新規経口用ニューキノロン系抗菌薬pazunfloxacin (PZFX) の慢性気道感染症に対する有効性, 安全性, 有用性を客観的に評価するためにtosufloxacintosilate (TFLX) を対照薬とし多施設二重盲検比較試験を実施した。PZFXは1回200mgを1日3回, TFLXは1回150mgを1日3回, 共に14日間使用を原則とした。得られた成績は以下のとおりであった。
1) PZEX群100例, TFLX群102例が集積され, 13例が臨床効果解析から除外された。背景因子に若干の偏りがみられたが, 統計解析の結果から, 薬効評価上の影響はないと判断された。
2) 臨床効果は, 著効PZFX群14.0%(13/93), TFLX群20.8%(20/96), 有効PZFX群73.1%(68/93), TFLX群57.3%(55/96), 有効率はそれぞれ87.1%, 78.1%であり.両薬剤群問に有意差はみられなかったが, Δ=10%とした場合の, PZFXのTFLXに対する臨床的同等性は検証された。
3) 細菌学的効果は菌消失率PZFX群67.6%(25/37), TFLX群83.3%(40/48) で有意差はみられなかった。
4) 副作用発現率はPZFX群4.1%(4/97), TFLX群4.0%(4/101) であった。主な症状は中枢神経症状と消化器症状であったがTFLX群での中等度のめまい, 幅気, 下痢・多汗の3例のほかはすべて軽度であった。
5) 臨床検査値異常の発現率はPZFX群2.3%(2/88), TFLX群8.4%(8/95) で有意差はみられなかった。
6) 概括安全度は両薬剤群間に有意差はみられなかった。安全と評価された割合はPZFX群93.2%(82/88), TFLX群88.5%(85/96), また, ほぼ安全である以上の割合はPZFX群100%(88/88), TFLX群96.9%(93/96) であった。
7) 有用性における有用率は, PZFX群87.1%(74/85), TFLX群76.8%(73/95) であり, 両薬剤群間に有意差はみられなかった。
以上の成綾より, 慢性気道感染症に対してPZFX600mg/日投与はその臨床効果, 安全性においても特に問題がなく, 総合的にはTFLX450mg/日投与と同等の, 高い有用性が期待される薬剤と考えられた。
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