日本化学療法学会雑誌
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43 巻, 4 号
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  • 古谷 利通, 外山 圭助, 増田 剛太, 山口 剛
    1995 年 43 巻 4 号 p. 411-415
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) を液体培地内で, グラム陰性桿菌に作用させたところ, 著明なフィラメント形成が見られ, 最小発育阻止濃度 (MIC) 測定に大きな影響をおよぼした。使用菌種は, Escherichia coil, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter spp., Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaで以下の成績を得た。
    (1) Broth法で見られた, 試験管底に形成された白色沈巌物を生菌数増加によるものと考えて測定したMIC値は, Agar法でのMICに比べ著明な高値を示した。沈殿物はどの菌種についても観察された。
    (2) 試験管底の沈殿物を光顕的に観察すると, 著明なフィラメント状となった菌体であった。
    (3) Broth内における菌数計算を経時的に行ったところ, 試験管底に沈殿物は存在するが, 上清の混濁が見られないBroth内では, 菌数は増加しておらず, 沈殿は, 生菌数増加によるものではないことが確認された。
    (4) 試験管底の沈殿物がフィラメントであることを確認後, 上清の混濁の有無のみを指標としてBroth法でMICを求めると, 沈殿物形成を混濁の一部として判定した場合に比べ, 低値であり, Agar法でのMICに近似した値となった。
    以上より, Broth法でAZTのMICを求める際は, フィラメント形成によってできた沈殿物は生菌数増加による混濁と区別する必要があると考えられた。
  • ラットでの検討
    永井 章夫, 長沢 峰子, 三富 敦浩, 河村 泰仁, 児玉 卓也, 渡辺 泰雄, 成田 弘和, 清水 喜八郎
    1995 年 43 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ラットを用いgentamicin (GM) 誘発性腎毒性に対するtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) の軽減作用をPIPCと比較した。ラット筋肉内にGM70mg/kgを10日間連続投与して腎毒性を誘発した。TAZ/PIPCは1,000mg/kgを, PIPCはTAZ/PIPC (1:4) の配合比から800mg/kgを静脈内に10日間併用投与した。GM単独群で尿中NAG, 尿中蛋白量, 尿中β2-Mの増加, BUNと血中クレアチニンの増加, 腎重量と腎重量体重比の増加, 腎の退色化, 組織学的に腎皮質尿細管上皮の壊死, 脱落, 再生, 皮質尿細管腔の拡張と硝子様円柱, 皮質間質の炎症性細胞浸潤がみられた。このような腎毒性は, TAZ/PIPC併用で明らかに軽減し, その作用はPIPCとほぼ同程度であった。
  • 副島 林造他
    1995 年 43 巻 4 号 p. 421-435
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質cefoselis (FKO37: 以下FK) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を, ceftazidime (以下CAZ) を対照薬として比較検討した。FKおよびCAZの投与量はともに1回1.0g (力価) を, 1日2回, 原則として14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。
    1. 総登録症例186例中臨床効果判定可能例数146例の有効率は, FK群92.3% (72/78), CAZ群91.2% (62/68) であった。
    2. 細菌学的効果 (菌消失率) は, FK群100% (21/21), CAZ群96.4% (27/28) であった。
    3. 副作用発現率はFK群3.3% (3/90), CAZ群3.4% (3/88) であり, 臨床検査値異常変動の出現率はFK群20.0% (18/90), CAZ群18.3% (15/82) であった。また, 概括安全度 (安全率) はFK群78.9% (71/90), CAZ群81.7% (67/82) であった。
    4. 有用性 (有用率) はFK群89.7%(70/78), CAZ群88.1% (59/67) であった。
    以上, FK群, CAZ群の両群間に有意差はみられず, cefoselisは細菌性肺炎に対してceftazidimeと同等の臨床的有用性を有することが示唆された。
  • 副島 林造他
    1995 年 43 巻 4 号 p. 436-450
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム剤cefoselis (FK037: 以下FK) の慢性気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性を, ceftazidime (以下CAZ) を対照薬として比較検討した。FKおよびCAZの投与量はともに1回1.0g (力価) とし, 1日2回, 点滴静注により原則として14日間投与し, 以下の成績を得た。
    1. 総投与症例173例中臨床効果判定可能例数144例の有効率は, FK群90.5%(67/74), CAZ群90.0%(63/70) であった。
    2. 細菌学的効果 (菌消失率) は, FK群 89.2%(33/37), CAZ群 94.3%(33/35) であった。
    3. 副作用発現率はFK群 7.1%(6/84), CAZ群 2.5%(2/79) であった。臨床検査値異常変動の出現率はFK群 13.1%(11/84), CAZ群 12.8%(10/78) であった。
    4. 有用性 (有用率) はFK群 84.0%(63/75), CAZ群 87.1%(61/70) であった。
    上記の検討項目ですべてにおいて, FK群, CAZ群の間に有意差はみられなかった。以上の成績よりFKは慢性気道感染症に対して有用な薬剤であることが示唆された。
  • 石原 哲, 安田 満, 多田 晃司, 米田 尚生, 伊藤 康久, 斉藤 昭弘, 出口 隆, 栗山 学, 坂 義人, 河田 幸道
    1995 年 43 巻 4 号 p. 451-456
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    岐阜大学および関連施設泌尿器科で最近5年間に見いだされたEnterococcus faecalisによる複雑性尿路感染症例365例について, 分離頻度, 患者背景等の臨床的検討を行った。また, 最近3年間の分離株104株を対象に薬剤感受性を測定した。E. faecalisの分離頻度は16.6%であった。他の代表的尿路感染症起炎菌と比較して, 相対的に, 入院症例, カテーテル留置症例, 複数菌感染として分離されることが多かった。また, 薬剤感受性の検討では, ペニシリン系薬剤, カルバペネム系薬剤が良好な抗菌力を示し, セフェム系薬剤では, cefmetazole, ceftazidimeは無効であったが, cefpirome, cefluprenam (E1077) は優れた抗菌力を示した。Gentamicinには耐性株が存在した。ニューキノロン系薬剤も優れた抗菌力を示したが, 一部耐性株が存在した。Vancomycin耐性株は存在しなかった。
  • 経尿道的前立腺切除術後尿路感染症予防効果の検討
    畠 和宏, 公文 裕巳, 大森 弘之, 朝日 俊彦, 片山 泰弘, 赤枝 輝明, 近藤 捷嘉
    1995 年 43 巻 4 号 p. 457-461
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Granulocyte colony stimulating factor (G-CSF) の尿路感染症治療への応用性を評価する目的で, G-CSFの経尿道的前立腺切除術 (TUR-P) 後の尿路感染症予防効果について検討した。TUR-P後の尿路感染症の診断基準は、尿沈渣で膿球10個/1視野かつ尿培養検査でGNR≧103cfu/mlまたはGPC≧104cfu/mlとして臨床成績を検討した。術開始時の抗生剤1回投与に加えて, 術前日からlenograstim (中外製薬) を5日間投与したStudy Aにおいては術後感染症発症率はG-CSF投与群で33.3% (3/9), 非投与群で37.5% (3/8), また術後2日目から5日間投与したStudy BにおいてはG-CSF投与群で21.1% (4/19), 非投与群で46.7% (7/15) となっていた。術後感染症発症例よりの尿中分離菌のなかで尿路感染症として問題となるGNRの頻度は, G-CSF投与群では28.6%, 非投与群では60%であった。なお, G-CSF投与群における臨床的副作用については, 一過性の奪麻疹を1例に認めたのみであった。
  • 黒川 博史, 小黒 和彦, 永田 明義, 鈴木 和夫, 荒川 宜親
    1995 年 43 巻 4 号 p. 462-463
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1994年7月から10月までに, 臨床から分離されたceftazidime耐性のKzebsiella pneumniaec 8株に対し, ceftazidime (CAZ), piperacillin (PIPC), sulbenicillin (SBPC), ceftizoxlme (CZX), ceftriaxone (CTRX), cefpirome (CPR), latamoxef (LMOX), cefminox (CMNX) のMIC値を, 微量液体希釈法 (日本化学療法学会標準法) により測定した。8株のうち2株が, CAZに対するMIC値400μg/mlを越える株であった。これら, CAZ耐性K. pneumoniaeについて調査を行ったので報告する。
  • 1995 年 43 巻 4 号 p. 464-469
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 43 巻 4 号 p. 469-473
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 43 巻 4 号 p. 473-497
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 43 巻 4 号 p. 509
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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