CHEMOTHERAPY
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41 巻, 2 号
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  • 1993 年 41 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 和志田 裕人, 戸澤 啓一, 本間 秀樹, 姜 棋鎬, 山田 泰之
    1993 年 41 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症単独感染例5例についてceftazidime (CAZ) 投与後の経時的尿中生菌数の変化と尿中細菌の形態変化を検討した。Pseudomonas cepacia 1株 (MIC;3.13μg/ml) Pseudomonas aeruginosa 2株 (MICはいずれも1.56μg/ml), Serratia marcescens 1株 (MICはいずれも50μg/ml) であった。CAZの尿中排泄は, 4例には良好であった。尿中生菌数は第1回の投与により経時的に減少したが, 消失には2~4回の投与を必要とした。細菌の形態は細菌のMICにかかわらずフィラメントを形成する傾向が強かった。多くのフィラメントは光顕では凹凸が著明であり, 電顕では空胞形成, 細胞壁と細胞質膜の解離, 細胞壁と細胞質膜の残骸およびそれらの崩壊像が観察された。CAZは, 尿中でもPBP特にPBP3に強く結合することが示唆された。
  • 足立 タツ子, 尾家 重治, 神谷 晃
    1993 年 41 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    貯水槽付きジェット式ネブライザーの微生物汚染について調査すると共に, その適切な消毒法についても検討を加えた。調査した貯水槽付きジェット式ネブライザーの3機種, 計10台中9台に, 103~106個/mlレベルの細菌汚染が見られた。主な汚染菌種は, PsmdomonascepaciaFlavobactmlum meningosepticumなどのブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌であった。すなわち, ジェット式ネブライザーは微生物汚染を受け易いことが判明した。また, 本装置は構造的にノズル (ジェット) 部分の薬液消毒がきわめて困難であり, 通常の薬液消毒はほとんど無効であった。一方, 温水消毒は短時間の浸漬で有効性を示し, 温水 (70℃, 3分間) がもっとも良い消毒法であることが明らかとなった。
  • 3病院間での感受性の推移
    坂上 吉一, 梶村 計志, 伴 美貴子, 吉永 哲男, 田中 美智男, 松尾 清光
    1993 年 41 巻 2 号 p. 200-210
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    3病院 (大阪府立成人病センター, 国立大阪病院および北野病院) から, 1988年度に分離した29株のMRSAならびに1991年度に分離した51株のMRSA (計80株) を使用し, 12種類の抗生物質および5種類の殺菌消毒剤の効果について検討した。Vancomycin (VCM) およびarbekacin (ABK) は試験した抗生物質の中でもっとも良好な抗菌力を示し, また, 塩化ベンザルコニウム (BAC) およびポビドンヨード (PVP-1) は試験した殺菌消毒荊の中でMRSAに対して有効であった。コアグラーゼ型はII型が大部分を占めていた。API番号6736142を示す25株は, いずれもDMPPCのMIC値が100μg/ml以上を示し, DMPPC高度耐性MRSAであることが認められた。MIC値の分布範囲の検討より, 1988年度株はABK, doxycycline (DOXY), minocycline (MINO), VCMおよびimipenem cylastatin (IPM/CS) に対して, また, 1991年度株はABKおよびVCMに対してそれぞれ感受性を示した。上記抗生物質の中で, 1991年度株のMINO, IPMICSおよびOFLXに対する感受性が1988年度株に比べ有意に低下することが認められた (p<0.01)。殺菌消毒剤の殺菌力試験では, 0.1%BACおよび0.1%PVP-IがMRSAに対して有効であった。以上のことから, 今回検討した3病院においては, MRSA感染症の処置に際してはABKおよびVCMの使用が, また, MRSA感染症の予防に対し0.1%BACおよび0.1%PVP-Iの使用が有効であることが示唆された。
  • 荒田 次郎他
    1993 年 41 巻 2 号 p. 211-226
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口セフェム系抗菌薬であるcefditoren pivoxilの浅在性化膿性疾患に対する有効性および安全性を検討した。対象患者は第1群の毛のう炎42例, 尋常性毛瘡1例, 第ln群の伝染性膿痂疹10例, 第V群の皮下膿瘍12例, 化膿性汗腺炎3例, 感染性粉瘤30例, 慢性膿皮症2例, 第VI群の二次感染48例であった。薬剤は原則として1回100または200 を1日3回, 3~10日間投与した (原則として第1群, 第III群および第VI群は7日間, 第V群は10日間投与とした)。疾患群別の臨床効果は第1群では著効17例, 有効18例, やや有効3例, 無効5例で, 有効率 (有効以上) 81.4%, 第III群では著効7例, 有効2例, やや有効1例で, 有効率90.0%, 第V群では著効22例, 有効17例, やや有効5例, 無効3例で有効率83.0%, および第VI群では著効17例, 有効19例, やや有効7例, 無効5例で有効率75.0%であった。つの疾患群をあわせた有効率は80.4%(119/148) であった。細菌学的効果は108株中93株が消失し, 消失率は86.1%であった。副作用は解析対象症例159例中9例 (5.7%) に認められたが, 主に消化器症状であった。臨床検査値異常変動の発現は127例中13例 (10.2%) に認められたが, 臨床上特に問題となるものはなかった。
  • 島田 馨
    1993 年 41 巻 2 号 p. 227-238
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Trimethoprim sulfamethoxazole (ST) 注射剤 (Ro 06-2580) の, カリニ肺炎に対する臨床的有用性について検討した。検討した39例中臨床効果は, カリニ肺炎と確定診断のついた10例において100%, 疑診例11例中9例 (81.8%) で, 合計した有効率は90.5%であった。また, カリニ原虫が確認され経過を追うことのできた8例では, 全例カリニ原虫の消失が確認された。安全性に関しては, 安全性評価対象例36例中副作用が発現したのは19.4%(7/36) で, その主たるものは嘔気などの消化器症状であった。また, 臨床検査値異常発現率は44.4%(16/36) で, 主なものはGOT・GPTの上昇であった。以上の成績から, カリニ肺炎に対するST注射剤は, 注意深く使用することにより, その臨床的有用性の高いことが示唆された。
  • 特に発病メカニズム, 化学療法剤選択による年次的コアグラーゼ型別変化と院内環境改善の成果
    坂本 翊
    1993 年 41 巻 2 号 p. 239-249
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    A老人病院において, MRSA呼吸器感染症の実態と発症のメカニズムおよび対策について, 検討した。1991年1月~1992年2月の肺炎の起炎菌は黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) 57.2%(MRSA: Methicillin Resistant Staphylococms aureus 94%), 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) 44%, 気管支炎はS. aureus 51.7%(MRSA96%), P. aer-ugnosa41.3%であり, 6年前の調査と比較してMRSAの増加が目立った。MRSAは種々の抗生物質に対して耐性化が著しいが, minocycline (MINO) 耐性増加が院内流行株のコアグラーゼII型からVII型への変化と関連し, また薬剤使用量の増加と一致した。MINOの使用制限により感受性の回復と粗型からII型への復帰がみられた。非経口栄養患者の上気道のMRSA定着は経口栄養患者にくらべ鼻腔で6倍, 咽頭で10倍多く, これに一致してMRSA呼吸器感染症は, 非経口栄養患者の方が10倍高率であった。上気道MRSA定着患者に対してポピドンヨードを1日3回鼻腔に軟膏塗布, 咽頭に噴霧を行い, 1日2回0.1%塩化ベンザルコニウムの床噴霧や室内紫外線照射を行った結果, MRSA環境汚染は86%減少し, 職員による環境改善対策とあいまってMRSA呼吸器感染は約60%減少した。
  • 加藤 研一, 上殿 泰成, 松尾 信昭, 石倉 宏恭, 武山 直志, 田中 孝也
    1993 年 41 巻 2 号 p. 250-254
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    重症救急患者は創傷部や各種の緊急処置に起因したグラム陽性球菌を中心とする常在菌の汚染からの感染症が発生しやすく, その予防が重要となる。そこで集中治療室に搬入され, 汚染もしくは感染機会のあった78症例に第1世代セフェム系抗生物質のcefazolin (CEZ) を初期投与し, 感染発症予防効果について検討を行った。55例 (70.5%) はその後の感染所見の出現はなく, 28例 (29.5%) が入院10日前後で感染症の発生により投与薬剤の変更が必要となった。しかし感染発生症例であっても常在菌と考えられるグラム陽性球菌の検出例はなく, CEZの常在菌感染に対する初期投与効果が確認された。また感染の発生は重症例に多く, 免疫能の低下がその原因と考えられ, 起炎菌はmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) を代表とする多剤耐性グラム陽性球菌が72.2%を占めた。この感染症の発生はCEZ初期投与の問題点とも考えられるが, いずれのβ-ラクタム剤に対しても耐性であることから, 予防投与による発症阻止が困難な入院後の院内感染であり, またその後のvancomycin投与が有効であったことから, CEZ初期投与の欠点とは考えられなかった。したがって院内感染を念頭に置き, あらたな耐性菌誘導の可能性, 薬剤価格, 常在細菌叢への影響などを考慮すれば, 免疫能の低下した重症救急患者であっても初期投与抗菌剤として第1世代セフェム剤を優先すべきと思われた。
  • 1993 年 41 巻 2 号 p. 255-320
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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