CHEMOTHERAPY
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  • 田原 和子, 浅利 誠志, 堀川 晶行, 塚本 寿子, 豊川 真弘, 砂田 淳子
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1321-1334
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    当院微生物検査室において, 1992年1月から1993年6月までの18か月間に分離した緑膿菌に対し血清型別を実施し, 材料, 診療科について血清型別の分離頻度を検討した。さらに, 分離頻度の高かった血清型の緑膿菌100株について, piperacillin (PIPC), cefsulodin (CFS), ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ), cefclidin (CFCL), aztreonam (AZT), carumonam (CRMN), imipenem (IPM), tobramycin (TOB), amikacin (AMK), gentamicin (GM), minocycline (MINO), onoxacin (OFLX), cipronoxacin (CPFX), fosfomycin (FOM) の15剤について微量液体希釈法より薬剤感受性測定を実施し, これらのMIC値を, MIC80, 材料別, 診療科別, および血清型別に比較検討した。
    1. 血清型別分離頻度はG型, E型, B型, I型, A型, 型別不能株, M型, F型, H型, D型, C型, K型の順に高かった。材料別においては, 入院患者では喀痰・咽頭材料から, 外来患者では膿・分泌物・創部材料からの分離頻度が高く, また診療科別においては, 入院では腹腔外科病棟から, 外来では耳鼻咽喉科からの分離頻度が高かった。
    2. 全100株のMIC80は, CPFX>CFCL, IPM, TOB>GM, OFLX, CAZ>CFS>CRMN, MINO, AZT, PIPC, AMK>CPZ>FOMの順に優れていた。CPFXのMIC80値は2μg/ml, CFCL, IPM, TOBのMIC80値は4μg/mlと低値を示した。
    3. NCCLSの判定基準による各薬剤の感受性率は, CFCLで97.0%, IPMで91.0%, TOBで90.0%が感受性を示し, 以下PIPC, CAZ, CPFX, GM, AMK, CPZ, CRMN, AZT, OFLX, CFS, MINO, FOMの順に優れた結果が得られた。
  • βラクタム系抗生物質の血小板機能に対する影響
    本間 義春, 川角 浩, 横室 公三, 竹内 良夫
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1335-1341
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    モルモットのアナフィラキシー誘発実験において, cefaclor (CCL)-HSAまたはcephalexin (CEX)-HSAを抗原とした場合にショック死したにもかかわらず血中ヒスタミン値は変動しなかった。この現象を解析するため, モルモットの血中ヒスタミンのmajor sourceである血小板に着目し, 血小板活性化因子 (PAF) の作用に対する薬剤の影響を検討し以下の結論が得られた。1.5×10-7MのPAF刺激で起こる血小板凝集作用に対して薬剤濃度1mM, 10mM共に影響を与えなかったが, PAF刺激による血小板からのヒスタミン放出作用に対してはamynobenzyl基を側鎖にもつβラクタム系抗生物質は共通して有意な抑制傾向が認められた。以上の結果から, アナフィラキシーショック時の血中ヒスタミン値の無変化の原因の1つとして, CCL, CEXが血小板からのヒスタミン放出を抑制している可能性が示唆された。
  • 二木 芳人, 木村 雅司, 窪田 好史, 副島 林造
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1342-1346
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口16員環系マクロライド薬rokitamycin (RKM) の呼吸甜系各種Chlamydia感染症に対する有用性を評価する目的で, 各種Chlamydia標準株に対するMICを測定し, あわせてマウスChlamydia psittaci肺炎モデルを用いた感染治療実験を行い他剤と比較した。その結果, RKMのMICは0.063~0.125μg/mlと, erythromycin, roxithromycinに勝る優れたものであったが, 治療実験成績では他剤に劣る結果であった。さらに, RKM投与時のマウス血漿中濃度を検討した結果, RKMは同血漿中では速やかに抗菌活性の低い代謝物に代謝されることが明らかとなり, MIC値と治療効果における差はこれにもとつくものと結論された。ヒトにおけるRKMの血漿中代謝は異なるものであり, ヒトでの臨床的有用性は期待しうるものであると考えられた。
  • 伊志嶺 朝彦, 仲本 敦, 川上 和義, 橘川 桂三, 斎藤 厚
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1347-1354
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    現在カリニ肺炎の治療薬として用いられているST合剤は特にAIDS患者において副作用出現頻度が高率であり, それに代わるペンタミジンも時に重篤な副作用が出現するため, より安全な抗カリニ薬が求められている。我々は近年, 米国でカリニに有効と報告されたクリンダマイシンとプリマキンの併用療法についてそれぞれの単独療法とともに均一なラットカリニ肺炎モデルを用いて検討した。クリンダマイシン単独治療では100mg/kg/dayでも治療効果はなく, プリマキン単独治療 (1mg/kg/day) でもその効果は有意ではなかった。しかし両者の併用では, 肺組織におけるカリニシスト数, シスト集塊数の減少, 炎症所見の改善が認められた。また, クリンダマイシン20mgまたは100mg/kg/day併用群は肺組織中のシスト集塊数がそれぞれ193.0±37.3, 65.2±62.1であり, クリンダマイシンの用量依存的な治療効果 (P<0.001) が認められた。これらのことより, クリンダマイシンとプリマキンの併用療法はカリニ肺炎に対し有効であることが示された。今後immunocompromised hostの増加に伴いカリニ肺炎の治療薬の開発, 治療方法の検討は重要であり, 本療法の臨床検討も必要と考えられた。
  • 黒山 政一, 本橋 茂, 島田 慈彦, 村崎 光邦
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1355-1360
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    代表的な経口用セフェム系抗生物質であるcefdinir (CFDN), cefteram (CFTM), ceftibuten (CETB) の蛋白結合率を, 健常若年者 (平均28.3歳) および健常老年者 (平均73.3歳) の血清を用いて, 平衡透析法により同一条件下で比較検討した。老年者における経口用セフェム系抗生物質の蛋白結合率は, 若年者と比較して明らかに低下し, 遊離型薬物濃度の上昇がみられた。パルミチン酸あるいはオレイン酸を添加した健常若年者プール血清を用いた検討において, 各経口用セフェム系抗生物質の蛋白結合率は, 遊離脂肪酸の添加量が増すと共に低下した。老年者における経口用セフェム系抗生物質の蛋白結合率低下の要因として, 血清アルブミン値の低下および遊離脂肪酸の組成比の変化が考えられた。セフェム系抗生物質の効果・副作用の発現には遊離型薬物濃度が関与するので, 老年者への経口用セフェム系抗生物質の投与に際しては, このような蛋白結合率の低下に起因する薬理効果の増強, 副作用発現率の増加の可能性にも十分考慮すべきであろう。
  • 室木 俊美, 斉木 康正, 熊谷 茂宏, 中川 清昌, 山本 悦秀
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1361-1367
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口ニューキノロン薬であるonoxacin (OFLX) について総計60人を対象に口腔外科領域感染症における基礎的, 臨床的検討を行った。OFLX (100mg) の経口投与3時間後の歯肉と血中への分布を調べるとともに, OFLXの臨床的検討および細菌学的検討を口腔外科疾患を有する患者で行った。投与量は, 600mgで3日間から8日間であった。
    1) OFLX100mg投与後の歯肉と血清中濃度はそれぞれ0.82±0.4μg/g, 1.02±0.5μg/mlであり, MIC値が1.56μg/ml以下で感受性を示した菌は全分離菌の91%(21株) であった。
    2) OFLX (100mg), lomenoxacin (100mg), tosunoxacin (150mg) を手術3時間前同時に経口投与し歯肉と血清中への移行濃度を測定した結果, OFLX濃度は, 歯肉において0.74±0.4μg/g, 血中濃度は0.99±0.5μg/mlで他の2剤より高かった。
    3) OFLXの臨床的有用性は, 著効2例, 有効17例, やや有効0例, 無効が1例であった。点数判定による有効率は3日目で76.9%, 5日目で80%で安全性にも問題はなかった。以上よりOFLXは顎口腔領域感染症に対し有用な抗菌剤であると考えられた。
  • 河田 幸道他
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1368-1384
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用カルバペネム系薬剤, biapenem (BIPM) の複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬とした二重盲検比較試験を行った。BIPMは1回300mg (L群), IPM/CSは1回500mg/500mg (1群) をいずれも1日2回, 5日間点滴静注後に, UTI薬効評価基準に従って臨床効果を判定した。総投与症例219例中L群の98例, 1群の102例を有効性の評価対象としたが, 年齢分布においてL群が高齢者側に偏っていた (p<0.1) 以外, 患者背景因子に関して両群間に有意差を認めなかった。総合有効率はL群で82.7%, 1群で77.5%, 細菌消失率はL群の163株中90.2%, 1群の161株中86.3%であり, いずれも両群間に有意差を認めなかった。副作用はL群の107例中2例 (1.9%), 1群の112例中2例 (1.8%), 臨床検査値の異常変動はL群の105例中10例 (9.5%), 1群の109例中8例 (7.3%) に認められたがいずれも両群間に有意差を認めず, また概括安全度, 有用性に関しても両群間に有意差を認めなかった。これらの成績から, BIPMの1回300mg, 1日2回投与は, IPM/CSの1回500mg/500mg, 1日2回投与と同様に, 複雑性尿路感染症に対して有用な治療法であると考えられた。
  • 古西 満, 森 啓, 前田 光一, 三笠 桂一, 澤木 政好, 成田 亘啓, 藤村 吉博, 吉岡 章
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1385-1390
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ST合剤服用後副作用を認めたHIV感染症症例7例 (平均年齢: 29.9歳) について検討した。6例は血友病症例, 1例は血友病症例の妻であった。ST合剤は4例に対してはPneumocystis carinii肺炎の治療目的, 3例に対しては予防目的で投与され, 初回のST合剤投与量は2錠から12錠/日であった。副作用は4例に認め, ST合剤投与後9日から16日に出現し, 皮疹, 発熱, 全身倦怠感であった。臨床検査値異常は7例全例に認め, ST合剤投与後7日から22日に出現し, 肝機能障害, 白血球減少, 血小板減少, 腎機能障害, アミラーゼ上昇, DICであった。6例ではST合剤を継続投与できたが, 1例は投与を中止した。我々の経験からHIV感染症症例でのST合剤の副作用は投与後1か月以内の早期に出現した。
  • 宮井 正博
    1994 年 42 巻 12 号 p. 1391-1396
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1) 気管支肺胞洗浄 (bronchoalveolar lavage: BAL) を用いてaspoxicimn (ASPC) の気管支肺胞系移行性を検討した。
    2) 対象22症例を2群に分け, ASPC 1gを単独またはcefmenoxime (CMX) 1gとともに静注した。1時閥後のASPC濃度は血清で, 37.53±17.3μg/ml, 気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) で0.307±0.409μg/mlであった。一方, CMX濃度は血清で41.4±14.9μg/ml, BALFで0.209±0.241μg/mlで, ASPCはCMXよりも良好な気道移行性を示した。また我々がすでに検討し, 報告したaztreonam (AZT), astromicin (ASTM), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) などの成績と比較しても, OFLX, ASTMに次いで良好な移行性を示した。
    3) ASPC濃度/アルブミン濃度比も22例中14例において血清よりもBALFで高値であった。
    4) 基礎疾患別のASPC濃度は, 慢性気道感染症で高値をとる傾向が認められた。
  • 1994 年 42 巻 12 号 p. 1404
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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