日本化学療法学会雑誌
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45 巻 , 10 号
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  • 高山 吉弘, 蘇武 建一, 大楢 直子, 益吉 眞次, 吉田 隆
    1997 年 45 巻 10 号 p. 813-819
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    全国各地の病院において1993年に臨床材料から分離されたmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) とPseudomonas aeruginosaを使用し, in vitroにおける混合培養系およびマウス混合感染系に対するarbekacin (ABK) とceftazidime (CAZ) の併用効果をvancomycin (VCM) とCAZの併用効果と比較検討し, 以下の成績を得た。
    1) MRSAおよびP. aeruginosa各52株に対するABKのMIC 80は, それぞれ1.56μg/ml, 6.25μg/mlであり, 同様にVCMは1.56μg/ml, >1, 600μg/ml, CAZは400μg/ml, 50μg/mlであった。
    2) Checkerboard法によりABKとCAZの併用効果を検討した結果, MRSAおよび P. aeruginosaそれぞれ11株すべてに併用効果が認められ, このうち19/22株のMICは, ABKおよびCAZをヒトに常用量を投与した際の3時間後の血中濃度 (それぞれ2.4, 20μg/ml) に囲まれた範囲内に低下した。
    3) MRSAとP. aeruginosaの混合培養系に対するABKとCAZの併用は, ABKおよびCAZそれぞれの単独薬の殺菌作用に比し, 2つの抗菌薬の併用時が両菌種に対して強い殺菌作用を示した。
    4) MRSAとP. areuginosaの混合菌によるマウス実験的感染症に対するABKとCAZの同時併用は, in vitroでの効果を反映し, ABKおよびCAZそれぞれの単独薬投与に比べ生体内殺菌力の増強が認められた。
    以上の結果から臨床で高頻度に見られるMRSAとP. aeruginosaの混合感染症に対してABKとCAZの併用療法は, 有効な治療法の一つになりうることが示唆された。
  • 小林 宏行, 原 耕平, 熊澤 淨一
    1997 年 45 巻 10 号 p. 820-832
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ピリドンカルボン酸系抗菌薬ciprofloxacin (CPFX) 注射薬による中等症以上の呼吸器感染症および複雑性尿路感染症に対する有効性および安全性について検討した。投与量は1日200 mg (分2) または400 mg (分2) を3~14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。
    1) 総投与症例148例のうち, 有効性評価対象例は126例 (内科領域, 泌尿器科とも63例), 安全性評価対象例は145例 (内科領域74例, 泌尿器科71例) であった。
    2) 呼吸器感染症に対する臨床効果では, 肺炎・肺化膿症80.8%(21/26例), 慢性下気道感染症42.9%(15/35例), 全体で59.0%(36/61例) の有効率であった。他剤無効例に対する有効率は60.0%(12/20例) であった。1日投与量別の有効率は, 200 mg投与60.9%(14/23例), 400 mg投与57.9%(22/38例) であった。一方, 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で62.3%(33/53株) であった。
    3) 複雑性尿路感染症に対する総合臨床効果 (UTI薬効評価基準判定) は, 膀胱炎で54.5%(18/33例), 腎盂腎炎で57.1%(8/14例), 全例で55.3%(26/47例) の有効率であった。他剤無効例に対する有効率は60.0%(24/40例) であった。1日投与量別の有効率は, 200mg投与42.9%(9/21例), 400 mg投与65.4%(17/26例) であった。一方, 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で80.0%(48/60株) であった。
    4) 副作用は17例 (11.7%) に23件認められた。その内訳は過敏症状が7件, 消化器症状が5件, 神経症状が4件, 血管痛5件などであり, 重篤なものはなかった。臨床検査値の異常変動は16例 (11.0%) に23件認められ, 肝酵素値の上昇が9件, 好酸球増多が5件などであった。
    以上の成績から, CPFX注射薬は, 肺炎をはじめとする中等症以上の呼吸器感染症および複雑性尿路感染症の治療に有効であることが示された。
  • 小林 宏行, 原 耕平, 熊澤 淨一, 酒井 克治
    1997 年 45 巻 10 号 p. 833-845
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ピリドンカルボン酸系抗菌薬ciprofloxacin (CPFX) 注射薬による中等症以上の内科, 泌尿器科, 外科領域感染症に対する有効性および安全性について検討した。投与量は1日200 mg (分2) または400 mg (分2) を5~14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。
    1) 総投与症例77例のうち, 有効性評価対象例は70例, 安全性評価対象例は75例であった。
    2) 疾患別の臨床効果は, 呼吸器感染症59.1%(13/22例), 尿路感染症50.0%(12/24例), 外科領域感染症61.9%(13/21例) の有効率であった。他剤無効例に対する有効率は50.0%(16/32例) であった。1日投与量別の有効率は, 1日200 mg投与で52.8%(19/36例), 400 mg投与では66.7%(20/30例) であった。
    3) 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で70.7%(58/82株) であった。グラム陽性菌およびグラム陰性菌における菌消失率は, それぞれ56.3%(9/16株), 74.2%(49/66株) であった。
    4) 試験薬剤投与に起因すると考えられた副作用は, 5例 (6.7%) に12件認められ, 胸やけ・ショック症状, 痙攣・ショック症状, 注射部位の血管痛・発赤・かゆみ・動悸・胸苦しさ, 嘔気・頭痛, 胸部違和感 (胸痛) 各1例であった。臨床検査値異常は, 13例 (17.6%) に27件認められ, 肝酵素値の上昇が9例, 好酸球増多が2例などであった。
    以上の成績から, CPFX注射薬は, 中等症以上の各種感染症に対して, 1日400 mgの投与で有効性が期待された。しかし, 重篤な副作用としてショック症状が2例に認められたことから, 本薬の世界的な評価の動向を見きわめるまで, 本邦における臨床試験は中断すべきであると判断した。
  • 重症および難治性感染症における臨床的検討
    小林 宏行他
    1997 年 45 巻 10 号 p. 846-871
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    重症および難治性感染症患者を対象として, cipronoxacin (CPFX) 注射薬の有効性, 安全性および有用性を検討した。
    1. 総投与症例数は174例で, うち解析対象例は有効性153例, 安全性163例, 有用性152例であった。
    2. 投与方法は1日量を600 mg以下とし, すなわち本剤1回200 mg, 1日2回~3回, または1回300 mg, 1日2回として最長14日間点滴静注とした。
    3. 有効性解析対象例153例の背景因子は, 60歳以上が72.5%, また基礎疾患 「有」 が74.5%を占め, また前治療無効例は54.9%であった。
    4. 臨床効果における有効率は全体で70.6%(108/153例) であった。疾患別の有効率は呼吸器感染症72.1%(49/68例), 外科的感染症86.0%(43/50例), 尿路感染症45.7%(16/35例) であった。全体での1日投与量別有効率は, ≦400 mg投与で68.6%, 600 mg投与で72.3%であり, 呼吸器感染症では≦400 mg投与で66.7%, 600 mg投与で75.6%, 外科的感染症では400 mg投与で86.4%, 600 mg投与で85.7%であった。
    5. 細菌学的効果における菌消失率は全体で60.8%(101/166株) であり, 主な菌種別ではMRSA 50.0%, Staphylococcus aureus 45.5%, Enterococcus faecalis 38.9%, Pseudomonas aeruginosa 40.0%, その他のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌72.7%, 嫌気性菌80.0%であった。
    6. 副作用は11例 (6.6%) に認められ, その内訳は注射部位の局所症状6例, 消化器症状4例, 神経症状1例であった。また臨床検査値異常は17例 (10.4%) に認められ, 主に肝酵素値の上昇であった。
    7. 概括安全度における安全率は全体で82.8%(135/163例) で, 有用性評価における有用率は61.2%(93/152例) であった。
    以上の成績から, CPFX注射薬の600 mg/日投与は内科系および外科系の, 特に経口摂取不能例および前投与抗菌薬無効な重症・難治性感染症に対し第2選択薬として臨床的有用性を有することが示唆された。
  • 藤井 良知他
    1997 年 45 巻 10 号 p. 872-890
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたペネム系抗生物質faropenem sodium (FRPM) について小児科領域における臨床的検討および基礎的検討を実施し, ドライシロップ剤を中心に以下の成績を得た。
    1. 有効性
    有効性解析対象494例中原因菌判明例295例における臨床効果は, 有効以上271例であり有効率は91.9%, 原因菌不明例199例では, 有効以上185例有効率93.0%であり, いずれも高い有効率を示した。原因菌別細菌学的効果は原因菌として分離された303株中250株が消失し, 82.5%の消失率を示した。ペニシリン耐性Streptococcus pneumoniaeと考えられる株に対し本薬のMICは≦0.025~0.2μg/mlを示し, ペニシリン耐性S. pneumoniae感染例に対する臨床効果は10例全例で有効以上であり, 細菌学的効果は8株中6株が消失した。
    他剤無効例に対する臨床効果は, 56例中50例で有効以上であり有効率は89.3%であった。体内動態を検討できた症例においては血中あるいは尿中のFRPM濃度はほとんどの症例で原因菌のMICを超えており, 臨床効果並びに細菌学的効果に反映された。
    2. 副作用, 臨床検査値異常変動
    安全性解析対象548例中36例 (6.6%) に副作用が認められた。内容は下痢, 軟便, 智部カンジダ症, 毒麻疹および発疹であった。臨床検査値異常変動は37例, 50件にみられ, 内訳は好酸球増多, GPT上昇, GOT上昇, γ-GTP上昇等であった。副作用, 臨床検査値異常変動とも重篤なものは認められなかった。
    3. 服用性
    服用性解析対象583例中, 「不明」 の24例を除き, 「普通」 以上の服用性と評価された症例は555例 (99.3%) であり服用性はきわめて良好であった。
    以上の成績より, 本薬は特にペニシリン耐性S. pneumoniae感染症を含む小児科領域感染症に対し有用な薬剤であると考えられる。
  • 久保 鈴子, 小坂 諭, 新井 俊彦
    1997 年 45 巻 10 号 p. 891-894
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗菌薬の選択時に最新情報を提供するために, 1994年11月に続いて1995年12月に分離された当院臨床分離菌株について院内で使用されている抗菌薬の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。対象とした菌株は, 前回同様8菌種 (緑膿菌, 黄色ブドウ球菌, 大腸菌, クレブジエラ, エンテロバクター, セラチア, プロテウス, 腸球菌) である. 黄色ブドウ球菌はMRSAとMSSAに分けて調べた。さらに緑膿菌は血清型別, 黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ型別を行い, 院内における流行状況をみた。MIC測定に使用した抗菌薬は19剤である。前年の感受性率と比較した結果, 多くの菌種で特に大きな薬剤耐性化傾向は見られなかったが、 緑膿菌, セラチアおよび腸球菌でimipenem/cilastatin (IPM/CS) 耐性化が見られた。したがって, 本年の推薦する第一次選択薬は下記のものとなった。緑膿菌にはtobramycin (TOB), MRSAにはvancomycin (VCM) とarbekacin (ABK), MSSAには minocyclin (MINO), clarithromycin (CAM) およびofloxacin (OFLX), 大腸菌にはlatamoxef (LMOX) とOFLX, クレブジエラにはLMOXおよびOFLX, エンテロバクターにはIPM/CSおよびOFLX, セラチアにはgentamicin (GM), プロテウスにはampicillin (ABPC), LMOXおよびOFLX, 腸球菌にはABPCである。緑膿菌株の血清型別と黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型別の結果は前年とほとんど変わらず, これらの菌種では菌株の型には変化が起こっていないことがわかった。
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