日本化学療法学会雑誌
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44 巻 , 7 号
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  • 山崎 堅一郎
    1996 年 44 巻 7 号 p. 477-482
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対する緑茶 (Camellia sinensis) エキスと17薬剤との相乗的抗菌効果について, MRSA塗布平板に緑茶エキスとセンシディスクを併置し, その間に生じた阻止帯の有無を調べた。その結果, β-ラクタム剤のcefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), cefmetazole (CMZ), ceftizoxime (CZX), flomoxef (FMOX), imipenem (IPM), ampicillin (ABPC) と緑茶エキスとの間に明瞭な阻止帯が観察され, MRSAに対する相乗的抗菌効果が認められた。しかし, oxacillin (MPIPC), carumonam (CRMN) およびβ-ラクタム剤以外の薬剤, clindamycin (CLDM), vancomycin (VCM), netilmicin (NTL), levonoxacin (LWX), chloramphenicol (CP), minocycline (MINO), erythromycin (EM), fosfomycin (FOM) では, この効果は7薬剤に比べわずかに観察されるか, あるいはまったく観察されなかった。明瞭な阻止帯が観察されたβ-ラクタム剤 (CEZ, CTM, CMZ, CZX, FMOX, IPM, ABPC) のMIC値は, 緑茶エキス添加により顕著に低下した。
  • 11か月にわたる精度管理下での測定結果
    松崎 薫, 内野 卯津樹, 村岡 宏江, 戸田 陽代, 金山 明子, 雑賀 威, 佐藤 弓枝, 手塚 孝一, 長谷川 美幸, 小林 寅哲, ...
    1996 年 44 巻 7 号 p. 483-492
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1995年2月以後に全国の医療施設において分離された比較的新しい臨床分離株28菌種合計1,112株について各種ニューキノロン薬の抗菌活性を測定した。その結果, グラム陽性球菌においてMethicillin susceptible Staphylococcus aureus (MSSA) には耐性株をまったく認めず, MIC90は1.56μg/ml以下であった。しかしMRSAの多くはいずれのニューキノロン薬にも耐性を示し, Staphylococcus epidermtdis, Enterococcusの約10~20%に耐性を認めた。連鎖球菌のStreptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeに対してはnorfloxacin (NFLX), fleroxacin (FLRX) にややMICの高い株が存在したが他は良好な抗菌力を示した。なかでもtosufloxacin (TFLX), sparfloxacin (SPFX) はこれらの株に強い抗菌活性を有していた。グラム陰性桿菌においては, Serratia marcescens, Providenciaにやや耐性株を認めたが。その他Escherichia coli, Klebstella pneumoniae, Enterobacter,. Proteus等に優れた抗菌活性を示した。また, Pseudomonas aeruginosaの約10%に耐性株を認めたが, ブドウ糖非発酵菌群に対しても強い抗菌力を示し, 特にTFLX, ciprofloxacin (CPFX), SPFXの抗菌活性は優れていた。嫌気性菌に対してもBacteroides fragilisの一部を除きTFLXを筆頭に強い活性を認めた。以上のことからTFLXは発売から5年を経過した今でも最近分離された好気性菌から嫌気性菌に至るまで広い抗菌スペクトラムを有し, 耐性化しにくいことが示唆された。
  • 田場 秀樹, 當山 真人, 豊田 和正, 新里 敬, 斎藤 厚, 仲宗根 勇, 草野 展周
    1996 年 44 巻 7 号 p. 493-498
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas aeruginosaに対する各種ニューキノロン系抗菌薬 (NQs) のin vitro抗菌活性およびin vivo治療効果について検討し, 以下の結果を得た。
    1) 1993年1月~12月の間に琉球大学医学部附属病院検査部にて各種臨床材料より分離されたP.aeruginosa (100株) に対するofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX), sparfloxacin (SPFX), levofloxacin (LWX) および新規抗菌薬であるNM 441 (活性本体: NM 394) のMICを微量液体希釈法により測定した。検討薬剤のなかでは, CPFX, TFLX, およびNM 441のMIC50がともに0.25μg/mlであり, もっとも優れた抗菌活性を示した。OFLXのMIC50は2.0μg/mlであった。またOFLX耐性株のうち50%の株はNM 441に対して感受性であった。
    2) 正常マウスを用いたP.aeruginosa呼吸器感染モデルに対する治療実験の結果, 各NQs問に明らかな治療効果の差は認められず, 治療群と未治療群との問にも生存率の差は認められなかった。
    3) Cyclophosphamide処理マウスを用いたP.aeruginosa呼吸器感染モデルに対する治療実験の結果, LVFX治療群に比較してNM 441治療群が有意差をもって優れた治療効果を示した。
    4) In vitroではCPFXとNM 441は同等の抗菌活性を示したものの, 治療成績においてNM 441がCPFXを上回る成績を示したことより, 両薬剤の組織移行性の差異が影響をおよぼした可能性が考えられた。
    以上, in vitroおよびin vivoの成績より, P.aeruginosa感染症の治療に際して, OFLXあるいはLVFXに対する感受性の低下した株に対しては, CPFXやNM 441が優れた治療効果を期待しうる選択薬剤になるものと考えられた。
  • 新里 鉄太郎, 吉田 千春, 庄司 陽子, 斎藤 篤
    1996 年 44 巻 7 号 p. 499-508
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗癌薬シスプラチン (CDDP) とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の感染症に対する選択薬であるアミノグリコシド薬のアルベカシン (ABK) およびグリコペプチド薬のバンコマイシン (VCM) を, 各々単独またはCDDPと併用投与し, CDDPの毒性は抗菌薬との併用によりどのように変化するのかについて検討した。また, 併用時にみられる毒性はホスホマイシン (FOM) によって軽減し得るのかについても評価した。各薬物の投与量はCDDPは1mg/kg, ABKは80mg/kg, VCMは200mg/kgおよびFOMについては80mg/kgとその4倍量の320mg/kgとし, ラット静脈内に7日間にわたり連日投与した。その結果, 単剤投与時においてはCDDPには肝, 腎, 骨髄および消化器粘膜毒性, VCMには腎毒性と骨髄への影響, ABKには腎毒性のみがみられ, 腎毒性の程度はABKにおいてもっとも弱かった。CDDPの毒性は抗菌薬と併用しても質的には変化しなかったが, 腎毒性は増強し, その増強度はVCMとの併用においてより一層顕著であった。また, FOMはこれらの併用時にみられる毒性を明らかに軽減した。これらの知見から, CDDPとMRSA治療薬ABKあるいはVCMとの併用はなるべく避けるべきで, 併用せざるを得ない場合には抗菌薬としてはABKを選択し, さらにFOMを併用することによって安全性はより高まると結論された。
  • 副島 林造他
    1996 年 44 巻 7 号 p. 509-526
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質cefoselis (FK 037, 以下CFSL) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を, ceftazidime (以下CAZ) を対照薬として比較検討した。CFSLおよびCAZの投与量はともに1回1.0g (力価) を, 1日2回, 原則として14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。
    1.総登録症例178例中臨床効果判定可能例数138例の有効率は, CFSL群91.9%(68/74), CAZ群92.2%(59/64) であった。
    2.細菌学的効果 (菌消失率) は, CFSL群100%(18/18), CAZ群96.0%(24/25) であった。
    3.副作用発現率はCFSL群3.5%(3/86), CAZ群3.6%(3/84) であり, 臨床検査値異常変動の出現率はCFSL群20.9%(18/86), CAZ群19.0%(15/79) であった。また, 概括安全度 (安全率) はCFSL群77.9%(67/86), CAZ群81.0%(64/79) であった。
    4.有用性 (有用率) はCFSL群89.2%(66/74), CAZ群87.5%(56/64) であった。
    以上, CFSL群, CAZ群の両群間に有意差はみられず, cefoselisは細菌性肺炎に対してceftazidimeと同等の臨床的有用性を有することが示唆された。
    本治験成績は, すでに日本化学療法学会雑誌Vol.43, No.4に報告したが, その後, GCP不適合施設が判明したので, 当該施設の症例を除きあらためて報告する。
  • 副島 林造他
    1996 年 44 巻 7 号 p. 527-544
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質cefoselis (FK 037, 以下CFSL) の慢性気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性を, ceftazidime (以下CAZ) を対照薬として比較検討した。CFSLおよびCAZの投与量はともに1回1.0g (力価) とし, 1日2回, 点滴静注により原則として14日間投与し, 以下の成績を得た。
    1.総投与症例167例中臨床効果判定可能例数140例の有効率は, CFSL群90.3%(65/72), CAZ群89.7%(61/68) であった。
    2.細菌学的効果 (菌消失率) は, CFSL群89.2%(33/37), CAZ群94.1%(32/34) であった。
    3.副作用発現率はCFSL群7.4%(6/81), CAZ群2.6%(2/76) であった。臨床検査値異常変動の出現率はCFSL群11.1%(9/81), CAZ群13.3%(10/75) であった。
    4.有用性 (有用率) はCFSL群84.9%(62/73), CAZ群86.8%(59/68) であった。
    上記の検討項目ですべてにおいて, CFSL群, CAZ群の間に有意差はみられなかった。
    以上の成績よりCFSLは慢性気道感染症に対して有用な薬剤であることが示唆された。
    本治験成績は, すでに日本化学療法学会雑誌Vol.43, No.4に報告したが, その後, GCP不適合施設が判明したので, 当該施設の症例を除きあらためて報告する。
  • 田辺 潤, 谷口 真, 肥後 敦子, 小橋 吉博, 米山 浩英, 矢野 達俊, 木村 丹, 沖本 二郎, 田野 吉彦, 松島 敏春
    1996 年 44 巻 7 号 p. 545-550
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性重症肺炎患者の臨床像を知る目的で, ICUでの治療を必要とした肺炎患者51名と一般病棟で治療され治癒した肺炎患者52名を比較検討した。また予後に関与した因子を知る目的でICUの肺炎患者を生存, 死亡群に分けて比較検討した。ICUの肺炎患者はICU人室時, 病棟の肺炎患者は入院時の (1) 年齢・基礎疾患,(2) 臨床症状,(3) バイタルサイン,(4) 血液・生化学検査,(5) 胸部X線上の浸潤影の拡がり, (6) 酸素療法の有無, 加えて (7) 転帰, および (8) ICUの肺炎患者では生存, 死亡群に分けた転帰を比較検討した。その結果, ICUの肺炎患者の臨床像の特徴として (1) 臨床症状として呼吸困難と中枢神経症状,(2) バイタルサインとして頻脈と頻呼吸,(3) 臨床検査値として低アルブミン血症,(4) 胸部X線で浸潤影の広い拡がり,(5) ICUの死亡例でのアシドーシスの存在を認めた。したがって以上の所見を認めた場合には重症肺炎と考え, ICUで管理のうえ, 治療を開始する必要があると思われた。
  • 副島 林造, 高橋 久, 森田 慶作
    1996 年 44 巻 7 号 p. 551-556
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Tosufloxacin tosilate (TFLX) の有効性ならびに安全性, 特に光線過敏性反応の発現頻度および発現におよぼす要因を検討する目的で, 1992年8月から1994年3月まで四季に偏りがないよう全国304施設から2,552例の使用症例を収集した。
    1) 有効性は感染予防内服85例を含む96例を除外した2,447例で検討した。主治医による臨床効果判定は, 呼吸器感染症で81.5%(662/812), 浅在性化膿性疾患86.0%(606/705), 泌尿器科領域感染症88.0%(529/601), 全体では84.2%(2,060/2,447) の有効率であった。
    2) 安全性は再来院せずの9例を除いた2,543例で検討した。随伴症状は21例 (0.83%) に発現し, 消化器症状が8例 (0.31%), アレルギー症状が5例 (0.20%) で, 光線過敏性反応は3例 (0.12%) であった。
    3) 光線過敏性反応の発現した3例のうち2例に確認試験を実施した。Minimal erythema dose (MED) 試験, パッチテスト.光パッチテストでは2例とも陰性。内服照射試験では1例は陰性, enoxacin (ENX) で光線過敏性反応発現の既往のある1例では陽性であった。
    4) 自発報告の8例を追加した11例の光線過敏性反応発現症例について, 年齢, 服薬日数について検討したところ, TFLXは低率ではあるが, 7日以内に発現する症例が多く, 年齢との相関も明らかではなかった。
  • ヌードマウス移植ヒト胃癌株を用いた検討
    花谷 勇治, 小平 進, 長岡 信彦, 三吉 博, 浅越 辰男
    1996 年 44 巻 7 号 p. 557-559
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ヌードマウス移植ヒト胃癌株 (SC-1-NU) を用い, 5-fluorouracil (5-FU) bolus投与による腫瘍組織内のthymidylate synthase (TS) およびRNA中に取り込まれた5-FU (F.RNA) の変動を検討した。TS阻害率は5-FU投与後速やかに高値に達した (40mg/kg;93.4%, 10mg/kg;74.9%)。一方, F-RNAはピーク (40mg/kg;111ng/mg-RNA, 10mg/kg;21.8ng/mg-RNA) に達するまでに12時間を要した。ピーク以後のTS阻害率およびF-RNAの低下は緩やかで, 特に40mg/kg投与では, 96時間後でもある程度の作用 (TS阻害率;40.1%, F-RNA;31.1ng/mg-RNA) を持続していた。治療実験に準じた連続投与 (40mg/kg 4日毎投与および10mg/kg連日投与) では, TS阻害率およびF-RNAの最低値は次第に高値となる傾向を認めた。5-FU bolus (特に大量) 投与ではDNAおよびRNAに対する作用の持続性が認められ, 間歇投与でも良好な抗腫瘍効果を期待しうると考えられた。
  • 蔵元 いづみ, 中川 義久, 山田 洋子, 宮本 典昭, 坂田 哲宣
    1996 年 44 巻 7 号 p. 560-562
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1994年1月から同年12月までに当院で入院加療を行った症例のうち, 便培養でMRSAが検出された36例について検討を行った。症状を認めなかった症例は36例中8例で, 残りの28例は下痢や発熱などの症状を認めた。基礎疾患としては, 脳血管障害・慢性下気道感染症が多くを占め, 消化管手術後の症例は4例のみであった。発症時の投与抗生剤は第三世代セフェムがもっとも多かった。検査成績では, 血清cholinesteraseおよびalbuminはMRSA腸炎で低い傾向があった。喀痰培養でMRSAが検出された例が36例中22例 (61%), H2-プロッカー投与例が36例中20例 (56%) に認められ, 経鼻胃管は約半数に挿入されていた。以上より, 最初気道に定着したMRSAが経鼻胃管により胃内に侵入し, H2-プロッカー投与で胃液pHの上昇した環境下で生育可能となり, 抗生剤投与により嫌気性菌叢が乱れた腸管内で増殖するという機序が考えられた。
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