呼吸器感染症起因菌である
Streptococcus pneumoniaeおよび
Streptococeus pyogenesに対するcefixime (CFIX) の抗菌活性がβ-ラクタマーゼ産生
Moraxella (
Branhamella)
catarrhalisが共存した場合, どのような影響をうけるかをamoxicillin (AMPC) およびcafaclor (CCL) と比較検討した。AMPCの
S. pneumoniaeおよび
S. pyogenesに対する抗菌活性はCFIXおよびCCLに比べ約10倍強いが, 寒天重層平板法を用いたβ-ラクタマーゼ産生
M.(
B.)
catarrhalisの共存時ではこれらの菌に対するディスク阻止円は著しく縮小した。またCCLもディスク阻止円が著しく縮小したのに対しCFIXはほとんど影響を受けなかった。さらに
M.(
B.)
catarrhalisの10
7cfu/mlレベル共存時において
S. pneumoniaeに対するAMPCおよびCCLの殺菌作用が著しく低下したが, CFIXはほとんど変動しなかった。すなわち, β-ラクタマーゼ産生
M.(
B.)
catarrhalisの共存はAMPCおよびCCLを失活させ, 起因菌である
S. pneumoniaeおよび
S. pyogenesに対する殺菌作用の低下をもたらす可能性を明らかにした。CFIXは
M.(
B.)
catarrhalisの産生するβ-ラクタマーゼに極めて安定でかつ, 強い抗菌活性を有することから
M.(
B.)
catarrhalisが混在する呼吸器感染症に対する有用な治療薬と考えられる。
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