新規経口用ペネム系抗菌薬SY 5555の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, cefotiamhexetil (CTM-HE) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験を行った。SY 5555は1回300mg (SY5555群) を, CTM-HEは1回200mg (CTMHE群) を, それぞれ1日3回, 原則として14日間経口投与し, 以下の成績を得た。
1) 臨床効果: 有効率はSY 5555群90.2%(83/92), CTM-HE群85.1%(86/101) であり, SY 5555はCTM-HEと比較し, 統計学的に同等の成績を示した。
2) 細菌学的効果: 細菌の消失率はSY 5555群77.4%(24/31), CTM-HE群89.2%(33/37) であったが, 両者に有意差はみられなかった。
3) 副作用: 発現率はSY 5555群7.2%(8/111), CTM-HE群6.3%(7/111) の頻度でみられた。両群ともに消化器症状が主なものであったが, 重篤なものはなかった。
4) 臨床検査値異常: 発現率はSY 5555群19.6%(21/107), CTM-HE群16.8%(18/107) であった。両群とも好酸球増多と肝機能異常が主であり, その程度はほとんどが軽度であった。
5) 有用性: 有用率はSY 5555群88.3%(83/94), CTM-HE群81.4%(83/102) であり, 両者に有意差はみられなかった。
以上の成績から, SY 5555はCTM-HEと比較して同等の臨床効果を示し, 安全性にも特に問題はなかったことから, 細菌性肺炎に対して有用性の高い抗菌薬であると考えられる。
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