新規ペネム系経口抗生物質SY5555の臨床第I相試験として, 健常成人男子24名を対象に, 単回投与試験 (空腹時150mg, 空腹時・食後300mg, 空腹時600mg) および反復投与試験 (1回400mg1日3回7日間) を実施し, その忍容性ならびに体内動態について検討した。
1.安全性
1) 単回投与においては, 600mg投与の1例でGPTの軽度上昇を認めたが, それ以外は臨床症状, 理学的所見および臨床検査所見のいずれにおいても異常を認めなかった。
2) 反復投与では, 投与期間中に全例で便の性状変化を認めた。その内訳は軟便傾向1例, 軟便3例および泥状便2例であったが, いずれも投与終了時には回復していた。また, 1例で好酸球比の上昇を認めた。その他の臨床症状, 理学的所見および臨床検査所見には異常を認めなかった。
2. 体内動態
1) 空腹時150, 300, 600mg単回投与の体内動態では, 最高血漿中濃度に到達するまでの時間 (T
max) は1~1.4時間, 最高血漿中濃度 C
maxは各々2.36, 6.24, 7.37μg/ml, 血漿中濃度一時間曲線下面積 (AUC) は各々3.95, 11.73, 19.59μgh/ml, 半減期 (T
1/2) は約0.9時間であり, C
maxとAUCには用量依存性が認められた。また, 投与後24時間までの未変化体の累積尿中排泄率は3.12, 6.78, 5.26%であった。
2) 食後300mgの単回投与では, 空腹時投与に比較してT
maxが約1時間遅延したが, C
max AUCならびに投与後24時間までの未変化体の累積尿中排泄率には差を認めなかった。
3) 反復投与における1, 4, 7日目 (1, 10, 19回目) 投与後のC
maxは各々5.51, 425, 4.83μg/ml, AUCは12.54, 10.11, 12.19μg・h/mlであり, 蓄積性は認めなかった。
3. 腸内細菌叢におよぼす影響
反復投与時の腸内細菌叢におよぼす影響の検討では嫌気性菌が減少したが, 投与終了6日目には投与前の菌数に回復した。
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