日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
43 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Imipenem, ceftazidimeを中心に
    宮良 高維, 伊志嶺 朝彦, 斎藤 厚
    1995 年 43 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マウスの緑膿菌による腹腔内感染モデルを同菌に対して作用点の異なるimipenem (IPM) とceftazidime (CAZ) の2つのβ-lactam系抗菌薬で治療し, 抗菌薬により誘発されたエンドトキシン血症のパターンを検討した。グラム陰性桿菌 (GNR) に対し, その隔壁形成に関与するpenicillin binding protein (PBP) 3に比較的親和性の強い抗菌薬は菌体にフィラメント化をきたす。その結果, 菌体の容積が増大し, carbapenem系抗菌薬のように主にPBP2を阻害する抗菌薬と比較して, 溶菌の際に菌体から放出されるエンドトキシン量が多くなるというin vitroの検討にもとついた報告がこれまで多くなされている。しかし, 本稿におけるin vivoの成績は, 治療後早期に高いエンドトキシン血症を起こしたのはむしろIPMの方であった (2時間値, P<0.05)。また, 我々のin vitroの検討結果では, inoculum sizeが小さい系 (105CFU/ml) では形態変化にほとんど差を認めず, 殺菌速度, 遊離エンドトキシン量も両薬剤間で差は認められなかった。しかし, inoculum sizeが大きい系 (107CFU/ml) ではIPMは強力な殺菌力を維持するが, CAZの殺菌力は低下する結果が得られた。したがって, IPMの強力な殺菌が短時間に進行するため, 抗菌薬添加後早期では培養液中に遊離されるエンドトキシンはIPMの方が有意に高い成績が得られた (P<0.05>)。これらから, in vivoでエンドトキシンは常にscavengingを受け末梢血から除去されるため, inoculum effectを受けにくいIPMの強力な殺菌力が感染菌量の多い敗血症マウスにおいては一過性のエンドトキシン値の上昇をきたしたと考えられた。以上の成績から, 抗菌薬に誘発されるエンドトキシン血症をin vitroの検討から予想する場合においては, scavengingを考慮するとエンドトキシン遊離速度が最も重要な指標となると考えられる。
  • 村木 優子, 山田 雅夫, 新居 志郎, 公文 裕巳, 大森 弘之
    1995 年 43 巻 3 号 p. 357-360
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    培養細胞のニュートラルレッド取り込みの減少を指標として試験管内で各種薬剤の光毒性を評価する方法を導入し, 10種のキノロン系抗菌薬の光毒性を検討した。ヒト胎児肺線維芽細胞あるいはVero細胞を各種抗菌剤存在下に培養したのち, 長波長紫外線 (UVA) を照射したときの細胞毒性を, 細胞のニュートラルレッド取り込みの減少として測定した。キノロン系薬剤の光毒性は, 強い光毒性を持つことが知られているdoxycyclineに比べて, いずれもかなり低かった。これらの中で, enoxacin, lomefloxacin, ciprofloxacin, ofloxacin, nalidixicacidでは, 比較的高い光毒性が認められたが, これらは臨床上光線過敏症が報告されているものである。一方, norfloxacin, balofloxacin (Q-35), AM-1155, T-3716の光毒性は比較的低かった。以上より, 本測定法は, 光毒性の簡便で迅速な評価法として有用であることが示唆された。
  • 宮井 正博
    1995 年 43 巻 3 号 p. 361-365
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種呼吸器疾患を有する26症例において気管支肺胞洗浄 (bronchoalveolar lavage: BAL) を用いてピリドンカルボン酸系化学療法剤ciprofloxacin (CPFX) の気管支肺胞系移行性を検討した。CPFX200mgを単独, またはすでに検討したofloxacin (OFLX) 200mgとともに経口単回投与した後2時間のCPFX濃度は血清で0.80±0.59μg/ml, 気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) で0.03±0.02μg/mlであった。一方OFLX濃度は血清で2, 36±1, 25μg/ml, BALFで0.15±0.06μg/mlであり, CPFX濃度は血清, BALFともOFLX濃度におよばなかった。BALF中CPFX濃度は慢性気管支炎, 肺癌および間質性肺疾患群の3群間に有意差を認めなかった。CPFX濃度のアルブミン補正値に関しては, 血清およびBALFの両方で検討できた19例全例において血清の方がBALFより高値をとった。
  • 稲松 孝思, 深山 牧子, Akihiko Kato, Masanori Nishinaga
    1995 年 43 巻 3 号 p. 366-370
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Prodrugである経口用セフェム剤, cefterampivoxi1の高齢者における体内動態を検討した。明らかな肝・腎障害のない高齢者5例 (65~87歳, 平均78.2歳, 男2例, 女3例) に本剤100mgを空腹時に経口投与し, 血中, 尿中のcefteram濃度推移をbioassayにて測定した。ピーク値は服薬後1~3時間にあり, 0.72~1.9μg/mlの濃度を示した。1症例では, 服薬後2時間目に初めて血中に出現したが, 消化管内移送の遅れによると推定された。服薬後24時間までの尿中回収率は, 13, 7%であった。血中半減期は1.4時間, AUCは5.18h・μg/mlであった。若年ボランティア群における報告値と比較すると, 高齢者では'服薬後2時間までは同様の血中濃度を示すが, 以後は高い濃度が得られた。服薬後血中濃度がピークに達するまでは吸収の遅延と排泄の遅延が相殺しあって同様の血中濃度推移をとり, その後は排泄遅延の影響が明らかになった結果と推定された。また, 腸管エステラーゼによるプロドラッグの活性化が高齢者で遅延しているとしても, その影響は少ないと思われる。これらの成績から, 80歳代の高齢者であっても, 常用量程度の用量であれば1日2回の投与に支障はないと言える。
  • YP-14研究会
    松田 静治他
    1995 年 43 巻 3 号 p. 371-385
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam とpiperacillin を配合した注射用抗生tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の産婦人科領域感染症に対する臨床的有用性を検討した。1992年9月から1994年3月の期間, 全国36の研究施設で試験を実施し, 以下の成績を得た。
    1) 産婦人科領域感染症151例にTAZ/PIPCを投与し, 解析対象症例129例に対する臨床的有効率は91.5%であった。また, 各疾患別の臨床的有効率は, 子宮内感染で94.9%, 子宮付属器炎で82.1%, 骨盤内感染で90.0%, 外性器・その他の感染症で100%を示した。
    2) 他剤無効・再発例に対しては, 93.8%の有効率を示した。
    3) 産婦人科領域感染症より得られた分離細菌149株中の40.9%はβ-ラクタマーゼ産生株であった。特に好気性グラム陰性桿菌におけるβ-ラクタマーゼ産生株の分離頻度は94.9%であった。また, β-ラクタマーゼ阻害効果を反映して, すべての菌株においてTAZ/PIPCの抗菌力はpiperacillinの抗菌力と同等以上であった。
    4) 分離菌別臨床効果における有効率は単独菌感染および複数菌感染で, それぞれ91.7%, 97.8%であった。β-ラクタマーゼ産生株が分離された症例における有効率は, 非産生株の場合と同等であった。
    5) 分離菌別細菌学的効果は全体で92.6%の消失率であり, β-ラクタマーゼ産生株に対する消失率も同等であった。
    6) 副作用の発現率は5.3%であり, 下痢および発疹が主であった。
    7) 臨床検査値異常の発現率は, 6.6%であり, 血清トランスアミナーゼの上昇および好酸球の増多が主であった。
    以上の成績から本剤は, 産婦人科領域感染症に対して優れた有用性が期待できる抗生物質として十分評価できると考えられた。
  • 1995 年 43 巻 3 号 p. 386-398
    発行日: 1995/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
feedback
Top