日本化学療法学会雑誌
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44 巻 , 11 号
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  • Cefminoxと他のβ-ラクタム系薬の比較
    石井 孝弘, 笹島 通夫, 刑部 章子, 折笠 義則
    1996 年 44 巻 11 号 p. 829-834
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    MRSA増加の原因は第3世代セフェム系薬の使用にあると考えられている。今回二者らはすべての第3世代セフェム系薬がその要因となるのか否かを検討するために, cefminox (CMNX) および他β-ラクタム系薬のMRSAPBP-2'誘導能と耐性化との関係について検討し, 以下の結果を得た。
    1. 臨床分離MRSA100株に対し, 血中濃度とMICの関係から, CMNXおよびceftizoxime (CZX) はヒト常用投与量で得られる血中濃度域では抗菌力を示さなかったが.flomoxef (FMOX) およびimipenem/cilastatin (IPM/CS) はそれぞれ7%, 20%の株に抗菌力を示した。
    2. IPM/CSおよびFMOXの高度耐性菌選択頻度は, 本薬剤に感受性であるMRSAY-782において高かったが, 感受性の低いMRSAY-112では低かった。一方, いずれの菌株に対しても感受性の低いCMNX, CZXは高度耐性菌を選択しなかった。
    3. MRSAY-782に対しβ-ラクタム系薬をヒト常用投与量で得られる血中濃度域で接触させた場合, CMNX, CZXはMICに変化をおよぼさなかったが, FMOXおよびIPM/CSは4から32倍MICの上昇した耐性菌を選択したど
    4. MRSAY-112を低濃度の薬剤存在下で培養すると, CMNXは他のβ-ラクタム系薬と同様にPBP-2'を誘導し, その産生量を増加させた。しかし, この菌を薬剤非含有培地に1回継代し薬剤を除去するとPBP-2'の産生量は薬剤非作用時と同量まで減少した。
    以上のことからCMNXおよびCZXはMRSAのPBP-2'誘導能が高くても常用投与量で得られる血中濃度域では抗菌力を示さないことから高度耐性菌を選択しないことが示唆された。
  • 高杉 信義, 佐世 正勝, 齋藤 剛, 坂口 優子, 加藤 紘, 金子 淳子, 尾家 重治, 神谷 晃, 中澤 晶子
    1996 年 44 巻 11 号 p. 835-841
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    緑膿菌Pseudomonas aerugintsaは, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌とともに代表的な多剤耐性菌となる。今回, 当院で厳重管理した新生児が, 緑膿菌感染による敗血症とDICにより死亡した。その緑膿菌に対する15薬剤のMICは, piperacillin100μg/ml以上, ceftazidime50μg/ml, cefepime (CFPM) 25μg/ml, cefbperazone/sulbactam (CPZ/SBT) 50μg/ml, cefsulodin100μg/ml, panipenem (PAPM) 25μg/ml, aztreonam (AZT) 25μg/ml, carumonam50μg/ml, gentamicin・tobryycin・netilmicin・arbekacin100μg/ml以上, yikacin (AMK) 25μg/ml, levofloxacin100μg/ml, そしてfbsfbmycin (FOM) 100μg/ml以上であり, 多剤耐性を示し, 非常にまれな菌株であった。Checkerboard titration methodによるin vitroの併用効果を検討したところ, 最小Fractional Inhibitory Concentration index (FIC index) はAMKとPAPM併用1.0 (相加作用), AMKとCFPM併用0.625 (相加作用), AMKとAZT併用0.625 (相加作用), AZTとCPZ/SBT併用0.75 (相加作用) であった。また, FOMとAMK, およびAZT併用の組合わせでは無変化であった。もっとも低いFICindex0.625を示したのは, AMKとCFPM併用, およびAMKとAZT併用であった。この時のAMKのMIC濃度は, AMKとCFPM併用時6.25μg/ml, 一方AMKとAZT併用時3.13μg/mlであり, またCFPM3.13μg/ml, AZT12.5μg/mlであった。臨床的に有用なのはAMK濃度が低値の方であり, AMKとAZT併用を第一選択と考える。今回, 非常にまれな多剤耐性緑膿菌を検出し, in vitroの結果より治療薬の選択として, AMKとAZT併用が有効であろうとの結論を得た。
  • 小田切 繁樹他
    1996 年 44 巻 11 号 p. 842-852
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症のうち急性扁桃炎, 急性咽喉頭炎, 以上1群と慢性気管支炎, 気管支拡張症 (感染時), 以上II群を対象とし, ciprofloxacin (CPFX) 細粒剤をCPFXとして1回200mg, 1日3回食後経口投与し, 本剤の有効性, 安全性および有用性をオープン試験にて検討した。投与期間は原則として, 1群では7日間以内, II群では14日間以内とした。総投与症例は41例であり, 疾患別では急性扁桃炎4例・急性咽頭炎10例のI群14例, 慢性気管支炎14例・気管支拡張症 (感染時) 13例のII群27例であった。臨床効果での有効率は1群100%(13113例), II群83.3%(20/24例), 全体では89.2%(33/37例) であった。一方, 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で73.1%(19/26株) であった。副作用は4例 (9.8%) に6件の消化器症状がみられたが, いずれの症状も軽度で, 投与終了または中止後に速やかに消失した.臨床検査値異常は2例 (5.4%) にGPT上昇がみられた。概括安全度での安全率は86.8%(33/38例) で, 有用性での有用率は81.1%(30/37例) であった。以上の成績から, 本細粒剤は呼吸器感染症に対して良好な有効性および安全性を有することが確認された。
  • 古西 満, 井前 徳久, 森 啓, 寺本 正治, 坂本 正洋, 辻本 正之, 山中 貴世, 前田 光一, 濱田 薫, 三笠 桂一, 西川 潔 ...
    1996 年 44 巻 11 号 p. 853-857
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    血液悪性疾患の抗癌化学療法後の顆粒球減少時に38℃ 以上の発熱を認め, Boneによる敗血症の診断基準を満たし, 臨床的に敗血症を疑った症例を抗菌薬 (piperacillin: PIPC+isepamicin: ISP) と同時に免疫グロプリン製剤 (ポリグロビンN®) を投与する群 (A群) と抗菌薬 (PIPC+ISP) 投与後4日目から免疫グロブリン製剤を投与する群 (B群) とに封筒法で分け, 臨床経過を比較検討した。A群 (10例) とB群 (11例) とには基礎疾患, 発熱時の白血球数・顆粒球数・CRP・colony-stimulating factor (CSF) 製剤の使用に有意差はなかった。A群ではB群に比較し, 解熱・CRPの改善と白血球数の回復とが有意に早く, 抗菌薬の投与期間が有意に短縮した。A群の1例でGOT・GPTの軽度上昇を認めたが, 重篤な副作用は両群ともなかった。以上から血液悪性疾患では顆粒球減少時の感染症治療上免疫グロプリン製剤を早期から投与することが有用である可能性が示唆された。
  • 渡辺 彰, 庄司 聡, 高橋 洋, 菊地 暢, 藤村 茂, 貫和 敏博
    1996 年 44 巻 11 号 p. 858-861
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいキノロン薬のDU-6859aの呼吸器由来の9菌種, 計201株に対する抗菌力を測定し, ofloxacin (OFLX), sparfloxacin (SPFX), ciprofloxacin (CPFX) およびrifampicin (RFP) と比較した。Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus, methicillin-resistant S.aureus, Haemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Serratia marcescensおよびPseudomonas aeruginosaに対する本薬のMIC90は各々≦0.06, 1, ≦0.06, ≦0.06, 0.12, 0.12, 0.25, 0.5μg/mlであった。対照薬との比較で本薬はH. influemae, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacaeに対してはOFLXやCPFXと同等の抗菌力を示したが, その他の菌種に対して2~16倍強い抗菌力を示し, 検討薬剤のなかではもっとも強い抗菌力を示した。RFP感受性Mycobacterium tuberculosisに対する本薬の抗菌力はRFPと同等でOFLX, CPFXより4~8倍強く, RFP耐性Mycobacterium tuberculosisおよびMycobacterium aviumに対しても対照薬の4~64倍強い抗菌力を示し, 検討薬剤のなかではもっとも強い抗菌力を示した。抗酸菌を含む各種呼吸器病原細菌に強い抗菌力を有するDU-6859aは, 種々の呼吸器感染症に対する有力な第一次選択薬の1つと考えられる。
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