CHEMOTHERAPY
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42 巻, 5 号
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  • 松本 哲朗, 原岡 正志, 水之江 義充, 高橋 康一, 久保 周太, 佐久本 操, 田中 正利, 坂本 泰樹, 熊澤 淨一
    1994 年 42 巻 5 号 p. 573-579
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    腎盂腎炎における感染後の腎瘢痕化予防法についてラットの腎実質内直接感染モデルおよび膀胱内接種による上行性感染モデルを用いて検討した。腎実質内直接感染モデルにおいて, MS線毛保有細菌は無線毛細菌, MR線毛細菌に比し, 有意に瘢痕形成が強かった。ラットにあらかじめサイクロフォスファミドを投与し, 白血球減少状態にした場合, MS線毛細菌感染後の瘢痕形成は有意に弱かった。また, MS線毛細菌の感染後プレドニゾロン (Pred) とウリナスタチン (UST) を投与したが, いずれも強い瘢痕形成抑制作用が認められた。Predは1~2mg/kg, USTは1,000~4,000unit/kgの投与量が至適濃度と考えられた。これらの抗炎症剤の投与は腎内生菌数の推移には影響していなかった。また, 上行性腎孟腎炎モデルで検討した結果, 抗菌剤としてのシプロフロキサシン (CPFX) は感染6時間以内に投与すると腎瘢痕形成を完全に抑制したが, 72時間後では瘢痕形成を抑制しなかった。抗菌剤の投与が遅れた場合Predを併用すると腎瘢痕形成は有意に抑制された。以上の結果より, 腎盂腎炎に引き続く, 腎瘢痕形成は細菌側要因としてMS線毛が関与し, 宿主側要因として多核白血球が強く関与していた。この瘢痕形成の予防には感染早期の抗菌剤投与がもっとも良いが, 投与が遅れた場合は至適用量の抗炎症剤の併用が必要と思われた。
  • エンドトキシンと炎症性サイトカインによるプライミング効果
    斧 康雄
    1994 年 42 巻 5 号 p. 580-591
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    グラム陰性桿菌による敗血症患者20名の末梢血の全血と好中球の活性酸素産生能を非オプソニン化zymosanやphorbol myristate acetate (PMA) を刺激物としてルミノール依存性化学発光 (CL) 法を用いて検討した。10倍希釈した全血と好中球のCL反応はこれら患者では, 健常人と比較して有意に増強していた。末梢血中の顆粒球数も多くの症例で増加していた。敗血症患者の食細胞のCL反応が何故増強しているのかを明らかにするために, 健常人の食細胞のCL反応におよぼすtumor necrosis factor-α (TNF-α), interleukin-1β(IL-1β), IL-6などの炎症性サイトカインとlipopolysaccharide (LPS: endotoxin) のプライミング効果について検討した。これらのサイトカインやLPSは, 重症のグラム陰性桿菌敗血症患者の血清中においてしばしば検出可能である。全血と好中球を種々の濃度の各種サイトカインやLPSと共に37℃で10分間ないし60分間保温し, zymosanやPMAにより誘導されるCL反応を20分間の積算値で測定し, サイトカインやLPSのCL反応におよぼす効果を比較した。TNF-αやLPSであらかじめ保温しておくと, 好中球のCL反応の増強がそれぞれ1U/ml, 100ng/ml以上の濃度で認められた。同様の成績は, 希釈した全血においても得られた。一方, IL-1βやIL-6においては, 好中球を1-100ng/mlの種々の濃度で10分間ないし60分間保温しても有意なプライミング効果は見られなかった。TNF-αを全血試料にさらす前に, あらかじめマウス抗TNF-αモノクローナル抗体 (TNF-α MAb) やTNF結合蛋白II (TNF-BPII) で10分間37℃で前処理しておくと, TNF-αによるプライミング効果が有意に抑制され, これらの抑制効果は濃度依存性に認められた。本研究では, TNF-αによりプライミングされるヒト全血のCL増強効果をTNF-αMAbやTNF-BPIIが抑制する能力があることを明らかにした。これらの知見は, グラム陰性桿菌敗血症や敗血症性ショックを伴う患者, 特に活性酸素のような有毒物質の過剰放出により引き起こされる好中球を介する臓器傷害を来たすような症例において, 補助療法として役立つかもしれないということを示している。
  • 北山 理恵子, 南 新三郎, 堀井 妙子, 前花 淳子, 保田 隆, 渡辺 泰雄, 成田 弘和, 出口 浩一
    1994 年 42 巻 5 号 p. 592-598
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1982年から1990年までに臨床分離されたStreptococcus pneumoniae40株の経口抗菌薬に対する感受性を測定した。その結果, benzylpcmicillin (PCG) 低感受性株は5株あり, 耐性株は認められなかった。PCG感受性株 (35株) に対するMIC80はcefteramおよびamoxicillinがもっとも優れ, 次いでcefuroxime, cefpodoxime>cefdinir> cefotiam> tosufloxacin, cefixime>sparfloxacin>levofloxaciti, cefaclor>ciprofloxacin. ofloxacin, cephalexin>ceftibuten, minocycline>josamycin, erythromycin, clarithromycinの順であった。PCG低感受性株 (5株) に対しては, amoxicillin, cefteram, cefuroxirne, cefpodoxime, cefdinir, cefotiamおよびtosunoxacinが優れた抗菌力を示した。β-ラクタム系経口抗菌薬間の感受性相関を検討した結果, 7位側鎖にオキシイミノ基および2-カルポキシエチリデン基を持っセフェム剤に対して, 特異的に感受性が低下した株が認められた。
  • 若林 栄二, 保坂 雅喜, 平井 敬二
    1994 年 42 巻 5 号 p. 599-604
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Fleroxacinの殺菌作用をin vitro pharmacokinetic modelを用いて検討した。Fleroxacin 300mg 1日1回内服時の血中濃度推移を再現したモデルにおいてStaphylococcus aureusおよびEscherichia coliは速やかに殺菌され, 24時間regrowthは観察されなかつた。一方, Pseudomonas aeruginosaは薬剤添加後, 検出限界以下まで殺菌されたものの, 12時間後よりregrowthがみられた。このregrowthは12時間後に薬剤を再添加 (1日2回内服) したモデルにおいても抑制されず1日1回内服モデルと同等の効果であった。このin vitro modelを用いて, fleroxacinの殺菌作用におよぼす薬動力学的パラメーターの影響を検討した結果, fleroxacin添加後の殺菌力はピーク濃度に, その後の菌増殖抑制効果は薬剤消失速度 (あるいはTime above MIC) に依存していた。
  • 山口 覚, 柴田 昌彦, 竹尾 浩美
    1994 年 42 巻 5 号 p. 605-609
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離されたmethicillin-resistant Staphyloccoccus aureus (MRSA) 28株のうちclindamycin (CLDM) とimipenem (IPM) の両方に耐性を示す15株に対して両剤のin vitroでの併用効果を検討した。Checkerboard法ではこの2剤の組み合わせにおいて37℃ 培養で15株中9株が, 32℃ 培養で15株すべてがfractional inhibitory concentration (FIC) index 0.50以下を示した。もっとも低いFIC index (0.16) が得られたNo.14株に対する経時的殺菌曲線においてもCLDM 100μg/ml (1/8MIC) とIPml, 56μg/ml (1/32 MIC) の組み合わせで増菌抑制が認められた。以上の結果から高度耐性MRSAに対してCLDMと IPMとの併用により相乗作用が発現することが示唆された。
  • 藤村 茂, 斎藤 邦人, 渡辺 彰, 水柿 道直
    1994 年 42 巻 5 号 p. 610-615
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染褥瘡より分離されたMRSAのsulfamethoxazole-trimethophm (ST), vancomycin (VCM), arbekacin (ABK), minocycline (MINO) に対する感受性を測定すると共に耐性獲得の検討を行い, あわせてST合剤軟膏を作製してMRSA感染褥瘡例に対する基礎的臨床的検討を行った。MRSAに対してSTはVCM, ABK, MINOと同等の優れた抗菌力を示した。耐性獲得試験ではSTは他剤と同様に中等度の耐性獲得が認められた。さらにMRSA感染褥瘡6例に, ST合剤軟膏を1日1回投与したところ, 平均34日で褥瘡が閉鎖し全例が治癒した。治療中にMRSAのST耐性獲得は全例で認められなかった。副作用として一時的な倍量投与時に日光浴によって光線過敏症が1例に認められたが, ステロイド軟膏と亜鉛華軟膏による治療により消失した。以上の結果より, ST合剤軟膏はMRSA感染褥瘡に対して有用であることを確認した。
  • 斎藤 厚他
    1994 年 42 巻 5 号 p. 616-638
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規経口用ペネム系抗菌薬SY 5555の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, cefotiamhexetil (CTM-HE) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験を行った。SY 5555は1回300mg (SY5555群) を, CTM-HEは1回200mg (CTMHE群) を, それぞれ1日3回, 原則として14日間経口投与し, 以下の成績を得た。
    1) 臨床効果: 有効率はSY 5555群90.2%(83/92), CTM-HE群85.1%(86/101) であり, SY 5555はCTM-HEと比較し, 統計学的に同等の成績を示した。
    2) 細菌学的効果: 細菌の消失率はSY 5555群77.4%(24/31), CTM-HE群89.2%(33/37) であったが, 両者に有意差はみられなかった。
    3) 副作用: 発現率はSY 5555群7.2%(8/111), CTM-HE群6.3%(7/111) の頻度でみられた。両群ともに消化器症状が主なものであったが, 重篤なものはなかった。
    4) 臨床検査値異常: 発現率はSY 5555群19.6%(21/107), CTM-HE群16.8%(18/107) であった。両群とも好酸球増多と肝機能異常が主であり, その程度はほとんどが軽度であった。
    5) 有用性: 有用率はSY 5555群88.3%(83/94), CTM-HE群81.4%(83/102) であり, 両者に有意差はみられなかった。
    以上の成績から, SY 5555はCTM-HEと比較して同等の臨床効果を示し, 安全性にも特に問題はなかったことから, 細菌性肺炎に対して有用性の高い抗菌薬であると考えられる。
  • 渡辺 彰他
    1994 年 42 巻 5 号 p. 639-646
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症患者を対象に無作為割付けでonoxacin 600mg/日の2週間毎投薬/休薬の間歇投与 (A群) と200mg連日投与 (B群) を6か月間行い, 急性増悪反復の抑制効果その他を比較した。効果判定は気管支拡張症19例 (A群/B群=同12/7), 肺気腫18例 (同6/12), 慢性気管支炎10例 (同5/5), 陳旧性肺結核5例 (同2/3), DPB 4例 (同1/3), 多発性肺嚢胞1例 (同0/1) の計57例 (同26/31) で行い, 除外した9例を加えた66例で安全性を判定した。試験開始前後の急性増悪の回数 (1例毎6か月当たり補正値) はA群で2.66回から0.98回に, B群で2.55回から0.59回に共に統計学的に有意に減少した。試験開始後の急性増悪 (A群13例で20回, B群10例で16回) 時にA群でHaemophilus influenzae等の有意菌が多く分離された。急性増悪に対してA群の半数では入院後に注射剤の投与によりおおむね有効が得られ, B群では外来でonoxacinを600mg/日へ増量して改善した例が多かった。持続検出緑膿菌12例中1例でonoxacinのディスク感受性が3+から1+に低下した。5例でめまい・不眠, 食欲不振等の副作用を認めた。GOT・GPTの軽度上昇を1例に認めたが中止後改善した。上記方法は慢性気遭感染症の外来長期管理に有用であり, 特に少量連日投与法が優れていた。
  • 1994 年 42 巻 5 号 p. 647-673
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 42 巻 5 号 p. 674-686
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 42 巻 5 号 p. 696
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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