CHEMOTHERAPY
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37 巻, 11 号
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  • 松本 文夫, 今井 健郎, 高橋 孝行, 田浦 勇二, 国分 勝弥, 桜井 磐, 加藤 伸郎, 村田 定三
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1321-1326
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタム剤のsub-MIC濃度における臨床的意義を知るために, 1/4MICのβ-ラクタム剤で前処理した大腸菌に対するヒト好中球の食菌能, 殺菌能, および尿路上皮細胞への付着能について検討した。Cefmetazole, cefpimizoleにて処理した菌では無処理菌に比べ, 好中球による食菌能の亢進が認められ, ampicillin, mecillinam, cefoperazoneで処理した菌では, その低下が認められた. ケミルミネッセンスを指標とした殺菌能の検討結果では, 食菌能と同様に, cefmetazoleで亢進が, ampicillin, mecillinam, cefoperazoneで低下が認められた。上皮細胞に対する付着能では, 使用したすべての抗菌剤処理で付着能の抑制が認められ, 特にcefmetazole, cefpimizoleで著明であり, 抑制率は42~56%であった。また付着能の抑制はマンノース感受性株だけでなく, マンノース耐性株に対しても認められた. 以上の結果よりcefmetazole, cefpimizoleはMIC以下の濃度においても, 細菌の生体内でのcolonizationを減弱する一方, 好中球による食殺菌を促進する可能性が示唆された。
  • 上 洋司, 柴原 健, 松島 宏親, 西野 武志
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1327-1333
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質 (AGs) であるnetilmicin (NTL) およびisepamicin (ISP) とβ-ラクタム系抗生物質 (β-lactams) であるflomoxef (FMOX) およびimipenem/cilastatin sodium (IPM/CS) のEscherichia coli, Serratia mamscens, Pseudomonas aerugimsaおよびmethicillin耐性Staphylococcus aureusに対するin vitroでのそれぞれの抗菌力およびAGsとβ-lactamsとの併用効果を検討し, 以下の成績を得た。
    1. E.coliに対して, いずれの薬剤とも単独で優れた抗菌力を示した。
    2. Checker-board dilution methodにより併用効果を検討した結果, いずれの薬剤の組み合わせもすべての菌種に対して抗菌力の増強を示し, 拮抗作用は認められなかった。特に, S.marcescensに対して著明な相乗作用が認められ, ISPとFMOXではminimum-FIC indexが平均0.272と優れていた.
    3. S.marcescensの増殖曲線に及ぼす影響を検討した結果, それぞれ単独で静菌的な作用を示す薬剤濃度で併用すると, いずれの組み合わせも殺菌的に作用し, 特にISPとFMOXが優れた併用効果を示した。
    4. 位相差顕微鏡にてS.marcescensに対する形態変化を観察した結果, AGs単独では対照とほぼ同様な形態が, FMOXでは菌体の著しい伸長化が, IPM/CSでは球状化が観察された. AGsとFMOX併用時には菌体は若干伸長化し, 溶菌像や菌体の一部が空胞化した像を認めた。AGsとIPM/CS併用時に球状化した一部の菌体は膨化し, 溶菌像や菌体の一部が空胞化した像を認めた。
  • 後藤 元, 後藤 美江子, 岡 慎一, 島田 馨, 清水 喜八郎, 五島 瑳智子, 上野 一恵, 原 耕平
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1334-1341
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    多剤耐性黄色ブドウ球菌, いわゆるMRSAの我が国における分離ならびに耐性化の現況を明らかにするため, 1986年から1988年にかけて全国18大学附属病院および1都立病院の協力を得て実態調査を施行した. 調査期間中に分離されたStaphylococcus aureus902株中436株 (48%) がMRSAであった. その比率は膿検体において高く (58%), 一方耳漏では33%と低値であったが, 後者では外来由来株が過半を占める点に特徴がみられた. これらのMRSAは, 明らかな多剤耐性化傾向を示し, 今回検討した18抗菌剤のうち, rifampicinおよびvancomycinを除く16薬剤中10剤以上に耐性を獲得した菌株が67%を占めた. β-ラクタム剤のMRSAに対する抗菌力は, おおむね不良であったが, dicloxacillinについては耐性株はいまだ25%に留まっていた. β-ラクタム剤以外では, habekacin, minocycline, ofloxacin, rifampicinおよびvancomycinの5薬剤が各々MIC801.56μg/ml, 3.13μg/ml, 1.56μg/ml,<0.1μg/ml, 1.56μg/mlと優れた抗MRSA活性を示した.
  • 坂上 吉一, 山崎 浩史, 横山 浩, 増田 久子, 高崎 中夫, 谷藤 正明, 吉永 哲男, 田中 美智男, 松尾 清光
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1342-1350
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    29株のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA, MIC≧12.5μg/ml) と標準菌 (MSSA) 6株に対する10種類の抗生物質 [メチシリン, アンピシリン, セフォチアム, セブゾナム, ゲンタマイシン, ドキシサイクリン (DOXY), ミノサイクリン (MINO), ホスホマイシン (FOM), バンコマイシン (VCM) およびイミペネム] の最小発育阻止濃度 (MIC) および4種類の消毒剤 [塩化ペンザルコニウム液 (BAC), グルコン酸クロルヘキシジン液 (CHG), 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液 (TG) およびポビドンヨード液 (PVP-1)] の殺菌力を検討した.
    MSSAに対する10種抗生物質のMICは, FOMを除いて0.006~1.56μg/mlの範囲にあった. MRSAに対する各抗生物質のMIC50で表される抗菌活性はMINO (0.39μg/ml)>DOXY=VCM (0.78μg/ml) の順に強く, 他の7種抗生物質では25μg/ml以上であった. 一方, これら抗生物質のMIC80とMIC20の2段階希釈率の差で表される抗菌効果のばらつきは, MINO, DOXYでは3段階あったが, VCMのMIC80とMIC20は一致しており, VCMの作用が最も非特異的であった. したがって, 上記の3抗生物質については総合的な効力面で, 有効であることが示唆された.
    4種消毒剤のMSSAに対する殺菌力試験の結果, BACとPVP-1に同様の有効性が認められ, CHGとTGは10分以内には殺菌作用を示さなかった. MRSAに対する殺菌力試験の結果, 創傷部位の消毒用に汎用されるPVP-1が, 最も強い殺菌効果を示した. 主として手指等の消毒に汎用される消毒剤のうち, BACがCHGおよびTGに比べ強い殺菌力を示した. BACにエタノール (10~20%) または炭酸ナトリウム (0.01%) を添加することにより, 殺菌力が増強することが判明し, 特にMRSAに対してはエタノールの添加が, MSSAに対しては炭酸ナトリウムの添加が有効と推察された.
  • 品川 長夫, 真下 啓二, 水野 章, 由良 二郎
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1351-1356
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ペプシン処理ヒト免疫グロブリン製剤59を総胆管T-チューブドレナージ施行患者4名に60分で点滴静注し, 胆汁中移行について検討した. また本剤のin vitroにおける細菌との結合についても検討し以下の結果を得た.(1) 胆汁中濃度, 血清中濃度とも症例によって変動はあるものの, いずれも点滴静注終了直後より4時間後までに最高値となり, ピーク値は胆汁中濃度では3.6~23μg/ml, 血清中濃度では406~2,586μg/mlを示した.(2) In vitroにおける免疫グロブリン製剤と細菌の反応の蛍光顕微鏡像では, 免疫グロブリン製剤が細菌によく結合しているのが観察された. その濃度は免疫グロブリン製剤0.01μg/mlまで確認できた. 以上のことから, 胆道感染症における本剤の有用性が示唆された.
  • 花谷 勇治, 浅越 辰男, 高見 博, 四方 淳一, 横山 勲, 中津 喬義, 山田 良成, 斉藤 敏明
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1357-1365
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    乳癌術後の22例を対象とし, cefmetazole (CMZ) の術後創内滲出液中への移行を経日的ならびに経時的に検討した。
    術後創内滲出液量およびに滲出液中ヘモグロビン濃度は, 術後1日目より急激に減少したが, アルブミン濃度およびCMZ濃度は術当日を含む術後5日間で大きな変動を認めなかった。
    術後創内滲出液量と滲出液中CMZ濃度との間に, 推計学的に有意の正の相関関係を認めた。滲出液中ヘモグロビン濃度とCMZ濃度との間には相関を認めなかった。
    24時間貯留滲出液中CMZ濃度は, 2g静注群13.1μg/ml, 1g静注群7.11μg/ml, 2g点滴静注群14.8μg/mlであった。経時的検討では, CMZの滲出液中ピーク濃度および濃度曲線下面積は, 29静注群33.5μg/ml, 130μg・h/ml, 1g静注群17.7μg/ml, 76.6μg・h/ml, 2g点滴静注群32.8μg/ml, 143μg・h/mlであった。
    すなわち, CMZ投与量と滲出液中CMZ濃度との間にはdose responseの関係を認めた。また, 静注と点滴静注の成績はほぼ同等であった。
    時間-濃度曲線の検討では, CMZはピークに達するまでに3時間前後を要し, ピーク以後の濃度低下も緩徐であった。ピーク時間は2g静注群3.26時間, 1g静注群4.18時間, 2g点滴静注群4.2g時間であった。2g投与群では12.5μg/mlを, 1g静注群では6.25μg/mlを5時間前後にわたって維持していた。
  • 坂田 宏, 藤田 晃三, 吉岡 一
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1366-1371
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    敗血症, 肺炎および皮膚軟部組織感染症などの生後1か月から13歳までの小児24例にflomoxefを投与し臨床効果と副作用を, さらに生後10か月から3歳までの6例において腸内フローラの変動を検討した。
    1) 臨床効果では有効率は95.8%であった。細菌学的効果は100%の除菌率であった。
    2) 副作用は下痢が11例にみられたが, 本剤によると思われる検査値の異常はみられなかった。
    3) 腸内フローラはBifidobacterimやBacteroidaceaeなどの偏性嫌気性菌が著明に減少し, Bifidobacteriumは全例で検出されなくなった。EnterobacteriaceaeやStaphylococcusも有意に減少し, Enterococcus yeastsが増加する傾向にあった。
    4) 本剤は小児の細菌感染症の治療に有用と考えられたが, 腸内フローラへの影響が大きいので使用にあたっては注意が必要である。
  • 特に典型例の7日間治療後について
    広瀬 崇興, 熊本 悦明
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1372-1379
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    女子急性単純性膀胱炎559例に対して経口cephem系またはnew quinolone系抗菌薬による7日間治療を行なった。治療3日目と7日目の治療成績と休薬7日目の早期再発についてUTI研究会の薬効評価基準に準じて検討したところ, 以下のような所見を得た。
    1) 3日目の著効率は73%(408/559), 総合有効率は98.7%(552/559) であった。一方7日目の著効率は83.9%(469/559), 総合有効率は98.9%(553/559) であり, 7日間治療により著効率が上昇した。この理由は主に膿尿と症状の改善によるものであった。
    2) 7日間治療後著効例の休薬7日目の早期再発率は1.1%(3/278), 判定保留率が5%(44/278) と非常に低率で再発はほとんどみられなかった。
  • 全身オートバクテリオグラフィによる観察
    石井 信男, 谷 佳都, 春日 修, 芝田 和夫, 山口 東太郎
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1380-1388
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    緑膿菌の易感染性を白血球減少症マウスと正常マウスとで対比し, 大腸菌と比較検討した。さらに, 白血球減少症マウスの緑膿菌感染に対するceftazidimeおよび各種薬剤の治療効果を正常マウスと比較した。全身オートバクテリオグラフィ (ABG) に用いる感染菌はリファンピシン耐性菌株に誘導して用い, マウス感染はムチン添加腹腔内接種によった。細菌の易感染性は各マウスにおける全身ABG, 感染致死力および腹腔内・血中生菌数推移により, 薬剤治療効果はED50値および全身ABGにより検討した。
    緑膿菌で感染死を起こす白血球減少症マウスの全身オートバクテリオグラムでは細菌コロニーが全身的に分布し, 正常マウスとは異なった感染経過を示した。また, 腹腔内および血中の生菌数は菌接種4時間後まで正常マウスと同様に推移したが, 4時間以降には急速に増加した。さらに, 大腸菌感染では白血球減少症マウスの生菌数推移が正常マウスと変わらない株が見出され緑膿菌のほうが大腸菌よりも易感染化を起こしやすいことが示唆された。白血球減少症マウスの緑膿菌感染に対するceftazidimeおよび各種薬剤の治療効果は正常マウスに比べていずれも難治性を示した。また, 全身ABGにより観察した各薬剤の治療効果は各ED50値とよく対応した。
  • 道津 安正, 長井 徹雄, 須山 洋之, 福嶋 弘道, 藤田 紀代, 河野 浩太, 中西 啓, 中富 昌夫, 原 耕平
    1989 年 37 巻 11 号 p. 1389-1396
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    昭和62年5月から昭和63年9月までの約2年間に, 延べ11例のカンジダ血症を経験し, ミコナゾールを中心とする治療を行なったので, その臨床的・真菌学的検討を行ない以下の成績を得た。
    1. 全例に経静脈高カロリー栄養 (IVH) が施行され, 基礎疾患としては脳血管障害 (6例) と慢性呼吸不全 (4例-肺気腫3, 陳旧性肺結核1) がみられた。
    2. IVH開始よりカンジダ血症発症までの期間は1~21か月にわたり, 尿路留置カテーテルは9例に, 先行抗生剤投与は6例に, また副腎皮質ホルモン投与は1例に行なわれていた。
    3. 起炎菌としてはCandida parapsilosisが最も多く, 院内環境・患者皮膚からも同菌が分離され, 外因性感染や院内感染の関与が示唆された。
    4. 全例にミコナゾールの点滴静注を行ない, 臨床的有効率は72.7%, 除菌率は100%であった。IVHカテーテルの入れ替えを実施した場合の方が有効率は高く, また再発も少なかった。
  • 1989 年 37 巻 11 号 p. 1397-1425
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 37 巻 11 号 p. 1425-1431
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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