生殖能力および胎仔の外形, 骨格, 内臓に異常は認められず無影響量は3,000mg/kgと推定された。
2. 器官形成期投与試験
母体の体重増加, 分娩および哺育に異常を認めなかった。500mg/kg以上の投与群の胎仔に冠状動脈口過剰が, 3,000mg/kg投与群の胎仔および出生仔に13肋骨の短小が有意な出現頻度で観察された。出生仔の発育, 外形分化, 情動性, 学習能力および生殖能力には異常を認めなかった。無影響量は母体の分娩および哺育に対しては3,000mg/kg, 胎仔に対しては80mg/kg, 出生仔に対しては500mg/kgと推定された。
3. 周産期および授乳期投与試験
母体の分娩および哺育, 出生仔の発育, 外形分化, 情動性, 学習能力および生殖能力には異常を認めなかった。T-3262投与全群の4日齢仔に脛骨の変形が観察されたが, 生殖能力試験終了後 (17~18週齢) の骨格・検査では異常を認めなかった。無影響量は母体の分娩および哺育に対しては3,000mg/kg, 出生仔に対しては80mg/kg未満であると推定された。
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柴田 哲夫, 岩井 信治, 米田 豊昭
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
320-325
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
ピリドンカルボン酸系の合成抗菌薬T-3262の抗原性試験を検討し以下の結論を得た。
1. モルモット, ウサギをT-3262とFREuND's completeadjuvantとのエマルジョンで感作しても, モルモットの全身性アナフィラキシー反応, モルモットの4時間PCA反応, 間接血球凝集反応ではほとんど抗体産生は認められなかった。
2. マウスをT-3262と水酸化アルミニウムゲルとの混合液で感作してもIgE抗体産生は認められなかった。T-3262・OVA結合物と水酸化アルミニウムゲルとの混合液で感作すると, T-3262に対するIgE抗体産生が認められた。
3. T-3262のラット及びビーグル犬での28日間連続経口投与亜急性毒性試験での投与終了時及び休薬1ヵ月後の血中抗体は認められなかった。
4. T-3262のクームス反応陽性化作用は認められなかった。
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培養細胞及びマウスを用いた細胞遺伝学的試験
中村 昌三, 小前 憲久, 能島 康幸, 米田 豊昭
1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p.
326-336
発行日: 1988/12/30
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
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新合成抗菌剤T-3262の変異原性を検討するため, 培養細胞を用いた
in vitro変異原性試験およびマウスを用いた
in vivo変異原性試験を実施し, 以下の結果を得た。
1)
In vitro変異原性試験では, V79細胞を用いて姉妹染色分体交換 (SCE) 試験および直接法とラット肝ホモジネートS9分画を用いた代謝活性化法での染色体異常試験を実施した。その結果, T-3262各処理群のSCE頻度および染色体異常を有する細胞の出現頻度はいずれも対照群との間に統計学的有意差が認められなかった。
2)
In vivo変異原性試験では, マウス骨髄細胞の染色体異常試験と小核試験を実施した。その結果, T-3262各投与群の染色体異常を有する細胞の出現頻度および小核を有する多染性赤血球の出現頻度はいずれも対照群との間に統計学的有意差が認められなかった。
3) 以上のSCE試験, 染色体異常試験および小核試験において, T-3262はDNA損傷性や染色体異常誘発性を示さず変異原性は認められなかった。
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