新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) の呼吸器感染症に対する用量を検討する目的で, 慢性気道感染症 (慢性気管支炎と気管支拡張症) を対象に, tosufloxacin (TFLX) を対照薬として無作為割付けによる3群間比較試験を行った。PZFXは1日300mg (PZFX-300群) または600mg (PZFX-600群) を, TFLXは450mg (TFLX群) を, 1日3回に分割し, 原則として14日間服用した。
1) 解析対象症例数: 総投与例数は104例 (PZEX-300群36例, PZFX-600群34例, TFILX群34例) で, 解析対象例数は臨床効果が94例 (PZFX-300群33例, PZEX-600群32例, TFLX群29例), 副作用が100例 (PZFX-300群34例, PZEX-600群33例, TFLX群33例), 臨床検査値異常が89例 (PZFX-300群31例, PZFX-600群29例, TFLX群29例), 有用性が95例 (PZEX-300群33例, PZFX-600群32例, TFLX群30例) であった。
2) 臨床効果: 有効率はPZFX-300群76%(25/33例), PZFX-600群91%(29/32例), TFLX群83%(24/29例) であった。基礎疾患・合併症ありの症例での有効率は, PZEX-300群74%(17/23例), PZFX-600群95%(20/21例), TFLX群79%(15/19例) であった。
3) 細菌学的効果: 菌消失率はPZFX-300群59%(13/22株), PZFX-600群82%(14/17株), TFLX群83%(19/23株) であった。
4) 安全性: 副作用の発現率はPZFX-300群6%(2/34例), PZFX-600群3%(y33例), TFLX群6%(2/33例) で, いずれの群にも重篤な症状, 所見は認められなかった。臨床検査値異常の発現率はPZFX-300群6%(2/31例), PZFX-600群7%(2/29例), TFLX群7%(2/29例) で, いずれの変動値も軽度であった。
5) 有用性: 有用率はPZFX-300群70%(23/33例), PZFX-600群88%(28/32例), TFLX群79%(23/29例) であった。
以上の結果から慢性気道感染症に対するPZFXの適応用量幅は1日300mg~600mg (分3) と考えられた。
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