CHEMOTHERAPY
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37 巻, 10 号
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  • 宮内 正幸, 石戸 利貞, 加藤 直樹, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1229-1244
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1983年4月から1988年3月までの5年間に, 全国の医療施設から送付された検体より分離した, Bacteroides fragilis, Porphyromonas asaccharolytica, Fusobacterium spp.Veillonella Parvulaなど552株の17薬剤に対する薬剤感受性試験を行なった。B. fragilisは349株 (63.2%) と最も多く分離された。B. fragilisはmetronidazole, chloramphenicol (CP), minocycline (MINO) に対して, 最も高い薬剤感受性を示した。他のB. fragilis groupの菌種は, cefoxitin (CFX), cefmetazole (CMZ), cefotetan (CTT), Iatamoxef (LMOX) に対しては薬剤感受性が低く, B.fragilisとは異なっていた。各薬剤に対する耐性breakpointを設定して, 各菌種の耐性率と比較すると, B. fragilisの耐性率は, cefotiam (CTM), ampicinin (ABPC), tetracycline (TC) では高率であったが, CP, MINOでは低率であり, metronidazoleでは耐性株は認められなかった。Black pigmented Bacterlides spp., other Bacteroides spp.(B. fragilis groupおよびBlack pigmented Bacteroides spp.以外のBactcides spp.), P. asaccharolytica, Fusobacterium spp., V. parvulaは, 大半の薬剤に感受性であったが, 特にFusobacterium varium, V.parvula, P. asaccharolyticaでは, erythromycin (EM) に耐性を示す株が多く見られた。B. fragilisにおける薬剤感受性の年次変遷では, 大半の薬剤でMIC50値, MIC90値とも, 大きな変動は見られなかった。耐性breakpointにおける耐性率の年次変遷では, ABPC, cefazolin (CEZ), cefoPeraone (CPZ), ceftizoxime (CZX), CFX, CMZでは年を追っての耐性率の低下が見られ, clindamycin (CLDM) では逆に耐性率の上昇が認められた。
  • 河野 晴一, 松尾 典子, 吉野 信次, 近藤 有好
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1245-1251
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Individual Pharmacokinetic法であるSawchuk-Zaske法を用い, aminoglycoside系抗生物質であるnetilmicinの治療薬物モニタリング (TDM) を呼吸器感染症10例について実施した。血清中netilmich濃度はfluorescence polarization immunoassay (FPIA) を用いて測定した。10例の患者の薬物動態学的パラメータの平均値は, それぞれ, 生物学的半減期 (t1/2): 254±0.92h (mean±SD) 除去速度定数 (Ke): 0.298±0.093hみかけの分布容積 (Vd): 15.62±2.721そしてクリアランス: 5.04±1.97 1/hであった。実測trough値は, 0.40±0.22μg/ml (全例く2μg/ml)。実測peak値は, 7.46±100μg/ml (全例く12μg/ml) であり, 全症例について副作用は見られなかった。予測の偏りおよび精度はtrough値, peak値でそれぞれME (予測の偏り) は-0.010,-0.104μg/ml, MAE (予測の正確さ) は0.180, 1.064μg/ml, RMSE (予測のバラツキ) は0.253, 1.231μg/mlであった。Sawchuk-Zaske法を用いたnetilmicinのTDMは, 薬物動態学的パラメータの予測および, 最適投与量設定に有用性の高いものであると考えられた。
  • 病巣への移行性の検討
    岡野 昌彦, 佐藤 篤彦
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1252-1257
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    静注用免疫グロブリン (ガンマベニンG・V) の呼吸器感染症における有用性と感染病巣への移行性について検討した。対象は, 肺炎4例 (糖尿病3例, 悪性リンパ腫1例) と慢性気道感染症8例 (びまん性汎細気管支炎 (DPB) 5剤, 気管支拡張症3例) で, 臨床効果は, 下熱が6例 (67%), 咳漱・喀痰量の減少が4例 (57%) に, 白血球数の減少が3例 (60%), 血沈ならびにCRPの改善が7例 (58%) に認められた。細菌学的には, グラム陰性桿菌10例が検出され, 5例が消失した。総合的臨床効果は, 12例中7例 (58%) が有効であった。G・V投与後の血清免疫グロブリンはIgGが有意に増加した。G・V5g投与終了30分後の血清, 喀痰, 肺胞洗浄液 (BALF) におけるG・V濃度はそれぞれ平均115, 0.075, 0.28mg/dlであり, 血清濃度と喀痰, BALF濃度は負の相関関係であった。また, アルブミンやIgGでG・V濃度を補正すると, BALFは血清の2~10倍であり, 肺炎, 気管支拡張症の症例において, G・Vの感染病巣への移行性が良好であった。難治呼吸器感染症において, G・Vを抗生物質と併用することは有用な治療法の1つであり, 臨床効果をもたらす一因として, G・Vの病巣部への良好な移行性によるものと推定された。
  • 宮井 正博, 坪田 輝彦, 浅野 健夫
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1258-1263
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    気管支肺胞洗浄法を用いてアミノ配糖体系抗生物質astromicin (ASTM) の気管支肺胞系移行を検討した。ASTM200mg筋注1時間後, 生理食塩水100mlで気管支肺胞洗浄を行なった。対象症例16例のASTM濃度は血清で8.96±2.49μg/ml, 気管支肺胞洗浄液で0.10±0.06μg/mlであった。気管支肺胞洗浄液中のASTM濃度は肺癌群, 慢性炎症群および間質性肺炎群の3群間に有意差を認めなかった。ASTMの気管支肺胞系への移行性は前回報告したcefmenoximeとほぼ同等であり, 血清および気管支肺胞洗浄液の両方でASTM/アルブミン比が検討できた11例中6例において血清よりも気管支肺胞洗浄液の方が高値をとり, ASTMは気管支肺胞系への移行がよいものと考えられた。また同一症例においては炎症の増悪期には気管支肺胞洗浄液中ASTM濃度は安定期の数倍の値を示した。
  • Clindamycin, aztreonam併用療法研究会
    斎藤 厚, 上田 泰
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1264-1276
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    全国138施設において, 注射用clindamycin-2-phosphate (CLDM) 1日1,200~2,400mgとmonobactam系抗生物質aztreonam (AZT) 1日2~49を原則として7日間併用し, 多数例における細菌感染症に対する有効性と安全性を検討し, 以下の成績が得られた。
    1. 呼吸器感染症277例をはじめ各種感染症638例と術后感染予防224例に使用されたが, 臨床効果は638例のうち判定不能27例を除く611例について行なわれ, 副作用, 臨床検査値異常は全例862例について解析された。
    2. 患者背景は男性354例, 女性257例で60歳以上の高齢者は311例 (50.9%), 何らかの基礎疾患を有するものが394例 (65.1%) で, 入院患者が578例 (94.6%) を占めた。
    3. 感染症の程度は中等症以上の症例が534例 (91.6%) とほとんどを占め, いわゆる難治性で重症度の高い症例が多くを占めた。
    4. 併用薬剤の1日量はCLDM1,200mg/日とAZT2.09/日が全体の半数以上を占めた。
    5. 臨床効果は肺炎 (210例) 74.8%を含め, 呼吸器感染症 (277例) において74.0%, 敗血症 (80例) において55.0%, 胆道感染症 (70例) において88.6%, 全症例 (611例) において77.7%の有効率が得られた。
    6. 基礎疾患の有無により有効率に有意差 (P<0.001) がみられ, 基礎疾患を有するもの394例中71.6%, ないもの211例中89.6%の有効率であった。感染症の重症度別でも中等症85.4%, 重症62.5%と有効率に有意差 (P<0.001) がみられた。
    7. 細菌学的臨床効果はグラム陽性球菌, 嫌気性菌検出例47例中76.6%, グラム陰性桿菌に対して54例中74.1%の有効率であった。
    8. 両剤の抗菌力が及ばない, あるいはやや弱いEnterococcus faecalis, Pseudomonas aeruginosa検出例における有効率はそれぞれ33.3%, 50.0%と低いものであった。
    9. 副作用は862例中13例 (1.5%) と極めて低いものであった。皮疹8例が最も多いもので, その他消化器症状などが主なものであった。口内苦見感を訴えた1例はCLDMによるものと推定された。いずれも重篤なものではなかった。
    10. 臨床検査値異常は18例 (2.1%) と極めて低いものであった。S-GOT, S-GPT上昇が主なものであったが, 中止あるいは治療継続によりほとんどが正常に復し, 重篤なものはみられなかった。
  • 大江 裕一郎, 新海 哲, 江口 研二, 佐々木 康綱, 田村 友秀, 藤原 康弘, 児島 章, 山田 耕三, 中川 和彦, 福田 正明, ...
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1277-1281
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    大量ロイコボリン併用時の5-FUのdose-limiting toxicity (DLT) およびmaximum tolerateddose (MTD) を決定するためにphase I studyを施行した。対象症例は手術不能で他に有効な治療法がない, 肺非小細胞癌8例, 大腸癌の肺転移3例で年齢は43~77歳, 平均62.0歳, 男性8例, 女性3例でPS (ECOG) は0~1が8例, 2が2例, 3が1例であった。ロイコボリン500mg/m2を2時間で点滴静注し, 半量投与時に5-FUを急速静注した。これを週1回行ない5~6週間で1クールとした。はじめに5-FU600mg/m2から投与を開始して, 次に800mg/m2に増量した。5-FU 600mg/m2を5例に投与したところ, 1例にグレード3の貧血を認めたが他に重篤な副作用はみられなかった。次に, 6例に対して5-FU 800mg/m2を投与したところグレード3~4の骨髄毒性および下痢, 口内炎を認め, 1クール終了したのは3例のみであった。また, 5-FU800mg/m2の投与を受けた, シスプラチン無効肺腺癌の1例にPRを認めた。以上の結果から, 大量ロイコボリン併用時の5-FUのdose-limiting toxicity (DLT) は骨髄毒性および下痢, 口内炎であった。5-FUのmaximum tolerated dose (MTD) は800mg/m2, 週1回以下であり, phase II studyへのrecommended doseは600mg/m2, 週1回と考えられた。
  • 八木田 旭邦, 織田 俊, 立川 勲, 桂 卓也, 緒方 幸雄, 村田 定三, 奥西 昌彦
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1282-1289
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    CPIZ投与時の好中球機能に及ぼす影響を健常人および手術施行癌患者を対象として検討した。
    健常人における検討ではcefpimizole (CPIZ) 投与前, および1g静脈内投与2, 7時間目に採血し好中球の大腸菌に対する殺菌能を測定したところ, その亢進が認められ, この傾向は若年齢群 (20~30歳) に比べ高年齢群 (50~60歳) で著明であった。また, 高年齢群において薬剤投与前, および19静脈内投与2時間目の好中球のケミルミネッセンス (CL), およびNBT還元能を測定したところ, これらの亢進が認められた。
    手術施行癌患者における検討では, CPIZまたはlatamoxef (LMOX) を1回1~2g, 1日2回, 術中より術後6~10日目まで投与し, 投与前, 投与期間中および投与後に採血し好中球機能を測定した。CPIZ投与期間中, CLおよび大腸菌に対する殺菌能の亢進が認められた。一方, 対照薬として使用したLMOXでは, 投与期間中CLおよび殺菌能の減少が認められた。また, CLと大腸菌に対する殺菌能には高い相関性 (r=0.78) が認められた。遊走能および大腸菌に対する貧食能はLMOX投与症例で一過性の亢進があった他は, 大きな変動は認められなかった。
    以上の結果より, CPIZの好中球機能活性化は臨床投与例において発現し, 特に殺菌能に対し強い影響を及ぼすことが示唆された。
  • Cefotetanとlatamoxefの比較
    品川 長夫, 久田 正純, 福井 拓治, 水野 裕支, 石川 雅一, 細野 進, 真下 啓二, 水野 章, 高岡 哲郎, 石川 周, 水野 ...
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1290-1295
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1986年4月より1987年12月までに定期手術を施行した下部消化管手術例を対象とし, 術後感染予防としてのcefotetan (CTT) とlatamoxef (LMOX) の安全性と有効性について検討した。薬剤の第1回の投与は, 無作為に割り付けられた薬剤の29を手術開始と同時に点滴静注した。第2回以後は19を8時間毎に点滴静注し, 合計4日間の投与とした。解析対象はCTT投与群の40例 (3例の脱落例を除く), LMOX投与群の45例であり, 両群で85例であった。平均年齢, 男女比, 手術対象疾患, 対象手術, 術前処置および術前の臨床生化学検査などの背景因子では両群に有意差はなかった。術後感染症の発症率は, 両群いずれも8例ずつの発症であり有意の差はなかった。薬剤の副作用および臨床検査値の変動についても両群に差はみられなかった。下部消化管手術に対してCTTはLMOXと同様に安全であり効果があると考えられた。
  • 植田 省吾, 山下 拓郎, 江藤 耕作, 林 健一, 吉武 信行, 飯田 収, 三原 謙, 鈴木 卓, 上村 計夫, 河田 栄人, 薬師寺 ...
    1989 年 37 巻 10 号 p. 1296-1302
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    男子淋菌性尿道炎に対する治療効果について, 塩酸レナンピシリン (LAPC) を用いて検討し, 以下の結果を得た。
    1) LAPCのMICのピーク値は0.39μg/mlであった。
    2) PPNGを7.1%に認めた。
    3) 淋菌の消失率は3日目, 7日目とも変わらず, 93%であった。
    4) 主治医判定とUTI判定を3日目, 7日目のそれぞれにおいて比較すると, 3日目ではUTI判定91.7%, 主治医判定78.1%の有効率であり, 7日目ではUTI判定90.5%, 主治医判定82.4%であった。
    5) Chlamydia trachomatisの合併は17.9%に認められたが, その合併は有効率に影響しなかった。
    6) 副作用では悪心, 頭痛, 発疹をそれぞれ1例ずつに認め, 臨床検査値では1例にS-GOTの軽度上昇が認められた。いずれも軽微で, 本剤の中止後, 正常に復した。
  • 1989 年 37 巻 10 号 p. 1303-1313
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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