Methicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に対するより効果的な治療法を検討するため, MRSA3株に対してfosfomycin (FOM) とflomoxef (FMOX) を用い, 併用療法における投与順序および投与量に関し,
in vitroにて, 実験 (1) 一定濃度の薬剤, ならびに, 実験 (2) ヒト血中濃度動態下の薬剤を作用させた場合について, 併用効果を検討した。なお, 抗菌効果の指標として,(1) では, kill. down (bactericidal activity) およびPAE (postantibiotic effect) の2項目,(2) では, max. kill. down, beginning time ofregrowth, recovery time, およびsuppressive areaの4項目について検討した。一定濃度の薬剤を作用させた場合, FOMおよびFMOXは, いずれもsub-MIC (1/2~1/32MIC) の併用で優れた殺菌作用を示し, 併用効果を認めた。特に, FOml時間先行作用後FMOX作用 (FOM先行併用作用) 時に, 同時もしくはFMOX先行併用作用時に比べ, 殺菌作用, PAEともに優れた効果を示した。ヒト血中濃度動態下の薬剤を作用させた場合, FOMおよびFMOXは, いずれも常用量の併用投与, 特に, FOM先行併用投与にて, 抗菌効果の4項目の指標について単独投与時に比べ優れた値を示し, 併用効果を認めた。特に, FOMのMICが3,200μg/ml以上と高度耐性を示すMRSAIIに対しては, FOM先行併用投与時にのみ4項目について抗菌効果を認め, さらに, FOM先行にて8時間間隔の2回併用投与を行った場合, 特にsuppressive areaについて優れた効果を示した。また, FOMのMICが100μg/mlのMRSATK784Pについて, FOMを減量しFMOXと併用した場合のmax. kill. downは, FOM常用量をFMOXと併用投与した場合と比べ著明な差を認めなかった。これらの結果より, MRSA感染症に対するFOMとFMOXの併用療法では, FOMを先行投与することが重要であり, また, その際のFOMの投与量は, 必ずしも大量を必要としない可能性が示唆された。
抄録全体を表示