新しい経口マクロライド系抗菌薬であるazithromycin (AZM) の浅在性化膿性疾患に対する有効性, 安全性, 有用性を検討するために, cefaclor (CCL) を対照薬として二重盲検比較試験を多施設共同で行った。AZMは500mg (力価) を1日1回3日間, CCLは250mg (力価) を1日3回7日間投与した。対象疾患は第IIa群痴, 痴腫症, 擁, 尋常性毛瘡, 急性化膿性爪囲炎), 第IIb群 (リンパ管炎, 丹毒, 蜂巣炎), 第III群 (感染性粉瘤, 化膿性汗腺炎, その他の皮下膿蕩) とした。
1.総症例221例中, 臨床効果の解析対象症例172例における有効率 (「著効」+「有効」の割合) はAZM群の90.6%(77例/85例), CCL群80.5%(70例/87例) であった。両群間に有意差は認められなかったが、AZMのCCLに対する臨床的同等性は検証された (Δ=10%, P<0,001)。
2.疾患群別有効率は第IIa群でAZM群94, 4%(34例136例), CCL群89, 5%(34例138例), 第IIb群でAZM群100%(18例118例), CCL群84, 2%(16例119例), 第III群でAZM群80, 6%(25例131例), CCL群66.7%(20例130例) であった。いずれの疾患群においても両群間に有意差は認められなかった。
3.細菌学的効果における消失率 (「陰性化」+「菌交代」の割合) はAZM群87, 3%(48例155例)、CCL群82.4%(42例/51例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
4.副作用の発現率はAZM群10.6%(11例/104例), CCL群10.2%(11例1108例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
5.臨床検査値の異常変動の発現率はAZM群4.3%(4例/93例), CCL群3.1%(3例/96例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
6.概括安全度の解析対象症例198例における安全率 (「問題なし」の割合) はAZM群84.7%(83例/98例), CCL群86.0%(86例1100例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
7.有用性の解析対象例181例における有用率 (「きわめて有用」+「有用」の割合) はAZM群81.1%(73例190例), CCL群73.6%(67例/91例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
以上, 浅在性化膿性疾患に対して, AZM 500mg1日1回3日間内服はCCL250mg 1日3回7日間内服と同様に有用性の高い薬剤であると考えられた。
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