CHEMOTHERAPY
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38 巻, Supplement1 号
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  • 井上 邦雄, 三橋 進, 井上 松久
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 1-11
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口セフェム剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の抗菌力試験をcefetamet (CEMT) を用い, 対照薬cefaclor, cephalexin, ampicillinと比較検討を行った。その結果CEMTは一部の菌種を除くグラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有した。さらにCEMTはStreptococcus属, Escherichia coli, Klebsiella, Proteus (インドール+,-), Haemo-Philus influenzaeなどに強い抗菌活性を示した。また, 既存の経口剤では抗菌活性の弱かったEnterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Serratia marcescens, Pseudomonas cepaciaに対してもより優れた抗菌力を示した。殺菌力についてβ-lactamase産生菌を含む各菌種に対してCEMTのMICとMBCの差が少ないことと, 増殖曲線におよぼす影響などから, 本剤は殺菌的作用を示した。CEMTはプラスミド支配のペニシリナーゼ, 各菌種特有の染色体性セファロスポリナーゼおよびP. cepacia, Flavobacterium odoratumを除く各種オキシイミノセファロスポリナーゼに対し, 安定であった。特に, E. coli, C. freundii, E. cloacae由来のセファロスポリナーゼに対し, 本剤は低い濃度で強く阻害した。マウス感染治療効果はE. coli ML 4707, S. marcescens GN 7577, Klebsiella Pneumoniae GN 6445に対し, CEMT-PIがいずれの対照薬よりも優れた結果であった。
  • 横田 健, 鈴木 映子, 新井 京子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 12-20
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェムcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の臨床効果を推定する基礎成績の一つとして, その活性原体cefetamet (CEMT) の試験管内抗菌力, 作用点penicillin-binding Proteins (PBPs) に対する結合親和性を測定するとともに, 本剤と生体感染防御の主役である補体およびマクロファージ (Mφ) との協力作用の良否を検討した。Staphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus aureus, coagulase negative staphylococci, Streptococcuspyogenes, Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Citrobacter freundii, Serratia marcescens, Pseudomonas cepacia, ampicillin耐性Haemophilus influenzaeおよびBacteroides fragilisの24~51臨床分離株に対する本剤のMIC50は, それぞれ50,>100,100, 0.025, 0.39, 0.39, 0.2, 0.1, 0.2, 12.5, 0.39, 25, 0.78, 0.78, 0.2および25μg/mlで他の経口第3世代セフェムより抗ブドウ球菌作用が劣った。S.aureusのPBPsには本剤の結合は弱いが, グラム陰性桿菌のPBPsにはcefixime (CFIX) と同程度に強かった。本剤の特徴は, 血清補体およびMφとの協力的殺菌作用が顕著な点で, 1/8MICの本剤存在下でマウス培養Mφは, E. coliの細胞を良く食菌, 消化した。
  • 五島 瑳智子, 宮崎 修一, 辻 明良, 金子 康子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 21-31
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    In vitro抗菌力はcefetamet (CEMT), in vivo抗菌力はcefetamet pivoxil (CEMT-PI) を用いて検討し, 下記の成績を得た。
    1) CEMTは広域スペクトルを有し, 特にStreptococcus属, Escherichia coli, Klebsiella属, Proteus属, Providencia属, Haemophilus influenzae, Neisseria gonorrhoeaeおよびPseudomonas cepaciaに対し強い抗菌力を示した。
    2) 検討した各種β-lactamaseに対して, CEMTは安定であった。
    3) マウス全身感染モデル, 経鼻的肺感染モデルおよび尿路感染モデルにおいて, CEMT-PIは良好な治療効果を示した。
  • 渡辺 邦友, 加藤 直樹, 武藤 吉徳, 板東 香お里, 上野 一恵
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 32-40
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェムcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の活性体cefetamet (CEMT) の抗菌作用をcefaclor (CCL) とcefixime (CFIX) を比較薬剤として, 28種30菌株の参考菌株および最近の臨床分離株274株の合計304株の嫌気性菌 (一部通性嫌気性菌を含む) を用いて検討した。寒天平板希釈法により求めたMICで比較したところ, CEMTはBacteroides fragilis 2株のうちβ-lactamase産生能の強いB. fragilis GAI 0558, Bacteroides ovatus, Bacteroidesthetaiotaomicronなど一部のBacteroidesEubaoterium lentumおよびClostridium perfringens, Clostridium septicum, Clostridium difficileClostridium3種4菌株に対しMICが50μg/ml以上と抗菌力が劣ったが, その他の嫌気性菌全般には良好な抗菌力を示し, そのスペクトラムはCFIX, CCLと類似した。しかしCEMTはB. fragilisの産生するβ-lactamaseに対してCCLよりかなり安定であった。CEMTの臨床分離のB. fragilisに対する成績はCCLより優れ, CFIXに匹敵するものであった。またCEMTは臨床分離のPeptostreptococcus magnusPeptostreptococcus asaccharolyticusに対してもCFIX, CCLより優れた抗菌作用を示した。CEMTのGardnerella vaginalis に対するMICは0.78から200μg/mlに分布し, CCLとほぼ同等の分布であった。またmobiluncus spp.に対するMICは0.39から6.25μg/mlに分布した。CEMT-PIのマウス経口投与 (100mg/kg, 1日1回5日間投与) 中止直後にマウス腸管内の C. difficileの異常増殖が認められた。
  • 西野 武志, 波多野 和男, 岩尾 英治, 大槻 雅子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 41-52
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet (CEMT) のプロドラッグであるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) のin vitroおよびin vivo抗菌作用についてamoxicillin (AMPC), cefaclor (CCL), cefuroxime (CXM), cefixime (CFIX) およびcefpodoxime (CPDX) を比較薬としてin vitroはCEMT, in vivoはCEMT-PIを用いて検討した。CEMTはグラム陽性菌およびグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有し, グラム陽性菌に対する抗菌力はCFIXと同様で, Staphylococcus aureusに対する抗菌力は弱いが, Streptocoocus属には良好な感受性を示した。グラム陰性菌にはCFIXやCPDXと同様の抗菌力を示し, AMPC, CCL, CXMに比べ優れていた。しかし, Pseudomonas aeruginosaにはすべての薬剤が抗菌力を示さなかった。臨床分離株に対する感受性でも同様の結果が得られた。CEMTは使用したいずれの菌種に対しても薬剤濃度に応じた殺菌作用を示した。位相差顕微鏡によりCEMTのSerratia marcescensに対する形態変化を観察したところ, 0.025μg/mlの濃度でfilamentの形成が, また0.78μg/ml以上の濃度でspheroplast様構造や溶菌像が観察された。マウス実験的腹腔内感染症に対するCEMT-PIの治療効果はStreptococcus pyogenesに対してはcefpodoxime proxetil (CPDX-PR;CPDXのプロドラッグ) とCFIXの中間的な効果を示した。Escherichia coli 2株, Klebsiella pneumoniaeに対してはCPDX-PRやCFIXに次ぐ治療効果を示し, CCLやcefuroxime axetil (CXM-AX; CXMのプロドラッグ) より優れていた。また, K. pneumoniaeを用いたマウスでの実験的呼吸器感染症に対してもCEMT-PIはCCLやCXM-AXに比べ良好な治療効果を示した。
  • 関根 譲, 須藤 ユリ, 櫻井 千寿子, 有沢 幹雄
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 53-61
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet (CEMT) はStaphylococcus aureus, Entmcoccus faecalis, ブドウ糖非醗酵菌およびPeptococcus variabilisを除くグラム陽性および陰性菌に対し強い抗菌活性を示した。対照薬剤との比較ではStaphylococcus属, グラム陽性嫌気性菌を除く全被検菌種に対し本剤はcefaclor (CCL), cephalexin (CEX) より, またcefixime (CFIX), cefteram (CFTM) との比較では, 本剤はStreptococcus pyogenesに対しCFIXより優れた強い抗菌活性を有していた。Streptococcus pneumoniae, Streptococcus agalactiae, Haemophilus influenzaeに対して本剤はCFIXと同等ないしやや弱く, Branhamella catarrhalis, Escherichia coli, Klebsiella属, Serratia marcescens, Proteus属に対してはCFTMと同等, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundiiに対してはCFIX, CFTMと同等といずれも強い抗菌活性を有していた。Morganella morganiiに対する本剤の抗菌力はCFIX, CFTMより劣り, Pseudomoms cepaciaではCFIXと共に中等度, 嫌気性菌ではCFIXと同程度の抗菌活性を示した。CEMTの抗菌活性はCFIX同様一部の試験菌株で培地pH, 接種菌量の影響を若干受けたが, 培地の種類, 馬血清添加による影響はほとんどみられなかった。E. coli, Klebsiella pneumoniae, Providencia rettgeriを用いて菌の形態におよぼすCEMTの影響を調べた結果, 低濃度ではフィラメント細胞が, 高濃度ではスフェロプラストおよび溶菌が優位に認められた。CEMTの殺菌力をMBC/MIC比で検討した結果, グラム陽性および陰性菌に対し本剤は強い殺菌力を示した。この殺菌力は血清補体を添加した場合増強され, 本剤1/2MICで, 補体存在下で強い殺菌作用が認められた。
  • 村山 雅庸, 中島 光好, 植松 俊彦, 水野 淳宏, 鈴木 孝幸, 嶋田 寿男, 辻井 敦
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 62-69
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人男子志願者6名を対象にcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の臨床第1相試験を行い, 本剤の安全性の確認および体内動態の検討を行った。250mg, 500mg食後経口投与ならびに500mg空腹時投与試験において本剤投与によると考えられる自覚所見, 他覚所見および心電図, 血圧, 心拍数, 呼吸数等の一般症状, 臨床検査値に異常は認められなかった。250mg, 500mg食後経口投与時の血漿中濃度はいずれも投与後速やかに上昇し, 血漿中濃度ピーク到達時間 (Tmax), 最高血漿中濃度 (Cmax), 血漿中濃度半減期 (T1/2), 血漿中濃度曲線下面積 (AUC) はそれぞれ2.31, 2.47時間, 3.99, 6.06μg/ml, 1.47, 1.56時間, 18.9, 33.1μg・h/mlであり, 投与後24時間までの尿中排泄率はそれぞれ59.7%, 56.6%であった。500mg空腹時経口投与時のTmaxは2.12時間, Cmaxは4.99μg/ml, T1/2は1.79時間, AUCは26.2μg・h/ml, 投与後24時間までの尿中排泄率は38.5%であった。空腹時投与に比し, 食後投与時はTmaxが遅れ, Cmax, AUCおよび尿中排泄率が高値を示したことから, 本剤CEMT-PIは食後投与時の方が空腹時投与より吸収が良好であることが確認された。
  • 中島 光好, 植松 俊彦, 金丸 光隆, 鈴木 孝幸, 嶋田 寿男, 辻井 敦
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 70-81
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健常成人男子被験者を対象とし, 新経口用エステル型セファロスポリン剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の臨床第1相試験を実施し, 本剤の安全性と体内薬物動態を検討した。先に検討されたCEMT-PIの250mgと500mgの食後単回投与試験および500mg空腹時単回投与試験の成績を考慮し, 1,000mgの食後単回投与試験および1回500mg 1日3回 (食後) 7日間 (計19回) の連続投与試験を行った。安全性に関しては, 連続投与試験において4日目に2名に軟便が出現した以外, 理学的検査・臨床検査に異常を認めなかった。2名とも特に処置を施すことなく, 服薬中あるいは服薬終了翌日に症状は軽快した。1,000mg食後単回投与時の血漿中濃度のピーク到達時間 (Tmax) は3.58時間, 最高血漿中濃度 (Cmax) は7.40μg/ml, 血漿中濃度曲線下面積 (AUC) は54.6μg・h/mlおよび血漿中濃度半減期 (T1/2) は2.09時間であった。また, 尿中排泄は投与後24時間までに47.2%が排泄された。連続投与試験では最終投与後の体内薬物動態は単回投与時と酷似しており, 蓄積性はないものと考えられた。また, 腸内細菌叢におよぼす影響を検討したが, 好気性菌に対してはEscherichia coli, Klebsiella sp., Enterobacter cloacae等が減少し, 嫌気性菌に対しては総菌量の減少が認められたが, いずれも投与終了後速やかに回復した。以上の結果より, 本剤は臨床第2相試験に移行しても差し支えないと判断した。
  • 齋藤 玲
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 82-88
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) は新経口用セフェム系抗生物質で, 内服後エステラーゼにより加水分解され抗菌活性を示すcefetamet (CEMT) に代謝されるプロドラッグである。CEMT-PIの吸収・排泄に及ぼす食事の影響について, 6名の健康成人男子volunteerにCEMT-PI500mg (CEMTとして388mg力価) を空腹時および食後経口投与し比較検討した。血中濃度の推移よりみた薬動力学的パラメーターではCmaxは空腹時6.1μg/ml, 食後6.5μg/mlで, Tmaxはそれぞれ2.2, 2.8時間, T1/2はそれぞれ1.8, 1.9時間, AUCはそれぞれ32.5, 41.5μg・h/mlであり, 食後投与のAUCが有意に大きいことが示された。尿中排泄は本剤投与後12時間までに空腹時55.2%, 食後64.8%であり, AUCに比例する結果であり, 本剤は空腹時, 食後とも良好な吸収・排泄を示したが, 食後投与した場合により吸収がよくなることが示唆された。
  • 稲松 孝思, 深山 牧子, 中島 敏晶, 増田 義重
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 89-93
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の高齢者における体内動態を検討した。明らかな肝障害, 腎障害のない歩行可能な老人4名 (平均79.5歳, 平均体重46.8kg), 寝たきり老人4名 (平均83.5歳, 平均体重37.5kg) に本剤500mgを食後投与し, 血中濃度, 尿中濃度を測定した。血中濃度推移は個体差が大きく, 特に食道狭窄の見られた1例では著しい吸収の遅延が見られた。臨床第1相試験における若年ボランティアの成績と比較すると, 高齢者では血中濃度の立ち上がりが遅く, 持続は長い。また8時間目までの尿中回収率はやや低いが, 24時間までの回収率は若年ボランティアと大差なかった。以上の傾向は歩行可能な老人群より寝たきり老人群で著明であった。高齢者において, 本剤は消化管内移送時間の遅れによる吸収の開始の遅延が見られるものの, 吸収は良好であり, 高齢者における本剤の投与方法は500mg 1日2回が標準と思われる。
  • 森鼻 健史, 内藤 博之
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 94-99
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の口腔領域急性歯性感染症に対する有用性を体内動態の面より検討した。CEMT-PI20mg/kgをNZW家兎に経管投与し, 舌, 歯肉, 顎下腺, 耳下腺, リンパ腺, 下顎骨, 肝臓および腎臓への移行を検討した。Cmax (μg/ml or g) では口腔組織は1.37 (下顎骨) ~4.84 (歯肉), 血清: 8.29, 肝臓: 4.70, 腎臓: 22.42でAUC (μg・h/mlor g) では4.03 (下顎骨) ~12.54 (歯肉), 血清: 16.19, 肝臓: 9.17, 腎臓: 43.77であった。健常人ボランティア11名におけるCEMT-PI 500mg経口投与時の血中濃度のCmax (μg/ml) およびAUC (μg・h/ml) は空腹投与時: 4.18±0.35, 28.26±2.27, 食後投与時: 5.68±0.60, 33.96±2.27と食後投与で良好な移行がみられた。抜歯創移行は158例検討し, Oral streptococciに対するMIC90である3.13μg/mlを越える例は投与後2~6時間で平均36.6%であった。
  • 齋藤 玲, 富澤 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 100-105
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) は新経口用エステル型セフェム系抗生物質である。臨床分離株7菌種172株に対する抗菌力を他の経口セフェム剤と比較検討した。対照薬としてcefaclor (CCL), cefteram (CFTM), cefixime (CFIX) を用いた。本剤はEscherichia coliおよびKlebsiella pueumouiaeに対してはMIC90で3.13μg/mlと良い抗菌力を示した。StaphylococcusaureusではMIC50は25μg/mlであった。Morganella morganii, Proteus mirabilisおよびSerratia marcescensに対しては幅広いrangeを示した。Pseudomonas aeruginosaには耐性であった。対照薬との比較では, S. aureusに対してはCCL, CFIXとほぼ同等でCFTMに比べ優れ, グラム陰性桿菌に対してはCFIX, CFTMとほぼ同等で, CCLに比べ優れた抗菌力を示した。24例の感染症患者 (急性気管支炎6例, 性気管支炎1例, 扁桃炎4例, 咽頭炎1例, 膀胱炎12例) に, CEMT-PI1日250mgないし500mgを2回, 1~12日間投与し臨床効果を検討し, 著効11例, 有効12例, 臨床効果判定不能症例1例で有効率は100%であった。原因菌として19例より7菌種21菌株が分離され全菌株除菌された。副作用は胃痛1例と胃部不快感および食欲不振が1例の2例にみられたが臨床検査値異常は認められなかった。
  • 青沼 清一, 大泉 耕太郎, 渡辺 彰, 本田 芳宏, 徳江 豊, 北村 直人, 庄司 聡, 本宮 雅吉, 今野 淳, 長井 弘策
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 106-109
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用セファロスポリン剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の抗菌活性体cefetamet (CEMT) について, 臨床分離病原細菌6菌種120株に対する抗菌力をDynatech MIC 2000 systemを用いた液体培地希釈法により検討した。また, CEMT-PIを呼吸器感染症8例に1回250mgまたは500mgを1日2回, 3~8日間投与して, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。Staphylococcus aureusに対するCEMTのMIC分布のピークは100μg/mlにありcefixime (CFIX) より2段階, cefaclor (CCL) より4段階劣っていた。Escherichia coliに対しては0.39μg/mlにピークを有しCFIXよりやや劣るがCCLよりはるかに優れていた。Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescensに対してはCFIXより劣るがCCLより優れていた。Enterobacter cloacaeに対してはCFIXと同等で, Pseudomonas aeruginosaに対してはほとんど抗菌力を示さなかった。呼吸器感染症8例に対する臨床効果は急性咽頭炎2例中有効1例, やや有効1例, 急性気管支炎1例は有効, 陳旧性肺結核の感染性急性増悪2例は有効, 肺炎3例は有効であった。本剤投与前の喀痰からStreptococcus pneumoniae 2株が分離され, 1株は消失したが1株は不変であった。本剤投与によると思われる副作用として1例にふらふら感がみられたが, 臨床検査値の異常化は1例もみられなかった。
  • 吉田 正樹, 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 柴 孝也, 加地 正伸, 酒井 紀, 上田 泰
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 110-115
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セファロスポリン剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1) 健康成人男性志願者6名を対象にCEMT-PI単独内服時, probenecid併用時およびcefixime (CFIX) 単独内服時の血中濃度および尿中排泄の経時的推移をcross-over法により比較検討した。CEMT-PI単独内服では, 血中半減期は1.9時間, 最高血中濃度は3.0μg/ml, 最高血中濃度到達時間は3.0時間, 血中濃度曲線下面積は20.5μg・h/mlであり, CFIXに比べ最高血中濃度到達時間が短く, 早期に最高血中濃度に達するとともに, 最高血中濃度も高い。血中半減期は短く, 血中からの消失も早い。また, probenecid併用により, 最高血中濃度到達時間が延長し, 最高血中濃度も上昇し, 血中半減期も長くなった。CEMT-PIはCFIXに比べ, 尿中回収率が高く, 24時間後には57.8±2.0%でありprobenecid併用により尿中排泄の遅延が認められている。
    2) 呼吸器感染症3例, 尿路感染症4例, 計7例に対して, CEMT-PIを1日0.25~1.0gを2~16日間使用した。臨床効果は, 著効1例, 有効3例, やや有効1例, 不明2例であった。本剤使用中における副作用は全例に認められず, 使用前後での臨床検査成績では慢性肝炎を基礎疾患に有する症例において, トランスアミナーゼ値の上昇を認めたが本剤との関係は不明であった。
  • 島田 馨, 浦山 京子, 佐野 靖之, 宮本 康文, 稲松 孝思, 深山 牧子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 116-120
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    In vitro pharmacokinetic systemを用い, 各々250mg内服時のcefetamet (CEMT) とcefaclor (CCL) の体内動態にシミュレートさせて, Streptococcus pneumoniae II D533, Haemophilus influenzae II D984, Escherichia coli NIHJの生菌数の推移を検討した。12時間後の各菌種の生菌数はコントロールに対しCEMTでそれぞれ1/106, 1/103, 1/105, CCLで1/103, 1,102であった。呼吸器感染症17例と尿路感染症2例の計19例にcefetamet pivoxil (CEMT-PI) を投与し, 臨床効果を検討した。呼吸器感染症の有効率は, 急性咽頭炎1/1, 下気道感染症14/15 (93.3%), 肺炎1/1で, 呼吸器感染症全体では16/17 (94.1%) であった。尿路感染症の2例はいずれも有効であった。呼吸器感染症のうち9例で起炎菌が同定されたが, H. influenzaeは3例中2例およびS. pneumoniaeの2例とBranhamella catarrhalisの1例は除菌された。H. influenzaeの1例はPseudomonas aeruginosaに菌交代し, Staphylococcus aureusE. coli検出例にも菌交代がみられた。またP. aeruginosaMorganella morganiiは除菌されなかった。呼吸器感染症に対する投与量別臨床効果を見ると, 250mg 1日2回群は5/6,250mg 1日3回群は1/1,500mg 1日2回群は10/10であった。副作用としては軽度の腹部膨満感と中等度の下痢が各1例みられた。
  • 小林 芳夫, 内田 博, 小川 哲平, 矢野 尊啓
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 121-125
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセファロスポリン系抗生剤cefetamet (CEMT) のStreptococcus pyogenes, streptococcus agalactiae, Escherichia coliおよびKlebsiella pneumoniaeに対する抗菌力をcefixime (CFIX) およびcefaclor (CCL) と比較検討した。その結果, 本剤はこれら全ての菌種に対しCCLより優れた抗菌力を示した。また, S. pyogenesに対してはCFIXよりその抗菌力は優れていたが, 他の3菌種に対してはCFIXに劣る抗菌力であった。本剤のprodrugであるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) を投与した16例中14例で, その臨床効果を検討し得た。9例の急性咽頭炎患者は全例有効以上, 急性気管支炎2例, 頸部リンパ節炎および肺炎の各1例ならびに急性膀胱炎の1例も全て有効以上であった。特記すべき副作用および臨床検査値の変動は認めなかった。
  • 松本 文夫, 桜井 磐, 今井 健郎, 北條 敏夫, 高橋 孝行, 国分 勝弥, 田浦 勇二, 森田 雅之
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 126-132
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム系抗生剤であるcefetamet pivoxil・(CEMT-PI) について, 抗菌力, 吸収・排泄, 臨床効果を検討したところ, 以下のごとき成績を得た。
    1) 抗菌力: 臨床分離Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対するcefetamet (CEMT) の抗菌力を測定したところ, S. aureusは>100μg/ml, S. pyogenesは≦0.1μg/ml, E. coliは0.78μg/ml, K. pneumoniaeは0.2μg/ml, P. mirabilisは0.2μg/mlがMIC80~90値であった。
    2) 吸収・排泄: 高齢者の腎機能障害2例にCEMT-PI500mgを空腹時1回経口使用したときの血漿中濃度, 尿中濃度を測定した。最高血漿中濃度 (Cmax) は平均5.41μg/mlで, 平均血漿中半減期 (T1/2) は3.90時間であった。本剤使用10時間までの尿中回収率は16.4~29.7%であった。
    3) 臨床成績: CEMT-PIを急性扁桃炎1例, 急性咽頭炎4例, 急性気管支炎6例, 慢性気管支炎3例, 急性腎孟腎炎1例, 急性膀胱炎4例の計19例に1回250mgないし500mg 1日2回食後に使用した。臨床効果は, めまいまたは発疹のため使用中止した2例を除く17例では, 急性扁桃炎, 急性咽頭炎, 急性気管支炎, 慢性気管支炎, 急性腎孟腎炎の全例および急性膀胱炎では4例中3例の計16例に有効の結果を得た。副作用は2例にめまいまたは発疹が認められたが, 使用中止によりいずれも消失した。本剤による臨床検査値の異常は認められなかった。
  • 青木 信樹, 薄田 芳丸, 甲田 豊, 関根 理, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 本間 千鶴子, 渡辺 京子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 133-142
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種腎機能障害患者にcefetamet pivoxil (CEMT-PI) 250mg (194mg力価) を朝食後36分に経口投与した際の血中濃度と尿中回収率を測定した。血中濃度のpeakは腎機能障害が高度になるにつれ遅延し, かつ高値を示した。血中濃度の低下も腎機能障害が高度になるに伴い遅延し, 高度障害例で極めて緩徐となった。血中濃度半減期がそれを裏付けており, 腎機能軽度障害群で2.47時間, 中等度障害群で4.83時間, 高度障害群で6.79時間, 透析導入群で15.21時間であった。尿中回収率も腎機能低下に伴い減少する傾向を示し, 高度障害群で顕著であった。呼吸器感染症23例に使用し, 有効20例, やや有効1例, 無効2例, 有効率87.0%の結果を得た。副作用は臨床的には特にみられず, 検査成績上1例で好中球減少を認めたが, 軽度なもので内服終了後まもなく正常化した。
  • 林 嘉光, 加藤 政仁, 松浦 徹, 武内 俊彦, 花木 英和, 伊藤 剛, 黒木 秀明
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 143-148
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について基礎的, 臨床的に検討した。
    1) 抗菌力: 臨床検体から分離した細菌に対するcefetamet (CEMT) のMICを測定し, cefixime (CFIX) と比較検討した。Staphylococcus aureusに対してはCFIXより1~2階程度劣っていた。Escherichia coliではCFIXと同等の抗菌力であった。Klebsiella pneumoniaeではCFIXより1~2段階程度劣っていた。Proteus mirabilisでは幅広く分布し, CFIXより劣っていた。Proteus vulgarisではCFIXより4段階程度劣っていた。Morganella morganiiではCFIXより4~5段階程度劣っていた。Serratia marcescensではCFIXより3~4段階程度劣っていた。Pseudomonas aeruginosaではCFIXと同様に抗菌力を認めなかった。
    2) 臨床的検討: 急性気管支炎1例, 慢性気道感染症の急性増悪6例, 肺炎8例の計15例に投与した。年齢は33~78歳, 1日投与量は0.75~1.0g, 投与日数は3~18日であった。臨床効果は著効2例, 有効9例, やや有効1例, 無効3例で有効率は73.3%であった。細菌学的効果はHaemophilus influenzaeの2株が消失し, Stnptococcus pneumoniaeの1株が減少, P. aeruginosaの1株が減少, 1株が不変であった。副作用はなく, 臨床検査値異常は1例にGOT, GPTの上昇, 1例で好酸球の上昇がみられたが投与終了後正常となった。1例で間接クームステストが陽性となり, 本剤に関係していると判断した。
  • 沖本 二郎, 副島 林造, 二木 芳人, 日野 二郎, 角 優, 中川 義久
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 149-153
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム系抗生物質cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について, 細菌学的および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1) Cefetamet (CEMT) のEscherichia coli, Klebsiella sp., Enterobacter cloacae, Serratiamrcescens, Proteus mirabilisおよびProteus vulgarisに対するMICは0.025~3.13μg/mlにみられ, いずれもcefaclor (CCL) に勝る成績であった。しかしStaphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosaに対するMICは高値を示した。
    2) 呼吸器感染症17例を対象に, CEMT-PIを使用した結果, 臨床効果は著効1例, 有効9例, やや有効4例, 無効3例で有効率は58.8%であった。副作用は1例に嘔気がみられたが, 臨床検査値に著明な異常を認めた症例はなかった。
  • 栗村 統, 佐々木 英夫, 福原 弘文, 甲田 徹三, 野崎 公敏, 石本 三洋, 古居 順, 土井 秀之, 河野 通子, 下中 秋子, 近 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 154-162
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新たに開発されたcephem系抗生剤であるcefetamet (CEMT) の抗菌力と, そのprodrugであるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の臨床効果について検討した。臨床分離保存株30菌種, 445株についてCEMTのMICを測定し, cephalexin (CEX), cefteram (CFTM), cefixime (CFIX), cefazolin (CEZ) およびcefotaxime (CTX) のMICと比較検討した。グラム陽性菌: Staphylococcus sp.に対してはCEZの抗菌力が最も強く, CEMTの抗菌力は最も劣った。Streptococcus sp.に対する抗菌力はCFTMが最も強く, CEMTの抗菌力はCEXより優れていたが, 他の3剤より劣っていた。グラム陰性菌: 腸内細菌科に属する菌種に対するCEMTの抗菌力は一般的に強かった。しかしProteus vulgaris, Morganella morganiiに対する抗菌力はCFIXより3管ないし5管劣った。Haemophilus influenzaeに対してCEMTのMICのピークは0.2μg/mlと優れていたが, CFTM, CFIX, CTXより劣った。Pseudomonas cepaciaに対する抗菌力はCEMTが最も優れ, MICのピークは3.13μg/mlであった。Acinetobacter calcoaceticus, Flavobacterium sp., Pseudomonas aeruginosa, Xanthomonas maltophiliaに対する抗菌力は弱かった。肺炎6例, 慢性気管支炎3例, 急性上気道炎2例に対しCEMT-PIを250mgまたは500mg1日2回経口的に投与した。投与日数は7日から14日にわたる。肺炎4例, 慢性気管支炎2例, 急性上気道炎2例に有効以上であった。分離されたStreptococcus pneumoniae 2株中1株, H. influenzae株は除菌された。副作用は認められなかったが, 急性上気道炎の1例にGOT, GPT, γ-GTP値の上昇がみられた。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 熊谷 幸雄, 石丸 敏之, 高木 宏治, 下野 信行, 三角 博康, 仁保 喜之
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 163-169
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたprodrug型の経口用セファロスポリン系抗生物質であるcefetametpivoxil (CEMT-PI) について基礎的, 臨床的検討を行った。Cefetamet (CEMT) の臨床分離菌に対する抗菌力をMIC50でみると, Staphylococcus aureus 50, Enterococcus faecalis>100, Escherichia coli 0.78, Klebsiella pneumoniae 0.39, Enterobacter cloacae 6.25, Enterobacter aerogenes 0.78, Serratia marcescens 1.56, Proteus mirabilis 0.20, Proteus vulgaris 1.56, Citrobacter spp.3.13, Pseudomonas aemginosa>100μg/mlであった。MIC90ではE. coli, K. pneumoniaeの1.56μg/ml以外は12.5~100μg/ml以上であった。この抗菌力はグラム陰性菌ではcephalexin, cefaclorにないものであったが, cefixime, cefteramにはやや劣るものであった。肺炎4例, 気管支炎3例, 扁桃炎3例, 咽頭炎3例, 歯肉膿瘍1例, 膀胱炎1例の計15例に, CEMT-PIを1日0.5~1.0g, 3~26日間使用したところ, 著効4例, 有効6例, やや有効1例, 無効2例, 判定不能2例で, 有効率は76.9%であった。細菌学的効果は起炎菌の明らかにできた9例のうち5例で菌消失がみられた。副作用として胸やけ, 上腹部痛, 腹部膨満感が3例, 20%に認められ, 臨床検査値異常として好酸球増加が2例, GOT, GPT, AL-P, γ-GTPの上昇が1例の計20%に認められた。
  • 安岡 彰他
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 170-178
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床分離株16菌種567株について, cephalexin (CEX), cefaclor (CCL), cefixime (CFIX), cefteram (T-2525, CFTM), amoxicillin (AMPC) および本剤のMICを測定した。その結果, グラム陽性菌ではStaphylococcus aureusには抗菌性を示さなかったが, Streptococcus属に対しては他剤と同等か良好な抗菌力を示した。緑膿菌を除くグラム陰性桿菌に対しても広く抗菌力を有し, CFTM, CFIXとほぼ同等のMICであった。
    2.血中ならびに喀痰中移行: 2名の慢性気道感染症患者にCEMT-PI 500mgを食後1回投与した後, 血中および喀痰中の移行を検討した。血中濃度のピーク値は6.67μg/ml, 9.31μg/mlであり, 喀痰中濃度のピークは0.29μg/ml, 0.62μg/mlであった。
    3.臨床効果および副作用: 呼吸器感染症15例 (慢性気管支炎1例, びまん性汎細気管支炎3例, 気管支拡張症2例, 肺嚢胞感染1例, 肺炎7例, 急性扁桃炎1例) に本剤を投与した際の有効率は73.3%であった。副作用は口渇感1例, 発疹2例の3例 (20%) に認められ, 臨床検査値異常は好酸球増多1例, GPT軽度上昇1例の2例 (13.3%) に認められた。
  • 田中 宏史, 松本 慶蔵, 田尾 操, 渡辺 貴和雄
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 179-184
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) は, 内服後, 速やかに抗菌活性を有するcefetamet (CEMT) に代謝されるprodrugの経口セファロスポリンである。本剤の呼吸器感染症における臨床的有用性および起炎菌に対するin vitroでのMICについて検討を行った。各種臨床分離株に対するMIC90Streptococcus pneumoniae 50株で0.78μg/ml, Haemophilus influenzae 43株で0.39μg/ml, Branhamella catarrhalis 49株で1.56μg/mlであったが, Staphylo coccus aureus 47株, Pseudomonas aeruginosa 42株ではいずれも100μg/ml以上と高値であった。本剤の血中への移行は500mg投与1症例で, 初回投与後ピーク値3.68μg/mlであったが, 喀痰中濃度は測定感度以下であった。呼吸器感染症10例 (13感染エピソード) に使用した。全体の有効率は76.9%で, 慢性気管支炎12例中9例, 肺炎1例に有効であった。起炎菌は13感染中12感染で明らかであり, 14株が分離された。H. influenzae 7株とB. catarrhalis 2株はすべて, S. pneumoniae 4株中3株は除菌されたが, P. aeruginosa 1株は除菌されなかった。1症例で投与後S. pneumoniaeが新たに出現した。
  • 後藤 純, 生田 真澄, 重野 秀明, 田代 隆良, 那須 勝, 宮子 博, 中島 真由美, 明石 光伸
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 185-192
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口エステル型セフェム系抗生物質cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について, 臨床分離菌に対する抗菌力, ヒトに投与した際の血中濃度・喀痰中濃度の推移, 呼吸器感染症に対する有用性を検討し, 以下の成績を得た。
    1) 抗菌力: 臨床材料から分離した26菌種918株について最小発育阻止濃度を測定し, cefaclor (CCL), cefixime (CFIX), cefteram (CFTM) の抗菌力と比較した。グラム陽性球菌では他剤と同等か, やや劣った抗菌力を示した。グラム陰性桿菌では腸内細菌群に対してCFIX, CFTMとほぼ同等であったが, ブドウ糖非発酵菌のうちPseudomonas cepaciaに対してはcefetamet (CEMT) が最も優れた抗菌力を示した。
    2) 血中濃度および喀痰中濃度: 慢性気管支炎2例, 気管支拡張症1例にCEMT-PI 500mgを投与した際の濃度を経時的に測定した。血中濃度のCmaxは投与後2~3時間目に5.4~6.2μg/mlが得られ, 8時間後にも2.1~2.6μg/mlの濃度であった。喀痰中濃度のCmaxは4~7時間目に, 0.36~0.68μg/mlが得られ, 最高血中濃度に対する最高喀痰内濃度比率は5.9~10.8%であった。
    3) 呼吸器感染症における臨床成績: 急性気管支炎2例, びまん性汎細気管支炎1例, 慢性気管支炎6例にCEMT-PI 1回250mg~500mgを1日2回, 7~10日間投与した。著効1例, 有効4例, やや有効3例, 無効1例であった。CEMT-PI投与により臨床検査値に異常や副作用は認められなかった。
  • 伊良部 勇栄, 普久原 浩, 中村 浩明, 兼島 洋, 下地 克佳, 橘川 桂三, 重野 芳輝, 斎藤 厚, 平良 真幸, 仲宗根 勇, 草 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 193-197
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の呼吸器感染症に対する臨床的検討と細菌学的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) 基礎的検討: Cefetamet (CEMT) において13菌種338株についてcefteram (CFTM), cefixime (CFIX), cefaclor (CCL), cefotiam (CTM), ampicillin (ABPC) と抗菌力を比較した。CEMTの抗菌力はCFTM, CFIX, CTMとほぼ同様であった。
    2) 臨床的検討: 呼吸器感染症10例に対して, CEMT-PIの臨床的検討を行った。その内訳は細菌性肺炎2例, 慢性気管支炎+肺炎2例, 慢性気管支炎5例, び慢性汎細気管支炎 (DPB) 例であった。10例における臨床効果は著効2例, 有効6例, やや有効1例, 無効1例であり, 有効率は80%であった。細菌学的効果については, 5例が判定可能であった。Haemophilus influenzae 1株は消失したが, 1株は出現した。Pseudomonas aemgimsaの1株が出現した。Klebsiella pneumoniaeの1株は除菌されたが, 菌交代をおこしProteus vulgarisが出現した。Streptococcus pneumoniaeの1株は不変であった。全症例において副作用はみられなかった。臨床検査値においても有意な変化はみられなかった。
  • 松本 文夫他
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 198-209
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) について, 呼吸器感染症に対する臨床用量設定試験を多施設共同研究により実施した。慢性気管支炎の急性増悪症を対象として, CEMT-PIの1日投与量は500mg (分2), 750 mg (分3) および1,000mg (分2) の3群とし, 封筒法により比較検討したところ, 委員会判定では以下の成績を得た。
    1) 有効率は500mg群61.8%(21/34), 750mg群67.6%(23/34), 1,000mg群72.7%(24/33) であり, 3群間に有意の差は認められなかった。
    2) 細菌学的効果は500mg群81.3%(13/16), 750mg群78.6%(11/14), 1,000mg群66.7%(8/12) の消失率であり, 3群間に有意の差は認められなかった。なお, 起炎菌がStaphylococcus aureusおよびPseudomonas aeruginosaである症例を除くと, 菌の消失をみた症例数はおのおの13例中11例, 12例中10例, 8例中7例であり, 3群間に有意の差は認められなかった。
    3) 副作用は消化器症状が主で, 特に重篤なものはなく, 発現率は500 mg群11.1%(4/36), 750 mg群2.8%(1/36), 1,000mg群2.7%(1/37) であり, 3群間に有意の差は認められなかった。
    4) 有用性については, 500mg群61.8%(21/34), 750mg群67.6%(23/34), 1,000mg群72.7%(24/33) の有用率であり, 3群間に有意の差は認められなかった。
    以上の結果より, CEMT-PIの慢性気管支炎の急性増悪症に対する投与量は, 安全性に問題なく, 臨床的に最も有効率が高値であった1日1,000 mg朝. 夕分2が妥当と考えられた。
  • 山口 康宏, 熊本 悦明, 廣瀬 崇興, 三熊 直人
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 210-221
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用エステル型セフェム系抗生剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) について基礎的・臨床的検討を行った。
    1) 基礎的検討: 教室保存の尿分離菌 (11菌種) に対するCEMT-PIの活性代謝物であるcefetamet (CEMT), cefixime (CFIX), cefteram (CFTM), cefaclor (CCL), cefuroxime (CXM) およびampicillin (ABPC) のMICをMIC 2000 systemを用いて測定し (接種菌量: 105 CFU/ml), 比較検討した。MIC90値でみるとEscherichia coli 0.78μg/ml, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisはいずれも0.20μg/mlとCFIX, CFTMとほぼ同等でCCL, CXM, ABPCより優れた成績であった。しかし, Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter spp.に対するMIC 90値はいずれも100μg/ml以上であった。
    2) 臨床的検討: 急性単純性膀胱炎8例に対し1回250 mgを1日1回または2回, 3~7日間投与した。そのうち, UTI薬効評価基準の患者条件に合致した症例は6例で3日目に全例著効であった。細菌学的には3日目で6株 (E. coli 5株, coagulase negative Staphylococcus CNS) 1株) すべてが消失した。複雑性尿路感染症21例に対し1回500 mgを1日2回, 10日間投与した。5日目に評価可能な18例中著効10例, 有効7例, 無効1例で総合有効率は94.4であった。細菌学的には5日目で18例24株中20株 (83.3%) が消失し, 投与後出現菌として8例に11株が認められた。自他覚的副作用および臨床検査値異常は本剤を投与した29例中, 胃部不快感, 頭痛・嘔吐が各1例, GOT・GPT上昇2例, GPT上昇1例, WBC減少1例が認められた。
  • 後藤 博一, 小野寺 昭一, 清田 浩, 川原 元, 遠藤 勝久, 五十嵐 宏, 細部 高英, 町田 豊平
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 222-227
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン系抗生物質であるcefetame tpivoxil (CEMT-PI) の尿路感染症分離菌に対する抗菌力について検討し, さらに13例の尿路感染症患者に本剤を投与しその臨床効果および安全性について検討した。
    1) 抗菌力; 尿路由来の臨床分離株のうちEnterococcus faecalis 30株, Escherichia coli 27株, Klebsiella pneumoniae 37株, Serratia marcescens 43株, Pseudomonas aeruginosa 34株について本剤のMICを測定し, cefteram (CFTM), cefpodoxime (CPDX) およびcefaclor (CCL) の抗菌力と比較検討した。E. coliでは23株が0.1~3.13μg/mlに分布しておりMIC 50は0.39μg/mlであった。K. pneumoniaeでは34株が0.1~0.78μg/mlに分布しておりMIC 50は0.2μg/mlであった。これらの成績はCFTM, CPDXとほぼ同等の良好な抗菌力であり, CCLよりも数管優れていた。E. faecalis, S. marcescens, P. aeruginosaでは感受性株が数株認められたが, 他の3剤同様ほとんどが耐性株であった。
    2) 臨床的検討; UTI薬効評価基準に合致した急性単純性膀胱炎9例の総合臨床効果は著効4例, 有効5例であった。慢性複雑性膀胱炎3例では著効, 有効, 無効いずれも1例ずつであった。細菌学的効果は単純性, 複雑性UTIより双方合わせ13株中12株が消失し, 菌消失率92.3%であった。安全性に関しては臨床検査値の異常として1例においてGOT, GPTの上昇が認められた。自他覚的副作用は全例とも認められなかった。
  • 兼松 稔, 山羽 正義, 小口 健一, 加藤 はる, 林 秀治, 篠田 育男, 石原 哲, 小林 克寿, 斎藤 昭弘, 坂 義人, 河田 幸 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 228-239
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    日本ロシュ社で開発された経口用セフェム系薬剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) は経口投与ではほとんど吸収されないcefetamet (CEMT) のpro-drugで, 腸管内で脱エステル化され, CEMTとして体内に吸収され抗菌力を発揮する。尿路感染症に対するその有用性を検討する目的で, 基礎的ならびに臨床的検討を行った。
    1) 当教室保存の標準株および複雑性尿路感染症由来の各種臨床分離株に対するCEMTの抗菌力をcefaclor (CCL), cefixime (CFIX), ampicillin (ABPC) を対照薬として測定した。グラム陽性球菌に対する抗菌力はABPCが最も優れ, CEMTは他の経口セフェム剤よりも劣っていた。グラム陰性桿菌に対しては, ABPCやCCLよりはるかに優れ, CFIXとほぼ同等の優れた抗菌力を示した。
    2) 単純性尿路感染症13例と複雑性尿路感染症42例にCEMT-PIを経口投与し, 薬剤の治療効果と安全性とを検討した。薬効評価の可能な例についてその有効率をみると, 単純性尿路感染症では100%, 複雑性尿路感染症では58%であった。複雑性尿路感染症の成績が比較的低かった理由の1つは, 無効例にPseudomonas aeruginosaが関係した症例が多かったことによるが, Citrobacter freundii, Serratia marcescens, Morganella morganiiといった菌種の細菌消失率も低値であった。CEMT-PI服用後嘔吐をきたした症例を1例認めたが, 本剤との関係は薄いと思われた。血液生化学的検査の異常としてGOT, GPTビリルビン値の軽度上昇を3例に認めた。以上の検討から, CEMT-PIは尿路感染症に対して, 有効かっ安全性の高い薬剤と思われる。
  • 柯 昭仁, 桑山 雅行, 山下 真寿男, 荒川 創一, 松本 修, 守殿 貞夫, 片岡 陳正, 梅津 敬一, 富岡 収, 藤井 明, 広岡 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 240-249
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の基礎的および臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1) 抗菌力: 尿路感染症分離グラム陽性菌2菌種およびグラム陰性菌8菌種に対する本剤およびcefteram (CFTM), cefixime (CFIX), cefaclor (CCL) のMIC分布を比較検討した。Proteus mirabilis, Klebsiella pneumoniaeに対する本剤のMICはCFTMとほぼ同等の良好な抗菌力を示したが, CFIXに比しやや劣っていた。Enterococcus faecalis, Pseudomonas aeruginosaに対しては全株が耐性を示した。
    2) 前立腺液 (PF) 移行: 健康成人男子6名に本剤500 mgを経口単回投与し, PF内濃度を測定した。PF内濃度 (平均値) は2, 3, 4時間後でそれぞれ<0.1~3.91μg/ml,<0.1~0.67 (0.38) μg/ml,<0.1~0.88 (0-41) μg/mlであり, 対血清比は3時間後で0.06, 4時間後で0.07であった。
    3) 臨床成績: 急性単純性膀胱炎21例, 急性精巣上体炎1例および複雑性尿路感染症28例に1回250~500 mg, 1日2回投与し臨床効果を検討した。主治医判定では急性単純性膀胱炎で有効率90%(19/21), 急性精巣上体炎の1例で著効, 複雑性尿路感染症で有効率64%(18/28) であった。UTI薬効評価基準による判定では急性単純性膀胱炎で有効率100%(10/10), 複雑性尿路感染症で67%(12/18) であった。細菌学的効果 (除菌率) は急性単純性膀胱炎で100%, 複雑性尿路感染症で81%であった。自他覚的副作用は全50例中1例に胃部不快感が認められたが軽微であり継続投与可能であった。臨床検査値の異常変動は1例にGOTとGPTの上昇が認められた。
  • 谷村 正信, 片岡 真一, 井上 啓史, 藤田 幸利
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 250-258
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) 尿路感染症より分離したStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidemidis, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Serratia marcescens, Klebsiella Pneumoniae, Pseudomonas aeruginosa, Proteus mirabilis, Proteus vulgarisに対する本剤ならびにcefixime (CFIX), cefaclor (CCL) のMICを測定した。グラム陽性菌では本剤, CFIXはCCLに比し, 耐性化傾向が認められたが, グラム陰性菌では本剤はCFIXに比し若干劣るものの, CCLに比し明らかに優れた抗菌力を示した。
    2) 健康成人3名に本剤500mgを空腹時および食後に内服させ, 8時間までの血中, 尿中濃度を測定した。血中濃度は空腹時, 食後共に2時間後にpeakを示し, 前者は5.82±1.40μg/ml, 後者は7.77±1.28μg/mlであった。尿中濃度は両者共に2~4時間にpeakを示し, 前者は1055.00±253.82μg/ml, 後者は916.67±390.04μg/mlであった。8時間までの尿中回収率は前者は44.43±9.06%, 後者は70.25±2.32%であった。
    3) 急性単純性膀胱炎9例, 慢性複雑性尿路感染症7例を対象に本剤1日500mgないしは1000mgを2回に分けて内服させ, その薬効をUTI薬効評価基準に従って検討した。除外, 脱落を除く急性単純性膀胱炎の5例では著効3例, 有効2例, 慢性複雑性尿路感染症5例では著効2例, 有効2例, 無効1例と優れた臨床効果を示した。
    4) 副作用では趾間の発赤・浮腫, transaminaseの上昇を伴う発熱を各1例認めた。
  • 松本 哲朗他
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 259-268
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を単純性および複雑性尿路感染症症例89例に投与し, 以下の結論を得た。
    1) 急性単純性膀胱炎では3日間投与で著効6例, 有効2例, 無効なしであった。5日間投与では, 著効3例, 有効2例, 無効1例であった。
    2) 急性単純性腎盂腎炎の1例は有効であった。
    3) 慢性複雑性尿路感染症に対しては, カテーテル非留置例で, 著効12例, 有効12例, 無効19例で, 総合有効率56%であった。細菌学的にはGPCに対して45%の菌消失率で, Staphylococcus sp., Enterococcus sp., が残存した。GNRに対して72%の菌消失率を示し, Pseudomonas aeruginosaが全株残存した。MIC 100μg/ml以下の菌はほとんど消失した。また, カテーテル留置例は4例全例無効であった。
    4) 安全性に関しては, 眠け, 悪啓, 腹部膨満感が1例ずつみられ, 2例が投与中止された。臨床検査値異常は6例, 12件にみられ, 血液像および肝機能異常であった。
    以上より, 本剤は急性単純性および慢性複雑性尿路感染症に対して, 一部の菌種を除いて有効であり, そのbreaking pointはMIC 100μg/ml以上にあり, 臨床的有用性が期待される。
  • 牧之瀬 信一, 島田 剛, 川原 元司, 川原 和也, 水間 良裕, 後藤 俊弘, 坂本 日朗, 大井 好忠, 永田 進一, 萱島 恒善, ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 269-277
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) について基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1) 抗菌力: 尿路感染症患者の尿中から分離されたStaphylococcus spp., Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsielld pneumoniae, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Proteus vulgaris, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa 各30株およびPzoteus mirabilis25株の計10菌種295株に対するcefetamet (CEMT) のMIC50はそれぞれ50,>100, 0.39,≦0.10, 0.78, 3.12, 0.78, 50,>100,≦0.10μg/mlであり, MIC90はそれぞれ>100, の>100, 0.78, 0.39,>100,>100, 6.25,100,>100, 0.20μg/mlであった。その結果本剤はStaphylococcus spp., E. faecalis以外の8菌種に対してcefaclorより約3~8倍強い抗菌力を示した。
    2) 臨床的検討: 尿路感染症42例を対象に本剤の有効性と安全性を検討した。急性単純性膀胱炎17例に対して本剤を1回250mg, 1日2回, 3~7日間投与した。複雑性膀胱炎17例, 複雑性腎盂腎炎8例に対しては1回250~500mg, 1日2~3回, 3~14日間投与した。UTI薬効評価基準に従って判定し得た総合有効率は急性単純性膀胱炎で8例中著効8例, 複雑性尿路感染症で64%(14例中著効6例, 有効3例, 無効5例) であった。自他覚的副作用は胃部不快感腹痛と便秘, 癌痒感がそれぞれ1例ずつ認められ, 臨床検査値異常としてはGOTの軽度上昇が1例に認められた。
  • 安部 政彦, 千石 一雄, 清水 哲也, 長谷川 天洙, 芳賀 宏光, 溝口 久富, 川村 光弘, 牟禮 一秀, 斎藤 聡史, 佐川 正
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 278-283
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系の経口抗生剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の産婦人科領域における基礎的および臨床的検討を行い下記の成績を得た。
    1) 本剤500mg単回経口投与後の子宮動脈血清中濃度, 肘静脈血清中濃度ともに投与後約3時間でピーク値4.43μg/mlを示した。本剤500mg単回経口投与後の子宮組織および子宮付属器への移行に関しては, 各組織間に著明な濃度差は認められず投与後約3時間でピーク値1.44μg/g~2.49μg/gを示した。
    2) 婦人科感染症16例に本剤を投与した結果, 著効, 有効併せて14例で, 有効率87.5%であった。
    3) 副作用は1例で下痢の出現をみた。臨床検査値異常は1例のみにおいてGOT, GPT, LDHの軽度上昇を認めたが, 服用終了後短期間で正常化した。
  • 長 南薫, 福永 完吾, 国井 勝昭
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 284-294
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム系抗生物質cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について産婦人科領域で性器組織移行性と産婦人科的感染症に対する臨床効果, 副作用等を検討し, 以下の結果を得た。
    1) 組織移行: 本剤経口投与後の静脈血および子宮動脈血の血清中cefetamet (CEMT) 濃度はほぼ一致し, そのピーク値は250mg投与で2.42μg/ml, 500mg投与で5.16μg/mlであった。子宮, 卵管等各組織には250mg投与で最高0.66~1.15μg/g, 500mg投与で最高1.47~3.35μg/gの移行濃度が認められた。
    2) 臨床成績: 産婦人科的性器感染症および尿路感染症計64例に対し, 本剤1回250mg~500mg, 1日2回計500mg~1000mg, 平均投与日数4.8日投与し, 有効率92.2%の臨床効果, 消失率87.3%の細菌学的効果を認め, 副作用は少なかった。
    以上の諸成績から, 産婦人科的感染症に対する本剤の有効性が示唆された。
  • 伊藤 邦彦, 玉舎 輝彦, 伊藤 俊哉, 山田 新尚, 松田 豊弘, 高田 恭宏, 太田 俊治, 早崎 源基, 脇田 勝次, 長谷川 幸生, ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 295-303
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口セフェム系抗生剤であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の産婦人科領域における有用性を評価するため, 本剤の婦人性器組織への移行性ならびに各種産婦人科領域感染症に使用した時の有効性および安全性を検討した。本剤500mgを経口投与後, 肘静脈血, 子宮動脈血中濃度および性器組織内濃度を47分~8時間50分の症例32例で測定した結果, 肘静脈血, 子宮動脈血中ではピーク時5μg/ml程度の濃度が認められた。婦人性器組織内濃度は3μg/gを越す濃度の移行が認められた。産婦人科領域感染症35例 (内性器感染症30例, 外性器感染症5例) に本剤を1回250mgまたは500mgを1日2回3~10日間投与した。臨床効果は著効1例, 有効31例, 無効1例, 不明2例で有効率は97.0%であった。細菌学的には18症例より11菌種18株が分離され17株 (94.4%) が消失した。副作用は1例に軽度のねむけが認められたが, 臨床検査値の異常は認められなかった。
  • 中山 一誠, 山地 恵美子, 川村 弘志, 川口 広, 秋枝 洋三, 渡辺 哲弥, 鈴木 俊明, 糸川 冠治
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 304-313
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セファロスポリン系抗生物質cefetamet pivoxil (CEMT-PI) について, 皮膚・軟部組織感染症に対して臨床的検討を行った。対象疾患は肛門周囲膿瘍, 皮下膿瘍, 感染性粉瘤, 節, 創感染, 蜂巣炎, 票疽, リンパ管炎などの疾患81症例である。主治医判定による臨床効果は81症例中, 著効11例, 有効52例, やや有効13例, 無効5例であり, 有効率77.8%であった。一方, 統一判定基準による臨床効果は81例中, 著効23例, 有効44例, やや有効2例, 無効8例, 不明4例であり, 有効率87.0%であった。細菌学的検討では単独感染49例における細菌の消失率は75.5%を示し, 一方混合感染23例では78.3%の消失率を示した。前投薬剤無効症例に対する本剤の臨床効果は4例中3例に有効以上の成績を示した。副作用に関しては自覚的および他覚的に1例も異常が認められなかった。臨床検査値異常に関しては1例にGOTの軽度上昇が認められた。臨床材料より分離された33種97株についてMICを検討した結果97株中46株 (47.2%) は本剤の3.13μg/ml以下に分布した。
  • 森本 健, 木下 博明, 中谷 守一, 酒井 克治, 藤本 幹夫, 大野 耕一, 上田 隆美, 森本 譲, 平田 早苗, 村松 秀幸, 宮本 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 314-321
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1988年3月から1988年7月までに大阪市立大学医学部第二外科および関連施設での外科的感染症33症例に対してcefetamet pivoxilを投与し, 以下の結果を得た。
    1) 本剤の臨床効果判定は13例で著効, 8例で有効, 6例でやや有効, 4例では無効で, 有効率は67.7%であった。
    2) 好気性のグラム陰性菌に使用した場合, 効果が期待される。
    3) 病巣分離菌がグラム陽性球菌である場合には本剤の適応を避ける。
    4) 1日投与量1,000mgが推奨きれる。
  • 加藤 眞二, 北條 郷明, 小林 武弘, 馬場 駿吉, 丸尾 猛, 伊藤 晴夫, 東内 朗, 鈴木 賢二, 板谷 純孝, 柘植 勇人, 伊藤 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 322-330
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム系抗生物質であるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) の耳鼻咽喉科領域感染症に対する基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次のごとき結果を得た.
    1) 耳鼻咽喉科領域感染症由来の臨床分離株に対するcefetamet (CEMT) のMICを測定したところStaphylococcus aureus 14株は>100μg/ml, Proteus mirabilis 13株は0.1μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 16株は>100μg/mlにピークを認めた.
    2) CEMT-PIを250mgおよび500mg1回経口投与後の口蓋扁桃組織内濃度, 上顎洞粘膜内濃度, 耳漏中濃度および血清中濃度を測定した.500mg投与後の口蓋扁桃移行は3時間16分-4時間後において1.09-2.76μg/g, 血清中は5.09-6.25μg/ml, 上顎洞粘膜移行は2時間46分-4時間38分後において1.13-2.76μg/g, 血清中は1.46-4.69μg/ml, 耳漏中移行は1時間15分-4時間後において<0.2-1.46μg/ml, 血清中は1.96-7.82μg/ml, 対血清比は口蓋扁桃, 上顎洞, 耳漏それぞれ19.9-45.5%, 48.1-106.9%, 10.0-37.5%であった.250mg投与の1例の口蓋扁桃移行は2時間43分後において0.75μg/gであり, 血清中は1.96μg/ml, 対血清比は38.3%であった.
    3) 中耳炎28例, 副鼻腔炎22例, 扁桃炎5例, 咽喉頭炎1例にCEMT-PI500mg-1000mg/日を3-12日間経口投与した結果, 総合臨床効果は著効20例, 有効24例, やや有効6例, 無効4例, 不明2例であり, 不明例を除いた有効率は81.5%であった.
    4) 副作用は全例について認められなかった.
  • 佐々木 次郎, 森鼻 健史, 金子 明寛, 後藤 潤, 植松 正孝, 椎木 一雄, 山根 伸夫, 坂本 春生, 森島 丘, 重原 聡, 山本 ...
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 331-339
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を歯科口腔外科領域における急性歯性感染症97例に使用した.投与量は500mgまたは1000mgを1日量とし, 朝・夕2回に分け食後経口投与した.除外症例5例を除いた効果判定解析症例92例の有効率は評点比判定, 主治医判定でそれぞれ89.1%, 83.7%であった.細菌学的検討は閉塞膿瘍より穿刺にて得られた試料を用い, 92症例中39例の検体から好気性菌38株, 嫌気性菌23株の計61菌株が分離され, 日本化学療法学会標準法にてMICを測定し, cefetamet (CEMT) の抗菌力をcefaclor (CCL), cefixime (CFIX), cefteram (CFTM), ampicillin (ABPC) と比較検討した.Oral streptococciに対するMIC50およびMIC90は, CEMT 0.39μg/ml, 3.13μg/ml, CFIX 0.39μg/ml, 6.25μg/ml, CFTM 0.05μg/ml, 0.39μg/ml, CCL 0.78μg/ml, 1.56μg/ml, ABPC 0.025μg/ml, 0.05μg/mlであった.安全性解析症例93例中に副作用の発現はなく, 臨床検査値では血清GPTの軽度上昇が1例みられた.
  • 椎木 一雄, 原 英之, 菅野 和幸
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 340-343
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の基礎的検討を行った。健康成人5名に対し, 空腹時ならびに食後に本剤250mgを内服させ, 血清中濃度をHPLC法ならびにbioassay法で測定し, 薬動力学的解析を行った。その結果は下記の通りであった。
  • 大道 光秀, 平賀 洋明, 伊藤 寧
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 344-346
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用セフェム剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を1回250mg, 1日2回, 呼吸器感染症7例に投与し, 臨床効果および安全性, 有用性を検討した.呼吸器感染症7例 (急性気管支炎1例, 慢性気管支炎6例) で, 有効5例 (急性気管支炎1例, 慢性気管支炎4例), やや有効1例 (慢性気管支炎1例) であった.副作用, 臨床検査値異常は1例も認められなかった.
  • 武部 和夫, 増田 光男, 村上 誠一, 相楽 衛男, 岡本 勝博, 田村 豊一, 遠藤 勝実, 佐藤 達朗, 工藤 研二, 今村 憲市
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 347-349
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を咽頭炎3例, 化膿性扁桃炎2例, 急性気管支炎5例, 肺炎3例, 計13例に投与し臨床効果と安全性の検討を行った。臨床効果判定除外例1例を除く12例の有効率は83.3%であった (著効4例, 有効6例, やや有効1例, 無効1例)。副作用は1例に発疹, 臨床検査値異常変動としてGPTの軽度上昇が2例みられた。
  • 山内 文俊, 米谷 則美, 小西 一樹, 田村 昌士, 伊藤 隆司, 五味 和俊, 倉光 宏, 小林 仁
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 350-353
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性呼吸器感染症13例 (急性肺炎9例, 気管支拡張症の急性増悪2例, 急性気管支炎1例, 胸膜炎1例) にcefetamet pivoxil (CEMT-PI) を1回250mgないし500mgを原則として1日2回, 14日間投与し, その臨床効果を検討した。その結果は著効7例, 有効5例, やや有効1例の臨床成績を得た。臨床検i査値異常としてGPTの上昇2例, GOT・GPTの上昇1例を認めたが, いずれも軽度のものであり臨床的に問題はなかった。副作用は認められなかった。
  • 林 泉, 大沼 菊夫, 蓮池 美樹
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 354-357
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の呼吸器感染症に対する有効性・安全性の検討を肺炎2例, 慢性下気道感染症6例を対象に行った.CEMT-PIの1日投与量は500mgあるいは1,000mg分2で各4例食後に経口投与した.投与期間は4-9日間であった.本剤投与前, 喀痰から分離された起炎菌は5株あり, 3株が消失したが, Staphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae各1株は残存した.臨床効果は著効2例, 有効5例, やや有効1例であった.副作用, 臨床検査値の異常変動は認められなかった.
  • 片平 潤一, 春木 宏介, 柴田 雄介, 菊池 賢, 長谷川 裕美, 戸塚 恭一, 清水 喜八郎, 毛利 昌史
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 358-360
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を呼吸器系疾患患者16例に投与し, その効果につき検討した。有効以上は慢性気管支炎8例中7例, 急性気管支炎6例中5例で, 気管支拡張症1例は無効であった。肺炎1例は有効で, 全例で有効率は81%であった。細菌学的には, 起炎菌の消長が確認できた8例中4例で除菌された。副作用は1例で下痢を, さらに臨床検査値では2例で軽度Al-Pの上昇を認めた。
  • 芳賀 敏昭, 野末 則夫, 馬場 ますみ, 宮司 厚子, 斧 康雄, 西谷 肇
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 361-363
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セファロスポリン剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を急性気管支炎2例, 肺炎4例, 肺膿瘍1例, マイコプラズマ肺炎1例, 計8例に投与し, 臨床的効果と安全性について検討した (マイコプラズマ肺炎は, 安全性のみ検討した)。1日1,000mg分2食後経口投与で, 投与期間は6から13日であった。臨床効果は著効2例, 有効5例であった。副作用は発疹・蚤痒感1例, 胃部不快感・嘔吐1例で, 臨床検査値の異常変動は好酸球増多が2例に認められた。
  • 武田 博明, 押谷 浩, 渡辺 秀裕, 小林 宏行
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 364-365
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン系抗生剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を呼吸器感染症例に使用し, 臨床的に検討した。疾患は気管支拡張症2例, 慢性気管支炎1例, 肺炎1例であり, その結果有効3例, やや有効1例と良好な成績が得られた。副作用は一例に軽度かつ一過性の便秘がみられた。他には自・他覚的な副作用は認められず, 臨床検査値の異常変動もみられなかった。以上より, 本抗生剤は呼吸器感染症では安全に使用可能であり, その臨床効果も期待できると考えられた。
  • 野口 昌幸, 坪井 永保, 山口 昭彦, 成井 浩司, 中谷 龍王, 中森 祥隆, 蝶名林 直彦, 中田 紘一郎, 杉 裕子
    1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 366-370
    発行日: 1990/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口セファロスポリン系抗生物質cefetamet pivoxil (CEMT-PI) を慢性呼吸器感染症11例に使用しその臨床効果および副作用を検討した。投与期間は平均13.2日であった。臨床効果は著効1例, 有効3例, やや有効3例, 無効4例で有効率は36.4%であった。起炎菌はHaemophilus influenzae 3例, Klebsiella pneumoniae 3例等であった。軽度の肝機能障害, 食欲不振があった。CEMT-PIは慢性呼吸器疾患における下気道感染症特に軽症の症例において使用する抗菌薬の1つになり得ると考えられた。
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