日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
43 巻, Supplement4 号
選択された号の論文の93件中1~50を表示しています
  • 井上 邦雄, 浜名 洋子, 三橋 進
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 1-8
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規注射用セフェム剤cefluprenam (CFLP) の抗菌力試験をceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), cefpirome (CPR) およびcefozopran (CZOP) と比較検討を行った。
    1. CFLPはグラム陽性菌, グラム陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を示した。その抗菌力は一部の菌種を除き, 比較薬剤を上回る優れたものであった。特に, セフェム剤に感受性の低いEnterococcus faecalisに対してCFLPは強い抗菌力 (MIC90: 3.13μg/ml) を有し, CZOP, CPRの4~8倍, CZON, CAZより16倍以上高い活性であった。また, 第三世代セフェム耐性株の多い. Citrobacter freundii, Enterobacter cloacaeにもCFLPはCPR, CZOPの4~8倍, CZON, CAZより32~128倍高い活性を示し, 0.78μg/mlの濃度で90%の発育を阻止した。
    2. CFLPはStaphylococcus aureus SmithおよびEscherichia coli ML 4707に対して対照薬剤と同様強い殺菌作用を示した。
    3. CFLPはoxyiminocephalosporinaseを除く各種β-lactamaseに対しきわめて安定であった。この高い安定はE. cloacae, C. freundiiおよびKlebsiella pneumoniaeのようなβ-lactamase産生菌株に対して優れた抗菌活性を示した。
  • 舘田 映子, 横田 健, 平松 啓一
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 9-16
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefluprenam (CFLP) の試験管内抗菌力は, Staphylococcus aureus, methicillin-resistant S.aureus, coagulase-negative staphylococci, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, β-streptococci, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichia coli CS 2 (R+), Klebsiellapneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Providencia retlgeri, Morganella morganii, Serratiamarcescens, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonascepacia, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter calcoaceticus, ampicillin-resistant Haemophilus influenzaeおよびBacteroides fragilisの15-51臨床分離株に対するMIC90として, それぞれ12.5, 25, 6.25, 0.025, 0.025, 0.05, 6.25, >100, 0.05, 12.5, 0.1, 3.13, 0.78, 0.1, 3.13, 3.13, 6.25, 25, 25, 25, >100, >100, および0.78 μg/mlであった。CFLPはE.faecium, X.maltophylia, B.fragilisを除く各菌種に対して幅広い抗菌力を示し, その強さはcefpiromeとほぼ同等だった。またE.faecalisに対しては被検薬剤中最も強い抗菌力を示した。CFLPはS.aureusのPBP 1, 2, 4に強い親和性を示し, MRSAのPBP 2'に対してもceftazidimeより優れた結合親和性を示した。また本剤はE. coli, S. marcescens, P. vulgarisのPBP 2, 3に, P. aeruginosaのPBP 1 Aにもっとも強い結合親和性を示した。CFLPはE. coliに対し低濃度で血清補体と強い協力的殺菌作用を示し, マウス培養マクロファージとは1/8 MIC以上の本剤存在下で強い協力的殺菌作用が認められた。
  • 齋藤 玲, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 17-21
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) の臨床分離株に対する抗菌力の測定ならびに内科領域感染症に対する臨床的検討を行った。
    1) 臨床分離株7菌種239株についてCFLPおよび対照薬としてcefclidin (CFCL), ceftazidime (CAZ), cefixime (CFIX), cefpodoxime (CPDX) の4薬剤の抗菌力を測定し, 比較検討した。本剤の7菌種に対するMIC90では, Staphylococcus aureus (MSSA) に対して0.78 μg/ml, Echerichiacoli 0.09 μg/ml, Klebsiella pneumoniae 0.09 μg/ml, Serratia marcescens 3.13 μg/ml, Proteus mirabilis 0.39 μg/ml, Morganella morganii 0.09 μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 50 μg/mlであった。
    2) 呼吸器感染症10例および尿路感染症2例に使用し, 有効性および安全性について検討した。投与は本剤1回1 gを1日2回, 3~14日間点滴静注した。解析対象11例における臨床効果は, 著効2例, 有効8例, やや有効1例であった。菌は7例から6菌種のべ9株検出され, いずれも消失したが, 菌交代が1例に認められた。副作用は認められず, 臨床検査値異常は白血球数の減少およびGOT・GPTの上昇が各1例で認められた。
  • 大道 光秀, 平賀 洋明, 平川 美智子
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 22-26
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新たに開発されたセファロスポリン系抗生物質cefluprenamの臨床分離株に対する抗菌力, 呼吸器感染症に対する臨床効果ならびに有用性について検討し, 以下の結果を得た。当院臨床検査室で分離された, Staphylococcus aureus 20株, Streptococcus pneumoniae 23株, Escherichia coli 20株, Klebsiella pneumoniae 20株, Haemophilus sp. 20株, Pseudomomasae Ruginosa 19株の計122株に対する本剤のMIC50S. aureus 0.78μg/ml, S. pneumoniae 0.1μg/ml, E.coli≦0.025μg/ml, K. pneumontae 0.05μg/ml, Haemophilus sp. 0.05μg/ml, P. aeruginosa 0.78μg/mlであった。急性細菌性肺炎8例, 肺化膿症1例, 慢性気管支炎1例ならびに気管支拡張症の二次感染1例の計11例に対し, cefluprenam 1.0gを1日2回, 10~4日間投与した。臨床効果は, 著効3例, 有効8例であった。細菌学的効果は, 分離されたS. pneumoniae 4株, Streptococcus dysgalactiae1株の計5株が消失し, Pseudomonazs fluorescens1株は菌量の減少をみたが, 存続した。副作用は, 全例に認められなかった。臨床検査値異常は, 2例にGOT・GPTの上昇が, 1例にALPの上昇が認められたが, いずれも軽度であり, 無処置で2週間後には正常化した。
  • 渡辺 彰, 徳江 豊, 高橋 洋, 庄司 聡, 菊地 宏明, 本宮 雅吉, 貫和 敏博, 本田 芳宏, 中井 祐之, 佐藤 和男, 長井 弘 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 27-33
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規注射用セフェム系抗生物質のcefluprenam (CFLP) の呼吸器由来6菌種に対する抗菌力をceftazidime (CAZ), cefpirome (CPR), flomoxef (FMOX) と比較すると共に呼吸器感染症15例に対する臨床効果, 細菌学的効果ならびに安全性を検討して, 臨床的位置付けを考察した。Staphylococcus aureus (MSSAおよびMRSA), Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacaeおよびPseudomonas aeruginosaに対する抗菌力は対象3剤と同等か2~4倍強かった。Serratia marcescensに対する抗菌力はCPRの1/2であるが, CAZより2倍強かった。肺炎4例, 肺化膿症1例, 気管支拡張症二次感染8例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺癌+感染1例の計15例にCFLPを1回1~2 g, 1日2回, 4~14日間投与し, 判定可能の14例中著効1例, 有効9例, やや有効1例, 無効3例, 有効率は71.4%であった。投与前にStreptococcus pneumoniae 1, Moraxella catarrhalis 1, Haemophilus influenzae 1, E. coli 1, P. aeruginosa 2の計6株が分離され, 治療後にP. aeruginosa 1株以外の5株が消失した。発熱, 発疹・GPTの上昇・白血球数の減少, LAP上昇, HbとHtの低下が各々1例ずつに見られ, 投与終了後いずれも改善した。CFLPは呼吸器領域を含む種々の感染症に対する有力な第一次選択薬剤と考えられる。
  • 岡 慎一, 後藤 美江子, 木村 哲, 島田 馨, 稲松 孝思, 深山 牧子, 佐野 靖之, 荒井 康男, 荒井 千明, 後藤 元
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 34-41
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenam (CFLP) の各種新鮮臨床分離株に対するin vitro抗菌力を, cefozopran (CZOP) およびceftazidime (CAZ) と比較検討した。また, メチシリン耐性Staphylococcus aureirs (MRSA) を用い, cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM) およびfosfomycin (FOM) とのin vitro併用効果を検討した。さらに, 各種内科領域感染症に本剤を使用し, 臨床的検討を行った。
    (1) CFLPはグラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を示した。特に, S. aureusおよびEnterococcus faecalisを含むグラム陽性菌およびグラム陰性腸内細菌群 (Serratia marcescensおよびProteus vulgarisを除く) に対する抗菌力は強く, CZOPの2~4倍, CAZの2~32倍以上の活性であった。また, Pseudomonas aeruginosaに対する抗菌力はCZOPと同様で, CAZの約2倍の活性であった。CFLPはCEZおよびCTMとの併用時に, MRSAの70~80%の株に対して強い相乗効果を示した。
    2) 敗血症3例, 敗血症 (疑) 1例, 肺炎8例, 肺化膿症1例, 気管支肺炎3例, 急性気管支炎4例, 慢性気管支炎5例, 気管支拡張症1例, 腎孟腎炎1例の計27例を対象とした。臨床効果判定不能の5例を除く22例における臨床効果は, 有効率95.5%であった。起炎菌は10例から7菌種11株が分離され, 本剤の投与によりすべて消失した。副作用は発疹が1例に認められたが投与中止後すみやかに消失している。臨床検査値異常は6例に認められたが, いずれも軽度なものであった。
  • 柴 孝也, 吉田 正樹, 酒井 紀, 今井 健郎, 高橋 孝行, 森田 雅之, 松本 文夫, 岡田 和久
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 42-48
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セファロスポリン系抗生剤であるcefluprenam (CFLP) の基礎的・臨床的検討を行い, その成績を得た。
    1) 健常成人男子志願者5名にCFLPおよびceftazidime (CAZ) それぞれ1.0gを3分間で投与し, 血漿中濃度および尿中排泄を比較検討した。CFLPおよびCAZはほぼ同様な血漿中濃度推移を示し, 消失半減期 (T1/2β) はそれぞれ2.07±0.32, 1.80±0.11時間であった。24時間の尿中排泄率はそれぞれ93.9±2.4, 93.6±3.8%であった。CFLPの体内動態に及ぼすProbenecid (Prob) の影響をクロスオーバー法にて検討した結果, Prob併用の影響は認められず, 腎排泄機序としては糸球体濾過によることが示唆された。
    2) 臨床検討は, 肺炎3例, 肺化膿症1例, 急性気管支炎1例, 慢性気管支炎1例, 感染を伴った気管支拡張症1例, 尿路感染症1例の計8例に対して, 本剤を1回1.0g, 1日2回8~14日間使用して行った。対象外疾患と判明した1例を除く7例の臨床効果は, 著効2例, 有効5例であった。細菌学的効果は, 呼吸器感染症から分離された2株のうちStaphylococcus aureusは消失, Pseudomonas aeruginosaは不変, 尿路感染症から分離されたProteus mirabilisは消失した。副作用は認められず, 臨床検査値の異常はS-GOT上昇が1例に認められた。
  • 小林 芳夫, 内田 博, 池田 康夫
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 49-51
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新抗生剤cefluprenam (CFLP) のStaphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiellapneumoniae, Enterobacter cloacae ならびにPseudomoonas aeruginosaに対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。S. aureus 47株のうち32株はmethicillin (DMPPC) のMICが12.5μg/ml以上でmecA遺伝子陽性であった。32株中31株に対するDMPPCのMICは25μg/ml以上で, CFLPのMICも25μg/ml以上であり比較対照薬剤のMICも高値であった。残る1株に対するDMPPCのMICは12.5μg/mlであったが本菌に対するCFLPのMICは1.56μg/mlであった。またmecA遺伝子陽性の2株を含むDMPPCのMICが3.13μg/ml以下のS. aureus 15株に対するCFLPのMICは0.39以下から1.56μg/mlに分布しcefpirom (CPR) より優れcefuzonam (CZON) およびflomoxef (FMOX) とほぼ同等と言える抗菌力であった。E. coli 35株に対してCFLPは0.006μg/ml以下から0.78μg/mlのMICでCPRとほぼ同等ceftazidime (CAZ) およびcefclidin (CFCL) よりは優れていた。K. pneumontae 17株に対しCFLPは0.013μg/mlから12.5μg/mlのMICでCPRとほぼ同等CFCL, CAZよりは優れた抗菌力であった。E. cloacae 11株に対しCFLPは0.025μg/mlから6.25μg/mlのMICでCPR, CFCLおよびCAZより優れた抗菌力であった。P. aeruginosa 17株に対してCFLPは0.39μg/mlから50μg/mlのMICでありCFCLには劣るがCPRやCAZよりは優れた抗菌力であった。
  • 青木 信樹, 薄田 芳丸, 若林 信人, 林 静一, 渡辺 京子, 本間 康夫
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 52-60
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    70歳以上の高齢者12例にcefluprenam (CFLP) 1.0gを1時間かけて点滴静注した際の血中濃度と尿中回収率を測定した。最高血中濃度はいずれも点滴終了直後に得られ, 若年者とくらべてその値に大きな差はみられなかった。血中消失半減期は腎機能の低下に伴い延長し, 24時間までの尿中排泄率は低下した。慢性気道感染症患者2例に本剤1.0gないし2.0gを1時間かけて点滴静注した際の血中および喀痰中濃度を測定した・最高血中濃度は1.0g, 2.0g投与例でそれぞれ112, 99.3μg/ml, 喀痰中最高濃度はそれぞれ8.92, 9.44μg/mlであった。呼吸器感染症33例に本剤を使用し, 著効1例, 有効24例, 無効7例, 判定不能1例の結果を得た。副作用としては1例で発熱を伴う発疹がみられた。検査成績上AI-pの上昇, 直接クームス試験の陽性化, GOT・GPT・Al-p・γ-GTP・LAPの上昇を各々1例で認めたが, いずれも軽度であった。
  • 二木 芳人, 吉田 耕一郎, 守屋 修, 中島 正光, 沖本 二郎, 副島 林造, 木村 丹, 松島 敏春
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 61-65
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) の主要呼吸器感染病巣分離菌に対するMICを測定し, 対照薬と比較検討した。また, 慢性気道感染症2例における血中・喀痰中濃度を検討し, さらに呼吸器感染症7例に本剤を使用してその有効性ならびに安全性を評価した。
    1) CFLPのmethicillin-sensitive Stapdylococcus aureusおよびStreptococcus pneumoniaeに対する抗菌活性はceftazidime (CAZ) より優れ, cefoperazone (CPZ), cefmenoxime (CMX) と同等であった。Morexella catarrhalisおよびKlebsiella pneumoniaeに対しては, imipenem/cilastatin (IPM/CS), CAZ, CPZ, CMXと同等の抗菌活性を示した。Haemophilus influenzaeに対してはIPM/CSより優れ, CAZ, CPZと同等であった。Pseudomonas aeruginosaに対してはIPM/CSよりやや劣り, CAZと同等, CPZ, CMXより優れた抗菌活性を示した。
    2) 慢性気道感染症2例に本剤1.0gを60分間かけて点滴静注し, 各々の血中及び喀痰中のCFLP濃度を測定した結果, 2例とも投与終了直後に各々66.4, 101μg/mlの最高血中濃度が得られ, 最高喀痰中濃度は各々5.88, 3.60μg/mlであった。
    3) 呼吸器感染症7例に対する本剤の臨床効果は, 著効1例, 有効3例, 無効3例であった。副作用は1例で本剤投与3日目より胸部浸潤影が出現し, 投与継続にて悪化傾向あり, 薬剤との因果関係が疑われた。臨床検査値異常としては, 白血球数の減少・好酸球の増多, 好酸球の増多, GOT・GPTの上昇が各1例に認められた。
  • 平 和茂他
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 66-71
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用セフェム薬であるcefluprenamについて基礎的ならびに呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床分離株16菌種483株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ceftazidime (CAZ) やcefzonam (CZON) と比較検討した。その結果, グラム陽性菌に対してはCZONとほぼ同等で, CAZよりも優れていた。また, グラム陰性菌に対してもほとんどの菌種に対して最も優れた抗菌活性を示した。
    2. 血中および喀痰中濃度: 気管支拡張症の症例に本剤1gを1時間で点滴静注した時の血中および喀痰中濃度を測定した。最高血中濃度は点滴終了直後に48.4μg/mlを示し, 最高喀痰中濃度は1.5時間後に6.57μg/mlで, 喀痰中移行率は13.6%と良好な値を示した。
    3. 臨床的検討二呼吸器感染症患者15例 (肺炎11例, 肺炎+胸膜炎2例, 肺膿瘍1例, 感染性巨大肺嚢胞症1例) に本剤を投与し, 臨床効果ならびに副作用について検討した。総合臨床効果は著効1例, 有効13例, やや有効1例で, 有効率は93.3%であった。副作用としては発熱1例, 葦麻疹1例, 発熱・発疹・薬剤性肺臓炎が1例に認められた。臨床検査値異常は6例に認められ, いずれも軽度で一過性の異常であった。
    以上より, 本剤は良好な抗菌スペクトル, 抗菌活性, 喀痰中移行性を有した薬剤であり, 呼吸器感染症の治療にも有用であることが示唆された。
  • 高橋 淳, 大石 和徳, 石川 秀文, 渡辺 浩, 大森 明美, 秋山 盛登司, 宇都宮 嘉明, 田尾 操, 渡辺 貴和雄, 永武 毅, 松 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 72-81
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セフェム系抗生剤cefluprenarnの呼吸器感染症における基礎的・臨床的検討を行ったので報告する。呼吸器感染症より分離された病原性の明確な菌株に対する抗菌力をMIC50, MIC90で示すとHaemo-Philus influenzae 42株に対しては0.013, 0.05μg/ml, Streptococcus pneumoniae 50株では0.006, 0.39μg/ml, Morexella (Branhamella) catarrhalis 41株では0.39, 1.56μg/mlと優れた抗菌力を示した。また, Pseudomonas aeruginosa 43株に対しては6.25, 50μg/ml, さらにStaphylococcus aureus 53株に対しても6.25μg/ml, >100μg/mlと比較的良い抗菌力を示した。3人の患者における喀痰中濃度を測定した。本剤1回1g, 1日2回の点滴静注における2人の喀痰中濃度 (最高喀痰中濃度/最高血清中濃度) はそれぞれ3.81μg/ml (5.50%), 5.75μg/ml (9.54%) であった。また1回2g, 1日2回の点滴静注におけるそれは5.13μg/ml (3.43%) であった。次いで, 本剤を10例の呼吸器感染症に投与し細菌学的・臨床的効果を検討した。症例は肺炎4例, 慢性気道感染症6例であり, 投与回数は1日2回投与で, 投与量は1回1g投与が7例, 1回2gが2例, 経過中1gかち2gに増量した症例1例であった。臨床効果は著効3例, 有効6例, 無効1例, 有効率90%(9/10) と優れた臨床効果であった。10症例中9症例で計12株の起炎菌が判明し, H. einfluenzae 4株, S. pneumoniae 1株, M.catarrhalis 1株, Escherichia coli 1株は全て消失した。またP. amginosaは5株中2株が消失し, 全体の菌消失率は75%(9/12) と優れた細菌学的効果を示した。副作用はなく, 臨床検査値異常は1例に好酸球増多を認めたのみで, 本剤は呼吸器感染症に優れた効果を期待しうる薬剤と結論される。
  • 山崎 透, 生田 真澄, 時松 一成, 一宮 朋来, 藤井 宏透, 平井 一弘, 平松 和史, 河野 宏, 永井 寛之, 後藤 陽一郎, 田 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 82-87
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) について, 臨床分離菌に対する抗菌活性の測定, 血中・喀痰中濃度の測定および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 抗菌力: 最近の臨床材料から分離された6菌種329株について日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度を測定し, ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), flomoxef (FMOX), imipenem/cilastatin (IPM/CS) の抗菌力と比較した。CFLPはStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae, Moraxella catarrhakisに対してはCZON, FMOXと同等以上の抗菌力を示し, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対しては対照薬剤中最も強い抗菌力を示した。
    2. 血中・喀痰中濃度: 急性気管支炎1例にCFLPを1.0g, 60分間で点滴静注後, 血中および喀痰中濃度を経時的に測定した。投与終了直後に最高血中濃度66.0μg/mlを示し, 喀痰中濃度は投与終了後4~5時間で2.38μg/mlを示した。
    3. 臨床検討: 呼吸器感染症11例を対象に本剤1回1g, 1日2回点滴静注投与を6~14日間行った。薬効評価が可能であった9例の臨床効果は, 著効1例, 有効5例, やや有効2例, 無効1例であった。副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
  • 普久原 浩, 我謝 道弘, 健山 正男, 大城 元, 稲留 潤, 斎藤 厚, 草野 展周, 仲宗根 勇, 古堅 興子, 平良 真幸, 外間 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 88-93
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenamについて, 基礎的ならびに臨床的に検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 基礎的検討: 各種臨床分離菌13菌種321株を用いて, 本剤とセフェム系抗生剤ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), ceftizoxime (CZX), cefoperazone (CPZ) との抗菌力を比較した。本剤は他のセフェム系4剤と比較してグラム陽性菌および陰性菌に対して優れた抗菌力を示した。
    2. 体液内濃度: 膿胸患者1例において, 本剤1gを30分間点滴静注したところ, 点滴静注終了直後に最高血中濃度19.1μg/mlを認め, 最高喀痰濃度は1~2時間後に0.87μg/mlを示し, 喀痰移行率は4.6%であった。
    3. 臨床的検討: 呼吸器感染症10例 (肺炎7例, 肺化膿症1例, 膿胸1例, 気管支拡張症1例) に本剤を投与した。臨床効果は, 著効5例, 有効3例, 無効1, 判定不能1例で88.9%の有効率を示した。副作用は発疹1例, 頭痛1例を認めた。臨床検査値異常は好酸球増多が1例, GOT, GPTの上昇が1例に認められた。これらの副作用および臨床検査値異常は本剤終了後に消失, 正常化した。
    以上の結果より, 本剤は呼吸器感染症に対し有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 佐藤 隆志, 渋谷 秋彦, 廣瀬 崇興, 熊本 悦明, 梅原 次男, 門野 雅夫, 江夏 朝松, 山崎 清仁, 高木 良雄
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 94-103
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質であるcefluprenam (CFLP) について基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 基礎的検討 (抗菌力): 教室保存の尿路感染症分離菌 (12菌種446株) に対するCFLP, ceftazidime (CAZ), flomoxef (FMOX), cefuzonam (CZON), imipenem (IPM) のMICをMIC2000システムを用いて測定した (105CFU/ml: 接種菌量)。本薬のMIC90は, methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 32μg/ml, Escherichia coll 0.032μg/ml, Klebsiella pneumoniae 0.125μg/ml, Indole-positive Proteus group 0.25μg/ml, Enterobacter spp.1.0μg/mlと比較薬剤より良好な抗菌力であった。また, Staphylococcus epidermidisでは4.0μg/mlとCZONと同等, Enterococcus faecalisでは8.0μg/ml, Pseudomonas aeruginosaでは4.0μg/mlとIPMと同等, Proteus mirabilisでは0.063μg/mlとCAZと同等であり, いずれも他の比較薬剤より優れていた。Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA), Serratia marcescensに対しては, IPMに次ぐ抗菌力を示したが, Enterococcus faeciumに対しては他薬剤と同様に弱い抗菌力であった。
    2. 臨床的検討: 本薬を急性単純性腎孟腎炎2例, 複雑性尿路感染症34例, 急性精巣上体炎1例および急性前立腺炎2例に投与し, 臨床効果および安全性の検討を行った。急性単純性腎孟腎炎では1例が評価可能であり, 臨床効果は著効であった。複雑性尿路感染症における臨床効果は, 著効11例, 有効15例, 無効2例で有効率は92.9%であった。細菌学的効果は37株中S. marcescens 1株, P. aeruginosa 2株を除く34株が消失し, 消失率は91-9%であった。また, 急性精巣上体炎1例に対する主治医判定は有効であり, 急性前立腺炎2例に対してはいずれも著効であった。
    副作用に関しては39例中発疹が1例認められ, 臨床検査値異常変動は好酸球上昇1例およびGOT, GPT, ALP上昇1例を認めた。
  • 斎藤 功, 西古 靖, 横沢 光博
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 104-110
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規半合成注射用セフェム系抗菌剤cefluprenam (CFLP) の抗菌力, ならびに尿路感染症に対する臨床的検討を行った。
    抗菌力: 本剤とceftazidime (CAZ), flomoxef (FMOX), imipenem (IPM) の抗菌力を比較した。グラム陽性球菌に対する本剤の抗菌力は全体的に良好であり, 特にEnterococcus faecalisに対しては, IPMとほぼ同等であり, 他のセフェム剤より優れていたグラム陰性桿菌に対しても全体的に良好な抗菌力を示し, 特にEscherichia coli, Citrobacter freundii, Serratia mrcescens, Morganella morganiiに対しては他3剤より優iれていた。Pseudomonas aeruginosaに対してはCAZと同等であった。
    臨床的検討: UTI薬効評価基準に合致した慢性尿路感染症10例に対する効果, 総合有効率は60%であった。また, 急性単純性腎孟腎炎1例に対するUTI判定は有効, 2例の精巣上体炎に対する主治医判定は著効1例, 有効1例であった。本剤を投与した16例において自・他覚的副作用は認めなかったが, 臨床検査値異常としてS-GPT上昇が1例認められた。
  • 岡野 学, 上野 一哉, 米田 尚生, 石原 哲, 斉藤 昭弘, 伊藤 康久, 出口 隆, 坂 義人, 河田 幸道, 酒井 俊助, 土井 達 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 111-116
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セファロスポリン剤cefluprenam (CFLP) について基礎的, 臨床的検討を行った。
    1. 基礎的検討: ceftazidime (CAZ), cefepime (CFPM), flomoxef (FMOX), imipenem (IPM) を対照薬として複雑性尿路感染症由来の9菌種220株に対するMICを測定した。Staphylococcus aureus, Euterococcus faecalisに対してはIPMよりは劣るものの他のセファロスポリン剤よりは優れていた。グラム陰性桿菌に対してはIPMと同等で優れた抗菌力を示した。
    2. 臨床的検討: 複雑性尿路感染症14例に対して本剤を1回0.5gまたは1gを1日2回5日間投与した。UTI薬効評価基準に合致した10例の成績は著効2例, 有効6例, 無効2例で総合有効率は80%であった。細菌学的効果は18株のうち16株が消失し89%であった。本剤を投与した14例中, 本剤に起因した自他覚的副作用, 臨床検査値の異常はみられなかった。
    以上よりCFLPは尿路感染症の治療に有効かつ安全な薬剤と考えられた。
  • 宮崎 茂典他
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 117-126
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤cefluprenam (CFLP) の泌尿器科領域感染症における有用性を臨床的に検討した。
    複雑性尿路感染症39例, 急性前立腺炎1例に対し本剤1回0.5gまたは1.0gを1日2回, 5日間点滴静注し, その臨床効果と安全性を検討した。UTI薬効評価基準に合致した30例での臨床効果は, 著効8例, 有効14例, 無効8例で有効率73.3%であった。投与前分離菌65株のうち58株が投与終了後には消失しており, 菌消失率は89.2%であった。自他覚的副作用は認められなかったが, 臨床検査値異常変動を3例に認めた。
    複雑性尿路感染症17例に細菌学的検査を投与開始日の翌朝にも実施し, 細菌尿の推移を検討した。投与開始日の翌朝に細菌尿の消失を認めたのは7例で, うち1例は投与終了後の検査で再発と判定された。投与開始日の翌朝に細菌尿が減少あるいは不変であった10例のうち投与終了後に菌消失した例は2例のみであった。投与終了後の細菌学的検査において不変あるいは菌交代していた症例は9例で, そのうち7例にEnterococcus faeciumの関与を認めた。
    以上より, CFLPは泌尿器科領域感染症に有用であることが示唆された。
  • 櫻本 耕司, 藤田 竜二, 渡辺 豊彦, 竹中 皇, 門田 晃一, 林 俊秀, 畠 和宏, 小野 憲昭, 那須 良次, 津川 昌也, 公文 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 127-133
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症に対するcefluprenam (CFLP) の有用性を基礎的・臨床的に検討した。
    1. 抗菌力: 尿路感染症由来の教室保存株14菌種210株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同系薬剤であるceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ), latamoxef (LMOX) およびimipenem (IPM) と比較検討した。グラム陽性菌に対してはIPMにはやや劣るものの, その他の対照薬より優れた抗菌力を示した。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対しては, 本剤のMIC90がそれぞれ, ≦0.025μg/ml, 0.39μg/ml, 0.20μg/mlと最も優れた成績であった。また, Semtia mamscens, Pseudomonas aeruginosaに対しては, IPMには若干劣るものの, CAZと同等の抗菌力を示した。
    2. 臨床効果: 複雑性尿路感染症14例を対象に, 本剤を1回0.5gないし1.0g, 1日1回ないし2回, 原則として5日間連続点滴静注した。
    UTI薬効評価基準 (第3版) により評価可能であった12例の総合臨床効果は著効2例, 有効6例, 無効4例で, 有効率は66.7%であった。この12例の細菌学的効果では分離菌9菌種20株中17株が消失し, 除菌率は85。0%であった。自・他覚的副作用および本剤に起因する臨床検査値の異常変動は1例も認められなかった。
    以上より, 本剤は複雑性尿路感染症に対し有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 北川 敏博他
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 134-142
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗菌薬cefluprenam (CFLP) の抗菌力および尿路・性器感染症における臨床的有効性と安全性を検討し, 以下の結果を得た。
    1) 試験管内抗菌力;尿路感染症患者由来の臨床分離株12菌種 (各30株) に対するCFLP, ceftazidime (CAZ), flomoxef (FMOX) およびimipenem (IPM) のMICを測定した。
    Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus aureus, coagulase-negative staphylococci, Enterococcus faecalis に対する本剤のMIC90 (μg/ml) は各々3.13, 100, 50, 50であった。グラム陽性球菌に対してはIPMがもっとも強い抗菌力を示したが, 本剤はIPMに次ぐ成績であった。一方, グラム陰性桿菌に対する本剤のMIC90 (μg/ml) はEscherichia coli: ≦0.05, Citrobacter freundii: 0.78, Klebsiella pneumoniae: 0.10, Enterobacter cloacae: 6.25, Serratia marcescens: 50, Proteus mirabilis: 3.13, Proteus vulgaris: 1.56, Pseudomonas aeruginosa: 25であり, P. mirabilisを除く7菌種において本剤はCAZ, FMOXと同等以上の優れた抗菌力を示した。
    2) 臨床的検討;急性単純性腎孟腎炎1例, 複雑性尿路感染症16例, 精巣上体炎2例の合計19例に本剤を投与し, 臨床的有効性と安全性を検討した。急性単純性腎孟腎炎の1例はUTI薬効評価基準には合致しなかったが, 主治医判定ではやや有効であった。複雑性尿路感染症16例はUTI薬効評価基準で著効5例, 有効6例, 無効5例で総合有効率68.8%, 精巣上体炎の2例は主治医判定で著効1例, 有効1例であった。自他覚的副作用を認めた例はなかったが, γ-GTPの上昇が1例で認められ, 本剤投与と関係があるかもしれないと判定された。
    今回の我々の検討から本剤は臨床的有用性が期待される薬剤と思われた。
  • 中山 一誠, 山地 恵美子, 平田 浩子, 秋枝 洋三, 渡辺 哲弥, 糸川 冠治
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 143-151
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenamについて, 外科感染症, 特に腹腔内感染症および皮膚軟部組織感染症に対して基礎的および臨床的検討を行った。病巣分離株に対して本剤は, 比較薬剤であるceftazidime, cefpirome, cefotaxime, cefuzonam, cefepime, cefoperazoneおよびflomoxefと比較してmethicillin-susceptible Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalisおよびPseudomonas aeruginosaに対して優れた抗菌力を示した。また, Staphylococcus epidermidis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescensおよびCitrobacter freundiiに対しては比較薬剤とほぼ同様の抗菌力を示した。臨床的に検討した対象疾患は腹膜炎, 腹腔内膿瘍, 胆管炎, 創感染, 肛門周囲膿瘍, 蜂巣炎, および肺炎の16症例である。なお重複投与のため除外とした肺炎1例があった。感染症の重症度は, 重症8例 (50.0%), 中等症7例 (43.8%), 軽症1例であった。主治医判定による臨床効果は16症例中, 著効2例, 有効11例, やや有効2例, 無効1例であり, 有効率81.3%であった。細菌学的検討は16例中15例に細菌を検出した。分離菌別臨床効果は15例中, 著効2例, 有効10例, やや有効2例, 無効1例であり有効率80.0%であった。分離菌別細菌学的効果は15例中消失5例, 菌交代6例, 部分消失3例, 不変1例であり, 消失率73.3%であった。他剤無効例に対する本剤の臨床効果は7例中5例に有効の成績を示した。副作用に関しては本剤投与による自他覚的副作用は1例も認められなかった。臨床検査値異常変動に関しては1例に好酸球増多が認められた。
  • 高橋 孝行, 森 俊雄, 石引 久弥, 栗原 直人, 相川 直樹, 田熊 清継, 篠澤 洋太郎, 佐々木 淳一, 堀 進吾
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 152-159
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    腹腔内感染症に対する化学療法の理論付けを目的として, 成人の胃癌胃切除症例3例にcefluprenam 1日1g2回点滴静注し, 術後の腹腔内滲出液中濃度を術後3日間にわたり測定した。術後1, 2, 3日の3例を平均した濃度はそれぞれ8.0, 11.1, 11.1μg/mlでその推移は平坦型パターンを示した。3例3日間の平均濃度は10.1μg/ml, 1日基準投与量を1gとし, 当該抗菌薬の1日投与量 (g) との比を平均濃度に乗じた相対平均濃度は5.1μg/mlであり, 高値群に属した。この平均濃度と各種細菌群に対するcefluprenamのMIC80値との比, 臨床的感受性指数はEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対し100以上, Staphylococcus aureus, Enterobacter cloacaeには10以上の値を示し, これらによる腹腔内感染症に対する本薬の臨床効果が期待されるが, Enterococcus faecalis, Pseudomonas aeruginosa, Bacteroides fragilisに対しては1.0前後の指数値であり臨床効果をえにくいものと考えられた。
    さらに, 総胆管結石のため胆嚢摘出, 総胆管T-tubeドレナージを施行した患者1例の術後に本薬1gを点滴静注し投与後1, 2, 4, 6, 8時間の総胆管胆汁及び血清中本薬濃度を測定した。それぞれの時間での胆汁中濃度は0.3, 0.3, 1.9, 4.0, 4.7μg/mlで時間の経過とともに漸増し, 8時間値は血中濃度を上回った。
    臨床的検討は胆管炎2例, 汎発性腹膜炎2例, 限局性腹膜炎5例, 術後創感染3例, 熱傷創感染, 腸腰筋膿瘍, 腹壁膿瘍, 肛門周囲膿瘍各1例の16例を対象とした。臨床効果は16例中著効2例, 有効12例, やや有効1例, 無効1例で, 有効以上の有効率は14/16 (87.5%) であった。細菌学的効果は12菌種18株中消失17株, 存続1株で消失率は17/18 (94.4%) であった。安全性については1例にトランスアミナーゼの上昇を認めたが, 自他覚的副作用症状・所見は認められなかった。
  • 国松 正彦, 岩井 重富, 古畑 久, 大塚 一秀, 中川 良英, 佐藤 史井, 襄 正徳, 佐藤 毅, 加藤 高明, 荒井 尚之, 加沢 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 160-165
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用セフェム剤cefluprenam (CFLP) について外科領域における基礎的・臨床的検討を行った。臨床分離保存のcoagulase negative Staphylococcus (CNS), Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaについてCFLP, piperacillin (PIPC), cefoperazone (CPZ), cefpiramide (CPM), ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON) の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。CNSに対するCFLPのMICは高度耐性株を除く18株に対し0.2~12.5μg/mlでCZON以外の4剤より優れた抗菌力を示した。E.faecalisに対してはPIPCがもっとも優れ, CFLPも3.13~50μg/mlと他の4剤より優れた抗菌力を示した。E.coli, K.pneumoniae, P.aeruginosaに対しても高度耐性株を認めず, もっとも優れた抗菌力を示した。CFLP1gを30分 (4例), 又は60分 (1例) で点滴静注し経時的に血清 (5例) および胆汁中濃度 (2例) を測定した。血清中濃度は投与終了直後の30分で28.8~79.5μg/ml, 胆汁中濃度は2時間後に11.9μg/ml, 10.4μg/mlと中等度の移行を示した。2例について胆嚢壁の濃度は7.40μg/ml, 6.80μg/mlであった。CFLPを投与した1例の腹水中濃度は投与開始44分後, 1時間17分後で各々43.3μg/ml, 29.7μg/mlであった。18例の外科感染症に本剤を使用し, 著効1例, 有効11例, やや有効1例, 無効5例で有効率は66.7%であった。無効例は術後の創感染症例5例全例で細菌学的効果も不変であった。やや有効例は胆汁痩への感染例で細菌学的効果は不変であった。この6例を除き細菌学的効果を判定できた6例では投与前分離菌はすべて消失していた。1例に好酸球の増多と, GPTの上昇を認めたが, 軽度で, また特別な処置をせず, 投与終了12日後に正常に復していた。これ以外に副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。以上よりCFLPは外科領域の感染症に有用な薬剤と考えられる。
  • 横山 勲, 納賀 克彦
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 166-169
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenam (CFLP) の外科領域における基礎的 (創滲出液, 胆汁中への移行性), 臨床的検討を行い.以下の成績を得た。術後総胆管結石症創滲出液中のCFLPの経時的移行濃度検討では (1g, d. i.30分, n=3) 投与後1時間でピーク値13.4±3.2μg/mlであり6時間後で6.26μg/mlの濃度を示した。胆汁中への経時的移行濃度検討では (1g, d. i.30分, n=2) 1例のピーク値は1時間後23.8μg/mlで, 5時間後まで8μg/ml以上の値を示し, 他の1例のピーク値は30分後30.6μg/mlであり5時間後まで3μg/ml以上の値を示した。外科的感染症10例に対する本剤の効果は全例が有効であった。9例より投与前に分離された14株の細菌学的検討ではグラム陽性菌5/6, グラム陰性菌5/5, 嫌気性菌3/3, 合計13/14 (92.9%) の菌消失率が得られた。副作用は認められず, 臨床検査値異常として1例にGOTおよびGPTの上昇が認められた。
  • 由良 二郎, 品川 長夫, 石川 周, 水野 章, 真下 啓二, 久田 正純
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 170-173
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenamについて外科領域における基礎的, 臨床的検討を行ない.以下の結果を得た。
    (1) 抗菌力: 外科病巣分離のStaphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaに対するMIC50/MIC90 (μg/ml) はそれぞれ25/50, ≦0.2/≦0.2, ≦0.2/≦0.2, 1.56/12.5であった。
    (2) 胆汁中移行: 2例の胆石症術後症例における本剤1g静注時の最高胆汁中濃度はそれぞれ22.0μg/mlと6.35μg/mlであった。
    (3) 臨床使用成績: 外科的感染症5例の臨床効果は著効1例, 有効2例, やや有効2例であった。また, 細菌学的効果は消失2例, 菌交代1例, 不明2例であった。本剤の投与に伴う随伴症状の発現はなく, 臨床検査値の異常変動では1例にGOT, GPT, ALPの上昇を認めた。
  • 森本 健, 木下 博明, 上田 隆美, 藤本 幹夫, 山崎 修, 中谷 守一
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 174-184
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規半合成静注用cephem薬, cefluprenamについて臨床使用量での胆汁移行, 外科感染に対する治療効果を検討した。
    4例の総胆管結石例について術後の胆汁ドレナージ中に, 1gを30分で点滴静注し, 血漿では点滴終了時点で50.8-124μg/mlのピークレベル, 6時間では5.4-20.3μg/mlとなった。胆汁では0.5-3.0時間で4.1-16.5μg/mlのピークをみとめ以後漸減した。
    外科的感染症32例での臨床効果は著効20例 (62%), 有効4例, やや有効4例, 無効4例, 有効率75%の結果であった。起炎菌の分離状態別の細菌学的判定が行われた19例では消失10例, 減少2例, 菌交代4例, 不変3例, 消失率74%の結果であった。分離菌別の細菌学的効果判定が行われた24菌種34株では消失29株, 不変5株, 消失率85%の結果であった。分離菌別のMIC判定が行われた37株では12.5μg/ml以上の耐性株は10株 (27株) 認められた。9症例に臨床検査値異常を認めたが, 肝酵素の異常6例中5例は腹腔内感染の影響が考えられた。なお, 自他覚的副作用は認められなかった。
    以上, cefluprenamは外科領域感染症に使用して安全で, 有効性の期待できる薬剤である。
  • 内山 和久, 谷村 弘, 小林 康人, 青木 洋三, 岡 統三, 中村 昌文, 福永 裕充, 山本 真二, 大西 博信, 森 一成, 三島 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 185-192
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefluprenam (CFLP) は, グラム陽性菌からグラム陰性菌にかけてきわめて幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌活性を示す新しい注射用セファロスポリン系抗生物質である。われわれは本剤の体内動態と外科感染症における臨床効果を28例で検討した。
    1) 開腹術施行中の6例にCFLP 1gを30分間点滴静注した結果, 投与終了後から7時間までの組織内移行は胆嚢組織5.9~31.3μg/g, 腹壁皮膚1.6~11.5μg/g, 皮下脂肪2.5~4.9μg/g, 腹壁腹膜2.4~20.5μg/g, 大網4.0μg/g, 肝臓3.6~5.2μg/g, 胃10.5μg/gであった。胆嚢管閉塞のない2例の胆嚢胆汁では14.2~46.8μg/mlであった。
    2) T-tubeまたはPTCD施行の各1例の胆汁中濃度は, それぞれ2時間, 2.5時間で最高4.5μg/ml, 12.1μg/mlを示した。
    3) 胃癌術後の腹部ドレーン挿入例においてCFLP 1gを1日2回, 30分間点滴静注を3日間行った結果, 投与開始後1~6時間の腹水中移行は, 1日目18.4~25.1μg/ml, 2日目4.9~19.7μg/ml, 3日目1.1~16.9μg/mlであった。
    4) 胆道感染症8例, 腹膜炎6例, 腹腔内膿瘍1例, 創感染2例, 肛門周囲膿瘍2例, 敗血症疑い1例の計20例に, CFLP 0.5~1gを1日2回, 4~10日間 (平均6.2日) 投与した際の臨床効果は, 著効8例, 有効10例, 無効1例, 判定不能1例で, 有効率94.7%(18/19)であった。また, 自他覚的副作用は認めず, 好酸球増多を1例に, GOT, GPTの上昇を1例に, GOT, GPT, γ-GTPの上昇を1例に認めた。
    以上より, 外科感染症においてCFLPは有用性の高い薬剤であるといえる。
  • 横山 隆, 児玉 節, 竹末 芳生, 檜山 英三, 今村 祐司, 村上 義昭, 山東 敬弘, 宮本 勝也, 立本 直邦, 水流 重樹, 松浦 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 193-199
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム注射剤であるcefluprenamについて外科領域における基礎的・臨床的検討を行い, 次のような結果を得た。
    1.抗菌力: 臨床分離のStaphylococcus aureusで, methicillinの最小発育阻止濃度 (MIC) が6.25μg/ml以下の株 (MSSA) に対してはきわめて良好な抗菌力を有していたが, 12.5μg/ml以上の株 (MRSA) では高いMICを示した。coagulase negative Staphylococcus, およびEnterococcus sp.のMIC50はいずれも6.25μg/mlと比較的良好な抗菌力を示した。グラム陰性桿菌ではEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Citrobacterfreundiiには優れた抗菌力を示した。Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, AlcinetobactercalcoaceticusのMIC90はそれぞれ12.5, 50, 6.25μg/mlと薬剤感受性の低いこれらの菌に対しても比較的良好な抗菌力を有していた。
    2.臨床的検討: 本剤を術後創感染4例, 胆管炎2例, 蜂窩織炎2例, 胆嚢炎1例, 汎発性腹膜炎1例, 腹腔内膿瘍1例, 肛門周囲膿瘍1例の外科的感染症12例に投与した。その結果, 著効3例, 有効9例の優れた治療効果を認めた。投与中の自他覚所見にも異常を認めなかったが, 投与前後の臨床検査値異常として, 好酸球増多, BUN上昇, 白血球減少を認めたが, いずれも軽微な変化であった。
  • 松田 静治, 王 欣輝, 安藤 三郎, 川又 千珠子
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 200-203
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新開発の注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) の女性性器組織移行の検討と産婦人科感染症に対する臨床応用を試みた。本剤1g静注後の女性性器 (子宮各部位, 卵巣, 卵管) 内への移行は良好であった。臨床効果は性器感染症3例 (産褥子宮内膜炎, 子宮内膜炎, バルトリン腺膿瘍) を対象に本剤1gを1日2回4~6日間投与した結果, 3例ともに有効であった。細菌学的効果は1例消失, 1例菌交代および1例不明であった。副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。
  • 三鴨 廣繁, 伊藤 邦彦, 和泉 孝治, 川添 香子, 山田 新尚, 玉舎 輝彦
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 204-209
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) について, 産婦人科領域に対する基礎的検討および臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 産婦人科領域感染症から分離された6菌種170株を用いて抗菌力をceftazidime (CAZ), cefotaxime (CTX), cefpirome (CPR) を比較薬剤として寒天平板希釈法により検討した。Streptococcus agalactiaeに対するCFLPのMIC90値は0.10μg/mlであり, CTX, CPRと同等であった。Enterococcus faecalisに対するCFLPのMIC90値は12.5μg/mlであり, 対照薬剤のなかではもっとも強い抗菌力を示した。また, MIC値が100μg/mlより大きい値を示す高度耐性菌は認められなかった。Escherichia coliに対するCFLPのMIC90値は0.025μg/mlであり, 対照薬剤のなかではもっとも強い抗菌力を示した。Peptostreptococcus magnusに対するCFLPのMIC90値は1.56μg/mlであり, 対照薬剤のなかではもっとも強い抗菌力を示した。Bacteroides fragilisに対するCFLPのMIC50値は6.25μg/mlであり, CTXと同等, CAZ, CPRより良好な値を示した。Prevotella biviaに対するCFLPのMIC50値は25μg/mlであり, CPRと同等, CAZ, CTXより1~2段階劣っていた。CFLPはS. agalactiae, E. faecalis, E. coliなどの好気性菌およびP. magnusを代表とする嫌気性グラム陽性球菌に対しては良好な抗菌力を示したが, B. fragilis, P. biviaなどの嫌気性グラム陰性菌に対しての抗菌力は十分とは言えなかった。
    2. CFLPのラット性器組織移行および新しく作成したラット子宮内感染モデルを用いたCFLPの治療効果について検討した。CFLPは, aztreonam (AZT) およびCTXより良好な組織移行を示した。また, CFLPは, 各性器組織における生菌数を明らかに減少させ, 良好な治療効果が認められた。
    3. 臨床効果については8例で検討した。臨床効果は有効5例, 無効1例, 判定不能2例であった。判定不能症例2例は, いずれも術後創感染症例であり, 基礎疾患重篤のため薬効判定不能であった。薬効判定可能症例のなかで起炎菌を確認し得た症例は3例であった。S. agalactiae, E. faecalis, Corynebacterium sp., Prevotella sp., anaerobic Grampositive rod (GPR) の各々1株ずつが分離同定されanaerobic GPR 1株の不明を除き他の株はすべて消失した。本剤投与中, 投与後までの自・他覚所見上副作用と認めるべき症状は認められなかった。本剤によると考えられる臨床検査値異常変動は, 8例中2例にGPTおよびALPの上昇, 1例にGOTの上昇, 1例に白血球数の減少が認められたが, 無処置で投与前状態に復した。
  • 保田 仁介, 山元 貴雄, 岡田 弘二
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 210-213
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) の基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。基礎的検討として, CFLP 1.0g one shot静注時における血清中濃度, 女性性器組織内濃度および骨盤死腔液中濃度を測定した。本剤の末梢静脈血清中濃度は, 投与直後で80.6±6.2μg/ml, 1時間後で30.1±0.7μg/ml, 2時間後で19.9±1.7μg/mlと漸減し6時間後で4.1±0.5μg/mlであった。骨盤死腔液中濃度は投与直後で7.6±1.5μg/ml, 1時間後で24.7±4.1μg/ml, 2時間後で26.6±2.5μg/mlとピーク値であり以降漸減し, 6時間後で10.9±1.2μg/mlであった。組織内濃度については, 投与後13~90分で検討し, 各時間で末梢血濃度の37%~112%の値を示した。臨床検討では, 産褥子宮内感染1例, 骨盤死腔炎1例に本剤投与を行った結果, 2例ともに有効であった。細菌学的には1例からPrevotella biviaProteus minbilisが, 1例からmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), Enterococcus faeciumおよびBacteroides fragilisが分離され, MRSA以外はすべて消失した。副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。以上の成績よりCFLPは産婦人科領域感染症に対し有用な薬剤と考えられた。
  • 高杉 信義, 服部 守志, 佐世 正勝, 中田 雅彦, 平林 啓, 田村 博史, 富士岡 隆, 志磨 のぶ, 加藤 紘, 成松 昭夫, 伊東 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 214-220
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    山口大学医学部産婦人科および2関連病院で, cefluprenam (CFLP) の産婦人科領域における基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 基礎的検討:(1) CFLP 1g点滴静注後の女性性器組織内CFLP濃度は, 各性器組織で同様な推移の減衰曲線を示した。実測最高値は投与後40~155分にあり, 各組織中のCFLP濃度は子宮動脈54.4μg/ml, 肘静脈57.0μg/mlであり, 子宮筋層28.4μg/g, 内膜17.2μg/g, 膣部61.0μg/g, 頸部32.0μg/g, 卵巣36.2μg/g, 卵管25.9μg/gであった。またすべての臓器で投与240分後6μg/g以上 (40分後の子宮内膜1.2μg/gを除く), 293分後2μg/g以上であった。性器組織内移行率は子宮動脈血清中濃度の平均60%以上であった。(2) 骨盤死腔液への移行は, 投与後漸次増加し4時間後に最高値19.4μg/mlとなった。その後は徐々に減少し12時間後11.1μg/mlであった。肘静脈血清中濃度との比較では, 投与後2~4時間で濃度が逆転し, 以後骨盤死腔液の方が著しく高値となった。
    2. 臨床的検討:(1) 産婦人科領域感染症12例のうち1例が脱落症例であり, 残り11例を解析対象とした。内訳は, 産褥子宮内膜炎2例, 子宮考結合織炎1例, 骨盤腹膜炎2例, 子宮付属器炎4例, およびバルトリン腺膿瘍2例であった。その結果, CFLPの臨床効果は, 有効9例, 無効2例であり, 有効率は81.8%(9/11) となった。(2) 起炎菌6株中, 消失3株, 減少1株, 菌交代1株, 不変1株であった。(3) 安全性の検討では, 副作用または臨床検査値異常は認められなかった。
    以上より, CFLPは産婦人科領域感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。
  • 新川 敦, 木村 栄成, 出井 教雄, 林 智栄子, 坂井 真, 三宅 浩郷
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 221-226
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セフェム系抗生剤cefluprenamを耳鼻咽喉科領域感染症に対し使用し, その有効性と安全性について検討した。また本剤の体内移行についても基礎的検討を行った。基礎的には中耳炎, 副鼻腔炎, 扁桃肥大などの手術施行例に術前に1gを静注し組織採取と同時に採血を行い, 血清中および組織中濃度を測定し, 本薬剤の組織への移行を検討した。臨床的には中耳炎6例 (急性1例, 急性増悪3例, 慢性1例, 乳突部膿瘍1例), 副鼻腔炎2例 (急性増悪1例, 慢性1例), 扁桃炎7例 (周囲膿瘍4例を含む), 顎下腺炎1例の計16例について臨床的検討を加えた。本剤の投与法は1回1gを1日2回 (1症例のみ1日1回), 2日~12日の点滴静注とした。基礎的には, 血清濃度17.2~114μg/ml (n=23) であったのに対し, 各組織の濃度は, 中耳粘膜3.1~64.4μg/g (n=12), 上顎洞粘膜4.35~19.8μg/g (n=3), 扁桃16.1μg/g, 顎下腺11.8μg/g, 耳下腺1.8μg/gといずれも高い組織濃度を示した。臨床的には脱落の2例を除く14例で検討した。14例中, 中耳炎1例 (慢性の急性増悪) 副鼻腔炎2例 (慢性および慢性の急性増悪) の計3例がやや有効で, 残りの11例はいずれも有効以上 (内著効6例) の効果が得られ, 有効率は, 78.6%であった。細菌学的には, グラム陽性菌では9株中9株, グラム陰性菌では2株中1株, 嫌気性菌1株が消菌され, 全体では, 91.7%(11/12) の消失率であった。副作用は発疹が1例にみられ, 臨床検査値異常は, GOT上昇が2例, 好塩基球増多が1例にみられた。以上の成績から, cefluprenamは耳鼻咽喉科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • 宮本 直哉, 馬場 駿吉, 鈴木 賢二, 山本 真一郎, 北條 郷明, 永田 総一郎, 田中 伊佐武, 横田 明, 伊藤 弘美, 小林 武弘 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 227-231
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 耳鼻咽喉科領域感染症患者にcefluprenamを投与しその基礎的・臨床的有用性を検討した。
    2. Cefluprenam 1g静注後の組織内濃度は, 中耳粘膜が11.6μg/g, 上顎洞粘膜は22.7μg/g, 33.3μg/g, また口蓋扁桃は7.60μg/gから32.4μg/gであり, 対血清比は平均で38.2%であった。
    3. 臨床効果は検討できた全症例25例中, 著効は15例, 有効は8例, やや有効は1例, 無効は1例であり有効率は92.0%であった。また自他覚的副作用としては皮疹1例, 腹痛1例が, 臨床検査値異常変動としてはGPTの上昇がみられた。
  • 原田 康夫, 田頭 宣治, 鈴木 衛, 平川 勝洋, 森 直樹, 野田 益弘, 夜陣 紘治, 柿 音高, 小林 優子, 山下 隆司
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 232-236
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新たに開発された半合成の注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenam (CFLP) の基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績が得られた。
    1. 基礎的検討
    中耳粘膜, 上顎洞粘膜, 口蓋扁桃および鼻茸へのCFLP 1g投与後の組織移行について検討した。投与後20分から180分までの移行濃度は, 各々10.9μg/g, 2.2~33.8μg/g, 1.0~17.7μg/gおよび13.9~20.4μg/gであった。
    2. 臨床的検討
    耳鼻咽喉科領域感染症29例に本剤を投与し各疾患における臨床効果, 分離菌別の細菌学的効果ならびに安全性について検討した。全体の有効率96.2%, 菌消失率95.2%の成績が得られ, 副作用は発疹・嘔気が1例みられたが, 臨床検査値の変動は, 認められなかった。
  • 大山 勝, 古田 茂, 原口 兼明, 上野 員義, 矢野 博美, 西園 浩文, 廣田 常治
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 237-241
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の感染症に対するcefluprenam (CFLP) の基礎的・臨床的検討を行い以下の成績が得られた。
    1. 組織移行に関する検討
    口蓋扁桃, 上顎洞粘膜, 顎下腺, 耳下腺へのCFLP 1g静注後25~138分の組織移行について検討した。口蓋扁桃への移行率 (組織・血清比) は平均25.7%(n=18), 上顎洞粘膜では平均36.8%(n=3), 顎下腺では平均52.0%(n=6), 耳下腺では平均36.2%(n=3) であった。
    2. 臨床的検討
    耳鼻咽喉科領域感染症19例についてCFLPを1回1g1日2回, 静注または点滴静注し, 臨床効果, 細菌学的効果ならびに安全性について検討した。臨床効果は, 脱落2例を除いた17例中著効11例, 有効5例, やや有効1例で94.1%の有効率であった。細菌学的効果は11例より分離された20株 (グラム陽性菌6株, グラム陰性菌14株) について検討され, 不明5株を除き全株が除菌され, 100%の消失率であった。臨床検査値異常としてGOT・GPT各値の上昇が1例にみられたが, 副作用は皆無であった。
  • 大石 正夫, 阿部 達也, 笹川 智幸, 本山 まり子, 宮尾 益也, 今井 晃, 田沢 博, 鈴木 明子, 田澤 豊, 千葉 可芽里, 高 ...
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 242-252
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤, cefluprenam (CFLP) の眼科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
    1) 本剤はグラム陽性菌, 陰性菌に広い抗菌スペクトルを示し, Pseudomonas aeruginosaにはceftazidimeよりすぐれた抗菌活性を示した。臨床分離のStaphylococcus aureus 20株は≦0.19~1.56μg/mlに感受性分布を示し, 0.39μg/mlに分布の山がみられた。P. aeruginosa 20株では0.39~≧100μg/mlに分布して3.13μg/mlに分布の山を示した。
    2) 白色成熟家兎にCFLPを50mg/kg 1回静注した時の前房水中濃度は, 投与15分後にピーク値4.2μg/mlの濃度に達し以後は漸減し, 6時間後は0.9μg/mlであった。房水血清比 (房血比) は15分値で2.97%であった。投与30分後に測定した眼組織内濃度は, 外眼部組織で6.8±0.1~53-4±0.4μg/g, 眼球内部では0.6~16.6±1.2μg/g or mlであった。
    3) ヒトに1.0g点滴静注して, 60~120分後に0.69~2.7μg/mlの前房水中濃度が証明された。ヒト涙嚢内へは, 1g点滴静注して3時間後に15.6μg/gの高い移行濃度が認められた。
    4) 眼瞼炎1例, 急性または慢性の急性増悪の涙嚢炎7例, 角膜潰瘍13例, 全眼球炎5例および眼窩蜂巣炎3例の計29症例に本剤を1回1g, 1日2回点滴静注した。各症例からS. aureus, coagulase negative Staphylococcus, Streptococcus pneumoniae, α-haemolytic Streptococcus, Klebsiella oxytoca, Serratia marcescens, Pseudomonas spp. などが分離された。著効11例, 有効13例, 無効4例, 判定不能1例の結果で, 有効率は85.7%であった。副作用は2例 (6.9%) に発現して, 全身掻痒感の1例は投与中止後, 異物感の1例は投与終了後それぞれ消失した。臨床検査値の異常は6例 (23.1%) にみられ, GOT, GPTの軽度上昇であった。
  • 三宅 高義, 福原 敬, 石川 隆久, 前川 勲
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 253-255
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenamを血液疾患に合併した感染症に使用し, 有効性と安全性を検討した。疾患の内訳は敗血症1例, 敗血症疑い4例, 急性咽頭炎3例, 急性気管支炎1例, 気管支肺炎1例であった。これらの症例に本剤1回1.0ないし2.0gを1日2回, 6~19日間点滴静注した。解析対象例8例の臨床効果は, 著効4例, 有効1例, やや有効1例, 無効2例であった。副作用としては皮膚発赤が1例に認められ, 臨床検査値の異常変動としては好酸球増多・S-GPT上昇およびALP上昇が各1例に認められた。
  • 武部 和夫, 増田 光男, 村上 誠一, 中畑 久, 遠藤 勝実, 高木 勇治, 児玉 達彦
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 256-258
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性肺炎7例に対して新しい注射用セフェム剤cefluprenam (CFLP) を1回1.0g, 1日2回, 4日~15日間点滴静注して, 臨床的有効性および安全性を検討した。検討した7例の臨床効果は, 著効1例, 有効5例, 無効1例であった。起炎菌は3例より検出され, いずれもStreptococcus Pneumoniaeで, 本剤投与により消失した。副作用としては発疹が2例に認められ, 臨床検査値の異常変動としてはGOT・GPTの軽度上昇が1例に認められた。
  • 小西 一樹, 星野 健, 前田 志津子, 村井 一範, 守 義明, 吉田 雅美, 斯波 明子, 田村 昌士
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 259-261
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) を6例の呼吸器感染症に投与し, 有効性と安全性を検討した。CFLPは, 1回1gを100mlの生理食塩水に溶解し1日2回, 30~60分間かけて点滴静注した。投与期間は4~11日間であった。検討した6例に対する臨床効果は, 有効3例, 無効3例であった。起炎菌は1例で検出されAcinetobacter calcoaceticusは除菌されたが, Staphylococcus aureus (MRSA) は残存した。副作用は, 発疹が2例に認められ, 臨床検査値異常は軽度の肝機能異常が2例に認められた。
  • 大石 明, 渡部 玲子, 坂内 通宏, 青崎 登, 勝 正孝
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 262-264
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用セファロスポリン系抗生物質cefluprenamについて臨床的検討を行い, その有用性を評価した。対象は呼吸器感染症患者7例で, 疾患の内訳は肺炎2例, 急性気管支炎1例, 慢性気管支炎3例, 感染を伴った肺線維症1例であった。本剤1回1.0gを1日2回点滴静注にて10~14日間投与した。臨床効果は7例すべて有効であった。細菌学的効果は2例で起炎菌が分離され, Haemophilus influenzaeは消失し, Staphylococcus aureusは存続した。副作用としては軟便と皮疹が各1例に認められた。臨床検査値の異常変動としては軽度の好酸球増多が3例に認められた。
  • 酒寄 享, 小林 宏行
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 265-266
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質であるcefluprenamの呼吸器感染症に対する有効性および安全性について検討した。対象患者は男性3例であった。対象疾患は慢性気管支炎, 気管支拡張症に伴う感染, 膿胸合併の気管支拡張症であった。投与方法は本剤1回1g, 1日2回点滴静注した。臨床効果は有効1例, 無効2例であった。投与前に分離された起炎菌はKlebsiella pneunnoniae (1例) とPseudomonas aeruginosa (2例) であった。このうちK.pneumoniaeは消失, P.aeruginosaは1例で減少, 他の1例では消失したが, Pseudomanas cepaciaStaphylococcus aureusに菌交代した。副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。
  • 宍戸 春美, 永井 英明, 川上 健司, 山領 豪, 高野 智子, 林 孝二
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 267-270
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用セフェム剤cefluprenam (CFLP) の臨床的有用性を呼吸器感染症16患者18エピソードにおいて検討した。結果として感染症とは確定できなかった2エピソードと基礎疾患重篤のため除外された1エピソードを除く15エピソードでの臨床効果は, 著効4エピソード (肺炎1例, 気管支拡張症1例, び慢性汎細気管支炎2例), 有効7エピソード (肺炎3例, 肺膿瘍1例, 気管支拡張症3例), 無効3エピソード (肺炎1例, 肺膿瘍1例, び慢性汎細気管支炎1例) および判定不能1エピソード (気管支拡張症) であった。細菌学的効果は消失7株 (Staphylococcus aureus1株, Streptococcus pneumoniae3株, Pseudomonas aeruginosa2株, Pseudomonas stutzeri1株), 不変3株 (Pseudomonas aeruginosa2株, Pseudomonas sp.1株) であった。副作用は発疹1例, 嘔気と下痢の併発1例であった。臨床検査値異常は認められなかった。
  • 小田切 繁樹, 鈴木 周雄, 住友 みどり, 萩原 恵里, 天野 泰嗣, 佐久間 隆
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 271-273
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefluprenamを呼吸器感染症6例に使用し, 臨床的検討を行った。疾患の内訳は肺炎2例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症1例であった。投与方法は1日量2gを分2で8~14日間投与した。臨床効果は肺炎2例では有効1例, 無効1例, 慢性気管支炎3例と気管支拡張症1例はいずれも有効であった。細菌学的には, 喀痰より原因菌としてStreptococcus pneumoniae 2株, Haemophilus influenzae 1株を特定した。これら3株は本化療によりいずれも消失したが, 1例で投与後にAcinetobacter juniiの出現をみた。副作用は1例に発疹を, 臨床検査値異常は2例に軽度の好酸球増多をみたが, 臨床的には特に問題となるものではなかった。
  • 和田 光一, 瀬賀 弘行, 吉川 博子, 荒川 正昭, 星野 重幸, 塚田 弘樹, 岩田 文英
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 274-276
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質cefluprenamを肺炎4例, 感染を伴う間質性肺炎1例, びまん性汎細気管支炎2例, 腎孟腎炎2例, 蜂窩織炎1例の計10例に使用し, その有効性と安全性を検討した。本剤の臨床効果の内訳は, 著効1例, 有効8例, 無効1例であり, 細菌学的効果は, 消失7例, 減少1例, 部分消失1例であった。副作用としては, 発疹が1例で認められた。臨床検査値の検討では, 1例でGOT・GPTの上昇が認められた。
  • 鈴木 康稔, 関根 理, 宇野 勝次, 八木 元広
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 277-279
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン系抗生物質であるcefluprenamを10例の内科領域感染症に使用し, 有効性および安全性を検討した。用法・用量は本剤1回1.0gを1日2回点滴静注とした。使用期間は7~ 21日間, 総使用量は14~41gであった。検討症例10例の臨床効果の内訳は有効9例, やや有効1例であった。起炎菌は4症例より, Haemophilus influenzae 2株, Moraxella catarrhalis 3株が分離され, すべて消失した。副作用としては発疹・発熱が1例に, 発疹が1例に認められた。臨床検査の異常変動としては, 好酸球の上昇が1例に認められた。いずれも軽度で, 本剤の使用中止後特別な処置を必要とせずに軽快している。
  • 武田 元
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 280-282
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用セファロスポリン系抗生物質であるcefluprenamを肺炎8例, 胆のう炎1例の計9例に使用し, その臨床効果, 細菌学的効果, 副作用, 使用前後の臨床検査値の変動について検討した。本剤使用後に結核性胸膜炎と判明した1例とステロイドの併用を要した1例を除く7例の臨床効果は, 肺炎では6例中5例に有効, 胆のう炎の1例は著効であった。細菌学的効果は, 起炎菌と思われる細菌を分離し得た4例全例に除菌できた。副作用として, 3例に皮疹を認め, 臨床検査値の異常変動として, GOTの軽度上昇が1例, 好酸球の軽度増多が1例に認められた。
  • 泉 三郎
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 283-285
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤cefluprenam (CFLP) を43~84歳までの同意の得られた8症例 (男性6例, 女性2例) に使用した。内訳は, 細菌性肺炎7例と, 投与開始後にマイコプラズマ肺炎と判明した1例であった。投与開始後マイコプラズマ肺炎と判明した1例と基礎疾患が重篤化した症例1例を除いた6例での臨床効果は, 著効2例, 有効3例, やや有効1例であった。起炎菌を検出し得た症例はなかった。副作用は, 2例で発疹1例で発熱が認められた。いずれも本剤の投与中止により, 特別な処置を必要とせぬものであった。以上よりCFLPは, 発心, 発熱という副作用をみた点を除けば, 細菌性肺炎に有効な薬剤であると考えられる。
  • 佐藤 篤彦, 千田 金吾, 早川 啓史, 妹川 史朗, 菅沼 秀基, 吉富 淳, 中野 豊, 岩田 政敏, 井田 雅章, 谷口 正実
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 286-289
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤であるcefluprenamを呼吸器感染症に使用し, その有効性, 安全性および有用性を検討した。対象は14例の呼吸器感染症患者で, 疾患の内訳は細菌性肺炎9例, 肺化膿症1例, 胸膜炎1例, 気管支拡張症に伴う感染3例であった。投与方法は, 1回1g, 1日2回, 7~12日間点滴静注した。本剤投与後に肺結核症と判明した1例を除く13例の臨床効果は, 著効2例, 有効10例, やや有効1例であった。起炎菌は3例で検出され, いずれも消失した。副作用は発疹・発熱が1例に認められ, 臨床検査値異常はGOT・GPT・γ-GTP・LAPの上昇およびGOT・GPT・ALPの上昇が各1例に認められたが, 重篤なものはなかった。
  • 山田 保夫, 中村 敦, 児島 康浩, 武内 俊彦, 加藤 錠一, 吉友 和夫, 鳥居 正芳, 林 嘉光, 伊藤 剛
    1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 290-294
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系の注射剤cefluprenam (CFLP) について基礎的および臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1) 抗菌力: CFLPについて臨床分離の7菌種181株に対するMICを測定し, ceftazidime (CAZ), flomoxef (FMOX) の成績と比較した。その結果, Staphylococcus aureusの抗菌力はCAZより優れていたがFMOXとは同程度であった。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Morganella morganiiではCAZ, FMOXより優れていた。Serratia marcescensではFMOXより優れていたが, CAZと同程度であった。Pseudomonas aeruginosaでは対照薬よりやや優れていたが, 十分な抗菌力を示さなかった。
    2) 臨床的検討: CFLPを呼吸器感染症10例 (肺炎5例, 肺化膿症1例, 気管支拡張症2例, 慢性肺気腫の二次感染1例, 肺線維症の急性増悪1例) に使用した。判定不能の1例を除外した9例中, 著効2例, 有効5例, 無効2例であった。細菌学的効果では, 分離されたS.aureus 1株, Haemophilus influenzae2株, P.aeruginosa 1株はすべて除菌された。副作用では, 本剤によると思われる発疹と下痢が各1例にみられたが, 便培養にて有意な細菌を検出せず対症療法で改善した。臨床検査値異常としては, 末梢血好酸球数増加が1例, GOT・GPTの上昇と直接クームス陽性化が1例, GOTの上昇が1例にみられたが, 全例投与終了後には改善した。
feedback
Top