CHEMOTHERAPY
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42 巻, Supplement2 号
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  • 東谷 房広, 三橋 進, 井上 松久
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 1-25
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-Lactamase阻害剤tazobactam (TAz) とpiperacillin (PIPC) の1:4配合剤TAZ/PIPCのin vitroおよびin vivo抗菌作用についてclavulanic acid/ticarcillin (CVA/TIPC), sulbactam/ampicillin (SBT/ABPC), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) およびPIPC, CPZ, cefotiam (CTM) と 比較検討した。
    TAZ/PIPCはPseudomonas aeruginosaを含む標準菌株に対して幅広い抗菌スペクトルを有 し, ペニシリン系薬剤の中ではグラム陽性菌の一部を除いて最も強い抗菌力を示した。TAZ/PIPCは各菌種の代表的β-lactamase産生菌に対しても良好な抗菌力を示し, 特にすべ てのペニシリナーゼ (PCase) 産生菌およびXanthomonas maltophiliaなどのL-1型を除くオキ シイミノセファロスポリナーゼ (CXase) 産生菌に対して最も優れた抗菌力を示した。臨床 分離株に対する抗菌活性を15菌種726株を用いて調べた結果, β-lactamase産生菌の多く 存在する菌種においてTAZとPIPCの相乗効果が認められ, その値はPIPCおよび他の配合 剤よりも優れており, Proteus vulgarisMorganella morganiiなどのCXase, セファロスポリ ナーゼ (CEPase) 産生菌種ではcephem剤よりも優れた抗菌力を示した。メチシリン感受性Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae P.vulgarisおよびM. morganiiの5菌種β-lactamase産生臨床分離株に対するTAZ/PIPCの最小発育阻止濃度と最小殺菌濃度 との差はほとんど認められず, 増殖曲線に及ぼす影響からもTAZ/PIPCの強い殺菌作用が 証明された。β-Lactamase産生のE. coli, K. pneumoniaeおよびP. vulgarisを用いたマウス全身 感染モデルを用いた治療効果の検討によりTAZ/PIPCはCVA/TIPC, PIPCよりも2~10倍優 れた治療効果を示し, その強い抗菌活性がin vivoにおいても確認された。
  • 東谷 房広, 三橋 進, 井上 松久, 宇治 達哉, 欅田 千恵子, 兵頭 昭夫, 石田 直文
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 26-33
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-Lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) とペニシリン系抗生物質piperacillin (PIPC) の併用 による抗菌作用および両剤の至適配合比の検討を行った。
    1) TAZとPIPCの至適配合比上検討するため配合比上種々変化させMIC値の検討上行った。TAZ: PIPCの配合比が1:8~2:1の間でPIPC耐性菌に対して最も強い抗菌力上示した。
    2) TAZとPIPCの配合比上変化させてマウス感染実験における治療効果上検討したところ, in vitro試験と同様の配合比の範囲でPIPCよりも優れた治療効果上示した。
    3) PIPC耐性β-lactamase産生菌に対して, PIPCに少量のTAZ上添加すると著しい抗菌力の増強が認められた。
    4) 生菌中のβ-lactamaseに対してもTAZ少量で強い阻害作用上示し, その阻害効果は 反応2時間以内に平衡になった。
    5) Tazobactam/piperacillin (TAZ: PIPC=1:4製剤) 2.5g静注時のヒト血漿中濃度上シミュレーションしたin vitro pharmacokinetic modelにおいてEscherichia coliTEM1に対する殺菌 作用はPIPC単剤よりもはるかに優れたものであった。
  • 三宅 美行, 宮崎 修一, 辻 明良, 金子 康子, 山口 恵三, 五島 瑳智子
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 34-50
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいβ-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) との1: 4の配合剤で あるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vitroおよびin vivoにおける抗菌力を既存のβ-ラクタム系抗生物質と比較検討した。
    TAZ/PIPCはグラム陽性菌および陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを示し, 陽性菌 では対照薬剤のなかで最も強く, 陰性菌においてもimipenem, ceftazidimeにつぐ強い抗菌 力を示した。特にβ-ラクタマーゼ産生株では配合相手であるPIPCよりも強い抗菌力を示 した。
    マウス全身感染治療実験において TAZ/PIPCは試験株のすべてに優れた治療効果を認 め, とくにβ-ラクタマーゼ産生株の感染ではPIPCよりも優れた治療効果を示した。また, TAZ/PIPCのβ-ラクタマーゼ非産生株単独感染での治療効果はPIPCとほぼ同様であったが, 産生株との混合感染においては明らかにPIPCより優れていた。β-ラクタマーゼ産生株であるEscherichia coli KU-3によるマウス尿路感染治療実験で, TAZ/PIPC投与マウスは PIPC投与マウスに比較して速やかな腎内生菌数の減少が観察された。また, 同様の方法にて尿路感染時の腎内PIPC濃度を測定したところ, PIPC投与群ではβ-ラクタマーゼによる分解を受けPIPC濃度はTAZ/PIPC投与群より有意に低下していたが, TAZ/PIPC投与群は正常マウスとほぼ同様であり, 分解を受けなかった。
    さらに, 臨床治療時を想定したヒト血中濃度シミュレーションシステムを用いてTAZ/PIPCの殺菌効果をβ-ラクタマーゼ産生株についてPIPCと比較したところ, TAZ/PIPCは PIPCより著明な生菌数の減少と再増殖の遅延が認められた。またE. coliKlebsiella Pneumoniaeの混合接種においてもTAZ/PIPCはPIPCと比べ両菌に対し著明な殺菌作用が認められた。混合感染などβ-ラクタマーゼ産生株による感染治療においてTAZ/PIPCが優れた治療効果を示したのは, 感染部位に産生されたβ-ラクタマーゼによるPIPCの分解をTAZが阻害するためPIPC本来の抗菌力が発揮されたことによると考えられた。
  • 桑原(新井) 京子, 横田 健
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 51-61
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) Staphylococcus aureus, methicillin-resistant S. aureus, coagulase-negative staphylococci, Streptococcus pyogenes, β-streptococci, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichia coli CS2 (R +), Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepacia, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter calcoaceticus, ampicillin 耐性Haemophilus influemaeおよびBacteroides fragilisの15~50臨床分離株に対するMIC80は, それぞれ12.5, 100, 6.25, 0.05, 0.39, 0.05, 6.25, >100, 12.5, 3.13, 0.78, 0.78, 3.13, 50, 50, 100, 25, 100, 6.25, >100, 25, 0.39および12.5μg/mlであった。TAZ/PIPCは, sulbactam/cefoperazon (SBT/CPZ) よりもstreptococci, K. pneumoniaeおよびP. cepaciaに対してやや優れた抗菌力を示したが, A.calcoaceticusに対する抗菌力は弱かった。TAZ/PIPCは, S.aureusの PBPs2と3に, E.coliのPBPs 1a, 1bsおよび3に対して結合親和力が強かった。TAZは, 各種β-lactamaseに対するKi値が低く, SBTよりもIc型, III (TEM) 型およびIVb型に対して強 い不活化力を示した。TAZ/PIPCの血清補体との協力作用は強く, マウス培養macrophage (Mφ) は1/2MIC以上のTAz/PIPC存在下でE. coliの生細胞をよく食菌消化した。
  • 渡辺 邦友, 田中 保知, 加藤 直樹, 田中 香お里, 加藤 はる, 上野 一恵
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 62-72
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam (TAZ)/piperacillin (PIPC) の嫌気性菌に対するin vitro抗菌力を参考菌株および臨床分離株238株を用いて検討した。TAZ/PIPCはβ-lactamase産生性でPIPCに耐性の株を含むBacteroides frugilisおよびPrevotella biviaに優れた抗菌力を示し, Peptostreptococcus spp.などPIPCに対して本来感性を示す菌種に対しても強い活性を保持していた。B. fragilis GAI 0558, 7955, 10150とP. bivia ATCC 29303, GAI-4100のβ-lactamase活性はTAZ により強く阻害された。
    次にβ-lactamaseを産生しPIPCに耐性を示すB. fragilis2株とPIPCに感性のEscherichia coliまたは度Enterococcus faecalisのそれぞれ1株を用いた2種の混合菌による腹腔内膿瘍モデルを用い, TAZ/PIPCの膿瘍形成阻止効果を検討した。B. fragilisE. faecalislこよる膿瘍形成 に対し, PIPC単独投与群ではPIPC耐性のB. fragilis (MIC: 100μg/ml), PIPC感性のE. faecalis (MIC: 3.13μg/ml) ともに菌数減少効果は見られなかったが, TAZ/PIPC投与群では有意 な菌数減少が見られた。さらにB. fragilis (MIC: 100μg/ml) とE. coli (MIC: 1-56μg/ml) によ る膿瘍形成に対して, PIPC単独投与群はPIPc感性のE. coliの菌数のみがわずかに減少する にとどまったが, TAZ/PIPC投与群では両菌種ともに菌数の有意な減少が見られた。感染 マウスを用いたPIPC単独投与とTAZ/PIPC投与時の膿瘍ホモジネート中のPIPC濃度の推移 はTAZ/PIPC投与群でPIPC単独投与の場合より高いレベルを維持して推移した。PIPCと TAZの併用による効果が, マウス膿瘍モデルにおいても確かめられた。
    TAZ/PIPCおよびPIPCの1日40mg/kgの5日間の皮下投与は, いずれもマウス盲腸内での Clostridium difficileの増殖を誘導した。
  • 西野 武志, 西田 幸一, 香本 晃良, 大槻 雅子
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 73-101
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) を1:4の割合で配合した製剤であるTAZ/PIPCのβ-lactamase産生菌に対するin vitroおよびin vivo抗菌力をPIPC, clavulanic acid/ticarcillin (CVA/TIPC), sulbactam/cefoperazolle (SBT/CPZ), cefoperazone, cefmetazole (CMZ) およびaspoxicillin (ASPC) を比較薬として検討し, 以下の結果を得た。
    TAZ/PIPCは腸球菌を含むグラム陽性菌, 緑膿菌を含むグラム陰性菌および嫌気性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを示した。β-lactamase産生の各種臨床分離株に対する抗菌力はすべての菌種においてPIPC, ASPCおよびCVA/TIPCより優れ, Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganiiおよびMoraxella catarrhalisに対してはcephem剤より優れていた。TAZ/PIPCの抗菌力に及ぼす諸因子の影響について検討したところ, 培地, 馬血清添加および接種菌量により影響をほとんど受けなかった。
    Checkerboard法による併用効果, 殺菌作用および形態に及ぼす影響の検討よりTAZとPIPCの配合で著しい相乗効果が認められ, またマウス実験的感染症に対する治療効果の検討ではin vivoにおいてもTAZのβ-lactamase阻害効果が確認され, in vitro抗菌力を反映したin vivo効果が認められた。
  • 野村 秀一, 永山 在明
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 102-115
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規β-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) を1:4の割合で配合したta zobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の新鮮臨床分離菌に対するin vitroの抗菌力を既存のβ-ラクタム剤PIPC, sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), cefoperazone (CPZ), ceftazidime (CAZ), clavulanic acid/ticarcillin (CVA/TIPC), cefotiam (CTM) と比較検討した。
    TAZ/PIPCはグラム陽性菌および陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有していた。methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA) に対する抗菌力はCTMとほぼ同等であり・他のβ-ラクタム剤より優れていた。Enterococcus faecalisに対してはPIPCと同等であり, 他のβ-ラクタム剤よりも強い抗菌力を示した。一方, 多くのグラム陰性菌に対する抗菌力はSBT/CPZ, CPZ, CAZ, CTMとほぼ同等であり, PIPC, CVA/TIPCより明らかに優れていた。
    β-Lactamaseを産生するEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Morganella morganii, Pseudomonas aeruginosaを用いた殺菌効果の検討では, TAZ/PIPCはPIPC, CVA/TIPCでは殺菌作用を示さない濃度においても強い殺菌作用を示した。
    TAZ/PIPCは1/4MIC存在下においてマクロファージのK. pneumoniae 109 (β-lactamase産生株) に対する殺菌作用を増強させた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 116-125
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年に検出した主な臨床分離株に対するtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の抗菌活性と共に, tazobactam (TAZ) + piperacillin (PIPC) の試験管内における抗菌併用効果を検討して, 以下の結果を得た。
    1. 主としてpenicillinaseを産生する菌種に対するTAZ/PIPCの抗菌活性は強く, β-ラクタマーゼ産生Haemophilus spp. に認められたTAZ/PIPCの強い抗菌活性からは, β-ラクタマーゼに対するTAZの阻害効果と共にTAZとPIPCの相乗的効果が示唆された。
    一方, 主としてcephalosporinaseもしくはoxyiminocephalosporinase産生のProteus vulgaris, Morganella morganii, Pseudomonas cepaciaに対するTAZ/PIPCの強い抗菌活性が認められることから, TAZのβ-ラクタマーゼ阻害スペクトルの拡大が示唆された。
    2. β-ラクタマーゼ産生Haemophilus influenzae, 同じくMoraxella subgenus, Branhamella catarrhalisを対象としたTAZ+ PIPCの抗菌併用効果は, 0.03~0.25μg/mlのきわめて低いTAZ濃度存在下において, 両薬剤の強い抗菌併用効果が認められた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 126-134
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    単独菌感染例における推定起炎菌の割合, 推定起炎菌と常在菌のβ-ラクタマーゼ産生性, さらに喀痰中のβ-ラクタマーゼの検出と喀痰中に添加したtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) と対照薬剤の回収試験を行い, 市中の下気道感染症患者採取喀疾中におけるβ-ラクタマーゼの意義について検討した。その結果, 以下の結果を得た。
    1.市中の下気道感染症301単独菌感染例における推定起炎菌は, Haemophilus influengaeStreptococcus pneumniaeの割合が高かったが, methicillin-resistant Staphylococcus aureus subsp. aureus, Pseudomnas aerugimsaも認められた。
    2.推定起炎菌が検出された喀痰301検体からは, 77.4%の割合でβ-ラクタマーゼ産生株が検出されたが, その内訳は推定起炎菌26.9%, 常在菌50.5%だった。
    3.供試した喀痰121検体中の67.9%にβ-ラクタマーゼが検出されたが, その割合は301検体を対象としたβ-ラクタマーゼ産生株の割合と概ね一致していた。そして, β-ラクタマーゼが検出された喀痰に添加したTAZ/PIPCの回収率は, piperacillin (PIPC) 単独を加えた場合に比べて回収率が高く, tazobactam (TAZ) の強いβ-ラクタマーゼ阻害効果が示唆された。
  • 欅田 千恵子, 西田 幸一, 東谷 房広, 兵頭 昭夫, 石田 直文, 釆見 憲男
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 135-155
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    大鵬薬品工業株式会社において新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるtazobactam (TAZ) とpenicillin系抗生物質のうち最も汎用されている富山化学工業株式会社のpiperacillin (PIPC) とを1:4に配合したtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) についてin vitro抗菌力を既存の抗生物質PIPC, clavulanic acid/ticarcillin (CVA/TIPC), sulbactam/ampicillin (SBT/ABPC), cefoperazone (CPZ), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), cefotiam (CTM), ceftazidime (CAZ) と比較検討した。
    Plasmid型β-lactamase産生株のうち, 最も分離率の高いTEM1産生株に対してTAZ/PIPCの抗菌力はPIPCに比べ16~64倍の増強が見られ優れた抗菌力を示し, CVA/TIPC, SBT/ABPCよりも優れ, SBT/CPZとほぼ同等であった。β-lactamaseを高度産生しているBacteroides属に対してはPIPCの抗菌力は弱かったが, TAZの添加により8~16倍抗菌力が増強した。臨床分離株に対するTAZ/PIPCの106CFU/ml接種時のMIC90 (μg/ml) を小さい順に示した。Streptococcus pyogenes (0.10), Moraxella (Branhamella) catarrhalis (0.10), Proteus mirabilis (0.78), Proteus vulgaris (1.56), Enterococcus faecalis (3.13), Staphylococcus epidermidis (6.25), Klebsiella pneumoniae (6.25), Morganella morganii (6.25), Escherichia coli (12.5), Providencia rettgeri (12.5), Pseudomonas aeruginosa (25), Staphylococcus aureus (50), Enterobacter aerogenes (50), Enterobacter cloacae (50), Serratia marcescens (50), Acinetobacter calco cetims (50) Citrobacter freundii (100)。M. morganii, P. vulgaris, P. rettgeriに対して, PIPCとTAZの配合剤が使用した薬剤のうち最も優れていた。TAZ/PIPCの抗菌力は培地の種類, 培地pH, ウマ血清添加, 接種菌量の影響はほとんど受けなかった。S.aureus55, E. coliTEM1の増殖曲線に及ぼすTAZ/PIPCの影響はMIC以上の濃度で優れた殺菌効果を示した。しかしPIPCではβ-lactamase産生のE. coliTEM1によりPIPCが分解され, 殺菌効果が認められなかった。S. aureus209P JCおよびE. coliNIHJ JC-2のPBPsに対するTAZ/PIPCの親和性はPIPCと同様にS. aureus209P JCではPBP2, 3, 1の順に, E. coliNIHJ JC-2ではPBP3, 1A, 2の順に強い親和性を示した。TAZはPIPCが分解を受けるPCaseおよびBacteroides属, P. vulgarisの産生するCXaseおよびCEPaseに対し, 阻害活性を有し, その結果TAZ/PIPCはPIPCより優れた抗菌力を示した。これらのことからTAZ/PIPCはβ-lactamase産生耐性菌に対し治療上有用な薬剤となり, セフェム剤に匹敵するスペクトルを持つ配合剤となり得るものと考えられた。
  • 三宅 美行, 西田 幸一, 東谷 房広, 宇治 達哉, 兵頭 昭夫, 石田 直文, 釆見 憲男
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 156-163
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vivo抗菌力を既存のβ-lactam系抗生物質と比較検討した。
    マウス全身感染治療実験においてTAZ/PIPCの治療効果はβ-ラクタマーゼ非産生のEnterococcus faecalisでpiperacillin (PIPC) と同等であったがβ-ラクタマーゼ産生株では優れていた。E. faecalisEscherichia coliの混合感染およびStaphylococcus aureusPseudomonas aeruginosaとの混合感染でTAZ/PIPCはPIPCより優れた治療効果を示した。尿路感染治療実験でTAZ/PIPCはP. aeruginosa単独, Proteus vulgarisP. aeruginosaの混合感染共にPIPCより速やかな腎内生菌数の減少が観察され, 感染5日後ではPIPCより1/100以下に低下していた。Klebsiella pneumoniaeを用いた呼吸器感染治療実験でTAZ/PIPCはsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) とほぼ同等の効力を示しPIPCより有意に優れていた。以上によりTAZ/PIPCは全身, 局所感染治療実験において優れた治療効果が認められた。特にβ-ラタマーゼ産生菌との単独, 混合感染において優れていた。
  • 南 新三郎, 荒木 春美, 山田 尚, 藤巻 一雄, 岡本 世紀, 北山 理恵子, 茗原 由紀, 松村 尚樹, 大懸 直子, 堀井 妙子, ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 164-177
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam (TAZ) のβ-lactamase阻害作用ならびにTAZとpiperacillin (PIPC) を1: 4に配合したtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vitro, in vivo抗菌活性について検討し, 以下の結果を得た。
    1) TAZは各種のβ-lactamaseに対し, sulbactam (SBT) より強い阻害効果を示し, cephalosporinaseに対しては漸進的阻害作用が認められた。
    2) TAZ/PIPCは広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を示した。
    3) TAZ/PIPCは, 臨床分離のPIPC耐性Staphylococcusaureus (mlethicillin感受性), Staplzylococcus epidermidis (methicillin感受性), Escherichia coli, Klebsiella pnelmoniae, Pseudomonas aeruginosa, Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalisおよびBacteroidesfragilisに対し強い抗菌活性を示し, TAZの配合効果が認められた。これらPIPC耐性菌のうち, P. aemginosa, H. influenzae, M. catarrhalisおよびB. fragilisに対して, TAZ/PIPCは, cefotiamより3管以上, sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) では同等ないしは1-2管, ceftazidime (CAZ) では同等ないしは1-6管以上優れた抗菌活性を示した。
    4) TAZ/PIPCのβ-lactamase誘導作用はPIPC同様弱かった。
    5) PIPC感受性E. coliとpenicillinase産生S. epidermidisによるラットポーチ内混合感染, PIPC耐性E. coliによるラット子宮内感染およびマウス尿路感染では, TAZ/PIPCはPIPCに比べそれぞれポーチ内, 子宮内および腎臓内生菌数を有意 (P<0.05) に減少させた。また, CAZ高度耐性P. aerugimsaによるラットポーチ内感染では, 治療4時間以後SBT/CPZより有意 (p<0.05) に生菌数を減少させた。
    以上, TAZは各種β-lactamaseに対し強い阻害活性を示した。また, TAZ/PIPCは各種PIPC耐性菌に対し優れたin vitro, inv vivo抗菌活性を示し, TAZの配合効果が認められた。
  • 小室 昌仁, 前田 利松, 松下 仁, 野崎 修, 平尾 隆一, 小林 文夫, 中野 大三郎, 西森 司雄
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 178-197
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) はβ-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) に広域ペニシリン系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) を1:4の力価比で配合した新規抗生剤である。今回PIPCおよびTAZの14C標識体を用いてラットにおけるTAZ/PIPC静脈内投与後の薬物動態を検討し, 以下の結果を得た。
    1. TAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPC投与後の放射能は腎臓, 肝臓, 膀胱および血漿などに高く, 両者の分布パターンはよく似ていた。
    2. TAZ/14C-PIPC投与後の放射能は96時間までに尿中に36.1%, 糞中に62.6%が排泄された。14C-TAZ/PIPC投与後の放射能は96時間までに尿中に93.8%, 糞中に6.1%が排泄された。両投与群とも体内からの消失は速やかであった。
    3. TAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPC投与後の放射能の胆汁排泄率は投与後48時間までにそれぞれ63.7%, 2.7%であった。
    4. TAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPC投与後の体内分布および排泄に, 雌雄における差はほとんどないと考えられた。
    5. 妊娠ラットにTAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPC投与後の放射能の胎児への分布はともに低かった。
    6. 授乳ラットにTAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPC投与後, 放射能の乳汁中への移行が認められた。
    7. TAZ/14C-PIPCおよび14C-TAZ/PIPCを1日1回10日間反復投与した場合の血液中濃度はいずれも7回投与でほぼ定常になった。また放射能の分布パターンは単回投与と同様であり, 特に蓄積する組織は認められなかった。
  • 松下 仁, 小室 昌仁, 前田 利松, 南 慶典, 佐川 久美子
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 198-205
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の代謝物の検索をラジオ-HPLCを用いて, また活性代謝物の検索をTLC-バイオオートグラフィーを用いて検討した。次にtazobactam (TAZ) の代謝物M-1の生成臓器について, 血漿, 臓器ホモジネートを用いたin vitro試験により検討し, 次の結果を得た。
    1. ラットに14C-TAZ/PIPCあるいはTAZ/14C-PIPCを静脈内投与して, 血漿, 尿および胆汁中代謝物を検索し, 定量した。TAZの代謝物として, β-ラクタム環が開裂・分解した構造を有するM-1を同定した。Piperacillin (PIPC) は主として未変化体として検出され, 主要代謝物は存在しなかった。ラットの尿中にはTAZ未変化体が約70%, TAZの代謝物M-1が約17%, PIPC未変化体が約25%排泄された。胆汁中にはTAZが約2%, M-1が約1%, PIPCが約60%排泄された。
    2. ラット, イヌおよびサルにTAZ/PIPC50mg/kgを投与して, 血漿および尿のバイオオートグラムを作製し, 活性代謝物を検索した。その結果, TAZ, PIPCともに, 標準品と同位置に1スポットのみ検出され, 活性代謝物は存在しなかった。
    3. マウスの肺, 肝, 腎, 小腸の25%ホモジネートおよび血漿中の安定性について検討した。マウスでは血漿, 腎, 小腸でM-1が生成した。
  • 前田 利松, 小室 昌仁, 松下 仁
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 206-216
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) は広域ペニシリン系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) にβ-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) を4: 1の力価比で配合した新規抗生剤である。今回マウス, ラット, ウサギ, イヌおよびサルを用い, TAZ/PIPC静脈内投与後の体内動態を検討し, 以下の結果を得た。
    1. TAZ/PIPC単回投与後の血漿中からの消失半減期は, TAZ, PIPCともにマウスで約5分, ラットで約10分, ウサギで約15分, イヌ, サルでは約25~35分であり, TAZ, PIPCはよく似た血漿中動態を示した。
    2. TAZ/PIPC単回投与後の尿中排泄率は, 未変化体TAZが約70~85%, TAZの代謝物M-1が約2~15%, 合計約80~90%であり, いずれの動物種においても主として尿中に排泄されたが, PIPCでは未変化体として約25~70%の排泄率であり, 種差が認められた。
    3. イヌにTAZ/PIPC16.6, 50または150mg/kgを単回投与した場合, TAZ, PIPCとも全身クリアランスおよび定常状態における分布容積の変動はほとんど認められず, この投与量範囲内では見かけ上ほぼ線形な動態を示すものと考えられた。
    4. イヌにTAZ/PIPCを反復投与した場合, TAZおよびPIPCの消失半減期, 全身クリアランス等のファーマコキネティックパラメーターや尿中排泄率は単回投与時とほぼ同じで, 反復投与により体内動態は変動せず, 蓄積性はないものと考えられた。
    5. マウスにTAZ/PIPC単回投与後のTAZの組織内濃度は血漿, 肝, 腎, 皮膚および肺に高く分布した。PIPCもTAZと同様の組織に高く分布した。
    6. In vitroにおける各種動物の血清蛋白に対するTAZの結合率は, TAZ/PIPC併用時, いずれの動物種においても0~4%と低かったが, PIPCの結合率は6.1~23.8%と種差が認められた。これはTAZ単独, PIPC単独時の結合率と比べて差は認められず, 併用による相互作用はないものと考えられた。
    7. イヌにおいて, プロベネシド併用による影響を検討した結果, TAZおよびPIPCはプロベネシド併用により, 血漿中からの消失が遅延した。
  • 小室 昌仁, 前田 利松, 角尾 浩幸, 松下 仁, 箱井 加津男, 吉田 昌彦
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 217-227
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) は広域ペニシリン系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) にβ-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) を4:1の力価比で配合した新規抗生剤である。今回, 肝臓あるいは腎臓障害動物および幼若動物にTAZ/PIPCを静脈内投与し, 薬物動態を検討した。またTAZ/PIPCのビリルビン血清蛋白結合に及ぼす影響を伽in vitroで検討し以下の結果を得た。
    1. 肝障害動物ではTAZ, PIPCともに腎外クリアランス (CLnr) の減少に由来する全身クリアランス (CLPtot) の減少が認められ, CLPtot, は腎クリアランス (CLr) とほぼ等しくなった。しかしながら腎クリアランス (CLr) が大きいため, 代償的な腎排泄が認められ, 体内からの消失の遅延の程度は大きくなかった。
    2. 腎障害動物ではTAZ, PIPCのCLPtot, CLr, 腎分泌クリアランス (CLrs) とクレアチニンクリアランス (CLcr) との問には高い正の相関が認められた。このときのCLnrは小さく, 障害の程度に応じてTAZ, PIPCの体内からの消失が遅延した。
    3. In vitroにおいてTAZ, PIPCはビリルビン・アルブミン結合に対して影響を及ぼさず, ビリルビン遊離作用は認められなかった。
    4. 幼若イヌにおけるTAZ, PIPCのT1/2βは成熟イヌよりも長く, 体内からの消失の遅延が認められた。また幼若イヌに反復投与後の蓄積性は認められなかった。
  • 一般症状及び行動, 中枢神経系並びに呼吸・循環器系に及ぼす影響
    西森 司雄, 小林 文夫, 土山 道夫, 池田 博信, 左近上 博司, 中西 順一, 福田 好造, 中野 大三郎, 木村 恵人, 西村 敬治 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 228-241
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) は新規β-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) を1:4の重量比で配合した抗生剤である。TAZ/PIPCの一般症状観察, 中枢神経系および呼吸・循環器系に対する作用を静脈内投与又はin vitroにて, TAZおよびPIPCと比較検討し, 以下の結果を得た。
    1. 一般症状観察: TAZ/PIPC (1600mg/kgまで), TAZ (320mg/kgまで) およびPIPC (1280mg/kgまで) はマウスの一般症状観察において影響を及ぼさなかった。
    2. 中枢神経系: TAZ/PIPC (1600mg/kgまで), TAZ (320mg/kgまで) およびPIPC (1280mg/kgまで) はマウスの自発運動量, 回転棒試験, 麻酔強化, 抗けいれん作用 (電撃・pentetrazol誘発), 鎮痛試験, ラットの体温, 条件回避, 脊髄反射, ウサギの自発脳波に影響を及ぼさなかった。
    3. 呼吸・循環器系: 麻酔下のイヌにおいてTAZ/PIPCは800mg/kg以上の用量で血圧を下降させ, 血流量を増加させた。PIPCは320mg/kg以上の用量で血流量を増加させ, 640mg/kg以上の用量で血圧, 心拍数を低下させた。TAZは320mg/kgまでの用量でこれらのパラメータに影響を及ぼさなかった。3薬物共にウサギ摘出耳介血管およびモルモット摘出心房に影響を及ぼさなかった。
    以上の結果はTAZ/PIPCは中枢神経系に有意な影響を及ぼさないことを示唆している。TAZ/PIPCの循環器系に対する作用は主としてPIPCに由来すると思われるものであり, TAZとPIPCの間に相互作用は認められなかった。
  • 自律神経系及び平滑筋, 末梢神経系, 血液並びに水・電解質代謝に及ぼす影響
    西森 司雄, 小林 文夫, 土山 道夫, 池田 博信, 左近上 博司, 中西 順一, 福田 好造, 中野 大三郎, 木村 恵人, 西村 敬治 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 242-254
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の自律神経系, 摘出平滑筋及びその他の作用上静脈内投与又はin vitroにて, tazobactam (TAZ) およびpiperacillin (PIPC) と比較検討し, 以下の結果上得た。
    1. 自律神経系及び摘出平滑筋: 高濃度のTAZ/PIPC (5×10-3g/ml) およびPIPC (4×10-3g/ml) はウサギ摘出十二指腸の自動運動において基線の上昇上伴う一過性の収縮上示し, 摘出モルモット気管筋の収縮上抑制した。 5×10-4g/mlのTAZ/PIPCおよび4×10-4g/mlのPIPCは摘出ラット子宮の運動上減少させた。 ラットの胃液分泌はTAZ/PIPCの400mg/kg以上, PIPCの320mg/kg以上およびTAZの80mg/kg以上で抑制された。 ラットの胆汁分泌はTAZ/PIPCの400 mg/kg以上およびPIPCの320mg/kg以上で増加した。 3薬物共にマウスの炭末輸送能およびネコの瞬膜収縮に対して影響上及ぼさなかった。
    2. 末梢神経系: TAZ/PIPCはラットの横隔膜神経筋標本およびモルモットの角膜反射に影響上及ぼさなかった。
    3. 血液: 3薬物共にプロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間に影響上及ぼさなかった。 TAZ/PIPCはアラキドン酸による血小板凝集上5×10-4g/mlでコラーゲン凝集上5×10-3g/mlで抑制した。 TAZ/PIPCは800mg/kg以上でラットの血糖値上上昇させた。
    4. 尿排泄: TAZ/PIPCおよびPIPCはラットの尿量, 電解質排泄上それぞれ増加させる傾向上示した。 PIPCの最高用量ではNa+の排泄は有意な増加上示した。
    以上の結果より, TAZ/PIPCにおいて認められた作用は主としてPIPCに由来することが示唆され, TAZとPIPCの相互作用は認められなかった。
  • 西森 司雄, 小林 文夫, 土山 道夫, 池田 博信, 左近上 博司, 中西 順一, 福田 好造, 中野 大三郎, 木村 恵人, 西村 敬治 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 255-262
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam (TAZ) の代謝物M-1について一般薬理作用をin vivo (静脈内投与) およびin vitroにて検討し以下の知見を得た。
    1. マウスの一般症状観察では266mg/kgで異常は認められなかった。
    2. マウスの自発運動量では133 mg/kgまで作用なく, 266mg/kgで120分後に減少が認められた。 マウスの麻酔強化作用, マウスのけいれん誘発作用, マウスの抗けいれん作用, マウスの鎮痛作用およびラットの体温ではいずれも266 mg/kgで作用は認められなかった。
    3. モルモットの摘出回腸では0.83×10-3g/mlで単独作用および各agonist (ACh, Hist, Ba Cl2) 収縮に対しいずれも作用は認められなかった。
    4. 麻酔下イヌにおける呼吸, 血圧, 心拍数および心電図では266 mg/kgで作用は認められなかったが, 血流量では266 mg/kg投与中より直後をピークとする一過性の増加が認められた。
    5. マウスの炭末輸送能では133mg/kgまで作用はなく, 266mg/kgで軽度の元進が認められた。 ラットの胃液分泌では266mg/kgまで作用は認められなかった。
    6. ラットの尿量および尿中電解質では266mg/kgまで作用は認められなかった。
    7. ラットの血糖では266 mg/kgで, ウサギの血小板凝集能では0.83×10-3g/mlで共に作用は認められなかった。 以上の知見より, M-1の266 mg/kgで自発運動量の減少, 投与直後をピークとする一過性の血流量増加, 炭末輸送能の軽度の充進が認められたが, 半量の133mg/kgではいずれも作用は認められず, その生成量を考えた場合, 比較的安全性の高いものと考えられた。
  • 佐川 久美子, 佐々木 徹, 大谷 敏夫, 兵頭 昭夫, 石田 直文, 西川 昌子, 梅野 幸彦
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 263-276
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC; tazobactam: piperacillin=1: 4) の体内動態を解明するために, bioassay法およびHPLC法により, tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の分別定量法を検討した。Bioassay法において, TAZはそれ自身の抗菌力が弱いため, 培地中にcefoperazone (CPZ) を150μg/ml添加し, CPZ高度耐性でβ-lactamaseを産生するEscherichia coli 603を検定菌とする方法により, 定量が可能であった。PIPCはMicrococcus luteus ATCC 9341を検定菌とするbioassay法により, TAZの影響をほとんど受けずに測定可能であった。
    HPLC法においては, Inertsil ODS-2カラムを用いることによって, TAZ, PIPCおよびPIPCの活性代謝物desethyl-PIPCを同時に分別定量することが可能であった。また, TAZの非活性代謝物M-1についてはDevelosil ODS-5カラムを用いることにより定量可能であった。
    Bioassay法とHPLC法の相関関係について, ヒトの血漿および尿を用いた添加回収試験で検討した結果, 両者間には良好な相関関係が認められた。
  • 大石 正夫, 宮尾 益也, 阿部 達也, 笹川 智幸, 本山 まり子, 飯塚 裕子
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 277-280
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の眼内動態を検討した。白色成熟家兎 (n=3) に本剤62.5mg/kgを1回静注して, 前房水内, 血清中および眼組織内濃度を測定した。
    1) 前房水内移行: piperacillin (PIPC) は注射後1/4時間で8g9μg/mlのピーク値が得られ, 以後速やかに減少して2時間値1.9μg/mlとなり, 4時間以降は測定限界値以下であった。tazobactam (TAZ) は1/4時間以後3.5μg/mlのpeak値で, 2時間値0.9μg/ml, 4時間は測定不能であった。
    2) 血清濃度: PIPCは1/4時間でpeak値102.9μg/mlに達し, 急速に減少して2時間4.7μg/ml, 4時間は測定不能であった。TAZは1/4時間後27.1μg/mlのpeak値で4時間は測定不能であった。
    3) 房水血清比は, いずれも1/4時間値でPIPC8.65%, TAZ12.9%であった。
    4) 眼組織内濃度: 1/4時間値で, PIPCでは外眼部組織で11.4-92.7μg/g, 眼球内部で0.3~33.4μg/gormlであった。TAZは外眼部で4.7~22.2μg/g, 眼球内部で0.6-10.2μg/g ormlであった。各眼組織濃度のTAZ: PIPCは1: 4に近似の傾向がみられた。
  • 松本 慶蔵, 永武 毅, 大石 和徳, 天本 敏昭, 浦江 隆次, 入江 伸, 仁位 泰樹, 浦江 明憲
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 281-299
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人男子志願者を対象に, 新規β-lactamase阻害剤であるtazobactam (TAZ) にpiperacillin (PIPC) を1: 4 (力価比) に配合した注射用配合剤であるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の臨床第1相試験を実施した。
    試験は単回点滴静注 (TAZ/PIPC1.25g, 2.59, 5.0g, およびPIPC2.0g, TAZO.5g), 単回静注 (TAZ/PIPC1.25g, 2.5g) および9回反復点滴静注 (5.0g, 1日2回) を実施し, 安全性および体内動態を検討し, その成績を次に示した。
    1) 自他覚症状, 理学的検査および臨床検査において, 単回投与試験では本剤に起因する変化は認められなかった。9回反復投与試験において下痢および頭痛・倦怠感・胸部痛 (1例) を認めたが, 特に処置せずに消失した。
    2) TAZならびにPIPCはともに投与量に相関した血漿中濃度を示した。
    3) 血漿中濃度半減期 (T1/2β) は, TAZ, PIPCともに約0.6~0.8時間であった。また, TAZ, PIPCの定常状態の分布容積, 全身クリアランスは, ほぼ同じ値を示し, 両者はよく似た体内動態を示すことが明らかになった。
    4) 24時間までの尿中回収率はTAZが約67~77%, TAZの非活性代謝物M-1が約13~18%, PIPCが約54~68%であった。
    5) 5.0gの9回反復点滴静注後の血漿中濃度および尿中排泄には, 蓄積傾向は認められなかった。
    6) TAZの体内動態をTAZ/PIPC投与時とTAZ単独投与時で比較すると, 単独投与時に比べてTAZ/PIPC投与時にはTAZの血漿中からの消失の遅延が認められた。
    7) TAZの活性代謝物は血漿および尿中には認められなかったが, PIPCにはその活性代謝物が確認、され, PIPCの脱エチル体であることが確認された。
    以上の安全性および薬物動態についての検討成績からTAZ/PIPCは今後, 臨床評価を行うに値するものと考えられた。
  • 本廣 孝, 升永 憲治, 大津 寧, 池沢 滋, 松尾 勇作, 丸岡 隆之, 半田 祥一, 長井 健祐, 山田 秀二, 沖 眞一郎, 山田 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 300-317
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるtazobactam (TAZ) と注射用penicillin系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) の配合比が1: 4の注射剤であるTAZ/PIPC (tazobactam/piperacillin) を健康成人7例に対し2.59, 1日2回, 対照としてPIPCを健康成人6例に対して2.0g, 1日2回いずれも1時間点滴静注で延べ6日間, 実質5日間投与し, 糞便内細菌叢に対する影響をみると共に, 糞便から分離した種々の細菌の接種菌量106CFU/mlに対するTAZ/PIPCとPIPC, sulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) の薬剤感受性を測定し, 副作用および臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1.TAZ/PIPC投与例の糞便内細菌叢では好気性菌中EnterobacteriaceaeのEscherichiacoli, Klebsiella sp., citrobacter sp. 等の平均菌数は変化がなく, Enterobacteriaceae全体でも同様であった。しかし, Caseごとにみた場合, 糞便中のPIPC濃度が高い濃度で検出された2例ではEnterobacteriaceaeが投与期間中に一過性に検出限界以下を示し, グラム陽性球菌のEnterococous sp. も同様であった。YLOの平均菌数では増加の傾向はなかったが, Caseごとにみた場合, 1例で投与期間中に一過性に増加した。嫌気性菌の平均菌数では一定の変化はなかったが, Caseごとにみた場合糞便中PIPC濃度が高い2例中1例が投与期間中に一過性の減少を示した。嫌気性菌を菌種ごとに平均菌数でみた場合, Bacteroides fragilis groupの総菌数では投与終了3日後に一過性に減少, Caseごとにみた場合, 糞便中PIPC濃度が高い2例中1例が投与期間中と投与終了20日後まで検出限界以下が減少, 他の1例では投与開始3日後と投与終了3, 5日後に減少, 残りの5例中4例が投与終了3日後に減少した。Eubacteriumでは投与開始5日後に減少, 投与終了3日後には検出限界以下を示し, LactobacmusとLecithinase (Lec.) (+) Clostridiumは投与開始3日後あるいは投与期間中に減少がみられ, Caseごとにみた場合, 糞便中PIPC濃度が高い2例ではこれら4菌種を含む嫌気性菌に対して影響が著しかった。
    一方, PIPC投与例では好気性菌中Enterobacteriaceaeをはじめとするグラム陰性桿菌に対しての影響はみられず, グラム陽性球菌のEnterococcus sp.でも変化があるとはいえず, Caseごとにみた場合でもTAZ/PIPC投与例と異なり一定の傾向はなかった。しかし, YLOを平均菌数でみるとTAZ/PIPC投与例と違って投与期間中に増加し, Caseごとでは3例で投与期間中に一過性の増加がみられた。嫌気性菌を平均菌数でみるとB. fragilis groupの総菌数ではTAZ/PIPC投与例と異なって影響はなかったが, Caseごとにみた場合, 糞便中PIPC濃度が高い1例では投与開始3日後のみ減少した。その他の菌数を平均菌数でみるとEubacteriumでは投与終了3日後のみ検出限界以下, Lactobacillusでは変化がなく, TAZ/PIPC投与例とは異なった。Lec.(+) Clostridiumでは投与開始5日後と投与終了3日後, Veillonellaは投与期間中に減少し, Caseごとにみた場合, 糞便中のPIPC濃度が高い1例ではTAZ/PIPC投与例で糞便中のPIPC濃度が高いCaseと同じく前述の5菌種を含む嫌気性菌に対して影響が著しかった。
    2.Clostridium difficileはTAZ/PIPC投与例およびPIPC投与例共にいずれの検査日も全例が検出限界以下であったが, C.difficile antigenはTAZ/PIPC投与例では投与開始前と投与終了20日後に1例, 投与終了3日後に2例, 投与終了20日後に1例から500ng/gか1,000ng/g検出されたが, 血清中の中和抗体価の上昇はなかった。PIPC投与例では投与開始前からか, 投与開始5日以後に各々2例が250ng/gか, 1,000ng/gを呈し, 前者の2例中1例と後者の2例で血清中の中和抗体価の有意の上昇がみられた。
    3. Bioassay法によるTAZ/PIPC投与7例の糞便中薬剤濃度は2例にTAZとPIPCが測定でき, 1例は投与開始3日後で各々7.80, 287μg/g, 投与開始5日後でそれぞれ8.50, 313μg/g, 他の1例では投与開始3日後のみ各々10.6, 809μg/gを示した。PIPC投与の6例の糞便中濃度では1例のみが投与開始3日後に276μg/gを示し, 他のCaseはいずれの検査日も検出限界以下であった。なお, 両薬剤投与例は検査日のいずれでも糞便中のβ-lactamase活性はニトロセフィンスポットプレート法, アシドメトリー法共に陽性であった。
    4.TAZ/PIPC投与例の糞便から分離されたグラム陽性球菌中のEnterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Enterococcus aviumに対するTAZ/PIPCのMICはいずれもPIPCのMICと同じか類似し, sulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) のMICより大の傾向を示した。
  • 齋藤 玲, 多羅尾 史明, 小池 隆夫, 藤咲 淳, 竹田 剛, 渥美 達也, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 318-323
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) は, 大鵬薬品工業株式会社で新規に開発されたβ-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) と, 富山化学工業株式会社ですでに臨床に供しているpiperacillin (PIPC) を1: 4の力価比にて配合した注射用製剤である。我々は本剤に対して以下の検討を行ったので報告する。
    1) 基礎的検討臨床
    検体より分離された7菌種182株に対して, TAZ/PIPC, 対照薬としてPIPC単独, TAZ単独並びにPIPC+TAZ (1μg/ml, 5μg/ml, 10μg/ml, 25μg/mlの濃度での併用) のMICrange, MIC50およびMIC90を比較検討した。Staphylococcusaureus, Escherichiacoli, Klebsiellapneumoniae, Serratiamarcescens, Morganellamorganii, Proteus mirabilis, Pseudomona saeruginosaの7菌種でのMIC50におけるTAZ/PIPCは, 対照薬であるPIPC単独, TAZ単独並びにPIPC+TAZ (1μg/ml, 5μg/ml, 10μg/ml, 25μg/miの濃度での併用) と同等またはそれ以上の抗菌力を示した。
    2) 臨床的検討
    呼吸器感染症8例, 尿路感染症1例の計9例に対して, TAZ/PIPC1回1.25~2.5gを1日2回, 2~15日間投与し, その臨床効果を検討したところ, 著効1例, 有効5例, やや有効2例, 判定不能1例の結果であった。
    細菌学的には, Haemophilus influengae (3株, うち2株はβ-ラクタマーゼ産生菌), Streptococcus pneumoniae (1株), Moraxellaca tarrhalis (1株: β-ラクタマーゼ産生菌), Esmrichiacoli (1株) が検出されたが, M. catarrhalisを除く3菌種5株はすべて消失した。
    副作用は1例に下痢を認めたため投与中止とした。また, 臨床検査値異常は認められなかった。
  • 前田 貴美人, 西岡 きよ, 丹野 恭夫, 荻原 央子, 大野 勲, 白土 邦男, 坂本 正寛
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 324-331
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-lactamase陽性Haemophilus inkfluenzae50株, β-ラクタマーゼ陽性Moraxella (Branhamella) catarrhalis 52株に対してin vitroでのpiperacillin (PIPC), ticarcillin (TIPC), cefopera-zone (CPZ) の各抗生剤および, tazobactam (TAZ), clavulanicacid (CVA), sulbactam (SBT) の各β-lactamase阻害剤添加後の効果を調べた。
    MIC50, MIC90の成績はH. influenzaeではPIPC 12.5,≧25μg/ml, TAZ/PIPC0.2, 0.39μg/ml, TIPC 6.25, 12.5μg/ml, CVA/TIPC0.39, 0.78μg/ml, CPZ0.1, 0.39μg/ml, SBT/CPZ0.1, 0.39μg/mlでM.(B.) catarrhallsではPIPC 0.2, 0, 78μg/ml, TAZ/PIPC 0.1, 0.1μg/ml, TIPC 3.13, 6.25μg/ml, CVA/TIPC 0.2, 0.39μg/ml, CPZ 0.78, 1.56μg/ml, SBT/CPZ 0.39, 0.78μg/mlであった。
    本剤を呼吸器感染症21例に投与し検討した。(肺炎9例, 慢性気管支炎2例, 肺気腫+感染2例, 中葉症候群1例, 気管支喘息+感染2例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺化膿症1例, 肺線維症+感染2例, 陳旧性肺結核+2次感染1例) TAZ/PIPCは1日量として2.5~5.09投与し分離された菌はH. influenzae 6株, M.(B.) catarrhalis 2株, Klebsiella pneumoniae 1株, Streptococcus pneumoniae 3株, Enterobacter aerogenes 1株, Pseudomonas aerug inosa 1株で, M (B.) calarrhalis 1株はβ-lactamase陽性であった。TAZ/PIPCの投与によりH. influenzae, M.(B.) catarrhalis, K. pneumoniae, S. pneumoniaeは全株に消失を認めた。臨床効果は, 著効5例, 有効11例, やや有効3例, 無効2例で, 有効率は76.2%であった。
    自他覚的副作用は認められなかった。
    以上より, TAZ/PIPCは呼吸器感染症に対して, 有用性のある薬剤であることが示された。
  • 渡辺 彰他
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 332-345
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) とβ-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) を4対1で配合したtazobactam piperacillin (TAZ/PIPC) の呼吸器由来8菌種に対する抗菌力をPIPC, sulbactam/cefopera-zone (SBT/CPZ) と比較検討した。そしてさらに肺組織移行及び呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果, 安全性を検討して臨床的位置付けを考察した。Staphylococcus aureus Haemophilus influienzae, 腸内細菌科 (Escherichia coli, Klebsiella pneummzoniae, Enterobacter cloacae, Serratia marescens) およびPsudomonas aeruginosaに対する抗菌力はPIPC, SBT/CPZとほぼ同等か2~8倍強かった, 肺切除13例に本剤2.5gを30分で点滴静注し, 30~165分後の切除肺組織濃度をHPLCで測定した, 対血清比はPIPC50%, TAZ65%で, PIPCとTAZは肺組織内で3対1の比率を示した。肺炎7, 肺化膿症2, 気管支拡張症二次感染5, びまん性汎細気管支炎1の15例に本剤を1日2.5~7.5g, 9~21日間投与して著効3例, 有効9例, やや有効2例, 無効1例であった。投与前に分離されたStreptococcus pneumoniae 3株, H. influenzae4株, P. aeruginosa2株, K. pneumoniae 1株の計10株は治療後に全て消失した。好酸球増多とGOT・GPT上昇, 白血L球減少およびクームステスト陽性化を各1例に認めたが追跡しえた異常値はいずれも改善した。β-lactalnase産生菌の増加している現在, TAZ/PIPCは種々の呼吸器感染症に対する有力な第一選択薬剤と考えられる。
  • 金子 光太郎, 大石 明, 青崎 登, 吉松 博, 勝 正孝
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 346-352
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたβ-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) をpiperacillin (PIPC) に配合したTAZ/PIPCについて基礎的・臨床的検討を行い, その有用性を検討した。
    1) 抗菌力: Streptococcus pneumoniaeでは本剤はPIPC同様, 他剤に比べ良好な抗菌力を示し, Momella cutmlzalisに対しては最も優れた抗菌力を示した。また, β-ラクタマーゼ産生Haemophilus influezueに対してはPIPCのMIC90が3.13μg/mlであるのに対し本剤のそれは0.39μg/mlであり, ピーク値では本剤が8倍優れていた。β-ラクタマーゼ産生Escherichia coliに対するMIC90は本剤が12.5μg/ml, PIPCが>100μg/mlであり, 明らかに優れた抗菌力を示した。
    2) 臨床的検討: 呼吸器感染症9例 (肺炎5例他), 急性腸炎, 急性扁桃炎, 尿路感染症各1例の計12例 (男9人・女3人, 年齢21~85歳) に本剤2.5~5.0g/日, 分2を4~21日間投与し, 著効8例, 有効3例, 無効1例, 有効率91.7%を得た。細菌学的効果は判定可能6例中, 消失4例, 減少2例であった。副作用は全例において認められなかったが, 1例にGPTの上昇が認められた。
    以上の成績より本剤は内科感染症に対して有用な薬剤と考えられる。
  • 戸塚 恭一, 清水 喜八郎, 丁 宗鉄, 矢船 明史, 児玉 和夫
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 353-357
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillinは広域ペニシリン系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) にβ-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) を4: 1の力価比で配合した新規抗生物質である。今回, 健常成人男子の皮膚に作製した吸引水庖液を組織細胞間液のモデルとして, TAZ/PIPCの点滴静脈内投与後の細胞間液中での挙動を検討し以下の結果を得た。
    1. TAZ, PIPCの血漿中最高濃度到達時間 (Tmax) はともに1.0時間であるのに対し, 水庖液中では, ともに1.5時間であり, TAZ, PIPCの血漿から水庖液中への移行は速やかであった。
    2. 水庖液/血漿AUC比は, TAZ, PIPCともにほぼ1であり, 血漿中から水庖中への移行の程度は大きかった。
    3. TAZ: PIPC濃度比は血漿中, 水庖液中でともにほぼ1: 4で推移した。
    4.水庖液中のTAZは, 5μg/ml以上の濃度を約4時間維持した。
  • 岡 慎一, 島田 馨, 佐野 靖之, 荒井 千明, 田中 康子, 越野 健, 稲松 孝思, 増田 義重, 深山 牧子, 畠山 勤
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 358-368
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用抗生物質製剤のtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的・臨床的検討を行った。
    高度耐性Staphylococcus aureus (35株, MPIPCのMICが≧32μg/ml) に対するTAZ/PlpCとPIPCのMIC分布は, それぞれ8~>128μg/mlおよび16~>128μg/mlの範囲であった。またMIC50とMICgoはTAZ/PIPCでは32μg/mlおよび128μg/mlであり, PIPCでは64μg/mlおよび>128μg/mlであった。
    中等度耐性S.mreuS (44株, MPIPCのMICがOe25~2μg/ml) に対するTAZ/PIPCとPIPCのMIC分布は, それぞれ, 0.5~4μg/mlおよび0.5~32μg/mlの範囲であった。また, MIC50とMIC90はTAZ/PIPCでは2/Ng/mlおよび4μg/mlであり, PIPCでは4μg/mlおよび16μg/mlであった。
    また, 血液由来Klebsiella pneumoniae 100株に対するTAZ/PIPCとPIPCのMIC分布は, それぞれ, 0.2~25μg/mlおよび0.2~>100μg/mlの範囲であった。また, MIC50とMICgoはTAZ/PIPCでは3.13μg/mlおよび625μg/mlであり, PIPCでは3.13μg/mlおよび50μg/mlであった。
    17名の感染症患者に対して, TAZ/PIPCによる治療を施行した。
    17症例の内訳は, 肺炎4例, 慢性気管支炎4例, 気管支喘息の二次感染3例, 肺気腫の二次感染2例, 肺線維症の二次感染1例, 急性膀胱炎1例, 急性胆嚢炎1例, サルコイドーシス1例であった。
    臨床効果は判定不能3例を除き著効2例, 有効9例, やや有効1例, 無効2例で有効率は786%であった。
    呼吸器感染症では効果判定対象12例中10例が有効以上で, 有効率は83.3%であった。
    副作用としては皮疹が1例, GOTとGPTの上昇が1例, 血清Kと血清クレアチニンの上昇が1例に認められた。
  • 柴 孝也, 吉田 正樹, 酒井 紀, 堀 誠治, 嶋田 甚五郎, 齋藤 篤
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 369-380
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたペニシリン系配合抗生剤であるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 臨床分離のMRSA (21株), Haemophilus influenzae (23株), ampicillin (ABPC) 耐性Escherichiacoli (25株) およびβ-lactamase産生Pseudomonas aeruginosa (25株) に対するTAZ/PIPCの抗菌活性を検討した。本剤はMRSA, H. influenzae, E, coliに対してPIPCより優れ, P. aeruginosaに対してはsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) より1管優れていた。
    2.健康成人男子6名にTAZ/PIPC投与時, PIPC単独投与時, TAZ単独投与時, TAZ/PIPCとprobenecid併用投与時およびSBT/CPZ投与時の血中濃度および尿中排泄の経時的推移をcross. over法により比較検討した。TAZ/PIPCを2.5g投与した際の静注直後のTAZ, PIPC濃度はそれぞれ70.3μg/ml, 355.5μg/mlとなり以後速やかに血中から消失し, 血中濃度半減期 (T1/2β) はそれぞれ0.67時間, 0.63時間であった。PIPC単独投与時のPIPC血中濃度はTAZ/PIPC投与時と同等の推移を示したが, TAZ単独投与時のTAZはTAZ/PIPC投与時より速やかに血中から消失した。TAZ/PIPCとprobenecid併用投与においては非併用時に比べTAZのTl/2βの延長, AUCの増加, PIPCのT1/2βの延長を認めた。この結果から, 本剤の腎排泄機序として尿細管分泌の関与が示唆された。SBT/CPZの投与時のSBTのT1/2βはTAZ/PIPC投与時のTAZのT1/2βに比較して近似するも, CPZのT1/2βはPIPCのT1/2 βに比して長く, 差が認められた。
    3, 臨床検討は肺炎1例, 器質化肺炎1例, 胆嚢炎1例, 尿路感染症1例, 急性腎孟腎炎1例の計5例に対して使用した。臨床効果を判定しえた3例では有効2例, やや有効1例であり, 細菌学的効果を判定しえた3例では消失1例, 減少2例であった。本剤における副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
  • 斧 康雄, 西谷 肇, 青木 ますみ, 大谷津 功, 宮下 琢, 徳村 保昌, 杉山 肇, 国井 乙彦, 宮下 英夫
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 381-384
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) との注射用配合剤TAZ/PIPCについて, 臨床分離株に対する抗菌力の測定と臨床的効果について検討した。
    本剤のEscherichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対するMICはともに≦0.1~25μg/mlに分布し, cefoperazone (CPZ) よりやや劣るものの, PIPCより優れた抗菌力を示した。Pseudomonas aerugimsaに対するMICは0.78~50μg/mlに分布し, MIC50およびMIC80はPIPC, CPZより1段階優れていた。Acimtobacter calcoaceticusに対するMICは0.20~25μg/mlに分布し, 他の2剤より優れていた。
    臨床的には, 肺炎に対しては, 著効3例, 有効2例であり, 胆管炎1例も有効であった。肺炎の1例は患者が自己退院したため, 判定不能とした。肺炎2例において, 症例1で分離されたHaemophilus influenzaeは除菌, 症例2ではXanthomonas maltophilia, Flavobacterium indologenes, P. aerugimsaが分離され, 本剤投与後にはいずれも除菌された。
    副作用は1例で, 軽度の軟便を認めた。臨床検査値異常は全例において認められなかった。
    以上の成績によりTAZ/PIPCは内科領域の細菌感染症に対して有用と思われる。
  • 中塩 哲士, 岩沢 博子, 金光 敬二, 福村 正, 嶋田 甚五郎
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 385-395
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    当院における臨床分離新鮮株に対するtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の抗菌力は良好でMIC90が625μg/ml以下を示した菌種には, Streptococci, Enterococcus faecalis, メチシリン感受性Staphylococci, 多くの腸内細菌科菌群, Haemophilus influenzaeなどがあった。Piperacillin (PIPC) 単独と比べてtazobactam (TAZ) 併用により抗菌力の増強が特に著しい菌種には, Citrobacter, Klebsiella pneumoniae, Proteus, Morganella SalmonellaおよびAlcaligenesなどがあった。TAZ併用効果はpenicillinase, cephalosporinaseを共に産生する菌株で特に顕著であった。
    起炎菌に非ざる常在菌の産生するβ-lactamaseによりβ-lactam薬が不活化され, 起炎菌に対する投与β-lactam薬の抗菌力が低下することが問題となっている。今回, β-lactamase産生菌と非産生菌の混合培養系においてPIPCとTAZ/PIPCの抗菌力を比較した結果, β-lactamase非産生菌に対するTAZ/PIPCの抗菌力の低下が小さいことから, TAZ併用の有用性が示された。
  • 堀 誠治, 嶋田 甚五郎
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 396-400
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年, 抗菌力の増強・抗菌スペクトルの拡大・耐性の克服を目的に, β-ラクタム薬とβ-ラクタマーゼ阻害薬との併用が試みられている。β-ラクタム薬がその大量投与時などに痙攣を誘発することは良く知られている。また, β-ラクタマーゼ阻害薬はβ-ラクタム薬と構造的に類似している。そこで, 我々は, 両系薬の痙攣発現の可能性を類推するために, 中枢神経系において抑制性伝達物質と考えられているγ-アミノ酪酸 (GABA) 受容体結合に及ぼすβ-ラクタム薬およびβ-ラクタマーゼ阻害薬の影響を検討した。セフォペラゾンは濃度依存的にGABA受容体結合を阻害したが, クラブラン酸, スルバクタム, タゾバクタム, アモキシシリン, ピペラシリンのGABA受容体阻害効果は弱かった。また, β-ラクタマーゼ阻害薬はβ-ラクタム薬のGABA受容体結合に及ぼす効果を増強することはなかった。以上より, β-ラクタマーゼ阻害薬はβ-ラクタム薬の痙攣誘発作用を増強する可能性は低いと考えられた。
  • 青木 信樹, 薄田 芳丸, 甲田 豊, 高沢 哲也, 若林 伸人, 林 静一, 小浦方 洋一, 新田 功, 本間 康夫, 北村 亘子, 渡辺 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 401-409
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種腎機能障害を伴った高齢者の患者3例にtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) 0.5g/2.0gを60分間で点滴静注した際のtazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の血中濃度と尿中回収率を測定した. 最高血中濃度は腎機能障害の程度 (Ccr: 43.1, 33.6および12.5ml/min) にかかわらず点滴終了直後にあり, その値に大差はみられなかった. 血中半減期 (T1/2β) はPIPCがCcr43.1ml/minの症例で1.59時間, Ccr33.6ml/minの症例で3.62時間, Ccr12.5ml/minの症例で5.36時間, TAZは各々1.54, 3.70, 5.18時間と腎機能低下が高度になるに従い延長し, 血清濃度曲線下面積値 (AUC) もPIPCでそれぞれ402, 676, 1263μg・h/ml, TAZではそれぞれ105, 184, 320μg・h/mlと腎機能低下に伴い高値となった. 24時間までの尿中回収率はPIPCが, それぞれ60.3, 45.1, 30.3%, TAZではそれぞれ81.2, 68.4, 47.7%で腎機能低下が高度になるにつれ減少する傾向であった.
    呼吸器感染症14例に使用し, 有効13例, 無効1例, 有効率929%の結果を得た. 副作用は臨床的には特にみられず, 検査成績上1例で直接クームス試験の陽性化, 1例で白血球数の減少を認めたが, いずれも軽度なものであった.
  • 山田 保夫, 林 嘉光, 山本 和英, 中村 敦, 武内 俊彦, 松浦 徹, 鈴木 幹三, 山本 俊幸, 加藤 政仁, 花木 英和, 多代 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 410-415
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいβ-lactamase inhibitorであるtazobactamとpiperacillinを配合した合剤の注射用ペニシリン系薬剤tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的, 臨床的検討を行い, 以の成績を得た.
    1) 抗菌力: TAZ/PIPCについて臨床分離株に対するMICを測定し, piperacillin (PIPC), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), cefotiam (CTM), aspoxicillin (ASPC), clavulanic acid/ticarcillin (CVA/TIPC) の成績と比較した. その結果, Staphylococcus aureusの抗菌力はCTMより2管程度劣っていたが他の4剤とは同程度であった. Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeではCTM, SBT/CPZに劣るが, CVA/TIPC, ASPCより優れていた. Proteus mirabilisでは対照薬剤とほぼ同程度であり, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginsaでは対照薬と同様に感受性は低かった. E. coli, K. pneumoniae, S. marcesmsに対して本剤はPIPCより2~16倍優れた抗菌力を示した.
    2) 臨床的検討: 肺炎10例, 気管支拡張症の急性増悪2例, 肺気腫の急性増悪2例の計14例に投与した. 臨床効果は著効1例, 有効8例, やや有効2例, 無効1例, 判定不能2例で, 全体の有効率は75%であった. 細菌学的効果では, Saureusは除菌され, StreptococcuspneumoniaeEnterobacterspp. へ菌交代し, P. aeruginosaは1例で菌量が減少し, 1例は除菌され, K. pneumoniaeは減少した. 副作用では, 本剤によると思われる発熱が2例, 発疹1例, 食欲不振1例を認めたが, 中止後改善した。好酸球の異常4例, GOT・GPTの異常1例を認めたが軽微で処置を必要としなかった.
  • 二木 芳人, 守屋 修, 角 優, 中林 美枝子, 玉田 貞雄, 窪田 好史, 吉田 耕一郎, 橋口 浩二, 中島 正光, 沖本 二郎, 副 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 416-421
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用β-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の1: 4合剤tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) につき, 呼吸器感染ならびに敗血症の主要病原菌に対するMICを測定し, 他剤のそれと比較した. また, 呼吸器感染症4例に本剤を投与して, その有用性ならびに安全性を検討した
    1) TAZ/PIPCはStaphylococcus aureus (MSSA), Staphylococcus epidermidis, Moraxella (Branhamella) catarrhalisではPIPC単独より優る結果であったが, Streptococcus pneumoniaa Haemophilus influenzae, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaについては, 概してclavulanic acid/ticarcillinより優るものの, 併用効果は明らかでなかった. Staphylococcusaureus (MRSA) , Enterococcus faecalislこついては併用によるMICの改善は得られなかった.
    2) 臨床効果は2例でのみ効果判定可能で, いずれも有効の結果であった. 使用4例すべて副作用は認められなかったが, 臨床検査値の異常として, 肝酵素の上昇と好酸球増多が1例に, また別の1例で好酸球増多が認められた. いずれも軽度一過性であった.
  • 栗村 統, 甲田 徹三, 市村 宏, 田村 偉久夫, 野崎 公敏, 土井 秀之, 河野 通子, 下中 秋子, 近藤 満子, 丸山 泰助, 古 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 422-432
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ阻害剤, tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の合剤であるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の抗菌力と臨床効果について検討した.
    抗菌力の検討対象は国立呉病院に保存されている臨床分離株25菌種, 総株数は379株である.
    抗菌力はTAZ/PIPCと同時にPIPC, ampicillin (ABPC), cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), cefotaxime (CTX), ceftazidime (CAZ) についても測定し, 比較検討した. TAZ/PIPCの抗菌力はStaphylococcus spp., Enterobacteriaceae 10菌種中Escherichia coli他7菌種, Haemophilus influenzae, Moraxella (Branhamella) oatarrhalisに対してPIPCより優れていた. ABPCの抗菌力がTAZ/PIPCより優れたのはSalmonella spp., のみである。Cephem系抗生剤との比較では, グラム陽性菌ではCAZの抗菌力が最も弱く, 他剤はEntmooccus faecalisを除きTAZ/PIPCと同等かあるいは優れていた. グラム陰性菌に関しては, 全般的にCTXの抗菌力が優れていたが, M (B).catarrhalisに対しては, TAZ/PIPCとCAZが優れていた
    臨床効果は胆道感染症, 敗血症, 肝膿瘍, 気管支拡張症, それぞれ1例に投与し, 肝膿瘍以外の症例に有効であった. 分離されたE.coli, Klebsiella oxytoca, pseudomonas aeruginosaは除菌された. 副作用として1例にPIPCによる発熱を伴う血小板減少, GOT, GPT値上昇がみられた.
  • 小西 龍也, 杉本 勇二, 松本 行雄, 阪田 拓哉, 寺本 英已, 千酌 浩樹, 山崎 整児, 櫃田 豊, 佐々木 孝夫
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 433-436
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいβ-lactamase阻害剤であるtazobactamとpiperacillinの合剤であるtazobactam/piperacillinの呼吸器病原菌に対する抗菌力と, 呼吸器感染症に対する臨床的効果並びに有用性について検討し, 下記の結果を得た。
    呼吸器感染症の臨床分離株に対する本剤のMIC90はmethicillin-sensitive Staphylococcus mreus 3.13μg/ml, Streptococcus pneumoniae 1.56μg/ml, Moraxella catarrhalis 0.1μg/ml, Haemophilus influenzae 0, 2μg/ml, Klebsiella pneumoniae 25μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 100μg/mlであった。
    呼吸器感染症5例 (慢性気管支炎2例, 慢性肺気腫1例, 気管支拡張症1例, 肺結核1例) に対する臨床効果は著効1例, 有効3例, 不明1例であった。起炎菌は5例中肺結核1例を除く4例が全て確定し, 内訳はP.aerugimsa1株, H. influenzae 1株, S. pneumoniae 2株であったが, 本剤投与でいずれも除菌された。副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。
    以上より本剤は呼吸器感染症に対して有効な薬剤と考えられた。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 高木 宏治, 三角 博康, 下野 信行, 江口 克彦, 仁保 善之
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 437-442
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規β-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) と広域ペニシリン系抗生物質piperacillin (PIPC) の配合剤であるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的・臨床的検討を行った。
    TAZ/PIPCの臨床分離株に対する抗菌力は, Proteus vulgarisProtens mirabilisに対して優れ).Enterococcus faecalis, Escherichia coliKlebsiella pneumoniaeに対してもペニシリン系対照薬よりも同等以上であった。また, Citrobacter freundii, Psendomonas aeruginosaStaphylococcus aureusに対してもある程度の抗菌力があった。
    肺炎3例) 慢性気管支炎1例) 菌血症1例の計5例の感染症にTAZ/PIPC1日2.5g~10g, 6~14日間の使用により, 著効2例, 有効1例, やや有効1例, 無効1例の臨床効果が得られた。自・他覚的副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
  • 山本 善裕他
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 443-451
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) についての基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床分離株16菌種515株に対するTAZ/PIPCの最小発育阻止濃度を測定し, 他の薬剤 piperacillin, clavulanic acid/ticarcillin, sulbactam/cefoperazoneと比較検討した。その結果本剤は, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対し良好な抗菌作用を認めた。
    2. 体液内濃度: 気管支拡張症患者1例において, 本剤1.25g (0.25/1.0) を点滴静注したときの血中および喀疾中濃度を測定した。本剤点滴静注後のtazobactam (TAZ) 血中濃度は5.31μg/ml, PIPC血中濃度は28.6μg/ml, 4時間後にはTAZは検出感度以下 (<0.39μg/ml), PIPC濃度は2.3μg/mlであった。また最高喀疾中濃度は3~4時間後にTAZは0, 34μg/ml, PIPCは0.24μg/mlに達し, 本剤の速やかな喀疾内移行性が示唆された。
    3. 臨床的検討: 呼吸器および尿路感染症患者23例に本剤を投与し, 臨床効果および副作用について検討した。総合臨床効果は, 23例中有効例19例, 無効1例, 判定不能3例で有効率は95%であった。副作用は, 嘔気, 口内炎が各1例に認められたほか, 臨床検査値異常として, GOTの上昇および好酸球増多が各1例に認められた。いずれも軽度であり, 本剤投与終了後速やかに改善し, 本剤の安全性が確認された。
  • 大石 和徳, 松本 慶蔵, 小林 忍, 渡辺 貴和雄, 永武 毅, 田中 宏史, 山下 広志, 山内 壮一郎, 田口 幹雄, 山本 真志, ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 452-467
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC, YP-14) の呼吸器病原性菌に対するMIC50はmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus 1.56μg/ml, methicillin-resistant S.aureus 100μg/ml, Streptococcus pneumoniae 0.05μg/ml, Haemophilus influenzae 0.1μg/ml, Branhamella catarrhalis0.05μg/ml, Klebsiella pneumoniae 6.25μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 12.5μg/mlであった。呼吸器感染症の6症例において本剤の体内動態について検討した。1回1.25g投与の3症例ではTAZ/PIPCの血清中および喀痰中ピーク値はそれぞれ9.9~13.8/28.9~61.5μg/ml, 0.38~1.40/1.56~5.79μg/mlであった。また, 1回2.5g投与の2症例ではTAZ/PIPCの血清中および喀疾中ピーク値はそれぞれ22.g~30.0/115.0~124.0μg/ml, 123~3.93/1.23~3.31μg/mlであった。1症例における1回2.5g投与時のTAZ/PIPCの局所採疾中濃度は0.3~1.7/1.4~4.9μg/mlであった。また, tazobactam (TAZ) およびpiperacillin (PIPC) の血中半減期はいずれも0.9~1.3時間であった。肺炎11例, 肺化膿症1例を含む36症例の呼吸器感染症患者に本剤の1日, 1.25g×2回から5g×2回の点滴静注を試み, 極めて高い有効率 (97.2%) を得た。細菌学的検討ではS. aureus 2株, S, pneumoniae 8株, B. catarrhalis 5株, H. influenzae 6株, K.pneumoniae 1株, Pasteurella multocida 1株はすべて本剤投与により除菌された。P.aeruginosaについては9株中消失が2株, 減少が5株, 不変が1株, 菌交代が1株であった。しかしながら, 臨床効果では9症例すべてが有効以上であった。またXanthomonas maltopllilia 2株, Methicillin-resistant S.aureus 1株が菌交代現象として認められた。全体の除菌率は81.3%(26/32) と高率であった。副作用は1例も認められなかったが, 臨床検査値では, 1例に軽度のGOT, GPTの上昇, 1例に白血球減少および血小板減少が認められたが, いずれも一過性であった。
    TAZ/PIPCはβ-ラクタマーゼ産生のB. catarrhalisH. influenzaeおよびP.aerugimsaを含めた細菌性呼吸器感染症に対して有用性の高い注射用抗生物質として期待される。
  • 那須 勝, 山崎 透, 一宮 朋来, 時松 一成, 平井 一弘, 平松 和史, 河野 宏, 永井 寛之, 田代 隆良, 後藤 純, 井上 聡 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 468-475
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の1:4配合剤TAZ/PIPCについて, 臨床分離菌に対する抗菌力の測定および呼吸器感染症に対する臨床効果を検討した。
    1.抗菌力: 18菌種, 580株について, 日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同時に測定したPIPC, clavulanic acid (CVA)/ticarcillin (TIPC) のそれと比較した。TAZ/PIPCは, 全般にPIPCと同等かやや強い抗菌力を示し, 特にβ-ラクタマーゼ産生菌に対して強かった。CVA/TIPCよりも優れていた。
    2.呼吸器感染症における応用: 気管支炎1例, びまん性汎細気管支炎2例, 肺炎4例, 間質性肺炎および肺線維症の二次感染各1例の計9例に1回TAZ/PIPC 1.25g又は2.5gを1日2回, 7~15日間点滴投与した。著効1例, 有効6例, やや有効2例であった。1例にInelenaを伴った出血性腸炎 (Klebsiella oxytocaを多数便より検出) がみられたが, 適切な処置により改善した。臨床検査値はmelenaを伴なった出血性腸炎の1例に赤血球数, ヘマトクリット値, 血色素量の減少が, 好酸球増多が2例にみられたが, 投与終子後前値に復した。
  • 普久原 浩, 稲留 潤, 嘉数 朝一, 中村 浩明, 兼島 洋, 斎藤 厚, 草野 展周, 仲宗根 勇, 古堅 興子, 平良 真幸, 外間 ...
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 476-481
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) とβ-lactamase阻害薬であるtazobactamとの合剤である注射用抗生剤tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的ならびに臨床的に検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.基礎的検討
    各種臨床分離菌12菌種257株を用い, TAZ/PIPCとPIPC, clavulanic acid/ticarcilhn (CVA/TIPC), cefotiam (CTM) およびcefoperazone (CPZ) との抗菌力を比較した。TAZ/PIPCはPIPCやCVA/TIPCより優れた抗菌力を示した。TAZ/PIPCとCTM, CPZとの比較では, グラム陽性菌ではTAZ/PIPCが優れ, グラム陰性菌ではややCPZが優れており, CTMは陽性菌, 陰性菌ともその中間の抗菌力を示した。
    2.臨床的検討
    呼吸器感染症4例 (肺炎3例, 急性気管支炎1例) を対象に1回2.5g, 1日2回を4~15日投与した。臨床効果は, 著効2例, 有効2例であった。副作用は発熱が1例に認められた臨床検査値異常では1症例に好酸球増多とGPT上昇が出現したが, いずれも軽度であった。
    以上のことから, 本剤は呼吸器感染症に対し有用な薬剤であると考えられる。
  • 大泉 耕太郎他
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 482-500
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいβ-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) にpiperacillin (PIPC) を1: 4の比率で配合させたtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の呼吸器感染症に対する至適用量を検討する目的で, 慢性気道感染症を対象として比較試験を実施した。1日投与量は, TAZ/PIPC低用量群 (L群): 2.59 (分2), TAZ/PIPC高用量群 (H群): 5.0g (分2) とし, 対照群 (C群) としてPIPC4.0g (分2) 群を設けた。無作為に各群を割り付け, L, H群の2用量については盲検性が保証されるように留意した。成績の概略は以下のとおりである。
    登録症例は78例で, そのうち臨床効果解析対象症例は75例 (L群25例, H群27例, C群23例), 副作用解析対象症例は76例 (L群25例, H群27例, C群24例) であった。
    1) 背景因子: 背景因子の分布には3群間に有意な偏りは認められなかった。
    2) 臨床効果: 全症例での有効率 (著効+有効) は, L群92.0%, H群92.6%, C群91.3%であった。β-lactamase産生菌による症例での有効率は, L群では71.4%(5/7), H群では100%(5/5), C群では100%(4/4) であった。いずれも3群間に有意差はなかった。
    3) 細菌学的効果: 消失率は, L群68.8%(11/16), H群100%(18/18), C群87.5%(14/16) であり, 3群間に有意差はなかったものの, H群の全例で菌の消失がみられた。この内β-lactamase産生菌の消失率は, L群57.1%(4/7), H群100%(5/5), C群75.0%(3/4) であった。
    4) 安全性: 副作用はC群2例 (8.3%) にのみ認められた。臨床検査値の異常変動はL群1例4.0%, H群1例3.7%, C群2例8.7%であり, 概括安全度は「ほぼ安全である」以上でL群100%, H群100%, C群875%であった。いずれも3群問に有意差は認められなかった。
    5) 有用性: L群では92.0%(23/25), H群92.6%(25/27), C群79.2%(19/24) であり3群間に有意差は認められなかった。
    慢性気道感染症に対してはTAZ/PIPC 5.Og/日 (分2) の用量で高い臨床効果及び安全性が期待でき, 本用量を至適用量と判断した。
  • 伊藤 直樹, 広瀬 崇興, 熊本 悦明
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 501-512
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたβ-lactamase阻害剤配合の注射用抗生物質tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的, 臨床的検討を行った。
    1) 基礎的検討: 教室保存の尿分離菌 (12菌種) に対してTAZ/PIPC, piperacillin (PIPC), imipenem/cilastatin (IPM/CS), flomoxef (FMOX), cefotiam (CTM) のMICをMIC-2000 systemを用いて測定し (接種菌量: 105CFU/ml), 比較検討した。グラム陽性球菌ではMIC90値は, methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA) 4.0μg/ml, methicillin-resistant S. aureus (MRSA) 32.0μg/ml, Staphyylococcus epidermidis 8.0μg/ml, Enterococcus faecalis 8.0μg/ml, Entercoccus faecium>128μg/mlであった。またグラム陰性桿菌ではMIC90値はEscherichia coli4.0μg/ml, Klebsiella pneumoniae 4.0μg/ml, Proteus mirabilis 1, 0μg/ml, Indole (+) Proteus spp.4.0μg/ml, ENterobacter spp.>128μg/ml,
    Serratia marcescens 128μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 16.0μg/mlであった。本薬はS. epidermidisE. faecalisとIndole (+) Pro. teus spp. に対する抗菌力は他薬に比し優れた結果であった。またP. mirabilis, P.aeruginosaに対する抗菌力は他薬と同等であった。
    2) 臨床的検討: TAZ/PIPCを複雑性尿路感染症18例に対して1回2.5g, 1日2回5日間投与を11例, 1回1.25g, 1日2回5~6日間投与を7例に行った。UTI薬効評価基準による評価可能14例の臨床効果は著効5例, 有効6例, 無効3例であり, 総合有効率は78.6%であった。細菌学的には22株中21株が投与後消失 (β-lactamase産生菌株は全株消失) した。投与後出現菌は2例 (ともに真菌) に認められた。副作用は全例に認められず, 臨床検査異常は検査した18例のうち1例にs-GOT軽度上昇と血小板数の低下, 1例に好酸球数の増加が認められた。
  • 鈴木 恵三, 堀場 優樹, 加藤 忍, 名出 頼男, 柳岡 正範, 石川 清仁, 置塩 則彦, 高梨 勝男, 浅野 晴好, 日比 秀夫
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 513-520
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用抗生物質tazobactam/piperacillinを22例の尿路感染症 (複雑性21例, 単純性1例) の治療に, 1日2.5g~5.0g, 5~6日間投与して以下の成績を得た。
    1. UTI薬効評価基準で評価可能例は20例中に, 17例が有効以上であり, 総合有効率は85.0%であった。
    2. 治療前に分離された細菌は11種30株で, 治療後に26株, 86.7%が除菌された。
    3. β-lactamase産生能を被検した分離株27株中, 15株がペニシリナーゼ又はセファロスポリナーゼ或いは双方を産生していた。
    4.β-ラクタマーゼ産生株のうち特にSemtia marcescensに本剤の抗菌活性がpiperacillinより優った。
    5. 安全性については, 自覚的副作用は1例もなかった。臨床検査値の変動ではGPT上昇が2例, 好酸球増多症が1例認められた。
  • 米田 尚生, 伊藤 康久, 坂 義人, 河田 幸道, 多田 晃司, 小出 卓也, 竹内 敏視, 酒井 俊助, 玉木 正義, 前田 真一
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 521-528
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用ペニシリン剤piperacillin (PIPC) に新しいβ-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) を配合したtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について, 基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. 基礎的検討: PIPC, cefmetazole (CMZ), ceftazidime (CAZ), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), clavulanicacid/ticarcillin (CVA/TIPC) を対照薬としてStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Escherichia colf, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae, Entmbacter clome, Pseudomonas aemginosa の8菌種に対するMICを測定した。
    TAZ/PIPCの抗菌力はグラム陽性菌に対してPIPCとほぼ同等であり, グラム陰性菌に対してはPIPCより優れていた。
    2.臨床的検討: 急性単純性腎孟腎炎1例に本剤2.5gを, 複雑性尿路感染症15例に本剤1.259もしくは2.59をそれぞれ1日2回静注または点滴静注した。UTI薬効評価基準に合致した複雑性尿路感染症12例の成績は著効3例, 有効7例, 無効2例で, 総合有効率は12例中10例の83%であった。
    本剤を投与した16例の自他覚的副作用として下痢が1例にみられたが薬剤投与終了後すみやかに症状が消失した。また, 臨床検査値の異常として1例にGPTとAl-Pの上昇がみられた。
    以上の結果よりTAZ/PIPCは尿路感染症の治療に有用かつ安全な薬剤と考えられた。
  • 山下 真寿男他
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 529-540
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたβ-lactamase阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) との注射用抗生物質配合剤tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の泌尿器科領域における有用性を基礎的・臨床的に検討し以下の結果を得た。
    (1) 抗菌力: 当教室保存臨床分離株 (11菌種, 276株) に対するTAZ/PIPC, PIPC, ceftazidime (CAZ), imipenem (IPM), cefotiam (CTM), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) のMIC分布を比較検討した。Escherichiacoli, Citrobacter frem4i4, Klebsiella pneumoniae, Ser ratia mamscens, Proteus vulgaris, morgamlla morganiiに対する本剤のMICはPIPCのそれらより優れ, Enterococcus faecalis, Proteus mirabilis, Providencia rettgeri, Pseudomonas aerugimsaに対する本剤のMICはPIPCのそれらと同等であった。本剤のこれら被験菌に対する抗菌力は, 対照薬と比べほぼ中間に位置した。
    (2) 臨床的検討: 単純性・複雑性尿路感染症22例に対し, TAZ/PIPC1.25gまたは2.5gを1日2回5日間点滴静注した。複雑性尿路感染症21例のうちUTI薬効評価基準に合致した20例においては, 著効6例, 有効9例, 無効5例で有効率75%であった。細菌学的効果は, 36株中32株が消失し, 消失率は89%であった。そのうち, β-lactamase産生菌は19株で, Paerugima 1株以外は全て消失した。副作用は, 22例中1例に軽度の軟便が認められた。臨床検査値の異常変動は, 好酸球の増多を1例に認めた。
  • 林 俊秀他
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 541-552
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ペニシリン系抗生剤とβ-lactamase阻害剤の配合剤であるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の抗菌力ならびに尿路感染症に対する有用性について検討を行った。
    1) 尿路感染症分離株14菌種206株に対する本剤のMICを測定し, piperacillin (PIPC), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), latamoxef (LMOX), ceftazidime (CAZ) と比較した。本剤の抗菌力は, グラム陽性菌に対しては, StaphylococcusepidermidisでSBT/CPZに劣るものの, PIPCとほぼ同等, LMOX, CAZより優れた抗菌力を示した。グラム陰性菌ではLMOX, CAZには劣るものの, SBT/CPZとほぼ同等, PIPCとは同等ないし1管程度優れた抗菌力を示した。
    2) 複雑性尿路感染症37例に本剤1回1.25g~2.5gを1日2回, 4~8日間連続点滴静注し臨床的有用性を検討した。
    UTI薬効評価基準により評価可能であった複雑性尿路感染症30例の総合臨床効果は著効4例, 有効18例, 無効8例で, 有効率は73.3%であった。細菌学的効果では48株中, 消失38株, 存続10株で消失率79.2%であった。自・他覚的副作用は1例も認めなかった。臨床検査値異常としてGPTの上昇を2例に, GOT, GPT, Al-P, γ-GTPの上昇を1例に, 好酸球の増多を1例に認めた。
  • 片岡 真一, 安田 雅春, 谷村 正信, 藤田 幸利, 池 紀征
    1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 553-558
    発行日: 1994/10/24
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) について基礎的・臨床的検討上行い以下の結果上得た。
    1) 尿路感染症より分離したEscherichia coli, Serratia marcescens, pseudomonas aerugimsaに対する本剤ならびにpiperacillin (PIPC), ceftazidime (CAZ) のMIC上測定した。E.coli, S.marcescens, P.aeruginosaに対し本剤はPIPCに比べ優れた抗菌力上示した。CAZと比較するとE.coli, S.marcescens, に対しては本剤のMICは明らかに劣るものの, P.aeruginosaに対しては1~2管劣る程度であった。
    2) 6例の慢性複雑性尿路感染症上対象に, 本剤1回1259ないし2.59上1日2回点滴静注し, UTI薬効評価基準にしたがって検討した.6例の総合臨床効果は著効2例, 有効4例であった。自他覚的副作用は認めず, 臨床検査値の異常は1例にGOT, GPT, ALPの軽度上昇がみられた。
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