CHEMOTHERAPY
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42 巻, 3 号
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  • 徳江 豊, 菅野 康吉
    1994 年 42 巻 3 号 p. 283-289
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌におけるキノロン薬耐性とgyrA遺伝子の点変異との関連を明らかにし, gyrA遺伝子の点変異の簡便な同定法の開発およびその有用性を確かめる目的で, 36株の臨床分離黄色ブドウ球菌 (キノロン耐性菌29株・感受性菌7株) のgyrA遺伝子をpolymerasechain reaction (PCR) で増幅し, 放射性物質 (RI) を使用しない一本鎖DNA高次構造多型Single Strand Conformation Polymorphism (Non-RISSCP) 法で変異の有無を検討した。同時にPCRで増幅したDNA断片を直接塩基配列決定法で解析した。その結果, キノロン耐性と関連する4種類の8yn4遺伝子の点変異が認められた。すなわち (1) Ser-84→Leu;(2) Ser-85→Pro;(3) Glu-88→Gly;および (4) Glu-88→Lysである。このうちGlu-88→Glyの点変異は今までに報告のない変異であった。さらにアミノ酸コドン86のATT→ATC変異 (アミノ酸は変化しない) が1株のキノロン感受性菌に認められたが, これも今までに報告のない変異であった。2種類の新しいタイプの二重点変異を含めた7種類の遺伝子変異株はすべて, 遺伝子変異のない野性株と1回のNon-RI SSCP法による電気泳動にて判別可能であった。以上より, このNon-RI SSCP法はキノロン薬耐性と関連するgyrA遺伝子の点変異の有無とともにその変異型の推定まで可能な新しい同定法であり, 迅速, 簡便, かつ有用性の高い検査法と考えられた。
  • 三上 襄, 矢沢 勝清, 西村 和子
    1994 年 42 巻 3 号 p. 290-296
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいトリアゾール系抗真菌剤itraconazole (ITZ) の生体内活性代謝産物であるhydroxyitraconazole (ITZ-OH) の16菌種の臨床分離株に対するin vitro抗真菌活性をITZと8種類の対照薬剤との比較で検討した。4種の培地を用いた微重液体希釈法で比較した結果, いずれの菌種に対してもITZ-OHとITZとの間には, 活性に差が認められなかった。MIC値におよぼす培地の影響を検討した結果, Aspergillus fumigatusではITZ-OHおよびITZのいずれにおいても, brain heart infusion (BHI) 培地で低いMIC値を示し, 次に“synthetic aminoacid medium-fungal”(SAAMF) 培地であった。しかしCandida albicansではBHI培地でのMIC値の判定が難しかった。一方, 1%グルコース含有yeast nitrogenbase (YNBG) 培地では, BHIやSAAMF培地に比べていくぶんMIC値が高くなる傾向が観察された。ITZ-OHは, C.albicansおよびCryptococcus neoformansに対しては, 8種の対照薬剤と比較した場合, 同じアゾール系のKCZと同等の低いMIC値を示した。A.fumigatusに対しては, ketoconazole (KCZ) よりも強く, 最も低いMIC値を示したが皮膚糸状菌に対しては, 対照薬剤であるamphotericin B (AMPH-B), bifonazole (BFZ), clothmazole (CTZ), nuconazole (FLCZ), griseofulvin (GRF), KCZ, miconazole (MCZ) とほぼ同様のMIC値を示した。
  • 山城 芳子, 島倉 雅子, 高畑 正裕, 保田 隆, 林 浩一郎
    1994 年 42 巻 3 号 p. 297-304
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Stapkylococcus aureusによるマウス骨髄炎モデルを作成し, tosufloxacin (TFLX) の効果を, 骨髄炎に対する臨床適応を有しているlomefloxacin (LFLX) と比較した. マウスの尾静脈より臨床分離のS. aureus F-1478株を107~108CFU/mouse接種したところ, 菌接種1日後に大腿骨当たり105CFUの菌が検出され, 28日後もすべてのマウスの大腿骨から菌が検出された。また, 菌接種7日後のX線像では骨破壊や骨膜反応が, 病理組織像では好中球の浸潤や骨新生像が確認され, ヒトにおける骨髄炎と類似した病態を作成することができた。このモデルにおいて, TFLX 25mg/kgを菌接種の1時間後に1回経口投与したところ優れた効果が得られ, 菌接種7日後でも大腿骨内菌数は無処理群よりも有意に低かった。同様の効果は, TFLX 25mg/kgを菌接種の1時間前と3時間後の2回経口投与した場合にも認められた。しかし, 菌接種1時間前のみ, あるいは3時間後のみの投与では効果は持続せず, 各々菌接種の5日後および3日後には無処理群と同程度の大腿骨内菌数を示した。また, 菌接種1時間後の投与でも, 投与量を10mg/kgにすると効果は得られなくなった。一方, LFLXではいずれの投与系でも菌数の減少は認められなかった。25mg/kg経口投与時の大腿骨内の薬剤濃度を調べると, TFLXでは少なくとも4時間後まで4MIC (MIC 0.2μg/ml) 以上の濃度を維持していたが, LFLXでは2 MIC (MIC 3.13μg/ml) 以上の濃度に達することはなく, このことが骨髄炎モデルでの効果に反映しているものと思われた。
  • 宇治 達哉, 古川 哲心, 清水 千絵, 兵頭 昭夫, 石田 直文, 戸塚 恭一, 清水 喜八郎
    1994 年 42 巻 3 号 p. 305-310
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Klebsiella pnemonnに対するgentamicin, cefodizimeおよびceftazidimeの再増殖抑制作用におよぼす白血球の影響をin vitroおよびin vivoで検討した。各薬剤の4MICで前処理した菌の増殖は白血球存在下で薬剤非処理菌に比べ抑制された。一方, マウスの敗血症モデルにおいて, 菌の増殖は各薬剤投与によりX線照射マウスに比べて正常およびG-CSF投与マウスで有意に抑制された。これらのことより, gentamicinとともにcefodizime, ceftazidimeにおいても生体防御因子との協力作用により, 再増殖抑制効果の増強が認められることが明らかとなった。
  • 荒田 次郎他
    1994 年 42 巻 3 号 p. 311-325
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    エステル型新経口セフェム系薬剤であるS-1108の皮膚感染症に対する至適臨床用量を知るための多施設共同による二重盲検比較試験を行った。S-1108 75mg 1日3回 (S225群), S-1108 150mg1日3回 (S450群), cefaclor (CCL) 250mg 1日3回 (CCL群) を比較検討した。対象疾患は, II群 (痴, 痴腫症, よう), IV群 (丹毒, 蜂巣炎 (蜂窩織炎), リンパ管 (節) 炎) とした。内服期間は7日間とし, 3日後, 5日後, 7日後に評価した。
    1.総症例数は51例 (S225群17例, S450群17例, CCL群17例) であり, 有効性は43例 (それぞれ13例, 14例, 16例) で, 安全性は47例 (それぞれ14例, 16例, 17例) で, 有用性は44例 (それぞれ13例, 15例, 16例) で解析した。
    2.最終全般改善度: 有効率はS225群92.3%, S450群92.9%, CCL群93.8%であった。著効率はそれぞれ53.8%, 50.0%, 31.3%であった。これらに有意差はなかった。
    3.概括安全度: 安全率はS225群92.9%, S450群87.5%, CCL群94.1%で, 3薬剤群間に有意差はなかった。
    4.有用性: 満足率はS225群で92.3%, S450群86.7%, CCL群93.8%で3薬剤群間に有意差はなかった。
    5.評価日別全般改善度: 治癒率は3日後でS225群7.7%, S450群16.7%, CCL群0%, 5日後でそれぞれ15.4%, 28.6%, 0%, 7日後でそれぞれ53.8%, 57.1%, 18.8%であった。5日後治癒率でS450群がCCL群に比し高い傾向にあった (P=0.079)。
    6. Staphylococcus aureus単独分離例の細菌学的効果: S 225群2/2, S 450群6/7, CCL群4/7が消失した。CCL群に存統例が多いようにみえるが有意差はない。
    7.副作用: S450群に2例 (下痢1例, 軟便1例), CCL群に1例 (悪心・嘔吐) があった。
    8.臨床検査値: 異常変動例はなかった。
    以上より.S225, S450, CCLは同等の効果, 安全性を示すと考えられた。各観察日における治癒率の推移を考慮し, 実際に臨床的に応用された場合の量症度のばらつきも考えて, S-1108 150mg1日3回内服が妥当な臨床用量であると結論した。
  • 荒田 次郎他
    1994 年 42 巻 3 号 p. 326-345
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型経口セフェム系薬剤であるS-1108の皮膚科領域での有効性, 安全性, 有用性を客観的に評価するためcefaclor (CCL) と二重盲検比較試験を多施設共同で行った。S-1108 150mg 1日3回食後内服, CCL 250mg 1日3回食後内服を, S-1108群はS-1108錠 (75mg) 2錠とCCLプラセポカプセル1カプセル, CC群はS-1108プラセポ錠2錠とCCLカプセル (250mg) 1カプセル内服で比較した。対象疾患は第11群 (痴, 痴種症, よう), 第IV群 (丹毒, 蜂巣炎 (蜂窩織炎), リンパ管 (節) 炎) とし, インフォームドコンセントの得られた患者を対象とした。内服期間は7日間とし, 3日後, 5日後 (重点評価日), 7日後に評価した。
    1.最終全般改善度: 有効率はS-1108群 (95例) 90.5%.CCL群 (88例) 89.8%で両薬剤群間に有意差はなかった。
    2.概括安全度: 安全率はS-1108群 (96例) 91.7%, CCL群 (93例) 90.3%で両薬剤群間に有意差はなかった。
    3.有用性: 有用率はS-1108群 (95例) 89.5%, CCL群 (88例) 88.6%で両薬剤群間に有意差はなかった。
    4.疾患群別有効率: II群ではS-1108群 (68例) 91.2%, CCL群 (64例) 93.8%, IV群ではS-1108群 (27例) 88.9%, CCL群 (24例) 79.2%であった。両薬剤群間にいずれの疾患群も有意差はなかった。
    5. 細菌学的効果: 除菌率はS-1108群 (52例) 88.5%, CCL, 群 (53例) 86.8%であり有意差はなかった。複数菌の一員として検出されたものを含めてのStaphylococcus aureusの除菌率はS-1108群 (25株) 100%, CCL群 (27株) 81.5%でS-1108群が優れる傾向 (p=0.052) を示した。
    6.副作用: S-1108群 (96例) に下痢1例, 軟便1例の計2例 (2.1%), CCL群 (93例) に心窩部痛が1例 (1.1%) あった。
    7.臨床検査値異常: S-1108群 (77例) 6例7.8%, CCL群 (76例) 4例5.3%で有意差はなかった。
    以上, 浅在性化膿性疾患の治療において, S-1108 150mg 1日3回内服は, CCL 250mg 1日3回内服と同等の有効性, 安全性, 有用性を有すると考えられた。特にS. aureus感染症に有用性を発揮し得ると思われる。
  • 新津 望, 梅田 正法
    1994 年 42 巻 3 号 p. 346-350
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    非ホジキンリンパ腫 (NHL) のいろいろな化学療法のレジメンに対しG-CSFの効果を検討し, 感染症の頻度, 副作用などについて検討した。対象は, NHL 108例でうち67例が初発例, 41例が再発例であった。G-CSF使用例では化学療法後の顆粒球数最低値の上昇, 顆粒球数1,000/μl以下の期間の短縮, 37.5℃ 以上の発熱期間の短縮を認めた。冶療法別の検討では, 再発例特にACVP-16療法施行例で顆粒球数最低値の有意な低下および顆粒球数1,000/μl以下の期間の延長を認めた。37.5℃ 以上の発熱はG-CSF使用例で40%, 非使用例で80%と使用例の方が非使用例に比し有意に発熱の頻度が減少した。G-CSFの副作用は, 骨痛11%, 発熱20%, 肝機能障害4%, 肺炎4%に認めた。骨痛, 発熱, 肝機能障害は一過性で, 投与中止にて改善した。G-CSF併用による化学療法は, 顆粒球数減少期間の短縮を認め, 感染症の頻度を減少させ有効な治療方法と思われた。また, G-CSFの副作用は少なく安全に使用できると考えられた。
  • Cefotiamとcefuzonamの効果の比較
    伊藤 浩一, 石原 博, 毛利 紀章, 久田 正純, 真下 啓二, 水野 章, 石川 周, 品川 長夫, 由良 二郎
    1994 年 42 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1990年7月より1992年8月までに定期手術を施行した肝胆道系手術症例を対象として, 術後感染予防としてのcefotiam (CTM) とcefuzonam (CZON) の効果について比較検討した。上記2剤を無作為に割り付けし, 第1回投与は手術開始と同時に2gを点滴静注した。第2回以後は19を8時間毎に点滴静注し, 合計4日間以内の投与を原則とした。解析対象はCTM群64例, CZON群63例の合計127例であった。平均年齢, 男女比, 対象疾患, 対象手術および術前の臨床生化学検査値などの背景因子については両群に有意差は認められなかった。術後感染症の発症率は, CTM群10例 (15.6%), CZON群8例 (12.7%) であり, 有意差はなかった。薬剤の副作用および臨床検査値の変動についても両群に差は認めなかった。以上より肝胆道系手術の感染予防においてCTMとCZONは同等の効果があると考えられた。
  • 1994 年 42 巻 3 号 p. 357-389
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 42 巻 3 号 p. 389-405
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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