CHEMOTHERAPY
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 懸川 友人, 廣瀬 聖雄
    1990 年 38 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (CAM) の主な代謝物であるN-Demethy 1体 (M-1) および (14R)-14-Hydroxy体 (M-5) による蛋白質合成阻害の機作を検討し, 次の結果を得た。
    1) Escherichia coliの無細胞蛋白質合成に対する阻害の強さは, ポリアニデル酸依存のポリリジン合成およびMS2ファージRNA依存のポリペプチド合成においてCAM=M-5>M-1の順であった。
    2) 無細胞系を用いたMS2ファージRNA依存のコート蛋白質合成はM-5≧CAM>M-1の順に阻害され, その阻害はいずれもN末端から2番目と3番目のアミノ酸の取り込みにおいて認められた。
    3)[14C] CAMとE.coliリポソームとの結合に対する影響を調べたところ, M-1とM-5は拮抗的に結合を阻害し, その強さは, CAM≧M-5>M-1の順であった。
    4) ラット初代培養肝細胞の高分子合成に対する阻害の強さは, [3H] メチオニンの蛋白質画分への取り込みおよび [3H] チミジンのDNA画分への取り込みにおいてCAM≧M-1>M-5の順であった。
    1), 2) および3) の結果から, これらの代謝物はCAMと同様の機作で蛋白質合成を阻害すると考えられた。さらに, 4) の結果から, ラット等に大量のCAMを投与したときに現われる毒性が主としてM-1あるいはM-1とCAMによる可能性が示唆された。
  • 三次元チェス盤法による3剤併用効果のコンピューター解析
    渡辺 彰, 北村 直人, 大泉 耕太郎, 本田 芳宏, 小野 玲子, 徳江 豊, 庄司 聡, 本宮 雅吉
    1990 年 38 巻 4 号 p. 324-329
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗菌性薬剤の3剤併用効果を解析する自的で提唱した三次元チェス盤法に関して, コンピューター (PC-9801) を用いて解析する方法を考案した。Staphyloooccusouyeus10株, Escherichia coli 17株, Klebsiella pngurnoniae20株, Semtia nzarcescens20株, Psaudononas aerugelnosa20株の計87株を, MIC2000システムにより作成したpiperacillin+amikacin+minocyclineの立体的なチェス盤の系列に接種し, 37℃, 20時間培養後の成績を今回作成したプログラムにデータ入力し, 三次元グラフ上のVUS (volume under the surface) を算出して菌種毎に比較すると共に, 最適な組み合わせ濃度を求めた。VUS index (3剤各々単独使用時に対する併用時のVUSの比=三次元グラフ上の体積比) が0.75未満を相乗作鳳0.75~1.0を部分的相乗作用, 1.0以上を拮抗作用と定義した。全87株に対するVUS indexは≦0.702で相乗作用が認められた。菌種別ではS.aureusで≦0.867, E.coliで≦0.679, K.pneurnoninで≦0.578, S.nnmscensで≦0.726, P. aeruginosaでは≦0, 847であった。上記の菌種間で見られた併用効果の程度の差異は, 簡便法として提唱したFIC2indexによる成績と同様であり, 両方法がいずれも有用であることが確認された。
  • 6施設での共同研究
    永武 毅他
    1990 年 38 巻 4 号 p. 330-342
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    最初の新キノロン系合成抗菌剤であるnorfloxacin (NFLX) が登場して5年が経過し, その後これまでに他の同系薬3剤が臨床に用いられているが, 最近我が国において新キノロン耐性菌の出現が注目されるようになった。そこで, 起炎菌決定法が同一の6施設の共同研究により, 新キノロン4剤の各種感染症起炎菌21菌種859菌株に対するMICを検討した.その結果, 呼吸器感染症ではPseudomonas aeruginosaStaphylococcus aureus て新キノロンに耐性を示す菌の増加がみられる一方で, Haemophilus influenzaeBranhamella catarrhalis には高い抗菌力が保たれていた。尿路感染症ではほとんどの菌種で耐性を示す株の増加がより顕著であり, S. aureus, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Providencia stuartii, Proteus vulgaris, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter での高度耐性株の増加が注目される結果を確認した。
    尿路感染症起炎菌を中心とする本系統薬剤に対する耐性菌の増加のスピードは当初の予想をはるかに上回るものと結論される.
  • 動物実験による検討
    川嶋 敏文
    1990 年 38 巻 4 号 p. 343-353
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    前立腺組織内抗菌薬濃度測定に手術操作がどのような影響をおよぼすか研究されていない。我々は1985年動物実験モデルでcefoperazone (CPZ) を用いて検討し, CPZの前立腺組織内濃度はTURの10%ウリガール液に浸す操作と細切操作で濃度は減少すると報告した。
    今回, 同様の動物実験モデルでampicillin, dibekacin, minocycline, ciprofloxacinを用いて, 薬剤間での前立腺組織内抗菌薬濃度の差異を検討した結果, 使用薬剤の安定pH域や水溶性あるいは不溶性などの薬剤側の特性により前立腺組織内抗菌薬濃度は大きく変化し, 手術操作によってその変化は増幅されると考えられた。
  • 秋澤 孝則, 勝村 幸夫, 清水 晋, 大塚 英彦, 高木 啓, 成島 遵昭, 田中 一正, 中神 和清, 鈴木 一, 野口 英世, 寺田 ...
    1990 年 38 巻 4 号 p. 354-362
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    最近, 抗生物質投与中の出血傾向が注目されている。そこで我々は, 新しく開発されたオキサセフェム系抗生物質flomoxef sodium (以下FMOXと略す) の血小板機能・血液凝固機能に対する影響について検討したので報告する。
    対象は12例の呼吸器感染症例である.FMOX投与前と投与後7日目において血小板魏出血時間, 血小板粘着能, 血小板凝集能, 血小板ATP放出能, プロトロンピン時間, 活性部分トロンボプラスチン時間, 血漿フィプリノーゲン, フィプリン分解産物, トロンポテスト, ヘパプラスチンテスト.第II・VII・IX・X凝固因子, PIVKA-IIを測定した。
    FMOXは原則的に1日29を朝夕の2回, 生理食塩水100mlに溶解し60分かけて点滴薄注した。
    その結果, FMOX投与後で検査成績が悪化した症例は認められず全例安全に使用しえた。
    しかし, 2例に投与後でPIVKA-IIが陽性となった.この2例における他の検査結果からはFMOXがビタミンK代謝に何らかの影響を及ぼした可能性は明確にしえず, PIVKA-IIについては測定法などを含め今後検討の余地があると考えられた.
    今回の検討でFMOXは1日297日間程度の投与では出血傾向をきたすことのない, 安全な抗生物質であることが証明された。
  • 斧 康雄, 大谷津 功, 馬場 ますみ, 西谷 肇, 野末 則夫, 上田 雄一郎, 芳賀 敏昭, 宮司 厚子, 国井 乙彦
    1990 年 38 巻 4 号 p. 363-370
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    重篤な基礎疾患を有する患者に発症した中等症・重症細菌感染症で, 他剤無効例28例に対するimipenem/cilastatin sodium (IPM/CS) の臨床効果を検討した。感染症の内訳は, 敗血症5例およびその疑い5例, 肺炎12例, 肺炎+胸膜炎3例, 特発性間質性肺炎+感染2例, 褥瘡感染症1例であった。投与法は, IPMとして1回0.25g~1gを1日1~3回, 3日から40日間点滴静注した。16例が重症などのためminocyclineを中心にfosfomycin, アミノ配糖体などを併用した。他剤無効例に対するIPM/CSの臨床効果は, 有効57.1%, やや有効14.3%, 無効17.9%, 評価不能10.7%であった。起炎菌が判明した13症例における細菌学的効果は, 菌消失6例, 菌減少2例, 菌交代2例, 不変3例であった。他剤無効のMRSA感染症7例に対しては, 有効5例であり, 菌消失を2例に認めた。副作用は認めなかったが, 軽度のGOT, GPT上昇2例, GOT, GPT, BUN上昇を1例, 好酸球増加を1例に認めた。
    以上より, IPM/CSは他剤無効例においても安全に使用しうる有用性の高い薬剤であると思われる。
  • Minocyclineを中心に
    永武 毅他
    1990 年 38 巻 4 号 p. 371-380
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1987年1月から1988年12月までの2年間に国立療養所川棚病院で黄色ブドウ球菌性呼吸器感染症と診断されたのは53感染エピソードであった。このうち肺炎は15感染エピソードでいずれも重篤な基礎疾患を有しており, 1例が院外発症のMSSAで他の14症例はすべて院内発症のMRSAであった。また急性気管支炎1例は院外発症のMRSA, 慢性下気道感染症37感染エピソードのうちMRSAが29感染エピソード (78.4%) を占めていた。化学療法効果は肺炎の場合, β-ラクタム剤を中心とする単独治療11症例での臨床的有効率が45, 5%, 細菌学的有効率も54, 5%であったのに対してminocycline (MINO) を中心とする併用療法での臨床的有効率は83.3%, 細菌学的効果も100%であった。一方, 慢性下気道感染症では単独治療での臨床効果, 細菌学的効果共に有効率74.1%であったのに対し併用療法では両者共100%の有効率が得られた。これらの治療効果で特に注目されたのはMINOが用いられた症例の有効率が100%であった点である。また, 黄色ブドウ球菌に対するMICの検討からMRSAでは多剤耐性化の傾向がみられたが, MINOはMRSAにも高い抗菌力を保っていた。しかし, MINOでも高度耐性株が存在しており, 今後の耐性化の動向には充分な注意が必要である
  • 1990 年 38 巻 4 号 p. 381-428
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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