日本化学療法学会雑誌
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44 巻 , 9 号
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  • 小林 寅哲, 戸田 陽代, 長谷川 美幸, 西田 実, 藤岡 利生, 那須 勝
    1996 年 44 巻 9 号 p. 719-722
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1995年6月以後に胃潰瘍患者胃粘膜より分離したHelicobacter pylori56株のペニシリン系, ペネム系, マクロライド系およびニューキノロン系抗菌薬の9薬剤に対する薬剤感受性を測定した。その結果, amoxicillinおよびclavulanic acid/amoxicillinは試験菌株のすべてに対しMICは0.20μg/ml以下で耐性菌株はまったく認められなかった。Fropenemの抗菌力は試験薬剤中でもっとも強く56株中55株はMIC≦0.025μg/ml残り1株は0.05μg/mlであった。マクロライド系5薬剤のMIC50値は0.05~0.39μg/mlであった。しかしclarithromycin以外の4薬剤のMIC90値は50μg/ml以上で, 耐性菌株が存在することを認めた。LevofloxacinのMICは25μg/mlを示した1株を除き0.10~6.25μg/mlに分布した。また抗菌薬による除菌治療前に分離された27株と, 治療中または治療後に分離された29株に分類して両群のMICを比較すると, 明らかに後者にマクロライド薬に対する耐性株が多く存在した。胃潰瘍患者のH. pyloriに対する抗菌薬による除菌療法には耐性株の出現を十分考慮して, 慎重に行われることが必要である。
  • 吉川 晃司
    1996 年 44 巻 9 号 p. 723-730
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    好中球は殺菌能, 遊走能そして貪食能に代表される機能を備えている。その好中球各機能に対する各種ニューキノロン薬の影響を薬剤濃度, 好中球との培養時間を変えて検討した。また, ニューキノロン薬の好中球内濃度を測定し, 好中球のもつ各機能との関係について検討を行った。健康成人の末梢血液より分離した好中球を4剤のニューキノロン薬ofloxacin (OFLX), levofloxacin (LVFX), sparfloxacin (SPFX), そしてprulifloxacin (PUFX) のそれぞれ0.625μg/ml, 2.5μg/ml, 10μg/ml濃度の存在下で, 0分, 10分, 20分, 30分間前培養した後, 好中球各機能を測定した。好中球内ニューキノロン薬濃度は, Escherichia coli Kp株を検定菌としたPaper disk methodによるBioassay法にて測定した。それぞれの好中球機能の測定は, 好中球殺菌能は, 活性酸素産生能を指標としたchemiluminescence法を用いて, 好中球遊走能では, formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine (FMLP) を走化性因子としたBoyden chamber法を用いて, そして好中球貪食能は, E. coli臨床株を用いてそれぞれ行った。測定した好中球機能においては, 好中球殺菌能, 好中球遊走能, 好中球貪食能のすべてにおいて, ニューキノロン薬濃度, 培養時間を増加させることにより, 好中球機能の増強が認められた。ニューキノロン薬の好中球内への移行は, 培養時間に比例して上昇がみられ, SPFX≧PUFX>LVFX≧OFLXの順であった。好中球内濃度と好中球各機能との関係を検討したところ, 好中球殺菌能・貪食能は, 高い相関を認め, 遊走能も一定の相関を認めた。検討したニューキノロン薬それぞれに, 好中球機能上昇が認められたことから, 好中球機能上昇と好中球内濃度との関連性が示唆された。
  • 池本 晶子, 寺谷 紀子, 池田 文昭, 横田 好子
    1996 年 44 巻 9 号 p. 731-735
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Haemophilus influenzaeのヒト喉頭癌由来上皮細胞 (HEp-2) への付着性と, 血清型 (serovar) および生物型 (biovar) との関連性を検討した。さらにHEp-2細胞に付着したH. influenzaeに対する経口セフェム薬の殺菌作用について検討した。
    1) 1993年から1995年に臨床材料より分離されたH. influenzae 144株はbiovar II (43%) がもっとも多く, 次いでbiovar III (24%) およびI (19%) であった。Cefixime, cefpodoximeおよびcefditorenに対する感受性の生物型による差異は認められなかった。
    2) H. influenzaeのwell当たりのHEp-2細胞に対する付着率はserovar bの0.5~3.3%に対し, 血清型別不能株 (nontypable) は12~100%で, nontypableの方が有意に高かった。また, serovarbにはHEp-2細胞内に侵入する株は存在しなかったが, nontypableでは9株中8株において接種菌量に対し0.00003~0.015%の割合で細胞内侵入が認められた。
    3) HEp-2付着菌に対する上記セフェム薬の殺菌は, 6時間までは浮遊菌の場合とほぼ同等で顕著な殺菌作用を示したが, その後24時間までの作用は浮遊菌に比べて著しく低下した。また, 付着菌のうち細胞内に侵入した菌はほとんど殺菌されなかった。
    これらの結果から, H. influenzaeのnontypableの株は上皮細胞へ付着しやすく, 低い割合ではあるが細胞内にも侵入しうる性質を持つことから, 本菌に起因する呼吸器感染症の難治化や再発の温床となり慢性化へと進展する可能性が示唆された。
  • 久保 鈴子, 新井 俊彦
    1996 年 44 巻 9 号 p. 736-740
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗菌薬の選択時に当院独自の最新情報を提供するために1994年11月に分離された菌株中, 分離頻度の高かった8菌種 (緑膿菌, 黄色ブドウ球菌, 大腸菌, クレブジエラ, エンテロバクター, セラチア, プロテウス, 腸球菌) に対する院内で使用されている抗菌薬の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。黄色ブドウ球菌はMRSAとMSSAに分けて調べた。さらに緑膿菌は血清型別, 黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ型別を行い, 院内における流行状況をみた。MIC測定に使用した抗菌薬は19剤である。緑膿菌にはimipenem/cilastatin (IPM/CS) とtobramycin (TOB), MRSAにはvancomycin (VCM) とarbekacin (ABK), MSSAにはampicillin (ABPC), cefazolin (CEZ), clarithromycin (CAM) およびofloxacin (OFLX), 大腸菌にはlatamoxef (LMOX) とOFLX, クレブジエラにはCEZ, cefmetazole (CMZ) およびOFLX, エンテロバクターにはIPM/CSおよびOFLX, セラチアにはIPM/CS, プロテウスにはABPC, LMOXおよびOFLX, 腸球菌にはABPCとIPM/CSが当院での第一次選択薬として推薦できることがわかった。緑膿菌株の血清型は, 呼吸器由来菌株とその他の材料由来株で違いがなく, 多い順からE, B, A, F, IおよびMであった。MSSAでは多様な型が分離されたが, MRSAはほとんどがコアグラーゼ型II型の株であった。
  • 神崎 寛子, 上枝 万純, 森下 佳子, 秋山 尚範, 荒田 次郎
    1996 年 44 巻 9 号 p. 741-745
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1993年9月から1995年10月までの問に皮膚科領域で分離された黄色ブドウ球菌344株について, 皮膚感染症 (191株) およびアトピー性皮膚炎 (153株) に分けて各種抗菌薬の感受性, コアグラーゼ型, β-ラクタマーゼ産生能を測定し, 過去の当科よりの報告との比較を加え, 検討した。皮膚感染病巣より分離された191株のうちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) は62株 (32.5%) であり, MRSAの増加は認められていない。vancomycinに対する耐性株は認められず, fusidic acid, imipenem は耐性率が低かった。ofloxacin, minocyclineの耐性菌はわずかではあるが減少傾向にある。コア グラーゼ型はIII, I, II, V, VII型の順に多く, IV型が減少し, III型が増加してきている。アトピー性皮膚炎の湿疹病変より分離した153株中MRSAは26.4%で増加傾向は認められていない。コアグラーゼ型はIII, VII型が多く認められた。感染症由来株と同様にIII型が増加してきている。β-ラクタマーゼ産生株は感染症由来株 (85.9%), アトピー性皮膚炎由来株 (81.7%) 共に徐々ではあるが増加傾向にある。
  • 堀 りつ子, 山本 誠士, 北山 理恵子, 三善 隆広, 荒木 春美, 南 新三郎, 渡辺 泰雄, 成田 弘和
    1996 年 44 巻 9 号 p. 746-752
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    肺炎球菌を用いてモルモット急性中耳炎モデルを作製し, 経口セフェム5薬剤の治療効果を比較検討した。ペニシリン感受性肺炎球菌 (PSSP) による中耳炎モデルに対し, cefteram pivoxil (CFTM-PI) およびcefpodoxime proxetil (CPDX-PR) は10mg/kgの1日2回2日間投与で無治療群に比べ中耳骨包内生菌数を有意に減少させ (p<0.01), cefdinir (CFDN), cefditoren pivoxil (CDTR-PI), cefaclor (CCL) より優れた効果を示考えられた。ペニシリン低感受性肺炎球菌 (PISP) による中耳炎モデルに対し, CFTM-PIは10mg/kgの1日2回2日間投与で治療効果を示さなかったが, 50mg/kgに増量すると中耳骨包内生菌した。この治療効果は各薬剤のin vitro抗菌力および体内動態を反映したものと数を検出限界以下まで減少させた (P<0.01)。その効果はCPDX-PRと同等で, 他剤より優れていた (P<0.01)。またCFTM-PIの20mg/kg1日2回5日間治療でも50mg/kg1日2回2日間治療と同等の治療効果が得られた。以上, PSSPおよびPISPによるモルモット中耳炎モデルに対しCFTM-PIおよびCPDX-PRはCFDN, CDTR-PI, CCLより優れた治療効果を示した。またPISPによる中耳炎に対してはPSSPの場合より投与量の増加や投与期間の延長が必要であった。
  • 外山 圭助他
    1996 年 44 巻 9 号 p. 753-760
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    血液疾患に合併した好中球減少症の感染症32患者に対し, amikacin (AMK) とimipenem/cilastatin sodium (IPM/CS) および顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) を併用投与し, 臨床効果を検討した。
    1. 臨床効果は, 32例中敗血症3例を含む24例が有効以上を示し, 75.0%の有効率であった。
    2. 効果判定時に好中球数が100/μl未満であった10症例の有効率は90%であった。抗生剤投与開始時から効果判定時の好中球数の増加が20%以上あった症例の有効率は81.8%(9/11) であったのに対し, 20%未満では有効率は66.7%(8/12) であったが, 両群間に有意な差は認められなかった。
    3. AMKとIPM/CS併用療法を行ったhistorical controlのうち今回の対象に見合う29症例では有効率75.9%であった。historical controlとG-CSF群を比較すると, 有効率, 最高体温の推移, 有熱期間とも有意な差は認められなかった。
    以上より, AMKとIPM/CS併用療法は好中球数が少ないときにも, G-CSFの好中球増加効果の有無にかかわずきわめて有用と考えられる。
  • 二木 芳人, 河端 聡, 窪田 好史, 佐々木 隆, 宮下 修行, 小橋 吉博, 岸本 寿男, 中島 正光, 松島 敏春
    1996 年 44 巻 9 号 p. 761-764
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    78歳男子のChlaznydia pneumoniae肪炎例に, 当初嫌気性菌感染症を疑って投与されたClindamycin (CLDM) がきわめて有効であった。CLDMは細胞性移行に優れ, C. pneumoniaeに対するMICも1μg/mlであり, 十分クラミジア呼吸器感染症に対する臨床的有用性の期待できる薬剤の1つであると考えられた。
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