CHEMOTHERAPY
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39 巻, 8 号
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  • (II) 緑膿菌について
    小林 寅詰, 長谷川 美幸, 内野 卯津樹, 西田 実, 五島 瑳智子
    1991 年 39 巻 8 号 p. 753-760
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種の臨床材料より分離したPseudomonas aeruginosaの各コロニーについて, 生化学的および生物学的性状ならびに薬剤感受性を検討し, 次の結果を得た。試験菌株 (138株) のうち, 異なった性状 (異種色素の産生, 色調の濃淡, R型とS型) をもっコロニーを含む菌株が48株存在した。これらの48株のうち, 2種以上の血清型のコロニーが混在する菌株は17株 (35.4%) 認められた。しかし, コロニー性状が同一の90株では, このような異種の血清型をもったコロニーの混在はまったくみられなかった。異種の血清型コロニーが共存する各菌株において, 一般的に血清型の組み合わせ, 血清型の種類などに一定の傾向は認められなかった。しかし, 異種の色素を産生するコロニーが共存する菌株では, 血清型がnon-typeのコロニーの出現傾向が認められた。さらに異種の血清型コロニーの共存する菌株において, 各々の異種コロニー間でゼラチン液化能が異なることが多く, その他の生化学的性状ではウレアーゼ, キシロース反応が異なることがあった。血清型およびコロニー性状の異なる4株のうち, 2株の異種コロニー間でβ-lactamase産生能が大きく相違した。また, 各種のβ-ラクタム薬に対する感受性にも4倍以上の相違がみられた。同様な事実はアミノ配糖体 (gentamicin, sisomicin) 感受性についても観察された。
  • 三上 襄, 矢沢 勝清, 松前 昭廣
    1991 年 39 巻 8 号 p. 761-770
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Amphotericin B (AMPH), fluconazole (FLCZ), flucytosine (5-FC), itraconazole (ITZ) およびmiconazole (MCZ) のin vitro抗真菌活性をminimum inhibitory concentration (MIC) 値を中心に, 7種類の検定用培地を用いて, 寒天希釈法および微量液体希釈法により比較した。その結果, AMPHは寒天培地で検討した場合, Aspergillus fumigatus, CandidaalbicansおよびCryptococcus neoformansのいずれにおいても, pHを中性に修正したyeast morphology agar (B-YMA) が, 一方液体培地では, 感受性デスク用培地やAntibioticassay brothで低いMIC値が観察されること, 5-FCでは寒天培地および液体培地のどちらにおいても, YMAおよびその液体培地で低いMIC値が観察されること, またFLCZ, ITZおよびMCZでは, 液体および寒天培地のいずれにおいても, 他の培地と比較して, Syntheticamino acid medium-fungalやB-YMA等の合成培地で比較的強い活性が観察されること等が明らかになり, 抗真菌剤のin vitro活性の測定における検定培地の重要性を明らかにした。
  • In vitro実験における投与順序および投与量について
    長谷川 裕美
    1991 年 39 巻 8 号 p. 771-781
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に対するより効果的な治療法を検討するため, MRSA3株に対してfosfomycin (FOM) とflomoxef (FMOX) を用い, 併用療法における投与順序および投与量に関し, in vitroにて, 実験 (1) 一定濃度の薬剤, ならびに, 実験 (2) ヒト血中濃度動態下の薬剤を作用させた場合について, 併用効果を検討した。なお, 抗菌効果の指標として,(1) では, kill. down (bactericidal activity) およびPAE (postantibiotic effect) の2項目,(2) では, max. kill. down, beginning time ofregrowth, recovery time, およびsuppressive areaの4項目について検討した。一定濃度の薬剤を作用させた場合, FOMおよびFMOXは, いずれもsub-MIC (1/2~1/32MIC) の併用で優れた殺菌作用を示し, 併用効果を認めた。特に, FOml時間先行作用後FMOX作用 (FOM先行併用作用) 時に, 同時もしくはFMOX先行併用作用時に比べ, 殺菌作用, PAEともに優れた効果を示した。ヒト血中濃度動態下の薬剤を作用させた場合, FOMおよびFMOXは, いずれも常用量の併用投与, 特に, FOM先行併用投与にて, 抗菌効果の4項目の指標について単独投与時に比べ優れた値を示し, 併用効果を認めた。特に, FOMのMICが3,200μg/ml以上と高度耐性を示すMRSAIIに対しては, FOM先行併用投与時にのみ4項目について抗菌効果を認め, さらに, FOM先行にて8時間間隔の2回併用投与を行った場合, 特にsuppressive areaについて優れた効果を示した。また, FOMのMICが100μg/mlのMRSATK784Pについて, FOMを減量しFMOXと併用した場合のmax. kill. downは, FOM常用量をFMOXと併用投与した場合と比べ著明な差を認めなかった。これらの結果より, MRSA感染症に対するFOMとFMOXの併用療法では, FOMを先行投与することが重要であり, また, その際のFOMの投与量は, 必ずしも大量を必要としない可能性が示唆された。
  • 下江 敬生, 島越 利加子, 山田 琢, 阿部 能子, 神崎 寛子, 秋山 尚範, 荒田 次郎
    1991 年 39 巻 8 号 p. 782-790
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    皮膚科領域より1989年4月から1990年4月までの黄色ブドウ球菌 (以下黄色ブ菌) 107株を分離し, 各種薬剤の感受性, coagulase型 (以下コ型), β-lactamase産生能 (ニトロセフィンプロス法) を測定し前回秋山らが報告した2年間と他科領域との比較を加え, 検討した。Methicillin耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離頻度は従来の寒天平板希釈法では25.7%で1988年4月から1989年3月 (45.5%) に比べ減少しており1987年4月から1988年3月 (24.7%) とほぼ同じであった。Oxacillin (MPIPC) による微量液体希釈法によるMRSAは39.3%であった。入院患者からの分離頻度は48.1%(MPIPC) で外来患者からは36.2%であった。Methicillin (DMPPC) 以外の抗菌剤の耐性株もほぼ同様の動きであったが, cephaloridine (CER) やcefmetazole (CMZ) は耐性菌がやや増加した。Onoxacin (OFLX) の耐性菌は1987年~1988年は0%であったが今回の検討では4.7%であった。OFLX耐性菌はすべて入院患者よりの分離菌であった。コ型別試験では全体としてVII型が最も多かったがMRSAに関してはIV型が多く, IV型の92%がMRSAであった。Methicillin感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) ではVII型が多かった。疾患別では深在性膿皮症 (節,雖など) ではIV型が多く, したがってMRSAが多かった。β-lactamase産生能はニトロセフィンプロス法で30分後陽性29.9%, 24時間後に初めて陽性52.3%, 陰性が17.8%であった。
  • 宮井 正博, 坪田 輝彦, 浅野 健夫
    1991 年 39 巻 8 号 p. 791-796
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種呼吸器疾患を有する24症例において気管支肺胞洗浄法を行いピリドンカルボン酸系化学療法剤ofloxacin (OFLX) 200mg内服後2時間における気管支肺胞系移行を検討した。OFLX濃度は血清で3.02±1.30μg/ml, 気管支肺胞洗浄液で0.227±0.154μg/mlであった。気管支肺胞洗浄液中のOFLX濃度は肺癌群, 慢性炎症群および間質性肺炎群の3群間では, 有意差を認めなかった。今回の成績は前回報告したOFLX 200mg内服1時間後の気管支肺胞洗浄液濃度0.08±0.07μg/mlばかりでなく, すでに検討したcefmenoxime (CMX), astromicin (ASTM), aztreonam (AZT) をも凌ぐものと考えられた。血清および気管支肺胞洗浄液の両方でOFLX/アルブミン比が検討できた22例中21例において血清よりも気管支肺胞洗浄液の方が高値をとった。
  • 池田 滋, 西村 清志, 石橋 晃, 岡村 孝夫
    1991 年 39 巻 8 号 p. 797-802
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Fleroxacinの前立腺内における移行動態を正常および前立腺炎モデルラットによる凍結ミクロオートラジオグラフィー法を用いて検討した。本剤の分布は濾胞内, 間質組織いずれも良好で, ことに前立腺モデルラット濾胞内への移行が他と比較して若干顕著である傾向がみられた。これらの結果より本剤の細菌性前立腺炎への有用性が示唆された。
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