日本化学療法学会雑誌
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44 巻 , 12 号
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  • NCCLS精度管理法に準じた測定法の考案
    藤岡 利生, 那須 勝, 戸田 陽代, 長谷川 美幸, 村岡 宏江, 小林 寅哲, 西園寺 克, 猪狩 淳
    1996 年 44 巻 12 号 p. 867-873
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pyloriに対する抗菌薬のMICをCO2培養を行わずに測定可能な半流動培地による測定法を考案し, 正確性について詳細な検討を行った。従来から用いられている寒天平板希釈法はH. pyloriの発育性の問題から, CO2 (10~15%) 培養を必要とした。しかしそのCO2によって寒天培地中のpHが低下し, マクロライド系抗菌薬のH. pyloriに対するMIC値は, 中性での結果と比較して8~16倍高い値を示した。したがって, 本菌の発育条件を考慮し, CO, を用いない半流動培地での微好気条件による測定法を考案した。半流動培地は本菌が十分に発育し, 日本化学療法学会標準法に準じたMueller Hinton broth (Difco) に0.2% agarを加えたものを測定培地とした。約107CFU/mlとなるように試験菌を接種し, 35℃, 48時間好気培養を行い培地中層部での発育を判定した。その結果, 用いた抗菌薬amoxicillin, clarithromycin, azithromycinおよびciprofloxacinのMIC測定における日差再現性は良好で, いずれの薬剤も2倍以内と安定な成績が得られた。NCCLS精度管理基準に従い管理用菌株としてStaphylococcus aureus ATCC 29213およびEscherichia coli ATCC 25922を用い同条件で前記4薬剤のMICを測定した結果, ciprofloxacinの後者に対するMICが0.03μg/mlと1管 (2倍) 範囲を外れた以外はすべて基準内であった。このことから本測定法はH. pyloriのMIC測定に適しNCCLSの精度管理基準を同時に満たすものと考えられた。
  • 宇佐美 隆利, 武藤 智, 中西 利方, 太田 信隆, 鈴木 和雄, 藤田 公生
    1996 年 44 巻 12 号 p. 874-878
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    間欠的自己導尿 (CIC) 患者における尿路感染症を検討するため, 種々の患者背景因子とその実態について検討した。対象は焼津市立総合病院泌尿器科において1995年1月現在, 間欠的自己導尿を施行している男21例, 女8例で, 平均年齢63.3歳 (23歳より88歳), 平均観察期間28.2か月 (1か月より96か月) の29例である。尿路感染症の定義を膿尿 (白血球≧10HPF), 細菌尿 (細菌数≧105CFIU/ml) の両者を有するものとし, その発症頻度, 起炎菌, 患者背景因子, 抗菌薬投与状況について調査し統計学的処理に関しては, 有意差検定にStudent's t-testを用いた。膿尿の発生頻度は, 平均0, 15回1月, 尿路感染症は平均0.07回/月であった。尿路感染症の発生頻度は尿失禁の有無および尿道膀胱バルーンカテーテル留置歴の有無と相関し, いずれも無の方が有意に低かった。抗菌薬の使用ではニューキノロン系薬剤が, 全症例のべ観察期間中65.8%を占めた。分離菌はEscherichia coliがもっとも多く, グラム陰性菌が52.9%を占めた。全経過を通じて尿路感染症を併発したものは29例中23例 (79%) であり, その予防対策として尿道膀胱バルーンカテーテルの留置を極力回避すること, 自己導尿の指導を医療スタッフが厳密に施行することが重要と考えられた。
  • 坂本 正洋, 三笠 桂一, 濱田 薫, 寺本 正治, 古西 満, 前田 光一, 辻本 正之, 平井 妙代子, 森 啓, 植田 勝廣, 澤木 ...
    1996 年 44 巻 12 号 p. 879-882
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    我々はclarithromycin (CAM) 投与が非小細胞肺癌患者の生存期間を延長し, 宿主要因を改善することを報告してきた。今回原発性非小細胞肺癌患者27例にCAMを投与し, 投与前と3か月後とに悪液質を誘導するサイトカインInterleukin-6 (IL-6), Tumor necrosis factorα (TNF-α) と臨床指標 (体重, 血中総蛋白, アルブミン, コリンエステラーゼ, ヘモグロビン) を測定しCAM非投与症例, 慢性下気道感染症患者, 健常成人と比較検討した。CAM投与前血清中IL-6, TNF-α 濃度は投与群, 非投与群間に差はなく両群とも慢性下気道感染症患者, 健常成人より有意に高値であった。CAM投与3か月後にはIL-6, TNF-α とも有意に低下するとともに体重, コリンエステラーゼ, ヘモグロビンは有意に増加した。一方CAM非投与症例ではいずれも有意な変動を認めずCAM投与が癌悪液質の進行を阻止している可能性が示唆された。
  • 三笠 桂一他
    1996 年 44 巻 12 号 p. 883-889
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    我々は慢性下気道感染症に対するerythromycin (EM) 長期投与の有用性とその作用機序について検討し, EM・clarithromycin (CAM) にはNatural Killer細胞活性や各種サイトカイン産生能を調整するBiological Response Modifier (BRM) の作用があることを見出した。今回BRMとしてのCAMに着目し, 肺癌患者にCAMを長期投与し, 生存期間への影響を検討した。対象は当科に入院した手術不能の原発性肺癌患者100例。方法は抗癌治療施行後退院し, 初回外来受診時にCAM (400mg/日) 投与群と非投与群を無作為に割り付けた。2 群間には年齢・性別・病期・組織型・前治療およびその奏効率に有意差は認めなかった。結果は, 非小細胞癌ではCAM投与群で生存期間が有意に延長し (50%生存期間CAM投与群: 535日, 非投与群: 277日, P=0.0012), またその効果は腺癌で優れていた。以上からCAMは非小細胞肺癌の治療に有用なBRMになる可能性が示唆された。
  • 3日間投与法との比較検討
    森田 辰男, 坂田 浩一, 小林 実, 橋本 紳一, 村木 淳郎, 小林 裕, 中村 昌平, 徳江 章彦, 菊地 敬夫, 原 暢助, 石川 ...
    1996 年 44 巻 12 号 p. 890-895
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性単純性膀胱炎に対するlevofloxacin (LVFX) 単回投与法の有用性を客観的に評価するために, 本剤200mg単回投与と1回100mg1日2回3日間投与とを比較検討した。また, 尿中Interleukin-8 (IL-8) をEHSA法にて測定した。UTI薬効評価基準の患者条件を満たす臨床効果判定可能症例は44例であり, 封筒法によって, 単回投与群 (22例) と3日間投与群 (22例) に振り分けた。両投与群の背景因子に有意差はみられなかった。投与後3日目および7日目における総合有効率は, 両投与群ともに100%であった。投与後3日目および7日目における除菌率は, 両投与群ともに100%であった。治療前の尿中IL-8値は高値を示したが, LVFX投与後3日目には尿中IL-8値は有意に低下した。また, 尿中IL-8値は, 尿中白血球数と有意な正の相関を示した。副作用およびアンケート調査による再発に関しても検討したが, 両投与群とも明らかな副作用あるいは再発を認めなかった。臨床的有効率, 副作用および再発率に関して, 両投与群間で有意差はなく, LVFX200mg単回投与は, 急性単純性膀胱炎に対する治療法として有用であることが明らかとなった。
  • UTI薬効評価基準とIDSA基準との比較
    斎藤 功, 吉田 雅彦, 廣瀬 友信, 小島 弘敬, 河村 毅, 石田 仁男, 森山 正敏, 川崎 千尋, 福島 修司, 河田 幸道
    1996 年 44 巻 12 号 p. 896-902
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    女子急性単純性膀胱炎に対するlevofloxacin (LVFX) の治療効果を, UTI薬効評価基準および TheInfectious Diseases Society of Americaの general guidelines for the evaluation of new anti-infective drugs for the treatment of UTI にもとづき比較検討した。1994年9月より95年3月までに各施設で, 膿尿5コ/hpf以上, 細菌尿103CFU/ml以上の急性単純性膀胱炎と診断された症例157例に, LVFXの100または200mgを3~5日間投与し, 投薬終了直後・投薬終了1週後および4週後の臨床効果を判定した。投薬終了直後の総合臨床効果は, 著効71.6%(106例/148例, 以下同様), 有効27.7%(411148), 無効0.7%(1/148) で, 1日投与量または投与日数による有意差は認められなかった。投薬終了1週後および4週後のmicrobiological eradication rate/clinical cure rate II 93.9 %(77/82)/88.1%(74/84) および, 92.9%(52/56)/88.5%(54/61) で, 高い臨床効果が認められた。これらを投与日数別に検討すると, 3日間投与群の投薬終了1週後は89.1%(41/46)/80.4%(37/46) 4週後は90.0%(27/30)/81.3%(26132), 4日間投与群では1週後は100%(13/13)/100%(13/13) 4週後は88.9%(8/9)/90%(9/10), 5日間投与群では1週後100%(23/23)/96.0%(24/25) 4週後は100%(17/17)/100%(19/19) と, 5日間投与群で治癒率がより高い傾向が認められたが, 統計学的な有意差は認められなかった。また, 投薬終了直後の著効群と有効群に分けて比較しても, その後の治癒率には有意差は認められなかった。ニューキノロン剤では急性単純性膀胱炎に対しては単回療法でも十分高い治癒率が報告されるようになってきたが, 治療4週後までの長期治療成績の点では5日間投与が適当である可能性もあり, 今後さらなる症例の蓄積, cost- effectivenessの観点などからの議論が必要であると考えられた。
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